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ここから 方向を含む面積積分の話

𝒏 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 𝑑𝑺 方向を含む面積積分 dSは面積の微小量。スカラー ベクトル nは法線ベクトル 面に垂直なベクトル。 外向けをプラスにとる。 一般には法線ベクトルの長さはいろいろであるが、 ここでは単位ベクトル(長さが1)にする。

法線ベクトル normal vector 垂直なベクトル 2次元空間内: 線上の法線ベクトル (直線でも曲線でもよい) 3次元空間内: 面上の法線ベクトル (平面でも曲面でもよい) 直線上のどの点でも 法線ベクトルの 方向は同じ 場所によって 方向が違う

𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 𝒏 𝑑𝑺 𝑨 𝑨 𝑨 𝒏 𝒏 𝒏 𝑨∙𝒏 𝑨∙𝒏 方向を含む面積積分 なぜ、わざわざ法線ベクトルをかけて、 方向のある面積積分にするのか? 𝑑𝑺 流れ出す量を表すには、法線ベクトルと内積を取ると便利 𝑨 𝑨 𝑨 水の流れ 𝒏 𝒏 𝒏 面の法線 ベクトル 𝑨∙𝒏 𝑨∙𝒏 が小さい が大きい 面から流れ出る量が多い。 面から流れ出る量が少ない。

𝒏 方向を含む面積積分の問題 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 𝑑𝑺 𝑨∙𝑑𝑺 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 問題 ベクトルA=(y,x,0)に対して、   面S: 0≦y≦1, 0≦z≦1, x=1 の正方形上で 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 を求めたい。 z 右の図をノートに書き、  正方形を図示せよ。 2) この正方形の法線ベクトル   を求めよ。   (ただし、原点から見て外向けの方向にとる。) 3) 正方形上の点(1,y,z)における   を求めよ。 4) をこの面上で求めよ。      補助問題:3次元ベクトルの内積の成分表示を           書きなさい。 5) 積分       を求めよ。 y x 𝒏 𝑑𝑺 𝑨∙𝑑𝑺 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺

補足 x=1は1次元では点、2次元では線、3次元では面を表す。 x y 1 z y x 1 x 1

式x=1が3次元では面を表す 1次元、2次元、3次元と増やしてみて理解する。 (前のページ)                    (前のページ) (2) x=1は、x座標が一定であることを示す。   ある点のx座標は、yz平面への距離。   平面から距離一定の点の集合は、平面になる。    例: 教室の壁から一定の距離にある点の集合は、       壁に平行な面になる。

問題の解答 z 1) 面S: 0≦y≦1, 0≦z≦1, x=1 3つの式を同時に満たす点 (x,y,z)の集合 これは平面になる。 yとzが0から1までなので、正方形になる。 y 1 x

法線ベクトルの考え方(解答補足) 2次元の場合の法線の例 y 直線x=1の法線は? 直線x=1は縦の直線。 1 x 1 x この直線に垂直なベクトルはx軸方向。 x軸方向の長さ1のベクトルは、(1,0) x軸方向に1,y軸方向に0進む。 一般には、 (x0, y0)を通る直線の方程式は、  a(x-x0)+b(y-y0)=0 これは、ベクトル(a,b)と(x-x0, y-y0)の 内積が0であることを示している。 法線ベクトルは、(a,b)に平行。

3次元の法線(解答補足) y 平面x=1の法線は? z x=1はyz平面に平行な面。x軸に垂直 y この平面に垂直なベクトルはx軸方向。 x=1はyz平面に平行な面。x軸に垂直 この平面に垂直なベクトルはx軸方向。 x軸方向の長さ1のベクトルは、(1,0,0) x軸方向に1,y軸方向に0, z軸方向に0進む。 一般には、 (x0, y0, z0)を通る平面の方程式は、  a(x-x0)+b(y-y0)+c(z-z0)=0 ベクトル(a,b,c)と(x-x0, y-y0, z-z0)の 内積が0であることを示している。 法線ベクトルは、(a,b,c)に平行。 (x0, y0, z0)

𝒏=(1,0,0) 𝑑𝑆 = 𝑑𝑦𝑑𝑧 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 =(1,0,0)𝑑𝑦𝑑𝑧 問題の解答 2) 正方形の(原点から見て)外向けの法線ベクトルは、 z 𝒏=(1,0,0) y 3) 面積はyz方向なので、 1 𝑑𝑆 = 𝑑𝑦𝑑𝑧 x 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 =(1,0,0)𝑑𝑦𝑑𝑧

𝑨∙𝑑𝑺 = (𝑦,𝑥,0)∙(1,0,0) 𝑑𝑦𝑑𝑧 =𝑦𝑑𝑦𝑑𝑧 問題の解答 内積 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 0 1 𝑦𝑑𝑦 0 1 𝑑𝑧 4) =𝑦𝑑𝑦𝑑𝑧 内積 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 0 1 𝑦𝑑𝑦 0 1 𝑑𝑧 5) = 𝑦 2 2 0 1 𝑧 0 1 = 1 2

𝑑𝑆 =𝑑𝑥 𝑑𝑦 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 補足:スカラー場とベクトル場 スカラー:1成分、方向がない。 例 温度 個数 面積 体積 密度    例 温度      個数      面積      体積      密度 ベクトル:2成分以上。矢印で表す。 例   速度ベクトル、   加速度ベクトル   電場、磁場(後で電磁気でやります。)   方向を持った面積要素 𝑑𝑆 =𝑑𝑥 𝑑𝑦 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆

ガウスの定理の前に 微分の復習 14

𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 ∆𝑦 ∆𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 前期の復習 微分の定義 数2の復習 関数 𝑦=𝑓(𝑥) の微分 教科書p.367-368 𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 ∆𝑦 ∆𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 Δ  デルタ と読む。 Δx  xが少し変化した量 引き算と割り算 lim limitの略。極限、限度。 lim ∆𝑥→0 ∆𝑥が0に近づいた時の値。 微分は 変化の割合 xが少しだけ変化した時に、 y=f(x)がどのくらい変化するか 割合を示す。 15

𝛥𝑥 の意味 前期の復習 𝛥𝑥 xの増分(=増加した分) とは 𝛥𝑥 𝑥 𝑥+𝛥𝑥 𝛥𝑥→0 𝛥𝑥 がどんどん小さくなること。 とは 16

直線の傾きとは 前期の復習 𝑦 ∆𝑦 ∆𝑥 𝑥 直線の傾き= ∆𝑦 ∆𝑥 傾斜が急かどうかを表す。 17

曲線の傾きとは? その点での接線の傾き。 場所によって傾きが違う。 青い点での傾き大きい 赤い点での傾き小さい 18

接線の傾きをどう定義するか? 前期の復習 y=f(x) 直線の傾きを求めるには、2点必要. 19

接線の傾きをどう定義するか? 前期の復習 赤い点での傾きを求めるには、 曲線上の点(黄色)との傾きを求める。 黄色、緑、青と近づけると、 赤い点での傾きに近くなっていく。 20

𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 微分の図形的意味 𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 y y=f(x) 前期の復習 f(x+Δx) 接線 f(x) x x x+Δx 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 青い点線の傾きが Δxが0に近づくと、青い実線に近づいていく。 𝑑𝑓 𝑑𝑥 は接線の傾きを表す。 21

𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 よく使う微分の式 𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 Δxが小さい場合、limをはずして使うと、 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) =∆𝑥 𝑑𝑓 𝑑𝑥 偏微分の場合も同様に 𝜕𝑓 𝜕𝑧 = lim ∆𝑧→0 𝑓 𝑥, 𝑦, 𝑧+∆𝑧 −𝑓(𝑥,𝑦,𝑧) ∆𝑧 Δxが小さい場合、limをはずして使うと、 𝑓 𝑥, 𝑦, 𝑧+∆𝑧 −𝑓(𝑥,𝑦,𝑧)=∆𝑧 𝜕𝑓 𝜕𝑧 22

微分の復習、終わり 23

ここから ガウスの定理

𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 𝑑𝑺 ガウスの定理(divergence) ベクトル場Aに対して S V (1) わきだし 表面積全体の 後で電磁気で使います。 ベクトル場Aに対して 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 S V (1) わきだし 表面積全体の 積分 体積内の積分 𝑑𝑺 表面に垂直、外向きのベクトル

𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 ガウスの定理の補足 (1) ・コメント「面積積分=体積積分が疑問」について 両辺の単位を比較してみる。 両辺とも(長さ)の2乗の単位になる。 ・コメント「左辺はベクトル、右辺はスカラーで積分?」 左辺は内積を取っているので、スカラーになる。 右辺のdivAもスカラーになる。 したがって、両辺ともスカラーになる。

𝑉 𝑑𝑉 𝑆 𝑑𝑺 𝑎 𝑏 𝑓(𝑥) 𝑑𝑥 定積分の補足 𝑓(𝑥) 𝑑𝑥 不定積分:場所を指定しない積分 定積分:決まった場所での積分 高校の定積分  1次元で積分:区間を指定 大学の定積分:3次元空間内  面上の積分          立体の中の積分 𝑉 𝑑𝑉 𝑆 𝑑𝑺 どこで積分するかを、 積分記号の下または右下に書く。

ガウスの定理(divergence) 続き S V ベクトル場Aに対して 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 (1) わきだし 意味 ある立体の表面積から出ていく流れは、 内部からの湧き出しと同じ。

𝑑𝑺 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 ガウスの定理の証明 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 𝑨= 𝐴 𝑥 , 𝐴 𝑦 , 𝐴 𝑧 (1) 問題1 微小直方体(1辺Δx, Δy, Δz)に関して、  (1)式の右辺と左辺をそれぞれ書いて変形し、  (1)が成立することを示せ。 小問に分けると、 xy面に平行な2面に関して、それぞれ法線ベクトルを図示せよ。 2) 法線ベクトルの成分を書け。 3) 1)の面に関して、スカラーのdSはdx, dy, dzを使って  どう書けるか。 4) ベクトル  を求めよ。 5) 1)の2つの面について、     を求めなさい。 ただし 6) 6面について(1)の左辺を計算せよ。 S V 𝑑𝑺 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 𝑨= 𝐴 𝑥 , 𝐴 𝑦 , 𝐴 𝑧

𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 問題1の解答 その1 𝑑𝑺=(0,0,1)𝑑𝑥𝑑𝑦 (0,0,-1)𝑑𝑥𝑑𝑦 𝑨∙𝑑𝑺 𝐴 𝑧 (𝑥,𝑦,𝑧+Δ𝑧)Δ𝑥Δ𝑦 問題1の解答 その1 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 左辺 右の図の青い面と黄色い面。  法線ベクトルは外向け。 2) 上で、n=(0,0,1), 下で(0,0,-1) 3) dS=dxdy 4) z Δz Δy y Δx 𝑑𝑺=(0,0,1)𝑑𝑥𝑑𝑦 (x,y,z) (0,0,-1)𝑑𝑥𝑑𝑦 x 5) このベクトルとAの内積をとると、 左辺の積分の中の      は、 𝑨∙𝑑𝑺 𝐴 𝑧 (𝑥,𝑦,𝑧+Δ𝑧)Δ𝑥Δ𝑦 上の面で 下の面で −𝐴 𝑧 (𝑥,𝑦,𝑧)Δ𝑥Δ𝑦

問題1の解答 5)続き その2 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧+Δ𝑧 − 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 Δ𝑥Δ𝑦 = 𝜕 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 𝜕𝑧 Δ𝑧 Δ𝑥Δ𝑦 問題1の解答 5)続き その2 両方加えて 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧+Δ𝑧 − 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 Δ𝑥Δ𝑦 = 𝜕 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 𝜕𝑧 Δ𝑧 Δ𝑥Δ𝑦 理由は次のページへ

𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 解答補足 𝑑𝑓 𝑑𝑥 = lim ∆𝑥→0 𝑓 𝑥+∆𝑥 −𝑓(𝑥) ∆𝑥 zについての偏微分は、 𝜕 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 𝜕𝑧 = lim ∆𝑧→0 𝐴 𝑧 𝑥, 𝑦, 𝑧+∆𝑧 − 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 ∆𝑧 limを省いて書くと、 𝜕 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 𝜕𝑧 = 𝐴 𝑧 𝑥, 𝑦, 𝑧+∆𝑧 − 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 ∆𝑧 両辺にΔzをかけて、左辺と右辺を入れ替えると、 𝐴 𝑧 𝑥, 𝑦, 𝑧+∆𝑧 − 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 = 𝜕 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 𝜕𝑧 ∆𝑧

𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑥 + 𝜕 𝐴 𝑦 𝜕𝑦 + 𝜕 𝐴 𝑧 𝜕𝑧 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧= div𝑨 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧 問題1の解答 その2 𝑨∙𝑑𝑺 x y z (x,y,z) Δx Δy Δz z軸に垂直な2面(黄色と青の面)について、 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧+Δ𝑧 − 𝐴 𝑧 𝑥,𝑦,𝑧 Δ𝑥Δ𝑦 = 𝜕 𝐴 𝑧 𝜕𝑧 Δ𝑧 Δ𝑥Δ𝑦= 𝜕 𝐴 𝑧 𝜕𝑧 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑥 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧 同様にx軸に垂直な2面について計算すると、 𝜕 𝐴 𝑦 𝜕𝑦 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧 y軸に垂直な2面について、 3方向加えると、 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑥 + 𝜕 𝐴 𝑦 𝜕𝑦 + 𝜕 𝐴 𝑧 𝜕𝑧 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧= div𝑨 Δ𝑥Δ𝑦Δ𝑧

ここから 連続の式

𝜌 𝑥,𝑦,𝑧,𝑡 𝑑𝑺 𝑑𝑺 連続の式(積分形) 流体の場合、 場所(x,y,z)だけでなく、時間tによっても違う 単位時間で 中身の変化=表面で出入りする量 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝑑𝑺 (1) vは単位時間の変位。 面に平行な方向の流れは、 出入りに関係ない。 vが外向けの時、dSとの内積がプラス。 外向けの流れで領域内の水量が減る。 流体中に仮想的な箱を 考える。 (本当の箱を置くと 流体が箱にぶつかって、 流れが乱れるので 仮想的な箱) (1)式が定義できるには、 ・定量化されている必要。ρ(密度)が定義できるか。 ・領域が定義できるか。

仮想的な箱でないとなぜ乱れるのか? 本当の箱を流れの中に置くと、水は箱をよけて流れる。

𝜌 𝑥,𝑦,𝑧,𝑡 流体の密度 f(x)は1変数の場合。 f of x f as a function of x x, y, z and t x, y, z, tの関数 場所(x,y,z)だけでなく、 時間tによっても違う

流体の密度の解説 𝜌 𝑥,𝑦,𝑧,𝑡 𝒗 𝑥,𝑦,𝑧,𝑡 ある時間tにおける、ある場所(x, y, z)での密度と速度

𝑉 𝜌𝑑𝑉 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 左辺の意味 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝑉 𝜌𝑑𝑉 密度の体積積分 =体積内の質量全体 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 質量の時間変化 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺

𝜌𝒗 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 右辺の意味 密度x 速度 = 質量の流れ (単位時間に単位面積から 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝜌𝒗 密度x 速度 = 質量の流れ (単位時間に単位面積から         出る質量) kg/m3 × m/s = kg/m2s 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 面Sから出る質量の流れ 次のページに図

𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 𝒗 𝒗 𝒏 𝒏 vの方向による違い。 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 外 内 速度が内向けの時、 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 𝒗 𝒗 外 内 𝒏 𝒏 速度が内向けの時、 右辺の内積は負。右辺全体は正。 左辺で質量が増えるので正。 速度が外向けの時、 右辺の内積は正。 右辺全体は負。 左辺で質量が減るので負。

𝜌 𝒗 𝑑 𝑑𝑡 𝜌+div(𝜌𝒗)=0 連続の式の微分形を求める問題 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 連続の式(積分形) 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 連続の式(積分形) 𝜌 𝒗 流体の密度 流体の速度 問題 流体に関する連続の式(積分形)から  ガウスの定理を使って、微分形を導きなさい。 𝑑 𝑑𝑡 𝜌+div(𝜌𝒗)=0 を示せ。

𝑑 𝑑𝑡 𝜌+div(𝜌𝒗)=0 解答(連続の式の微分形を導く) 連続の式の積分形 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 (1) 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 ガウスの定理 を使うと、 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑉 div(𝜌𝒗) 𝑑𝑉 これが任意の体積に対して成立するので、被積分関数が等しく、 𝑑 𝑑𝑡 𝜌+div(𝜌𝒗)=0

クイズ: 上記(1)が成立しない例をあげよ。 物理以外の例でもよい。 連続の式が成立しない場合の問題 連続の式の積分形 𝑑 𝑑𝑡 𝑉 𝜌𝑑𝑉 =− 𝑆 𝜌𝒗∙𝑑𝑺 (1) 中身の時間変化= 表面での出入り クイズ: 上記(1)が成立しない例をあげよ。     物理以外の例でもよい。

解答:成立しない例 化学反応を起こす系 例えばA分子の出入りを測定。 箱の中のA分子の数を数える。  もしA分子が A+B -> C+D の反応をすれば、  A分子の数は減っている。 (2) 増殖する細胞    細胞を外から入れなくても、分裂して増える。 (3) 豊田市の車の数    出入り=流入ー流出 よりも車の数が増える。    自動車の組み立て工場があり、部品から    自動車ができるため。

解答続き:(1)式が成立するか試せる例 ・定量化できること。 ・境界がはっきり定義できること。 難しい例 ・愛情:定量化しにくい。

教科書p.380-382 線積分 ストークスの定理

積分 𝑙 𝑨∙𝑑𝒍 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 𝑉 𝑓𝑑𝑉 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 integration 微分 differentiation   (元の意味は差別化)   「差」を取る。 (元の意味は統合) 積分はたし算:   微小量をたくさん加える。 ・高校の数学の積分は、   1次元(直線上)。 𝑙 𝑨∙𝑑𝒍 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 ・大学では、いろいろな領域での積分   1) 線積分  曲線上での積分   2) 面積積分 面での積分   3) 体積積分 立体の体積内での積分  積分する領域によって名前が付いている。 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺 𝑉 𝑓𝑑𝑉

𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 + 𝑏 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑎 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 積分の基本的性質 高校の数学の1次元積分では、 a b c 𝑎 𝑏 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 + 𝑏 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 = 𝑎 𝑐 𝑓 𝑥 𝑑𝑥 大学では、もっと一般的に領域の積分を考える A + B = A+B 領域Aでの積分+領域Bでの積分=領域「A+B」での積分

線積分 𝑑𝒍 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 𝑑𝒍 ベクトル場Aに対して ある曲線Cに沿った 微小ベクトル を考える。 積分すると長さになる。 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 𝑑𝒍 ある曲線Cに沿った 微小ベクトル エル。lineから を考える。 積分すると長さになる。 微小ベクトルとは。 高校の数学で、dxやΔxは勉強した。スカラーの微小量。 では微小ベクトルはどのような量か?   長さが微小。方向は変わる。

線積分の例題 𝑑𝒍 𝑨∙𝑑𝒍 y A B C D 1 -1 問題 図のように、xy面上に原点を中心 とする一辺の長さ2の正方形がある。 1 -1 問題 図のように、xy面上に原点を中心  とする一辺の長さ2の正方形がある。  𝑨 = 𝑦, −𝑥 とする。 辺AD上で図の方向のベクトル を求めよ(成分で書く)。 x 𝑑𝒍 ヒント:dxとdyのどちらを使うか考える (2) 辺AD上で 𝑨∙𝑑𝒍 を求めよ。 ヒント:内積の成分表示を           思い出す AD 𝑨∙𝑑𝒍 (3) 辺AD上で を求めよ。 (4)他の辺についても同様に積分を求め、正方形の周囲全体で 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 を求めよ。

線積分の問題の解答 𝑑𝒍 𝑑𝒍=(-1,0)𝑑𝑥 𝑨 = 1, −𝑥 𝑨 𝑑𝒍 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 y x 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 線積分の問題の解答 y x ベクトル場 𝑨 = 𝑦, −𝑥 を図にしてみる。 ベクトルの長さは短く書いている。 (1)   はAD上で水平なのでdxに比例。 左方向なのでベクトル(-1, 0)をかける。 𝑑𝒍 𝑑𝒍=(-1,0)𝑑𝑥 𝑨 = 1, −𝑥 y (2) AD上でy=1なので、 x A B C D 1 -1 𝑨∙𝑑𝒍=−𝑑𝑥 (3) AD上で積分すると-2。なぜなら −1 1 𝑑𝑥= 𝑥 1 −1 =1− −1 =2 (4)他の辺でも、 と   の向きが   逆なので、全て負になる。1周で-8. 𝑨 𝑑𝒍

解答補足:なぜ か 𝑑𝒍=(-1,0)𝑑𝑥 𝑑𝒍=(-2,0)𝑑𝑥 𝑑𝒍 でないのはなぜか は積分すると「長さ」になるベクトル。 解答補足:なぜ       か 𝑑𝒍=(-1,0)𝑑𝑥 𝑑𝒍=(-2,0)𝑑𝑥 でないのはなぜか 𝑑𝒍 は積分すると「長さ」になるベクトル。 を積分すると長さになる。 そのため、dxにかけるベクトルは、 長さ1のベクトルである必要。

ここから ストークスの定理

divとrotの意味 rot𝑨= 0,0,0 rot𝑨= 0,0,2 rot𝑨 rot𝑨 復習 x y 1 2 回転しているベクトル場は、 1 2 rot𝑨= 0,0,0 rot𝑨= 0,0,2 回転しているベクトル場は、     が回転面に 垂直方向になる。 回転していないベクトル場は、     がゼロになる。 rot𝑨 rot𝑨

𝑑𝑺 𝑑𝑺 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍= 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 ストークスの定理 Cは曲面Sの周囲 ベクトル場Aに対して 𝑑𝒍 証明は後の問題にあります。 後で電磁気で使います。 𝑑𝑺 ベクトル場Aに対して 表面に垂直、 外向きのベクトル 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍= 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 𝑑𝑺 𝑑𝒍 Cは曲面Sの周囲 証明は後の問題にあります。 ストークスの定理の意味 面Sでのベクトル場の回転を 2通りの方法で表現している。

𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 rot𝑨 rot𝑨 ∙𝒏 rot𝑨 rot𝑨 rot𝑨=0 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 ストークスの定理の意味 面Sでのベクトル場の回転を 2通りの方法で表現している。 右辺 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 𝑑𝑺 =𝒏𝑑𝑆 rot𝑨     は回転を表すベクトル。 面Sの法線方向の成分 は、面Sでの回転を表す。 rot𝑨 ∙𝒏 rot𝑨 回転していない場では、 回転している場では、      が回転面と 垂直方向になる。 rot𝑨 rot𝑨=0

𝑨 𝑨 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 𝑨∙𝑑𝒍<0 𝑨∙𝑑𝒍>0 𝑑𝒍 𝑑𝒍 ストークスの定理の意味 左辺 ベクトル場が回転していると、 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍 左辺 𝑨∙𝑑𝒍>0 𝑨∙𝑑𝒍<0 𝑨 𝑨 𝑑𝒍 𝑑𝒍 ベクトル場が回転していると、 内積が値を持つ。 回転していない場では、 経路上の微小ベクトルとの 内積がゼロになる。

𝑑𝑺 𝑑𝑺 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍= 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 𝑑𝒍 ストークスの定理の証明 𝑨 = 𝐴 𝑥 , 𝐴 𝑦 , 𝐴 𝑧 ベクトル場Aに対して 表面に垂直、 外向きのベクトル ベクトル場Aに対して 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍= 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 𝑑𝑺 (1) Cは曲面Sの周囲 𝑑𝒍 問題 微小長方形(1辺Δx, Δy)に関して、  (1)式の左辺と右辺をそれぞれ書いて変形し、  (1)が成立することを示せ。 y Δy Δx 1) 上の辺について(1)の左辺を求めよ。    𝑑𝒍 はdx, dyのどちらを使って書けるか。 を使う。 2) 下の辺について(1)の左辺を求め、1)との和を求めよ。 3) 左右の辺についても同様に求めよ。 x 𝑨 = 𝐴 𝑥 , 𝐴 𝑦 , 𝐴 𝑧

前問の解答 𝑑𝒍 = −𝑑𝑥,0,0 𝑨 = 𝐴 𝑥 , 𝐴 𝑦 , 𝐴 𝑧 𝑨∙𝑑𝒍=− 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦+Δ𝑦,𝑧 𝑑𝑥 𝐶 𝑨∙𝑑𝒍= 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 前問の解答 を示したい。 1) 正方形の上辺で y+Δy 上辺で 𝑑𝒍 = −𝑑𝑥,0,0 Δy y 𝑨 = 𝐴 𝑥 , 𝐴 𝑦 , 𝐴 𝑧 と内積を取ると、 Δx x x+Δx 𝑨∙𝑑𝒍=− 𝐴 𝑥 𝑑𝑥+ 𝐴 𝑦 ∙0+ 𝐴 𝑧 ∙0=− 𝐴 𝑥 𝑑𝑥 上辺ではyの座標は、Δyだけ大きいので、 𝑨∙𝑑𝒍=− 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦+Δ𝑦,𝑧 𝑑𝑥 (1)  2) 下辺で  𝑑𝒍 = 𝑑𝑥,0,0 𝑨∙𝑑𝒍= 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦,𝑧 𝑑𝑥 (2)  x,y,zの関数の意味  1変数ならf(x)

− 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑦 Δ𝑥Δ𝑦 前問の解答:続き − 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦+Δ𝑦,𝑧 + 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦,𝑧 Δ𝑥 前のページのの(1)と(2)を加える。dxをΔxと書くと、 − 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦+Δ𝑦,𝑧 + 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦,𝑧 Δ𝑥 (3) 微分の式 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑦 = lim Δ𝑦→0 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦+Δ𝑦,𝑧 − 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦,𝑧 Δ𝑦 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦+Δ𝑦,𝑧 − 𝐴 𝑥 𝑥,𝑦,𝑧 = 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑦 Δ𝑦 でlimを省略すると、 よって(3)は − 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑦 Δ𝑥Δ𝑦 (4)

𝜕 𝐴 𝑦 𝜕𝑥 − 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑦 Δ𝑥Δ𝑦= rot 𝑨 𝑧 Δ𝑥Δ𝑦 前問の解答 3) 今度は左右の辺で同じことをすると、 𝜕 𝐴 𝑦 𝜕𝑥 Δ𝑥Δ𝑦 (5) (4)と(5)を加えると、 𝜕 𝐴 𝑦 𝜕𝑥 − 𝜕 𝐴 𝑥 𝜕𝑦 Δ𝑥Δ𝑦= rot 𝑨 𝑧 Δ𝑥Δ𝑦

𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 ガウスの定理の単位 ベクトル場Aに対して S V (1) わきだし これがヒント。 復習 ベクトル場Aに対して S V 𝑆 𝑨∙𝑑𝑺= 𝑉 div𝑨 𝑑𝑉 (1) わきだし 表面積全体の 積分 体積内の積分 これがヒント。 ある人のコメント:「面積積分=体積積分が疑問」 両辺の単位を比較してみる。 divは場所に関する微分が入っている。 両辺とも(長さ)の2乗の単位になる。

𝐶 𝑨∙𝑑𝒍= 𝑆 rot𝑨 ∙𝑑𝑺 rot𝑨 ストークスの定理の単位 左辺は長さの積分なので、 単位は(Aの単位) ×m は微分が含まれているので、 単位は,(Aの単位)/m よって右辺の単位は   (Aの単位)/m × m2 = (Aの単位)× m になり、 左辺の単位と等しくなる。

3次元極座標をやる前に 復習をします。 1.三角関数の復習(高校数学)(前期) 2.2次元極座標の復習(高校の数学B)

三角関数の復習 cos𝜙= 水平の辺 斜辺 sin 𝜙 = 垂直の辺 斜辺 高校の数学1,数学2 図のように、直角三角形を置く。 (角度φが水平からの角度、直角部分が右下) cos𝜙= 水平の辺 斜辺 斜辺 φ 垂直の辺 sin 𝜙 = 垂直の辺 斜辺 水平の辺 高校では、角度はθ(シータ)を用いたが、 後で極座標や円筒座標と比較するために、 φ(ファイ)を使っている。

2次元極座標 𝑥=𝑟cos𝜙 𝑦=𝑟sin𝜙 高校の数3の範囲 質点の位置P(x,y)を2次元極座標(r,φ)で表す。 y P(x,y) r (高校では単に「極座標」と呼ぶ) 2次元極座標  質点の位置P(x,y)を2次元極座標(r,φ)で表す。 𝑥=𝑟cos𝜙 y P(x,y) 𝑦=𝑟sin𝜙 r r≧0 0≦φ<2π φ x 高校ではθを使うが、 後の都合でφを 使っている。

質問:なぜφの範囲を0からπにして、 rをマイナスも考えないか? y ぐるっと回った時に、 rがプラスからマイナスになるのは、不連続な変化になってしまう。 rはずっとプラスにしておく。 x

2次元極座標、続き y r=一定の図形   半径rの円 x φ=一定の図形   半直線 y x

3次元極座標

3次元極座標 𝑥=𝑟cos𝜙sin𝜃 𝑦=𝑟sin𝜙sin𝜃 𝑧=𝑟cos𝜃 𝜙 0≤𝜙<2𝜋 0≤𝜃≤𝜋 𝑟 ≥0 教科書p.2の図1-1の真ん中の図も参照 z P(x,y,z) ある点Pの直交座標(x, y, z)と 極座標(r, θ、φ)の関係 r θ r: 点Pから原点までの距離  θ:z軸からOPへの角度 φ:x軸からOQへの角度 (点Qは点Pをxy平面に投影した点) y 𝜙 x Q 直交座標x, y, zと、極座標r, θ、φの関係は 𝑥=𝑟cos𝜙sin𝜃 0≤𝜙<2𝜋 φの不等号は2πを 含まない θの不等号はπを含む 𝑦=𝑟sin𝜙sin𝜃 0≤𝜃≤𝜋 𝑧=𝑟cos𝜃 𝑟 ≥0 後で証明します。

補足 不等号 同じ意味です。 ≤ ≦ 大学ではこちらが多い。 水平線が1本。 高校ではこちら 水平線が2本。

角度の範囲:2次元極座標の場合 2次元空間は、x,yの正負により、 4つの象限に分けられる。 2次元極座標だと、角度は1個でよくて、 r θ x 2次元空間は、x,yの正負により、 4つの象限に分けられる。 2次元極座標だと、角度は1個でよくて、 0から2π。

角度の範囲:3次元極座標 𝜙 z P(x,y,z) θ r 3次元空間は、x,y,zの正負により、 y 8個の象限に分けられる。 x 3次元空間は、x,y,zの正負により、 8個の象限に分けられる。 角度は2個必要。 1個めの角度φが0から2πで平面上の回転。   2πでもとの所に戻るので、不等号は2πを含まない。 2個めの角度θはz方向の角度で、0からπでよい。  (もしz方向も0から2πにすると、余分になる。)  θ=0が北極、θ=πが南極にあたり、別の場所なので、  不等号はπを含む。 y x 𝜙 Q

3次元極座標の問題 𝜙 z P(x,y,z) ある点Pの直交座標(x, y, z)と 極座標(r, θ、φ)の関係 r r: 点Pから原点までの距離  θ:z軸からOPへの角度 φ:x軸からOQへの角度 (点Qは点Pをxy平面に投影した点) θ y 𝜙 x Q 問題1 直交座標x, y, zと、極座標r, θ、φの関係を示せ 𝑥=𝑟cos𝜙sin𝜃 0≤𝜙<2𝜋 𝑦=𝑟sin𝜙sin𝜃 0≤𝜃≤𝜋 𝑧=𝑟cos𝜃 𝑟 ≥0 問題2 3次元空間内で、以下の図形をそれぞれ描け。   (別々の図にすること。)   (a) r=一定、 (b) φ=一定、(c) θ=一定、   (d) r=一定、φ=一定 (e) r=一定、θ=一定、   (f) φ=一定、 θ=一定