ATLAS前後方μ粒子トリガー検出器 地上動作試験の最終報告

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ATLAS前後方μ粒子トリガー検出器 地上動作試験の最終報告 2007/9/22 第62回 日本物理学会 ATLAS前後方μ粒子トリガー検出器 地上動作試験の最終報告 高橋 悠太 (名古屋大学大学院 理学研究科) 戸本誠, 杉本拓也, 奥村恭幸, 佐々木修A,安芳次A,池野正弘A, 坂本宏B,川本辰男B,石野雅也B,野本裕史B,久保田隆至B , 蔵重久弥C,門坂拓哉C,丹羽正C, 長谷川庸司D,福永力E,菅谷頼仁F , 他ATLAS 日本TGC エレキグループ 名大理,KEKA, 東大素セB, 神戸大自然C, 信州大理D, 首都大理工E, 阪大理F

発表内容 Introduction 2. 地上動作試験 3. まとめ Motivation TGC electronics 試験項目 2007/9/22 第62回 日本物理学会 Introduction Motivation TGC electronics 2. 地上動作試験 試験項目 テストパルス試験 宇宙線試験 結果 3. まとめ

Motivation TGCの役割  Pt > 6GeV/c のμ粒子を含むEventを選別、Trigger信号を発行 IP 2007/9/22 第62回 日本物理学会 TGCの役割  Pt > 6GeV/c のμ粒子を含むEventを選別、Trigger信号を発行 TGC(Thin Gap Chamber) 1.1<η<2.4 44m 22m ATLAS検出器 22m TGC 1 station 7TeV 陽子 7TeV 陽子 40MHz collision 3/4 coin. 2/3 coin. TGCに要求されるperformance  検出効率99%以上  検出器の反応時間<25ns(衝突間隔) TGC1 TGC2 TGC3 μ 地下にインストールすると、検査が非常に難航であることを述べる。 chamber個々で99%であることを述べる。 IP 検出効率99%を保証するために、人為的ミス (配線ミス、エレクトロニクスの不具合など) によるDead channelを排除する必要あり! 計7層でcoincidence処理  アクセス容易な地上で、動作試験手法を確立し、問題点の発見・修復を行う

TGC electronics 2007/9/22 第62回 日本物理学会 TGC electronics:(1)トリガー回路:粒子通過後2.5μsの間にトリガー判定(Pt>6GeV/c) (2)読出し回路:トリガーされたデータの読出し TGC1 TGC3 SLB 荷電粒子 Buffer 読出し PP ASD データ保持(~3.5μs) コインシデンス TTC LHCクロック(40MHz) TGC2 エレキハット 100m ASD PP(Patch Panel) ASIC LHCクロック(40MHz)に同期 ASD(Amplifier Shaper Discriminator) アナログデジタル SLB(SLave Board) ASIC ①トリガー発行までbufferにデータ保持 ②コインシデンス回路 TTC(Trigger&Timing Control) トリガー配布 PSボード

試験手法 ASDテストパルス試験、宇宙線試験の手法を確立 ケーブルコネクション ①HV線 ②ASDPSボード間のケーブル 2007/9/22 第62回 日本物理学会 ASDテストパルス試験、宇宙線試験の手法を確立 ケーブルコネクション ①HV線 ②ASDPSボード間のケーブル エレクトロニクスの動作確認 ③読出し回路 ④トリガー回路 Chamberの動作確認 ⑤HV, ガス, 欠けチャンネル 1/12セクター ASDテストパルス試験②、③の試験 宇宙線試験①、④、⑤の試験 Station Wire Strip Total A-side TGC1 TGC2 TGC3 36k 34k 14k 17k 50k 53k 51k C-side All(A+C) 220k 99k 320k Chamber  境界 T2 T5 T6 T7 T8 T9 strip Wire  読出しチャンネル全て(約32万)を試験。試験単位は1/12セクター。

ASDテストパルス試験 ASDテストパルス試験セットアップ 読出し TTC 試験項目 ASDPSボード間のケーブル接続 読出し回路の動作 2007/9/22 第62回 日本物理学会 ASDテストパルス試験セットアップ SLB TGC1 TGC2 TGC3 ASD 読出し Buffer PP データ保持(~3.5μs) TTC 約100Hzで トリガー発行 コインシデンス テストパルストリガー LHCクロック(40MHz) 試験項目 ASDPSボード間のケーブル接続 読出し回路の動作 # of event # of event # of event 16チャンネル (ASD1つ分) Wire channel Wire channel Wire channel 正常な時 (欠けチャンネルなし) ASDPSボード間の ケーブル接続ミス 1chの欠損チャンネルあり

宇宙線試験 試験項目 コインシデンス手法 宇宙線試験セットアップ(TGC3の場合) 宇宙線セルフトリガー ① HV線の接続 2007/9/22 第62回 日本物理学会 ASD LHCクロック(40MHz) PP SLB データ保持(~3.5μs) コインシデンス TTC 宇宙線セルフトリガー Buffer 読出し 宇宙線 TGC3 宇宙線試験セットアップ(TGC3の場合) HV 試験項目 ① HV線の接続 ② Chamber( HV、ガス、欠けチャンネル)の動作確認 ③トリガー回路の動作 コインシデンス手法 ①コインシデンスあり 欠けチャンネルの発見・修正 ②コインシデンスなし(1層だけHV on/off)  HVケーブル線の誤接続の発見・修正

宇宙線で得られるプロファイル(1) 正常なprofileの特徴 ①欠けチャンネルなし HV印加OK 配線OK 読出し回路OK 2007/9/22 第62回 日本物理学会 T5 T6 T7 T8 T9 Wire Strip Chamber境界 T2 strip Wire ch Strip ch 正常なプロファイル 正常なprofileの特徴 ①欠けチャンネルなし HV印加OK 配線OK 読出し回路OK ②妥当なhit rate(~20Hz)で、データが取得できている ガスリークなし trigger回路OK ぜんチャンネルにおいて 使用ガスCO2 コインシデンスあり 両レイヤーHV 2800V on Trigger rate  20Hz

宇宙線で得られるプロファイル(2) Coincidenceあり  欠けチャンネル Coincidenceなし(一層のみHV on/off) 2007/9/22 第62回 日本物理学会 コインシデンスあり, HV 2800V 欠けチャンネル発見 # of event Wire ch コインシデンスなし, 1層目だけHV 2800V 正しいprofile Wire ch # of event TGC3, 1層目 HV 2800V TGC3,2層目, HV off TGC3, 1層目 HV 2800V # of event Wire ch TGC3,2層目, HV off Chamber単位でswap HV線のswap発見! # of event Coincidenceあり  欠けチャンネル Coincidenceなし(一層のみHV on/off) ケーブル線の誤接続を発見可能 Wire ch

宇宙線で得られるプロファイル(3) 拡大 Wire : TGC3, コインシデンスあり T5 T6 T7 T8 T9 宇宙線のhit rateに比べ、 factor 100倍以上のhit rate 不安定なグランド 湿度 等が理由と考えられる。 宇宙線のhit rate (~20Hz) グランド強化、日時を変えて試験 それでも変化しなければ、Chamberを交換。外したものは再テストし、原因特定

結果 日本が宇宙線試験を担当したTGC3に関して、発見した故障個所と対処法 A side, TGC3 4/242 2/242枚 7/198枚 2007/9/22 第62回 日本物理学会 日本が宇宙線試験を担当したTGC3に関して、発見した故障個所と対処法 HV線のswap Chamber交換 PSボード交換 A side, TGC3 4/242 2/242枚 7/198枚 C-side, TGC3 4/242枚 17/198枚 対処 修正後、再テスト 交換後、再テスト ALL 8/484 6/484 24/396 欠損チャンネル Station 欠損channel A side TGC1 TGC2 TGC3 4 /50k /53k 11 /51k C-side 5 /50k 3 /53k 10/51k ALL 33/320k 全て修復( 6608 channel=6%相当) ここに挙げた33チャンネルはどうしようも対処できない、ということを述べる。 本当は6608channelあったけれど、33chに抑えた! 全てのElectronicsは正常に動作 Dead channelを、 33 / 320k (ch) ~ 0.01% に抑えた。

まとめ 地上動作試験により、TGCのチャンネル実稼働率99.99%を達成した 無事、地下実験ホールにinstallできた 2007/9/22 第62回 日本物理学会 TGC全領域において、検出効率99%を達成したい! 人為的ミス( 配線ミス、エレクトロニクスの不具合) などによるdead channelを排除する必要あり! アクセス容易な地上にて、動作試験を行う テストパルス、宇宙線試験の手法を確立: 配線(HV線、ASDPSボード間) エレクトロニクスの動作確認 チェンバーの動作確認     ・6%のdead channelを修復(TGC3) ・欠損チャンネル33ch(0.01%) ここに挙げた33チャンネルはどうしようも対処できない、ということを述べる。自分がやった!ということを強調できたらなおよし! 地上動作試験により、TGCのチャンネル実稼働率99.99%を達成した 無事、地下実験ホールにinstallできた 検出効率99%を達成可能!

2007/9/22 第62回 日本物理学会 Back up

Short review of TGC TGCの満たすべきperformance TGCの構造 動作モード 検出効率 > 99% 2007/9/22 第62回 日本物理学会 TGCの満たすべきperformance 検出効率 > 99% Signalに対する反応時間 < 25nsec 放射線環境下(~1kHz/cm2)での安定動作 TGCの構造 MWPCと類似 Anode50μmタングステンワイヤー Cathodecarbonグラファイト(1MΩ/□) Wire, cathodeによる2次元読み出し Wire間隔1.8mm, wire-cathode間隔1.4mm 動作モード Gas : CO2 + n-C5H12 (55:45) Limited proportional mode (限定的比例領域) High Voltage : +2.9kV Gas Gain : ~106

Installation行程 6 5 4 2 3 1 >>地下実験ホールへのインストール行程 2007/9/22 第62回 日本物理学会 >>地下実験ホールへのインストール行程 TGCの制作(KEK, Israel)、組み立て(テクニシャン) 1つ前の発表 地上におけるTGC動作試験(日本、イスラエル) 本発表の主題 地下実験ホールへの運送、インストール(テクニシャン) 地下実験ホールでの動作試験(日本の研究者)  後続の発表 ※全作業は、1/12セクター単位で行う 6 5 4 2 3 1 1/12セクター 22m

Trigger rate vs. Vth Vth~100mV is good for measuring ! 2007/9/22 第62回 日本物理学会 Vth~100mV is good for measuring !

Twistケーブル 2007/9/22 第62回 日本物理学会 外に出にくい 影響を受けにくい 出展: wikipedia

Installation era has been finished. 2007/9/22 第62回 日本物理学会 Installation era has been finished. Integration era is now going on!