シリカガラス表面および表面付近の構造変化

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シリカガラス表面および表面付近の構造変化 福井大学 工学部 葛生 伸

直接法合成シリカガラスの仮想温度,OH濃度分布による均質化 S. Yamagata, J. Ceram. Soc. Jpn. 100, 337 (1992)

シリカガラス製品の製造および使用条件 シリカガラス製品製造工程 ⇒ 構造変化 熱処理 ⇒ 除歪,成型,製管,均質化 製品使用時の熱履歴・光暴露 ⇒ 構造変化 半導体製造用炉心管 バルク ランプ管球 表面付近 紫外線用光学材料 重要であるが研究少ない。

熱処理に伴うOH分布の変化 z r Radial direction r Axial direction z 1160 ゚C, 150 h 7 cm 15 cm r z Radial direction r Axial direction z N. Kuzuu, J. W. Foley, and N. Kamisugi, J. Ceram. Soc. Jpn. 106, 525 (1998)

熱処理に伴う表面付近からの欠陥構造の生成

IV型シリカガラスをH2雰囲気中で熱処理した後のOH分布 H2, 1 atm, 24 h J. E. Shelby, J. Appl. Phys. 51, 2589 (1980)

赤外反射および吸収スペクトル ⇒ 表面付近の情報 ⇒ バルクの情報 1122 cm-1 ピーク ← Si-O-Si結合の非対称振動 モード   モード ⇒ バルクの情報 2260 cm-1 ピーク ← 1122 cm-1 ピークの倍音 A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)

参考: 1160 cm-1反射ピーク位置とSi-O-Si結合角との関係 nref : 反射スペクトルから得られたピーク位置 n : Kramers-Krönigの関係式から得られたピーク位置 q : Si-O-Si結合角 m = 2.676×10-26 kg : 酸素原子の質量 a = 5.305×10-12 s/cm a = 600 N/m b = 100 N/m A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)

赤外ピーク位置の熱処理時間依存性 (異なる仮想温度から出発) 赤外ピーク位置の熱処理時間依存性 (異なる仮想温度から出発) 表面の方が速く緩和 A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)

赤外ピーク位置の熱処理時間依存性 表面の方が 速く緩和 表面 バルク ▼▽ タイプ III ○ 無水 (VAD)  速く緩和 ▼▽ タイプ III  ○ 無水 (VAD) バルク A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)

表面構造緩和の水蒸気圧依存性 水蒸気圧が高くなると緩和が速くなる 355 Torr 0.3 Torr M. Tomozawa, Y.-L. Peng, and A. Agarwal, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)

表面構造緩和に対する応力及び水蒸気圧の効果 M. Tomozawa, Y.-L. Peng, and A. Agarwal, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1995)

2260 cm-1 付近のピーク高さの熱処理時間依存性 1000 ゚C, 335 Torr A. Agarwal and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 209, 264 (1997)

2260 cm-1 付近のピーク高さの熱処理時間依存性 1000 ゚C, 335 Torr, 1.5 h A. Agarwal and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 209, 264 (1997)

酸水素火炎による球球状成型にともなう構造変化 f80 mm f90 mm f34 mm f27 mm Measured Area Hydrogen-Oxygen Flame 材質 GE214 (無水電気溶融石英ガラス)

酸水素バーナー加工に伴う管断面のOH濃度分布変化

ラマンスペクトルと平面環状構造 D1 D2 D1 495 cm-1 平面6員環構造 D2 606 cm-1 平面8員環構造 ●: Si, ○: O

酸水素バーナー加工前後のラマンバンドD1,D2強度の断面分布

酸水素パーナー加工後の 管断面での紫外吸収スペクトル 外周部では5.0 eV吸収帯が消滅

シリカガラス研削表面の発光スペクトル 1.9 eV: ≡Si-O・ 2.7 eV: ≡Si・・・Si≡