安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)

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安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科) 低周波重力波検出器の開発 安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科) 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 目次 低周波数重力波とその検出  低周波数帯の重力波源  ねじれ型重力波検出器 磁気浮上実験  概要  実験結果 まとめ 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)      低周波数重力波        とその検出 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 低周波数重力波 (1) 重力波源  様々な周波数の重力波 ~ (光速)/(系のスケール) 多様なスケールでの天文学・宇宙論 (1年間の観測) 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 低周波数重力波 (2) 連続重力波 SMBH連星からの重力波 合体1年前で m1 = m2 = 108 Msun のとき h ~ 2.0 x 10-16 f ~ 2.5 x 10-6 Hz ここで, 合体までの時間: 合体イベントは 1event/year が期待できる 合体100年前以内のもの: 100個程度ある BH準固有振動からの重力波 m = 105 Msun のとき h ~ 10-18 f ~ 1 Hz 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 低周波数重力波 (3) バックグラウンド重力波 宇宙論的バックグラウンド重力波 Wg ~ 10-14 のとき h ~ 1.5 x 10-18 Wg : 宇宙が開いているか閉じているかを決 める臨界的パラメータと, 周波数 f の 重力波エネルギー密度の比 f ~ 1.0 x 10-7 Hz インフレーションによる重力波 相転移の際の重力波 宇宙ひもからの重力波 重力波背景輻射 連星からの重力波によるバックグラウンド MBH連星 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) ねじれ型重力波検出器 (1) 低周波数重力波検出器 ねじれ型重力波検出器を利用 人非接触浮上させることにより、復元力を排除 低周波数帯の重力波を観測 1kgのAl製マスで 感度 : h ~ 10-19 (1年間の観測) 観測周波数帯: DC - 1Hz付近 過去の観測結果を4桁程度上回る感度 観測ターゲット 連星からの連続重力波 (SMBH連星, BH連星, NS連星, WD連星 等) バックグラウンド重力波 (インフレーション起源, 宇宙ひも起源 等) バースト重力波 (BH連星合体, BH準固有振動) これまでに行なわれた事のない観測 他ではできない観測            ができる可能性 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) ねじれ型重力波検出器 (2) 重力波検出器の構成 磁気支持された捩れ型検出器 2つの棒状マスを磁気によって非接触支持     回転方向には摩擦や復元力がほとんど働かない      地面振動のカップリング等を避けやすい   重力波による潮汐力 2つのマスの差動回転 ファブリー・ペロー共振器で変動検出 アクチュエータ :   静電型アクチュエータ 干渉計プラットホームから制御 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) ねじれ型重力波検出器 (3) ねじれ型アンテナ 重力波による潮汐力 (四重極) によって回転力を受ける 2つのマスを直交する方向に配置  差動回転を検出 重力波 振動子の運動 特徴: 比較的低い共振周波数 観測用の振動モードが分離 他自由度は硬くできる 重力波による潮汐力 (xモード) 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) ねじれ型重力波検出器 (4) 重力波に対する感度 光源パワー : 100mW, フィネス : 100, 鏡質量 : 1kg 鏡Q値 : 106, 温度 : 300K 注: 地面振動のカップリング  地球潮汐の影響        が含まれていない  日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) ねじれ型重力波検出器 (5) 重力波源  様々な周波数の重力波 ~ (光速)/(系のスケール) 多様なスケールでの天文学・宇宙論 (1年間の観測) ねじれ型検出器 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)      磁気浮上実験 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 磁気浮上実験 (1) 磁気浮上実験 棒状マスを磁気浮上する実験 目的: 磁気浮上系の安定性の検証 地面振動等の影響、   カップリングの大きさの測定 ねじれ型重力波検出器        の可能性を探る 概要: 約700gのマス(アルミニウム製) を磁気により浮上      安定度を測定 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 磁気浮上実験 (2) 実験装置 フレーム 反射板 制御用コイル マス ネオジウム磁石 フォトセンサー   LED+2PDs を 4セット  角度変動からのカップリングを低減 ネオジウム磁石 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 磁気浮上実験 (3) 実験結果 制御によって磁気浮上に成功 UGF ~ 4Hz 1時間以上の浮上    z方向変動 : 1.5mm程度    他自由度とのカップリングの影響がある Displacement [mm] 50 100 150 200 Time [sec] 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)     まとめ 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) まとめと結論 ねじれ型低周波数重力波検出器 低周波数帯には、振幅の大きな重力波がある ねじれ型重力波検出器の可能性を検討 1kgのAl製マスをもつねじれ型検出器で 感度 : h ~ 10-19 (1年間の観測) 観測周波数帯: DC-1Hz付近 過去の観測結果を4桁程度上回る感度 観測ターゲット : MBH準固有振動など    ただし…    地面振動の影響, 他自由度のカップリング,     地球潮汐力等の影響を考慮する必要がある 磁気浮上実験  浮上には成功したが, まだ不安定性も残る 今後 より安定な装置の開発 モデルシミュレーション より安定な環境での動作を検討 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)         終 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)

日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛) 指向性 指向性 干渉計型重力波検出器とほぼ同じ 2つの独立な信号 (h+, hx に対応) が得られる 回転軸方向で最大 回転軸と垂直な方向で最小 (軸方向の 1/8, 無偏波の場合) 日本物理学会 第61回年会 ( 2006年03月27日 松山大学, 愛媛)