ヤマセによる農作物被害軽減のためのダウンスケールデータ

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夏季日本における前線帯の変動と その天候への影響
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Chiba campaign MAX-DOAS(2D) day7 2017/11/27
CMIP3マルチ気候モデルにおける 夏季東アジアのトレンド
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ヤマセによる農作物被害軽減のためのダウンスケールデータ (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター やませ気象変動研究チーム 菅野洋光

青森県八戸における日平均気温(2010年5月~8月) ○はやませ吹走日

やませ吹走日の出現日数(6月~8月)と北日本夏季平均気温偏差 (1976~2010年).気温偏差は上が負.

北日本夏季気温(JJA)の年々変動

八戸における夏季平均気温の1982年を起点とする5年ごとの 重ね合わせ.下は同じく稚内と仙台の気圧差.

八戸における夏季平均気温の1982年を起点とする5年ごとの 重ね合わせ.下は同じく稚内と仙台の気圧差.

八戸における夏季平均気温の1982年を起点とする5年ごとの 重ね合わせ.下は同じく稚内と仙台の気圧差.

八戸における夏季平均気温の1982年を起点とする5年ごとの 重ね合わせ.下は同じく稚内と仙台の気圧差.

2010年:R=-0.89 北日本における4月と8月の月平均気温の時間変化、 および11年の移動相関係数.

2010年 4月と8月気温の散布図(1998年~2010年)

8月の北日本平均気温と先行する4月の200hPa高度場との相関係数分布

4月と8月の500hPa高度の相関係数分布

日本の夏に影響を及ぼすと考えられている4つのテレコネクションパターン また、日本の夏に影響を及ぼすと考えられているテレコネクションパターンは、ここに示しますように、複数存在しています。特に北日本に影響を及ぼす熱帯からのPJパターンのほか、オホーツク海高気圧を強める北極海沿岸のEJパターン、ユーラシア大陸を横断してくるWJパターンです。これらのテレコネクションパターンによる波の伝播過程で、影響を受ける地域ごとに、発生する天候の変動、農作物への影響等、検討する必要があると考えています。 日本の夏に影響を及ぼすと考えられている4つのテレコネクションパターン Wakabayashi and Kawamura(2004)より

2010年7月に関しては、亜熱帯ジェットと寒帯前線ジェットに沿った波の伝播パターンがみえる。 2010年7月の500hPa高度偏差

2つのテレコネクションパターンインデックスの時間変化. EJ2は5年ごとの冷夏と良く一致 冬のNAOと7月のEJ2に関して、1960年代前半までと1980年代に正の相関が見られる。 2004年以降も正の相関関係が見られる時期に入りつつある気がする。NAOがずいぶんと小さいので、今年のEJ2も大きくはならないのではないか???? 2つのテレコネクションパターンインデックスの時間変化. NAO(North Atlantic Oscillation)は冬(DJF)、EJ2(Eurasia Japan)は7月.

Rice production index: 80 Cool weather damage in 2003 Rice production index: 80 The damage rate: 29.4% By Yamase wind : 23.3% By rice blast disease: 5.3%

イネいもち病 Rice Blast (ear) 穂いもち Rice Blast (leaf) 葉いもち

Data and calculation procedure GSM data from JMA (ca. 20km square) Local scale numerical simulation model Japanese meteorological observation network data (AMeDAS) 1st downsizing from 20km to 5km square mesh Statistical interpolation 2nd downsizing from 5km to 1km square mesh 1km square mesh meteorological data Crop growing model, rice blast forecasting model Output web information

Numerical simulation data Calculation process of the rice blast forecast model :BLASTAM -3day -2day -1day today +1day +2day +3day Temperature, wind speed sunshine duration, and precipitation Real time calculation Hourly data Hourly data 5-day mean temperature Hourly data Hourly data Today’s forecast Numerical simulation data 5-day mean temperature Hourly data Hourly data +1day forecast 5-day mean temperature Hourly data Hourly data Observation data +2day forecast 5-day mean temperature

Rice blast warning map 3 Close up around the Matsushima Bay

予測日数 2009年7月1~31日におけるBLASTAM正答率

紋枯病の発生生態 菌核 土壌で越冬 代かき後に水面に浮上 上位及び隣接株へ伝染 株に漂着して感染

BLIGHTASによる、出穂日を8月10日とした7月21日の計算結果(2009年).最大で8cm程度の上位進展が予測されている.

寒締めホウレンソウ糖度情報

農業気象関係モデルに必要な気象要素 作物生育データ、寒締めホウレンソウ糖度:日平均気温 いもち病モデル:気温、日照時間、降水量、風速(以上時別値) 紋枯病モデル:気温、相対湿度(以上時別値)

今後の研究予定 ダウンスケールデータを適用可能な農業関連モデルの整理 ダウンスケールデータの最適な適用技術開発(確率予報の導入等) モデルへの導入と検証(県との連携含む) ウェブ情報へのアウトプット