数学入門 6月11日.

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数学入門 6月11日

本日(6月11日)の内容 3.1章(+補足) 高次導関数 ロピタルの定理

第2次導関数 関数𝑦=𝑓(𝑥)の導関数𝑓′(𝑥)が微分可能なとき,その導関数を 𝑓′′(𝑥)で表し,𝑓(𝑥)の第2次導関数という 例: 𝑓(𝑥)= 𝑥 2 のとき, 𝑓 ′ 𝑥 =2𝑥, 𝑓 ′′ 𝑥 =2 𝑦=2𝑥+1のとき, 𝑦 ′ =2, 𝑦 ′′ =0 第2次導関数は様々な場面で使用される 加速度(速度の導関数) グラフの凹凸(3.2章) 不等式の証明(例題1.14(2))

第𝑛次導関数(𝑛≥2のとき高次導関数) 第2次導関数𝑓′′(𝑥)が微分可能ならその導関数を第3次導関数とい い,𝑓′′′(𝑥)とあらわす. 一般に,𝑦=𝑓(𝑥)を𝑛回微分して得られる関数を𝑓(𝑥)の第𝑛次導関 数といい, 𝑦 (𝑛) , 𝑓 𝑛 𝑥 , 𝑑 𝑛 𝑦 𝑑 𝑥 𝑛 , 𝑑 𝑛 𝑑 𝑥 𝑛 𝑓(𝑥) のようにあらわす. 𝑓 0 𝑥 =𝑓 𝑥 , 𝑓 1 𝑥 = 𝑓 ′ 𝑥 , 𝑓 2 𝑥 = 𝑓 ′′ 𝑥 , 𝑓 3 𝑥 = 𝑓 ′′′ 𝑥 … 区間𝐷で𝑓(𝑥)の第𝑛次導関数が存在すれば,𝑓(𝑥)は𝐷で𝑛回微分可 能であるといい,何回でも微分可能なら無限回微分可能という.

問題3.1(2): 𝑥 𝑛 の第3次導関数まで求めよ 𝑦= 𝑥 𝑛 とすると 𝑦 ′ =𝑛 𝑥 𝑛−1 𝑛≥1 , 0 𝑛=0 より, 𝑦 ′ =𝑛 𝑥 𝑛−1 𝑦 ′′ = 𝑛−1 𝑛 𝑥 𝑛−2 𝑛≥2 , 0 (𝑛≤1)より, 𝑦 ′′ =𝑛 𝑛−1 𝑥 𝑛−2 𝑦 ′′′ = 𝑛−2 𝑛 𝑛−1 𝑥 𝑛−3 𝑛≥3 , 0 (𝑛≤2)より, 𝑦 ′′′ =𝑛 𝑛−1 𝑛−2 𝑥 𝑛−3 第𝑛次導関数は 𝑦 (𝑛) =𝑛 𝑛−1 𝑛−2 ⋯ 𝑛− 𝑛−1 𝑥 𝑛−𝑛 =𝑛! 第𝑛+1次導関数は 𝑦 (𝑛+1) =0

問題3.1(3): 𝑦= log 𝑥 の第3次導関数まで求めよ

問題3.1(3): 𝑦= log 𝑥 の第3次導関数まで求めよ (解) 𝑦 ′ = 1 𝑥 (= 𝑥 −1 ) 𝑦 ′′ =− 1 𝑥 2 (=− 𝑥 −2 ) 𝑦 ′′′ = 2 𝑥 3 (=2 𝑥 −3 ) 𝑦 (4) =−6 𝑥 −4 , 𝑦 5 =24 𝑥 −5 , 𝑦 6 =−120 𝑥 −6 … 第𝑛次導関数は 𝑦 (𝑛) = −1 𝑛−1 𝑛−1 ! 𝑥 −𝑛

なぜ高次導関数が重要か? 最大の理由はテイラーの定理 テイラーの定理(4.3章):多くの関数の局所的な振る舞いは多項式 で近似できる!(接線の概念の一般化) 多項式の係数を評価するために高次導関数が必要 不定値の極限の計算 ロピタルの定理(この後で)

重要な高次導関数 指数関数 𝑦= 𝑒 𝑥 は何回微分しても不変なので, 𝑦 𝑛 = 𝑒 𝑥 𝑦= sin 𝑥 指数関数 𝑦= 𝑒 𝑥 は何回微分しても不変なので, 𝑦 𝑛 = 𝑒 𝑥 𝑦= sin 𝑥 𝑦 (1) = cos 𝑥 , 𝑦 (2) =− sin 𝑥, 𝑦 (3) =− cos 𝑥 , 𝑦 4 = sin 𝑥 と4回微分すれば 元に戻るので, 𝑦 (𝑛+4) = 𝑦 (𝑛) cos 𝑥= sin 𝑥+ 𝜋 2 , − sin 𝑥 = sin 𝑥+2⋅ 𝜋 2 , − cos 𝑥= sin 𝑥+ 3𝜋 2 , … と書けるので, 𝑦 (𝑛) = sin 𝑥+𝑛⋅ 𝜋 2 𝑦= cos 𝑥 も同様に, 𝑦 (𝑛) = cos 𝑥+𝑛⋅ 𝜋 2

重要な導関数 𝑦= 1+𝑥 𝑝 (𝑝:実数, 𝑥>−1) 𝑦= log (1+𝑥) (𝑥>−1) 𝑦= 1+𝑥 𝑝 (𝑝:実数, 𝑥>−1) 𝑦 (𝑛) =𝑝 𝑝−1 ⋯ 𝑝− 𝑛−1 1+𝑥 𝑝−𝑛 𝑦= 𝑥+1 のとき, 𝑦 (𝑛) = 1 2 − 1 2 − 3 2 ⋯ 1 2 − 𝑛−1 𝑥+1 1 2 −𝑛 𝑝が自然数𝑛のときは, 𝑦 (𝑛) =𝑛!, 𝑦 (𝑛+1) =0 𝑝が自然数のときはℝ全体で無限回微分可能,それ以外のときは(−1,∞)で 無限回微分可能 𝑦= log (1+𝑥) (𝑥>−1) 𝑦 𝑛 = −1 𝑛−1 𝑛−1 ! 1+𝑥 −𝑛 (−1,∞)で無限回微分可能

問題3.4(3): 𝑦= 1−𝑥 の第𝑛次導関数 𝑦= 1−𝑥 1 2 より, 𝑦 ′ = 1 2 1−𝑥 − 1 2 −1 , 𝑦 ′′ = 1 2 ⋅ − 1 2 1−𝑥 − 3 2 −1 2 , 𝑦 3 = 1 2 − 1 2 − 3 2 1−𝑥 − 5 2 −1 3 … 第𝑛次導関数は 𝑦 (𝑛) = −1 −3 ⋯ −(2𝑛−3) 2 𝑛 1−𝑥 − 2𝑛−1 2 −1 𝑛 = −1 𝑛−1 1⋅3⋅5⋯(2𝑛−3) 2 𝑛 1−𝑥 − 2𝑛−1 2 −1 𝑛 =− 1⋅3⋅5⋯(2𝑛−3) 2 𝑛 1−𝑥 − 2𝑛+1 2

不定形の極限 分母と分子が同時に0に収束するなどしてそのままでは関数の収束 値が計算できないような場合,不定形という. 例: lim 𝑥→0 𝑥− sin 𝑥 𝑥 3 ( 0 0 になって不定) lim 𝑥→∞ log 𝑥 𝑥 ( ∞ ∞ になって不定) lim 𝑥→0 1 𝑥 − 1 sin 𝑥 (∞−∞になって不定) lim 𝑥→∞ 𝑥 1 𝑥 ( ∞ 0 になって不定)

ロピタルの定理 定理3.1 (ロピタルの定理) 関数 𝑓 𝑥 , 𝑔(𝑥)が区間(𝑎,𝑏)で微分可能 で, 𝑓 ′ 𝑥 ≠0, そして𝑥→𝑎のとき,𝑓 𝑥 →0, 𝑔 𝑥 →0であるとする. このとき, lim 𝑥→𝑎 𝑔 ′ (𝑥) 𝑓 ′ (𝑥) が定まれば, lim 𝑥→𝑎 𝑔(𝑥) 𝑓(𝑥) も定まり, lim 𝑥→𝑎 𝑔(𝑥) 𝑓(𝑥) = lim 𝑥→𝑎 𝑔′(𝑥) 𝑓′(𝑥) 𝑥→𝑎の部分が𝑥→±∞,あるいは𝑓 𝑥 →0, 𝑔 𝑥 →0の部分が 𝑓 𝑥 ,𝑔 𝑥 →±∞に変わっても成り立つ

Wikipediaより

ロピタルの定理 定理3.1 (ロピタルの定理) 関数 𝑓 𝑥 , 𝑔(𝑥)が区間(𝑎,𝑏)で微分可能 で, 𝑓 ′ 𝑥 ≠0, そして𝑥→𝑎のとき,𝑓 𝑥 →0, 𝑔 𝑥 →0であるとする. このとき, lim 𝑥→𝑎 𝑔 ′ (𝑥) 𝑓 ′ (𝑥) が定まれば, lim 𝑥→𝑎 𝑔(𝑥) 𝑓(𝑥) も定まり, lim 𝑥→𝑎 𝑔(𝑥) 𝑓(𝑥) = lim 𝑥→𝑎 𝑔′(𝑥) 𝑓′(𝑥) 𝑥→𝑎の部分が𝑥→±∞,あるいは𝑓 𝑥 →0, 𝑔 𝑥 →0の部分が 𝑓 𝑥 ,𝑔 𝑥 →±∞に変わっても成り立つ

例: lim 𝑥→0 sin 𝑥 𝑥 分母,分子とも0に収束するので不定形. ロピタルの定理を使うと lim 𝑥→0 ( sin 𝑥 )′ 𝑥′ = lim 𝑥→0 cos 𝑥 1 =1 と定まるので, lim 𝑥→0 sin 𝑥 𝑥 も定まり, lim 𝑥→0 sin 𝑥 𝑥 = lim 𝑥→0 ( sin 𝑥 )′ 𝑥′ =1

例題3.1: lim 𝑥→0 𝑥− sin 𝑥 𝑥 3 分母,分子とも0に収束するので不定形. lim 𝑥→0 (𝑥− sin 𝑥)′ (𝑥 3 )′ = lim 𝑥→0 1− cos 𝑥 3 𝑥 2 再び分母,分子とも0に収束するので不定形・・ 不定形を脱するまで分母,分子ともさらに微分. lim 𝑥→0 (𝑥− sin 𝑥 )′′ (𝑥 3 )′′ = lim 𝑥→0 (1− cos 𝑥 )′ (3 𝑥 2 )′ = lim 𝑥→0 sin 𝑥 6𝑥 = 1 6 と定まったので, lim 𝑥→0 (𝑥− sin 𝑥 ) ′ (𝑥 3 ) ′ も定まり,さらに lim 𝑥→0 𝑥− sin 𝑥 𝑥 3 も定まり, lim 𝑥→0 𝑥− sin 𝑥 𝑥 3 = lim 𝑥→0 𝑥− sin 𝑥 ′ ( 𝑥 3 ) ′ = lim 𝑥→0 (𝑥− sin 𝑥 )′′ ( 𝑥 3 )′′ = 1 6

例題3.2(2): lim 𝑥→∞ 𝑥 𝑛 𝑒 𝑥 (𝑛: 自然数) 分母,分子とも∞に発散するので不定形 分母,分子を𝑛回微分すると: 𝑥 𝑛 (𝑛) =𝑛!→𝑛! (𝑥→∞) ⇦𝑥によらない定数 𝑒 𝑥 (𝑛) = 𝑒 𝑥 →∞ (𝑥→∞) より, lim 𝑥→∞ ( 𝑥 𝑛 ) (𝑛) ( 𝑒 𝑥 ) (𝑛) =0なので lim 𝑥→∞ 𝑥 𝑛 𝑒 𝑥 =0

問題3.5(3): lim 𝑥→0 𝑥− log (1+𝑥) 𝑥 2

問題3.5(3): lim 𝑥→0 𝑥− log (1+𝑥) 𝑥 2 (解) lim 𝑥→0 𝑥− log (1+𝑥) 𝑥 2 = lim 𝑥→0 1− 1 1+𝑥 2𝑥 = lim 𝑥→0 1 1+𝑥 2 2 = 1 2 (別解) lim 𝑥→0 𝑥− log (1+𝑥) 𝑥 2 = lim 𝑥→0 1− 1 1+𝑥 2𝑥 = lim 𝑥→0 1+𝑥−1 2𝑥(1+𝑥) = lim 𝑥→0 1 2(1+𝑥) = 1 2

ロピタルの定理の証明 コーシーの平均値の定理(定理2.19)を利用 定理2.19 関数𝑓 𝑡 , 𝑔(𝑡)が区間[𝑎,𝑏]で連続で,区間(𝑎,𝑏)で微分可能 であり,つねに 𝑓 ′ 𝑡 ≠0ならば 𝑔 𝑏 −𝑔(𝑎) 𝑓 𝑏 −𝑓(𝑎) = 𝑔′(𝑐) 𝑓′(𝑐) が成り立つ𝑐が(𝑎,𝑏)の中に存在する. (直感的説明) 左辺は𝑥=𝑓 𝑡 , 𝑦=𝑔(𝑡)で表現される曲線𝐶 の点A=P(𝑎), B=P(𝑏)を結ぶ直線の傾きで, 右辺は点C=P(𝑐)での接線の傾き B C A

定理3.1 (ロピタルの定理) 関数 𝑓 𝑥 , 𝑔(𝑥)が区間(𝑎,𝑏)で微分可能で, 𝑓 ′ 𝑥 ≠0, そして𝑥→𝑎のとき,𝑓 𝑥 →0, 𝑔 𝑥 →0であるとする. このとき, lim 𝑥→𝑎 𝑔 ′ (𝑥) 𝑓 ′ (𝑥) が定まれば, lim 𝑥→𝑎 𝑔(𝑥) 𝑓(𝑥) も定まり, lim 𝑥→𝑎 𝑔(𝑥) 𝑓(𝑥) = lim 𝑥→𝑎 𝑔′(𝑥) 𝑓′(𝑥) ロピタルの定理の証明 定理2.19(コーシーの平均値の定理) 関数𝑓 𝑡 , 𝑔(𝑡)が区間[𝑎,𝑏]で連続で, 区間(𝑎,𝑏)で微分可能であり,つねに 𝑓 ′ 𝑡 ≠0ならば 𝑔 𝑏 −𝑔(𝑎) 𝑓 𝑏 −𝑓(𝑎) = 𝑔′(𝑐) 𝑓′(𝑐) が成り立つ𝑐が(𝑎,𝑏)の中に存在する. (証明) 𝑓 𝑎 =𝑔 𝑎 =0とすると,𝑓 𝑥 , 𝑔(𝑥)は[𝑎,𝑏)で連続なので,定理2.19より (𝑎,𝑏)の中の任意の𝑥について 𝑔 𝑥 −𝑔(𝑎) 𝑓 𝑥 −𝑓(𝑎) = 𝑔 ′ (𝑐) 𝑓 ′ (𝑐) となる𝑐が(𝑎,𝑥)の中に存在. 両辺𝑥→𝑎における極限とると,𝑐→𝑎となるので定理3.1が得られる.

0 0 あるいは ∞ ∞ 以外の不定形 通分したり,対数を取ったりと工夫して 0 0 あるいは ∞ ∞ の形に直してから ロピタルの定理を使う 例題3.3(1) lim 𝑥→0 1 𝑥 − 1 sin 𝑥 ⇦ ∞−∞で不定形 lim 𝑥→0 1 𝑥 − 1 sin 𝑥 = lim 𝑥→0 sin 𝑥−𝑥 𝑥 sin 𝑥 と通分すれば 0 0 lim 𝑥→0 ( sin 𝑥−𝑥 ) ′ (𝑥 sin 𝑥 ) ′ = lim 𝑥→0 cos 𝑥−1 sin 𝑥+𝑥 cos 𝑥 = lim 𝑥→0 − sin 𝑥 2cos 𝑥 −𝑥 sin 𝑥 =0 より lim 𝑥→0 1 𝑥 − 1 sin 𝑥 =0

例題3.3(2): lim 𝑥→∞ 𝑥 1 𝑥 ∞ 0 の形の不定形 𝑦= 𝑥 1 𝑥 とする.両辺の自然対数を取ると 𝑦= 𝑥 1 𝑥 とする.両辺の自然対数を取ると log 𝑦= log 𝑥 𝑥  ⇦ ∞ ∞ の形の不定形 lim 𝑥→∞ log 𝑥 𝑥 = 1 𝑥 1 =0 なので, lim 𝑥→∞ log 𝑦= lim 𝑥→∞ log 𝑥 1 𝑥 =0 . よって, lim 𝑥→∞ 𝑥 1 𝑥 = 𝑒 0 =1

問題3.5(6): lim 𝑥→+0 𝑥 𝑥 0 0 で不定形

問題3.5(6): lim 𝑥→+0 𝑥 𝑥 0 0 で不定形 𝑦= 𝑥 𝑥 とおいて,両辺の自然対数を取ると log 𝑦=𝑥 log 𝑥 lim 𝑥→+0 𝑥 log 𝑥 = lim 𝑥→+0 log 𝑥 1 𝑥 = lim 𝑥→+0 1 𝑥 − 1 𝑥 2 = lim 𝑥→+0 −𝑥 =0 なので, lim 𝑥→+0 log 𝑦 = lim 𝑥→+0 log 𝑥 𝑥 =0. よって, lim 𝑥→+0 𝑥 𝑥 = 𝑒 0 =1

宿題 問題3.4(1), (2) 問題3.5(1), (2), (5) 演習問題3.4 (1) (p.104の最初)

∞ ∞ 型不定形のロピタルの定理の証明 鈴木紀明,解析学の基礎,学術図書出版社 参照 𝜀>0を任意に取る. lim 𝑥→𝑎 𝑔 ′ (𝑥) 𝑓 ′ (𝑥) =𝐴とすると,𝛿>0が存在して, 𝑥−𝑎 <𝛿ならば 𝑔 ′ 𝑥 𝑓 ′ 𝑥 −𝐴 <𝜀. (𝑎−𝛿,𝑎+𝛿)内の𝑥を取ってコーシーの平均値の定理適用すると 𝑔 𝑥 −𝑔(𝑎) 𝑓 𝑥 −𝑓(𝑎) = 𝑔 ′ (𝑐) 𝑓 ′ (𝑐) なる𝑐∈(𝑎,𝑥)が存在. 𝑐−𝑎 <𝛿なので 𝑔 ′ 𝑐 𝑓 ′ 𝑐 −𝐴 <𝜀. さらに lim 𝑥→𝑎 𝑓 𝑥 =∞より 𝛿 1 >0を十分小 さく取れば 𝑥−𝑎 < 𝛿 1 のとき 𝑔 𝑎 𝑓 𝑥 <𝜀かつ 𝑓 𝑎 𝑓 𝑥 <𝜀. 以上から 𝑥−𝑎 < 𝛿 1 ならば 𝑔 𝑥 𝑓 𝑥 −𝐴 ≤ 𝑔 𝑥 𝑓 𝑥 − 𝑔 ′ 𝑐 𝑓 ′ 𝑐 + 𝐴− 𝑔 ′ 𝑐 𝑓 ′ 𝑐 ≤ 𝑔 𝑥 𝑓 𝑥 − 𝑔 𝑥 −𝑔 𝑎 𝑓 𝑥 −𝑓 𝑎 +𝜀 = 𝑔 𝑎 𝑓 𝑥 − 𝑓 𝑎 𝑔 𝑥 −𝑔 𝑎 𝑓 𝑥 𝑓 𝑥 −𝑓 𝑎 +𝜀≤ 𝑔 𝑎 𝑓 𝑥 + 𝑓 𝑎 𝑓 𝑥 𝑔 ′ 𝑐 𝑓 ′ 𝑐 +𝜀 =𝜀+𝜀 𝐴+𝜀 =𝜀(2+𝐴+𝜀) 以上から lim 𝑥→𝑎 𝑔 (𝑥) 𝑓 (𝑥) =𝐴