気圧センサーを用いた 傾斜測定システムのデータベース作成 工学部情報工学科 井上新
目的 市販の地図では得にくい高度差を実地で調査,計測. その計測データを収集,管理. 複数端末で計測 オンライン上のデータベースに集める より多くのデータを簡単に収集,管理したい
取り組み概要 スマートフォン(iPhone8) 気圧データを取得 Firebase JSONデータ 計測データ活用 傾斜情報地図 スマートフォン(iPhone8)の気圧センサーを使い データを収集.Firebase上のデータベースに格納. 地図作成等に利用.
傾斜測定アプリ 気圧センサー,GPSを利用し 緯度,経度,気圧,現在時間, ルートID,機体IDを1秒毎に 計測 Firebase上のデータベースに アップロード ルートIDは,計測前に手動で 入力して設定 機体IDは,アプリ初回起動時 に自動設定
Firebase 上のデータベース 単一のJSONデータとして保存 JSONデータは木構造 複数端末からのデータ集計を可能にす るため,機体IDごとの部分木を作成 計測回を個別で指定するために 各計測において計測開始オブ ジェクト,計測終了オブジェク ト,ルートIDを記録している.
傾斜情報地図 各計測において高度が 高くなるにつれ黄色か ら赤に変化し,一目で 高度の変化を確認する ことができる. ※ 画像は千光寺公園内 を実際に計測し地図に したもの
実験計画 検証事項 高度差,坂道を観測できるか 端末の個体差があるか,あるとしたらどの程度か 複数計測器での計測,複数回計測した場合のデータ管理 が可能か
1.高度差の観測(屋外) 実験方法 高さ約55センチの踏み台 およそ10秒周期で上る降 りるの動作を5回繰り返 す およそ10秒周期で上る降 りるの動作を5回繰り返 す 計測にはスマートフォン に内蔵の気圧センサーを 使用 計測中,手元での高度変化が起きないようにスマートフォンを上着のポケットに入れる.
1.高度差の観測(屋外) グラフから5つの波を 確認することができる. グラフから5つの波を 確認することができる. 50センチ程度の高度差 なら気圧の変化として 計測可能なことが確認 できた.
1.高度差の観測(屋外)ー GPSの場合 同様の踏み台を使いGPSの 高度データを測定した. 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均 下1回目 6.87 6.80 6.79 6.78 上1回目 6.88 6.81 6.82 下2回目 6.85 6.86 上2回目 6.91 下3回目 6.89 6.90 上3回目 同様の踏み台を使いGPSの 高度データを測定した. 踏み台の上下でそれぞれ 10秒間隔で5回高度を計測 し,それを3セット行っ た. 踏み台の高度差を検知す ることは困難.
2.高度差,坂道の観測(市街地) 実験方法 5か所の坂を含むルート (尾道市内) 日付を変えて5回歩行 傾斜計測システムでの 計測を行った.
2.高度差,坂道の観測(市街地) 歩行速度や日により気圧全 体が一定でないので少しの ずれがあるが,高度差の検 出には十分だと判断 12月9日気圧差 第1地点 0.248 hPa 第2地点 0.358 hPa 第3地点 0.331 hPa 第4地点 0.943 hPa 第5地点 1.007 hPa 小数点以下第4位で四捨五入 歩行速度や日により気圧全 体が一定でないので少しの ずれがあるが,高度差の検 出には十分だと判断 複数回の計測データの管理 が可能なことを確認
3.端末の個体差の確認 実験方法 同じ計測アプリを入れた iPhone8を2台用意し使用 上着の左右のポケットに入 れ,同時に同区間で計測
3.端末の個体差の確認 全体に多少の差が出たが,変 化の割合はほぼ一定だった. 別の機体でも同じ高度差を計 測できることが分かった. 全体に多少の差が出たが,変 化の割合はほぼ一定だった. 別の機体でも同じ高度差を計 測できることが分かった. また,複数端末のデータ管理 が可能なことを確認
実験結果のまとめ 傾斜測定システムを使い実際に計測ができる 50センチ程度の高度差も計測できる 複数計測器を用意し,別端末でも同じような計測結果が 得られる(個体差はあるが,高度差や傾斜の計測に支障 ない)ことを確認した.
実際のシステム利用実験 実際にシステムを 使用する場合を想 定 複数端末での傾斜 測定,地図製作を 行った.
結論 傾斜計測システムの実製作と評価実験から スマートフォンの気圧センサーは,数十センチ程度の高度 差(段差,傾斜など)の計測に有効 スマートフォンの気圧センサーは,数十センチ程度の高度 差(段差,傾斜など)の計測に有効 GPS による高度差計測は断念 Google Firebase, JSON は,複数端末,複数回での測定デー タの管理に有効 データの活用として傾斜情報地図の制作が可能なことを確認 (ページ16)
予備スライド
Firebaseの説明 FirebaseとはGoogle社のモバイルアプリケーション開発向けにバックエンドで動く 機能を提供するクラウドサービスである. 本システムではFirebaseのRealtime Databaseというサービスを利用しデータベース を作成した. これによりサーバーの構築・運用の手間を省くことができる.
JSONデータ,木構造について 木構造は家系図のように頂点間の関係が親子関係になっているデータ構造である. 唯一親を持たない頂点を「根(root)」という 木の終端の頂点を「葉(leaf)」という 木構造の中の部分的な木を「部分木」という 根(root) 葉(leaf) 部分木