KEK 武藤 俊哉 設計指針 セラミックの設計 POISSONによる電界計算 GPTによる粒子トラッキング まとめ

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KEK 武藤 俊哉 設計指針 セラミックの設計 POISSONによる電界計算 GPTによる粒子トラッキング まとめ 500kV電子銃用セラミック管の設計 KEK 武藤 俊哉 設計指針 セラミックの設計 POISSONによる電界計算 GPTによる粒子トラッキング まとめ

セラミック管に対する設計指針 目的:ERL用500kV電子銃用のセラミック管の設計を行う。 設計条件 印加電圧 500kV 分割方式のセラミック管を採用 カソードロッドからセラミックが直接見えないようにするガードリングを取り付ける(電界放出による電子がセラミックに衝突しないようにするため) 放電の原因となるトリプルジャンクションでの電界を小さくする。 真空放電の許容電界強度Evac=10MV/m セラミックの許容電界強度Ec=2MV/m    分割電極間の電界強度の指針とする。

セラミック管について グランドーカソードロッド間の電場(同軸形状) 印加電圧 Er →min V=500kV, Er=10MV/m r=50mm →  R =136mm

ガードリング形状 電極間の電界は分割数によらない 全長(と分割数)を決めると一意に形状が決まってしまう 光学的にセラミックを覆うガードリングを考える L:全長、   n:分割数 L1:一段当たりの長さ、 E1:電極間の電界 d :電極間距離 、q :角度 、 Rc : セラミック内径 電極間の電界は分割数によらない 全長(と分割数)を決めると一意に形状が決まってしまう

実際のガードリングの形状 全長 659mm 分割数 10段 → セラミック内径 182mm 角度 22度 取り付け部の長さ16mm 取り付け部形状 名大200kV電子銃用ガードリング 日立原町提供分割セラミックガードリング を参考にした(ほぼコピー) 全長 659mm 分割数 10段 → セラミック内径 182mm 角度 22度   やや浅い30度程度が適当では?   取り付け部の長さ16mm

電界計算Version 0(POISSON) (MV/m)

セラミック表面の電界

電極付近での電界 トリプルジャンクション付近での電界    0.5MV/m以下になっている

セラミック管設計2(Ver.1) J-Lab 500kVgun L~610mm(24in) Rc~150mm(6in) 設計寸法 (角度22度の時) 分割数 10段 フランジ ICF457 見積もり時の寸法    全長 659mm    セラミック内径 165mm 分割数 10段    フランジ ICF406 予算、他の装置の大型化等から考えるとあまり大きなセラミックにしたくない。 したがってもともとの寸法でできないか? 今の設計ではカソード表面の電界強度がリミットしている。 許容電界の条件を緩和できるか?    もともとの設計では真空放電の限界強度20~30MV/mであるので    安全係数3程度を見ている ->15MV/m程度は大丈夫?    Cornell大 ERL用電子銃 設計電圧750kV(L~450mm ,Rc~160mm)          ->おそらく許容電界強度を15~20MV/mに設定している。                 (ただ実際には500kVかかっていない) 見積もりの寸法で角度30度とした時のセラミック管を計算してみる

電界計算Ver. 1 (POISSON) 最大電界 12.4MV/m

GPTによる粒子トラッキング 運動量0の電子を生成 カソードロッド ガードリング表 ガードリング裏 直接発生することは ないと思うがガードリング裏から発生した電子はセラミックに衝突する。

GPTによる粒子トラッキング2 GPTは電子の散乱を考慮することはできる。 (ただし、銅に対する散乱のみ + 二次電子放出は考慮できない) (ただし、銅に対する散乱のみ + 二次電子放出は考慮できない) 反跳を考えると電界が高い部分から出てきた電子がセラミックに当たる。 ガードリングの向きは電界を小さくするためには ポテンシャル面に沿う方向にした方が良いが セラミックに電子が衝突することを防ぐというガードリングの役割からすれば 任意にとれる。  → ガードリングの向きを変えて同様の計算をしてみる。

電界計算Ver.1R 最大電界 15.24MV/m 対策が必要

GPT (Ver.1R) カソードロッド ガードリングをすり抜けて セラミックに到達する。 ガードリング表 ガードリング裏 ただしガードリングのマイナーチェンジで対応可能だろう ガードリング表 ガードリング裏 ガードリングの裏から出た 電子はセラミックに到達しない → セラミックから出た電子も?

GPT2 (Ver.1R) Ver.1と同様に反跳粒子がセラミックに衝突するがカソードロッドの電界が弱い場所から出た電子による → こちらの方が有利か?

電界の軽減 Ver.1.1R ガードリング先端にR5の丸みをとった。 15MV/m→11MV/m

GPT Vrr.1.1R カソードから直接セラミックに衝突する電子も防ぐことができるようになった。

まとめ 500kV電子銃のためのセラミックのガードリングの設計を行った。 ガードリングによってカソードロッドからの電子がセラミックに衝突しないかをGPTを使って確かめた。 今後詳細を詰めて製作に入りたいと考えている。