『モデリング・シミュレーション入門』 井庭 崇 第3回 数理モデリング

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キー・コンピテンシーと生きる 力 キー・コンピテンシー – 社会・文化的,技術的道具を相互作用的に活用する力 – 自律的に行動する力 – 社会的に異質な集団で交流する力 生きる力 – 基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと, 自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え, 主体的に判断 し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力.
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『モデリング・シミュレーション入門』 井庭 崇 第3回 数理モデリング Keio University SFC 2004 『モデリング・シミュレーション入門』 第3回 数理モデリング いば  たかし 井庭 崇 慶應義塾大学総合政策学部 専任講師 iba@sfc.keio.ac.jp http://www.sfc.keio.ac.jp/~iba/lecture/

復習 モデリング

復習 モデルの定義 「“モデル”とは、ある人間にとっても、ある状況、あるいは状況についての概念の明示的な解釈である。モデルは、数式、記号、あるいは言葉で表すことができるが、本質的には、実体、プロセス、属性、およびそれらの関係についての記述である。モデルは規範的、記述的のどちらでもありうるが、何よりも役立つものでなければならない。」(Brian Wilson)

「わかる」を支援する思考の道具として 復習 喩えるもの 喩えられるもの 「メタファー」=「より抽象的で分かりにくいカテゴリーに属する対象を、より具体的で分かりやすいカテゴリーに属する対象に見立てることによって、世界をよりよく理解する方法」[瀬戸, 1995]

復習 分けることでわかる わかる=分ける 目の前の現象を、何らかの分類基準で分類出来れば、現象が整理できるだけでなく、心も整理される。→「わかる」感覚 「わかる」ということは、分類基準の正しさ・正確さとは無関係。 「違いがわかる」という能力が知覚の基本 日本人なら誰でも、ひらがな46文字、カタカナ46文字、教育漢字1006字、英語アルファベット26文字、アラビア数字10文字、合わせて1134字の形を区別出来る。これで最低だから、実際はもっとたくさんの小さい形を区別している。

体験することでわかる 「わかる」のは、頭でわかるだけではない。 身体性、感覚 体験すると、理屈はわからなくても、「わかる」ことがある。 復習 体験することでわかる 「わかる」のは、頭でわかるだけではない。 身体性、感覚 体験すると、理屈はわからなくても、「わかる」ことがある。 暗黙知による「わかり方」 「違いがわかる」という能力が知覚の基本 日本人なら誰でも、ひらがな46文字、カタカナ46文字、教育漢字1006字、英語アルファベット26文字、アラビア数字10文字、合わせて1134字の形を区別出来る。これで最低だから、実際はもっとたくさんの小さい形を区別している。

復習 この授業における「わかる」 モデリング 分けることでわかる 形式知による理解 シミュレーション 体験することでわかる 暗黙知による理解

社会や組織の変革の力についての「分け方」 復習 社会や組織の変革の力についての「分け方」 社会や組織の変革の力 「退出」(exit) 「発言」(voice) Exit ! Voice ! こうしてほしい。 ×

インターディシプリナリとトランスディシプリナリ 復習 inter-disciplinary (学際的) trans-disciplinary (超学的, 超領域的) 経 済 学 政 治 社 会 discipline economics sociology politics

システムの内部 システム 相互関係のある複数の要素(部分)から構成された一つの組織化された統一体 復習 「システム概念というのはこのように対象を全体と部分との関係でとらえる認識論の一種で、古くは、AristotelesやHegelに端を発しているとみることもできますが、システム概念が明確に打ち出されてきたのは1930年代に入ってからBertalanffyに始まり、WienerやBouldingによって展開されてきたと考え方がよいでしょう。」(竹村81)

世界のシステム階層と創発 社会 知能 生命 復習 社会 生態系 精神活動 する個体 生物集団 宇宙 個体 銀河系 天体 細胞 物体 生体高分子 分子 原子 素粒子 クォーク 井庭崇 福原義久, 『複雑系入門』, NTT出版, 1998 (鈴木賢英, 『自然科学ノート』(文化書房博文社,1993) を元に改変)

復習 システムと環境 システム インプット アウトプット 内部状態 環境

アウトプットが再び自分のインプットになると・・・ 復習 アウトプットが再び自分のインプットになると・・・ フィードバック システム アウトプット インプット

授業スケジュール 第1回(10/1) イントロダクション 第2回(10/8) モデリングとは 第3回(10/15) 数理モデリング 第1回(10/1) イントロダクション 第2回(10/8) モデリングとは 第3回(10/15) 数理モデリング 第4回(10/22) 非線形とカオス 第5回(10/29) オートマトン(状態機械) 第6回(11/5) オブジェクト指向モデリング 第7回(11/12) オブジェクト指向プログラミング (三田祭休み) 第8回(11/26) シミュレーションとは 第9回(12/3) シミュレーションによる分析 第10回(12/10)自律分散協調システムと自己組織化のシミュレーション 第11回(12/17)遺伝的アルゴリズムによる進化のシミュレーション (冬休み) 第12回(1/7) ニューラルネットワークによる学習のシミュレーション 第13回(1/14) 成長するネットワークのシミュレーション

『モデリング・シミュレーション入門』 井庭 崇 第3回 数理モデリング Keio University SFC 2004 『モデリング・シミュレーション入門』 第3回 数理モデリング いば  たかし 井庭 崇 慶應義塾大学総合政策学部 専任講師 iba@sfc.keio.ac.jp http://www.sfc.keio.ac.jp/~iba/lecture/

第3回 数理モデリング 時間とともに変動する現象について理解したいとき、数理モデルを作成することがある。 この数理モデルを操作・計算することで、現象に対する理解を深めたり予測したりします。 モデルの特徴を把握する(可視化する)ための方法についても紹介します。

システムの内部状態は、内部変数といわれるいくつかの数値の組によって表される。 システムの内部状態と内部変数 システムの内部状態は、内部変数といわれるいくつかの数値の組によって表される。 内部状態の変化はその内部変数の変化として表される。 内部状態 (内部変数1,2,3・・) システム

相空間(Phase Space) z y x y x 内部変数の組をある空間上の点として表す。 (A) x 1変数の場合 x=A 2変数の場合 x=A, y=B x y z 3変数の場合 x=A, y=B, z=C 内部状態とその変化を具体的にイメージするために、数学者は幾何学の言葉を用いる。

メイの生態モデル

親世代と子世代の個体数の関係 数理生態学者 ロバート・メイ 生物の親の世代と子供の世代の個体数の関係

xn+1 = a xn (1 - xn) 親世代と子世代の個体数の関係 現在の個体数と次世代の個体数との関係 次世代の 個体数 現在の 定数 xn+1 = a xn (1 - xn) 実際には、 具体的に数値が入る 個体数の値は、0~1。 (単位が「千匹」など だと考えればいい)

実は、よく見たことがあるような式 y = 2 x (1 - x)

xn+1 = a xn (1 - xn) x2 = a x1 (1 – x1) x3 = a x2 (1 – x2) 次世代の 個体数 現在の 定数 順を追って みてみると・・・ 初期値 x2 = a x1 (1 – x1) n=1 x3 = a x2 (1 – x2) n=2 x4 = a x3 (1 – x3) n=3

xn+1 = a xn (1 - xn) 親世代と子世代の個体数の関係 現在の個体数と次世代の個体数との関係 次世代の 個体数 現在の 定数 xn+1 = a xn (1 - xn) 増減のバランス 個体数が多いほど 次世代を増やす 個体数が多いほど 次世代を減らす

xn+1 = a xn (1 - xn) メイの生態モデルの振る舞い 増減バランスを決める定数aの値が 0<a<1のとき 絶滅してしまう。 xn+1 = a xn (1 - xn) 個 体 数 世代(時間)

xn+1 = a xn (1 - xn) メイの生態モデルの振る舞い 増減バランスを決める定数aの値が 1<a<2のとき ある個体数に落ちつく xn+1 = a xn (1 - xn) 個 体 数 世代(時間)

複数の個体数を振動するというのは 個 体 数 世代(時間) 時系列でみると・・・ イメージでいうと・・・

xn+1 = a xn (1 - xn) メイの生態モデルの振る舞い 増減バランスを決める定数aの値が 2<a<3のとき 振動したのちに、ある個体数に落ちつく。 xn+1 = a xn (1 - xn) 個 体 数 世代(時間)

『モデリング・シミュレーション入門』 井庭 崇 第3回 数理モデリング Keio University SFC 2004 『モデリング・シミュレーション入門』 第3回 数理モデリング いば  たかし 井庭 崇 慶應義塾大学総合政策学部 専任講師 iba@sfc.keio.ac.jp http://www.sfc.keio.ac.jp/~iba/lecture/

教科書 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』 (井庭崇, 福原義久, NTT出版, 1998) 第I部 『複雑系』科学  第1章 『複雑系』とは何か?  第2章 『複雑系』科学の位置  第3章 『複雑系』科学の方法論 第II部 複雑性の現象  第4章 フラクタル  第5章 自己組織的臨界状態  第6章 カオス  第7章 カオスの縁 第III部 複雑適応系  第8章 複雑適応系  第9章 進化と遺伝的アルゴリズム  第10章 カウフマンネットワーク  第11章 ニューラルネットワーク 第IV部 『複雑系』科学のフロンティア  第12章 『複雑系』経済学  第13章 人工生命  第14章 カオス結合系  第15章 内部観測 第V部 『複雑系』研究への道標  第16章 『複雑系』科学の鳥瞰図

宿題(授業第3回)内容 ①教科書『複雑系入門』の第4章「フラクタル」を読んで、次の点について、それぞれまとめる。  (1)海岸線の長さが測り方によって、異なるのはなぜか?  (2)「フラクタル」と「無限」はどのような関係があるか?  (3)現実世界(自然界や社会)において、フラクタル性をもつものには、どのようなものがあるか? ※4.3「フラクタル次元」は除いてよい。 ※この他の文献・Webページ等を積極的に調べて参照することも歓迎する。その場合には、必ず、参考文献・URLを明記すること。 ②今日の授業で新しくわかったこと、考えたこと、感想

宿題(授業第3回)形式 提出&締切:来週の授業開始時に教室で。 形式:A4用紙1枚(両面可) 宿題(第3回)と明記 学部・学年・学籍番号・メールアドレス・名前を明記