放射光実験施設での散乱X線測定と EGS5シミュレーションとの比較

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放射光実験施設での散乱X線測定と EGS5シミュレーションとの比較 総研大 桐原 陽一 KEK 波戸 芳仁、萩原 雅之、平山 英夫

背景と目的(1/2) EGSの検証として、KEK-PF実験施設でGe検出器によるX線の測定が行われており、これまでの改良によって低エネルギーの特性X線がよく再現されている。 放射線のふるまいを探る(http://www.kek.jp/newskek/2002/julaug/egs4.html)

背景と目的(2/2) おもに5 keV以下でのEGS5の検証 数keV以下のエネルギー測定はGe検出器では困難 Ge検出器の体系ではX線が大気、カプトン膜を通過する Si検出器は、真空直づけなのでより低エネルギーまで効率が低下しない Si検出器でK-X線を測定 おもに5 keV以下でのEGS5の検証

Si PIN Photo Detector AMPTEK XR-100CR 分解能:196.8 eV at 5.9 keV ペルチェ冷却 Si :12.5 μm Be Si X線 真空直づけ可 検出領域: 25 mm2 不感層:0.15 μm

放射光実験

実験施設 KEK-PF BL14C BL14C 187mのストレージリング 電子エネルギー:2.5 GeV 最大電流:800 mA 22本のビームポート 9:00AM ビーム入射 24時間 周回させる 絶えずビームが出ており、シャッターを開けると照射室に照射できるようになっています。 BL14C 医学応用・X線汎用ステーション

実験体系(1/2) KEK-PF BL14C シンクロトロン放射光から 1.モノクロメータで 白色X線→ 単色X線 8, 20 keV コリメータ 2 mmΦ 2. 電離箱で光子数を計測 3. ターゲットに照射 Al, Si, Ti, Fe,Cu, C, Ag 4. 90°方向の散乱線を Si検出器で測定 ターゲット 真空 コリメータ 3.0, 2.0, 1.5 mmΦ

実験体系(2/2) Si Detector Ge Detector Al 1.5 Si 1.7 Ti 4.5 Fe 6.4 Cu 8.0 X-ray Si Detector Ge Detector θ = 90° Target ターゲットからのK-X線のエネルギー ターゲット K-X energy [keV] Al 1.5 Si 1.7 Ti 4.5 Fe 6.4 Cu 8.0 Ag 3.0 (L-X)

Si検出器でGe検出器では測定不可なX線が測定可能 20 keV入射 Compton, Rayleigh ターゲット:Al Si 検出器 Compton, Rayleigh Al:K-X Ge 検出器 @ 垂直方向 Ge:K-X Escape Si検出器でGe検出器では測定不可なX線が測定可能

Si PIN Photo Detector 体系 検出部分 Si 検出器 真空 テープで固定 コリメータ: 1.5, 2.0, 3.0 mmΦ

径の実測 コリメータの評価(1/2) 1.5 mmΦ 2.0 mmΦ 3.0 mmΦ 1.448 mmΦ 2.059 mmΦ y1 y2 x2 x1 R=sqrt( |x1 - x2| × |y1 - y2|) 1.5 mmΦ 2.0 mmΦ 3.0 mmΦ 1.448 mmΦ 2.059 mmΦ 2.978 mmΦ Measuring Microscope

コリメータの評価(2/2) Cu:K-X線で比較: Kα(8.0 keV) + Kβ(8.9 keV) Si/Ge 0.01163 0.01125 0.01126 0.01097 Ge検出器 2005/01 Si 検出器 Si/Ge 1.5mmΦ :0.999 カウント数が稼げる 2.0mmΦ :0.974 3.0mmΦ :1.033 3.0 mmΦを採用

EGS5 simulation

EGS5 Simulation 90°方向散乱 Si 検出器 ・Step1 ・Step2 ターゲットからの 90°方向散乱スペクトル X線:8 keV, 20 keV ターゲット 90°方向散乱 Si 検出器 ビーム径:3.0 mmΦ

実験値と計算値の比較

8keV入射 Al Si Ti 形状は再現 Compton+Rayleighに差 K-X K-X M/C=0.968 M/C=0.980 実験値 EGS5 K-X M/C=0.927 Compton+Rayleigh 形状は再現 Compton+Rayleighに差

8keV入射 Fe C Ag 形状は再現 Compton+Rayleighに差 K-X M/C=0.936 M/C=1.408 L-X 実験値 EGS5 Compton+Rayleigh L-X M/C=1.009 形状は再現 Compton+Rayleighに差

20 keV入射 Al Si Ti Fe K-X K-X M/C=1.077 M/C=1.061 K-X K-X M/C=0.929 実験値 EGS5 Al Compton Compton Si M/C=0.947 M/C=0.922 K-X K-X M/C=1.077 M/C=1.061 Ti Fe Compton K-X M/C=0.923 K-X Compton M/C=0.929 M/C=0.903 M/C=0.958

20 keV入射 Cu C Ag 形状は再現 Comptonは8%以内 K-X M/C=0.894 L-X M/C=1.099 実験値 EGS5 L-X M/C=1.099 Compton 形状は再現 M/C=1.037 Comptonは8%以内

Measurement/Calculation Ag:L-X C:Compton Fe:K-X Ti:K-X Si:K-X Al:K-X Cu:K-X 8 keV入射で7%、20 keV入射で11%以内で実験値を再現。

EADL/Krause yield(Table of Isotope) 特性X線の断面積データ EADL(K-X)、Cambell(L-X)を使用して計算 EADL/Krause yield(Table of Isotope) Al: 0.949 Si: 0.961 Ti: 0.948 Fe: 0.949 Cu: 0.960 出典:I. Orion et al. , Proc. 14th EGS Users’ Meeting in Japan, KEK Proceedings 2007-5 33 (2007)

Measurement/Calculation(EADL&Cambell) Ag:L-X Fe:K-X C:Compton Ti:K-X Al:K-X Cu:K-X Si:K-X 8 keV入射で3%、20 keV入射で11%以内で実験値を再現

まとめ Si 検出器による10keV以下のX線の測定を行った 形状は再現した Ge検出器では測定できなかったAl、Siから のK-X線を測定しEGS5と比較 |M/C -1| ≤ 0.11 (20 keV入射) |M/C -1| ≤ 0.07 (8 keV入射) EGS5で特性X線の断面積データEADL(K-X)、 Cambell(L-X)を使用 |M/C -1| ≤ 0.11 (20 keV入射) |M/C -1| ≤ 0.03 (8 keV入射)

今後の方針 Compton、Rayleigh散乱における差異の理解 K-X線の差(最大11%)の解明 L-X線の測定を行い、物理データとして取得する Ge(1.3 keV)〜Ag(2.9 keV)