極低温SOIアンプ SOI-STJ4による STJ光パルス応答読出し試験

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極低温SOIアンプ SOI-STJ4による STJ光パルス応答読出し試験 武内勇司 (筑波大) for the COBAND collaboration Mar. 31, 2017 LAPIS meeting

COBAND (COsmic BAckground Neutrino Decay)実験 𝝂 𝟐 𝝂 𝟑 𝝂 𝟏 ニュートリノ崩壊 重さの違う3種類のニュートリノ 重たいニュートリノは,軽いニュートリノへ光子を伴って崩壊(実験的に未確認) 𝝂 𝟑 の崩壊の場合,光子はE~25meV (~50m) 宇宙背景ニュートリノ ビッグバン直後に生成され現在に至るまで残り続けているニュートリノ(実験的に未確認) 宇宙全体に 𝟏𝟏𝟎 𝐜𝐦 𝟑 の密度で存在 𝝂 𝟑 𝜸 𝝂 𝟐

COBANDロケット実験 𝝂 𝟑 宇宙背景ニュートリノのニュートリノ崩壊の探索 波長約50m(遠赤外線)の光として観測 観測ロケットを打ち上げ高度200~300kmで500秒の測定 ニュートリノ崩壊の寿命が1014年以下なら崩壊光子を観測可能な感度を目指す 𝝂 𝟑 𝜸 𝝂 𝟐 𝝂 𝟏

COBAND実験において光検出器に要求される性能 1ピクセルあたり 100m100mの有感領域 =40m~80mの光子1個ずつを高い効率で検出 Dark count レートは期待される(ほぼ黄道光からの)実光子レート約300Hz に対して無視できる程度であることが必要 NEP= 𝜖 𝛾 2 𝑓 𝛾 NEP ~1 10 −19 𝑊 𝐻𝑧 per 1pix に相当

超伝導トンネル接合素子 Superconducting Tunnel Junction (STJ) 超伝導体/絶縁層/超伝導体の構造(ジョセフソン接合) 2 E Ns(E) 絶縁膜 超伝導体 20~200m 300nm 超伝導 超伝導 絶縁層 Δ: 超伝導ギャップエネルギー 接合面を挟んで電位差(|V|<2Δ)を印加 超伝導体に吸収された光子のエネルギーにより複数のクーパー対が解離(励起)し,生成された準粒子によって,エネルギーに比例したトンネル電流が発生. 超伝導ギャップ(Δ)は遠赤外フォトンのエネルギーよりもずっと小さい(<1meV) 原理的には,遠赤外域一光子を検出可能 1s 程度の比較的高速なパルス応答(Nbの場合) 光子計数することでS/Nの著しい向上が期待

STJ I-V 特性 電流 DC光照射あり なし -2/e 2/e 電圧 リーク電流 ジョセフソン電流 2Δ 磁場印加により抑制 B field

CRVAVITY製Nb/Al-STJ I 0.1nA V Leakage T~300mK w/ B field Temperature(K) 産総研CRAVITY で作製された50m角 Nb/Al-STJ Temperature(K) 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 Leakage 100pA 1nA 10nA 100nA 500pA/DIV 0.2mV/DIV I V T~300mK w/ B field Leakage 0.1nA 50m 角でリーク200pA@0.4V, 20m 角ならリーク50pA@0.4V を達成 =0.6meV, Al層でのバックトンネルゲインを10とすると 25meV光子に対する信号は, Nq.p.=25meV/1.7Δ10~ 250 50pA のリーク電流をSTJ信号幅(~1s)で積分:50pA×1s~310e 素子そのものは,25meVの一光子検出の要件を満たす性能

FD-SOI-MOSFET によるSTJ信号読み出し回路 FD-SOI : Fully Depleted – Silicon On Insulator ~50nm Channel Length : L Channel Width : W SiO2絶縁膜上にMOSFETを形成 チャネル層が非常に薄い Id-Vg curve of W/L=10m/0.4m at |Vds|=1.8V Vgs (V) Ids 0.5 1 1.5 2 1pA 1nA 1A 1mA ̶̶ ROOM ̶̶̶ 3K n-MOS p-MOS ̶̶ ROOM ̶̶̶ 3K -Ids 1nA 1A 1mA Vgs (V) -0.5 -1 -1.5 -2 極低温(T<3K)でもp-MOS, n-MOS共にトランジスタとして動作

極低温でのFET特性変化 n-ch ST2 W/L=10m/1.0m Ids (A) Ids (A) Vds (V) Vgs (V) ̶̶ ROOM ̶̶̶ 3K Vds (V) Ids (A) Vgs (V) Ids (A) ̶̶ ROOM ̶̶̶ 3K キャリア移動度上昇による飽和電流の増加 Vdsの低い領域で電流の立ち上がりが鈍る 回路モデル化が不可能 閾値電圧の移動 サブスレッショルド電流の抑制 超低消費電力化が可能か?

LDD濃度変更後 p-ch ST2 W/L=10m/1.0m LDD(Lightly doped drain)不純物濃度を増加することで,極低温においてもId-Vdの立ち上がりが線形に回復 p-ch ST2 W/L=10m/1.0m Vds (V) -Ids (A) 0.8 0.6 0.4 0.2 -1.8 今季SOI MPWランの LDD濃度対策済み TrTEG でI-V測定.回路シミュレーション用のパラメータ抽出?

SOI prototype amplifier (SOI-STJ4) Vb Vss1 V5 Vss2 Vdd1 Vdd2 V2 V3 INPUT OUTPUT ソース接地増幅 電流源としてp-MOS使用 フィードバック 自己バイアス電圧印加 ソースフォロア 出力インピーダンス低減 Type W [μm] L [μm] M1 Nch-source tie 40 1 M2 Pch-source tie 10 M3 Nch-body tie 1.6 M4 70 M5 60 C1 MIM cap. 100 fF

増幅段ゲイン 極低温時においてもバイアス電圧を調整することによってしきい値の変動を補償して,室温時と同じ増幅率を達成 Gain ● 室温 先崎修論 増幅段ゲイン ● 室温    (V3=1.10V) ● 3K (V3=1.50V) Gain 10 20 30 40 50 60 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 Current source bias (V2) [V] V2 V3 極低温時においてもバイアス電圧を調整することによってしきい値の変動を補償して,室温時と同じ増幅率を達成

先崎修論 バッファー段出力周波数依存性 ● 室温    (V4,V5=1.00V, 0.70V) ● 3K (V4,V5=1.40V, 1.00V) Gain 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0.4 0.3 0.2 0.1 0.1k 1k 10k 100k 1M 10M Input frequency [Hz] V4 V5 極低温時においてもバッファー段に流す電流を増やすことによって冷凍機配線~0.5nFの容量負荷に対して 0.5MHz程度までの出力周波数帯域を確保

SOI-STJ4パルス応答試験 T=350mK 8mV 150mV 100s INPUT OUTPUT Amplifier stage 先崎修論 SOI-STJ4パルス応答試験 8mV 150mV 10mV 100s V T=350mK INPUT OUTPUT 1nF Amplifier stage Buffer stage Test pulse T=350mK にてC=1nFのキャパシタンスを用い,テスト入力 電力消費量:~100μW 入力信号時定数:20~30s  アンプ入力インピーダンス:20~30k

STJ 光パルス信号読み出し(定電流モード) V0 高インピーダンス 電圧アンプ 1M~100M I V STJ I-V curve w/light w/o light V0=V+RI ~1mV パルス光照射  STJ CSTJ I=I(V) V STJに比べて大きな抵抗を直列接続 STJから見るとほぼ電流源 光応答信号は,STJの電圧降下として見える STJのキャパシタンスが問題

STJ定電流モード読出しのシミュレーション CSTJ=1pF CSTJ=0.1nF CSTJ=0.5nF Operation voltage: ~1mV Signal: ~100nA*2s RSTJ~25.5k, Rref=1M CSTJ=1nF STJ応答は,CSTJRSTJの時定数を持つ

STJのパルス光応答のSOI-STJ4回路経由読み出し 10M T~350mK (3He sorption) 465nm laser through optical fiber  GND Vss Vdd 4.7F アンプ入力モニター用 アンプ出力 STJ SOI 4.7F 20m角 Nb/Al-STJのchipとSOI-STJ4アンプのchip(同じ極低温ステージ上)をセラミックコンデンサーを介して接続 アンプ入力のインピーダンスは,数十kΩ程度 STJ信号読出しはほぼ定電流モード読出しに近い STJのバイアス線の浮遊容量1nF程度:1sの信号に対して160Ω

Nb/Al-STJ I-V特性の光応答 超伝導ソレノイドの不調のため,JCが完全には消し切れていない. 八木修論 Nb/Al-STJ I-V特性の光応答 Rref Function Generator STJ STJ電流 STJ電圧 冷凍機内部 Wavelength : 465nm Pulse width : 59psec 10nA/DIV 0.5mV/DIV B=75.5 Gauss 超伝導ソレノイドの不調のため,JCが完全には消し切れていない. STJの定電流モード読出の動作電流として,ISTJ=40nAに設定.

STJ光パルス応答のSOI-STJ4への入力と出力 八木修論 STJ光パルス応答のSOI-STJ4への入力と出力 T~350mK 電力消費量:~230μW Amp.IN [μV] Amp.OUT [μV] time [μsec] SOISTJ4への入力波形 SOISTJ4からの出力波形 70 60 50 40 1600 1200 800 400 -100 -80 -40 -20 20 80 100 18μV 1.2mV *オシロスコープでの512回アベレージ波形 20kHzの波長465nmレーザーパルス照射に対する20角Nb/Al-STJの応答をSOI-STJ4増幅回路へ入力 SOI回路での信号増幅(~60倍の波高増幅)を観測

まとめ COBAND(宇宙背景ニュートリノ崩壊探索)ロケット実験のための遠赤外光検出器(=50m)を開発中 SOIに技術を用いた極低温アンプによる超伝導体接合素子光パルス信号読出し回路を開発中 SOIアンプの極低温(300mK)での動作を確認. 実際のSTJの光パルス信号を同一極低温ステージ上でSOIアンプにより増幅して読み出すことに成功(SOI-STJ4). ノイズ評価に向けた測定これから 本講演のSOIアンプの設計は,VDECのサポートを受けて行われています. * VLSI Design and Education Center(VDEC), the U. Tokyo in collaboration with Synopsys, Inc., Cadence Design Systems, Inc., and Mentor Graphics, Inc.

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COBAND Collaboration Members (As of Mar. 2017) 22 COBAND Collaboration Members (As of Mar. 2017) Shin-Hong Kim, Yuji Takeuchi, Kenichi Takemasa, Kazuki Nagata, Kota Kasahara, Shunsuke Yagi, Rena Wakasa, Yoichi Otsuka (Univ. of Tsukuba), Hirokazu Ikeda, Takehiko Wada, Koichi Nagase (JAXA/ISAS), Shuji Matsuura (Kwansei gakuin Univ), Yasuo Arai, Ikuo Kurachi, Masashi Hazumi (KEK), Takuo Yoshida,Chisa Asano,Takahiro Nakamura, Makoto Sakai (Univ. of Fukui), Satoshi Mima, Kenji Kiuchi (RIKEN), H.Ishino, A.Kibayashi (Okayama Univ.), Yukihiro Kato (Kindai University), Go Fujii, Shigetomo Shiki, Masahiro Ukibe, Masataka Ohkubo (AIST), Shoji Kawahito (Shizuoka Univ.), Erik Ramberg, Paul Rubinov, Dmitri Sergatskov (Fermilab), Soo-Bong Kim (Seoul National University)  

ニュートリノ寿命下限測定,および COBANDロケット実験感度 観測ロケット実験で500秒の測定 直径15cm, 焦点距離1mの主鏡,焦点位置に分光器(=40m~80m) 100m100m8pix50列(方向)の各光検出器ピクセルで光子計数 S.H.Kim et. al (2012) Mirizzi et. al (2007) L-R SM =0.02, M(W2)=715GeV m312 = 2.510-3eV2 mi < 0.23eV COBAND rocket 500sec meas.

JAXA Rocket Experiment for Neutrino Decay Search ロケットで高度200km~300kmまで上昇.約5分の観測 𝜆=40−80𝜇m (16-31meV)の範囲で連続スペクトラムを測定(回折格子で50分割),空間方向にも8分割 𝚫𝝀=𝟎.𝟖𝝁𝒎 100μm x 100μm x 50x8 pixels Nb/Al-STJ array Δ𝜃 𝐸 𝛾 =16~31meV Δ𝜆 Focal length 1m

C𝜈B radiative decay and Backgrounds CMB ZE ZL ISD SL DGL CB decay wavelength [m] E [meV] Surface brightness I [MJy/sr] AKARI COBE 1000 100 10 1 0.0001 0.001 0.01 0.1 500 200 50 20 5 2 Zodiacal Emission 𝐼 𝜈 ~8MJy/sr Cosmic Infrared Background (CIB) 𝐼 𝜈 ~0.1~0.5MJy/sr CB decay 𝜏= 5×10 12 yr𝑠 𝐼 𝜈 ~0.5MJy/sr Excluded (S.H.Kim 2012) 𝜏= 1×10 14 yrs 𝐼 𝜈 ~25kJy/sr Expected 𝑬 𝜸 spectrum for 𝑚 3 =50meV at λ=50μm 1Jy= 10 −26 W m 2 ⋅Hz

SOI-STJ4 光パルス応答シミュレーション 先崎修論 SOI-STJ4 光パルス応答シミュレーション シミュレーション条件 STJに並列に1nFの容量 1MΩのバイアス抵抗 出力側は,1MΩ終端,および0.5nFの容量負荷 STJ両端電位差 時定数:~100s  アンプ入力インピーダンス:~100k SOIアンプ出力(反転) 電圧増幅率: 7.5mV/50V~150