Study of Multi-chance fission in Dynamical model calculation

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Study of Multi-chance fission in Dynamical model calculation KEK理論センター研究会 2017/11/21 『ハドロン・原子核物理の理論研究最前線 2017』 *セッション4 「原子核/超重核」 動力学模型を用いた マルチチャンス核分裂の研究 Study of Multi-chance fission in Dynamical model calculation 11:10~11:35 20+5 min Faculty of Science and Engineering, Kindai Univ. Shoya Tanaka Yoshihiro Aritomo Advanced Science Research Center, Japan Atomic Energy Agency Kentaro Hirose Katsuhisa Nishio Konan Univ. Masahisa Ohta

Introduction 1 1938年にウランにおける中性子照射によって核分裂反応が発見された。 O. Hahn and F. Straßmann, Naturwissenschaften 27, 11 (1939). L. Meitner and O. R. Frisch, Nature (London) 143, 239 (1939).  核分裂反応における主要な観測量の一つである核分裂片質量分布(Fission Fragment mass distributions; FFMDs)だが、いまだに定性的な理解がなされていない。特に高励起複合核における扱いは分かっていないことが多い。 Multi-nucleon transfer reaction (MNT) 多核子移行反応を用いた実験手法により広い範囲の核種と励起エネルギーの核分裂片質量分布を得ることができる。 Aiming reaction Surrogate reaction Compound nuclei Fission Fragment 1 Fission Fragment 2 原子力機構のタンデム加速器で実験された。 R. Leguillon et al., Physics Letters B 761 (2016) 125-130 K. Hirose, K. Nishio, S. Tanaka, et al., Phys. Rev. Lett. to be published. Experimented by K.Hirose ,et al at JAEA

Introduction 2 複合核において励起エネルギーが上がると二つの反応過程の競合が予想される。 1. 殻構造が消えたまま(液滴模型)での核分裂反応 2. 連続的な中性子放出により励起エネルギーの下がった核分裂 これはMulti-chance fission (MCF)で説明できる。 MCF自体の考え方はエネルギーの高い中性子入射反応における核分裂確率やTKEの研究においてよく知られていた。 しかし、高励起複合核における核分裂片質量分布での評価は行われてこなかった。 J.P. Lestone1, and T.T. Strother2, Nuclear Data Sheets 118 (2014) 208-210 本研究ではMCFを導入した理論計算によって高励起複合核における核分裂片質量分布の評価を行う。

Multi-chance fission (MCF) fission Single neutron emission The highly excited nucleus 240U fission Single neutron emission Excitation energy 1st chance fission 239U Leading to the less excited 2nd chance fission 238U The competition between fission and neutron emission continues until the excitation energy drops below the fission barrier of the corresponding daughter nucleus. low excitation energy 3rd chance 237U 4th chance 236U Experimental data include all the fission-chance components, which cannot be technically separated in experiment. 5th chance Mass of fissioning nuclei

Introduction 2 複合核において励起エネルギーが上がると二つの反応過程の競合が予想される。 1. 殻構造が消えたまま(液滴模型)での核分裂反応 2. 連続的な中性子放出により励起エネルギーの下がった核分裂 これはMulti-chance fission (MCF)で説明できる。 MCF自体の考え方はエネルギーの高い中性子入射反応における核分裂確率やTKEの研究においてよく知られていた。 しかし、高励起複合核における核分裂片質量分布での評価は行われてこなかった。 J.P. Lestone1, and T.T. Strother2, Nuclear Data Sheets 118 (2014) 208-210 本研究ではMCFを導入した理論計算によって高励起複合核における核分裂片質量分布の評価を行う。

Outlook of theoretical calculation methods 計算処方の概観 Dynamical model calculation based on the fluctuation-dissipation theorem Potential energy surface 2. Trajectory  described as an evolution of a nuclear shape on a potential energy surface, resulting from the interplay of macroscopic nuclear properties and microscopic shell effects. in fission process. two-center parametrization Multi-dimensional Langevin Equation (Maruhn and Greiner, Z. Phys. 251(1972) 431) 同様の理論模型を使用している Potential Energy (δ1=δ2 ) 6

Potential energy surface and Temperature dependence Ignatyuk type function Φ 𝑇 =exp ⁡− 𝑎 𝑇 2 𝐸 𝑑 temperature dependence Shell damping energy : Ed = 20 MeV Charge Center Distance Mass Asymmetry  Center distribution Potential Energy Saddle Point Compound Nucleus scission Saddle point Compound Nucleus 2nd. min Mass Asymmetry  Center distribution Potential Energy scission Liquid drop model After shell energy correction 240U 温度依存による分裂の違い シェルダンピングエナジー High excitation energy Low excitation energy

Calculation Method 240U 239U 238U 237U 236U Multi-chance fissionの計算手順を二つの過程に分けて行う。 Initial 240U 1st chance fission 1st step それぞれのチャンスでの核分裂片質量分布をランジュバン計算によって導く。 19.0% Excitation energy 239U 2nd chance fission 2nd step それぞれのチャンスの発生確率をGEFコードという統計模型コードを使用して計算する。 Sum up 19.8% 238U 3rd chance fission K.-H. Schmidt, B. Jurado, C. Amouroux and C. Schmitt Nuclear Data Sheets 131 (2016). 中性子の結合エネルギー P. Möller, A.J. Sierk , T. Ichikawa, H.Sagawac Atomic Data and Nuclear Data Tables 109–110 (2016) 1–204 25.7% 中性子の平均運動エネルギー 237U 4th chance fission 1.9 MeV (PACE2 code) A. Gavron, Phys. Rev. C 21, 230 (1980). 17.6% Including MCF 5th chance fission 236U 17.9%

Calculated results 234-240U (N=142-148) 赤線、青線、黒いドット 赤がよくあっている ピークの位置と谷の深さが一致している 一方で青線は低い励起エネルギー帯では一致しているが 高くなると対称分布を示し実験とは異なる 赤の変化があっている これは青線がそれぞれの最初の核分裂をしめしているからだ The calculation without the MCF concept can explain data only for low-energy data (blue curve). The curve is considered as the FFMD of the first-chance fission component for each initial excitation energy. Including MCF Without MCF Experiment data Experimented by K. Hirose ,et al at JAEA

Excitation energy dependence energy (MeV) 238U ( 𝐸 ∗ : 15-55 MeV) Excitation energy dependence 55 The calculation taking into account the MCF (red curves) shows good agreement with the experimental data for mass asymmetry and peak-to-valley (P/V) ratio. 45 35 A persistence of predominantly asymmetric FFMDs was observed up to the highest measured excitation energy. 励起エネルギーについて詳しく見てみると 点線はそれぞれのチャンス核分裂を表しており、その足し合わせで赤線ができている 励起エネルギーが上がるとチャンスの数が増える 励起エネルギーが上がると対称成分の寄与が大きくなるが また実験データ同様、高励起エネルギーにおいてもふた山を維持しており、 これがMCFによって説明できている 5thの寄与が大きく二山成分ができる したがって理論計算(MCF)によって励起エネルギー依存性を示せた。 25 Also excitation-energy dependence of the FFMDs (large peak-to-valley ratio) can be explained. 15 Experimented by K. Hirose ,et al at JAEA

Nuclide dependence 233 𝑇ℎ 239 𝑁𝑝 235 𝑃𝑎 241 𝑃𝑢 237 𝑈 3.11 chance 続いて核種による変化に注目する 実験における各種が大きくなるとP/Vratioが小さくなる傾向を MCFを導入することで再現できている 平均のチャンス数を示しているが核種が大きくなるにつれて少なくなっているのがわかる。 3rd以上のチャンスの合計が重要であることが分かる 237 𝑈 2.85 chance Also nuclide dependence of the FFMDs (large peak-to-valley ratio for small atomic-number elements) can be explained. Focus on average number of fission chance. Experimented by K. Hirose ,et al at JAEA

Summary of calculated results Total 23 Nuclides Excitation energy range: 15-55 MeV The FFMDs of experimental data is not shown due to statistical reasons. Including MCF Without MCF Experiment data Experimental data: R. Leguillon et al., Physics Letters B 761 (2016) 125-130 K. Hirose, K. Nishio, S. Tanaka et al., Phys. Rev. Lett. to be published 計算結果のまとめとして 二つの論文で示されている実験データに対応して23核種計算を行った 系統的な評価を行い MCFの効果を定性的に示した Np,Puでの不一致 ネックパラメータの影響を考え中 The calculation taking into account the MCF (red curves) systematically shows good agreement with the experimental data for all the measured excitation-energy range. Neck parameter: 𝜀=0.35 (constant)

Asymmetric shapes at high excitation energy Ignatyuk type function 238U E*=35 MeV Φ 𝑇 =exp ⁡− 𝑎 𝑇 2 𝐸 𝑑 A.V. Ignatyuk, et al., Sov. J. Nucl. Phys. 21 (1975) 255 Shell damping energy : Ed = 20 MeV 高い励起エネルギーで観測される核分裂片質量分布の非対称分布は、高い励起エネルギーにおいても複合核の殻構造が残るということで解釈されるものではない。 マルチチャンス核分裂を考えない場合、シェルダンピングエネルギーを通例の20MeVより大幅に大きな値を使用する必要があるが、他の観測量との整合性を無くしてしまう。 この高励起複合核において殻構造がどのくらい残るかというのはとても重要な議論である。 また、高励起状態で二山を維持する傾向を、シェルダンピングエネルギーを大きくとることによって再現する試みがあったが、本研究によってそれは初期の原子核が高い励起エネルギーにおいても殻構造を維持しているのではなくMCFによるものであることを示した。

Isotope dependence at experimental data 同位体依存性が再現できていない。 実験データにおいて同位体の中性子数が多くなるほどP/Vratioが大きくなるように見える。 これが多核子移行反応の特性なのか、MCFの計算精度不足なのか、他の効果によるものなのか。 Including MCF Without MCF Experiment data Experimented by K. Hirose ,et al at JAEA

Fraction of Multi-chance fission GEFの計算結果 FFMDsの形はMCFの割合に大きく左右される 計算精度の高さや値の根拠を探る必要がある GEFの計算結果 励起エネルギーが増えるとチャンスが増える 高励起では1stの寄与が小さい K.-H. Schmidt, B. Jurado, C. Amouroux and C. Schmitt Nuclear Data Sheets 131 (2016).

統計模型コードの開発 ・Multi-chance fissionの傾向の理解 ・ランジュバンコードへの導入 統計模型コード : Kindai university Statistical model code ; KiSTAT (仮) の開発 研究室で使用している既存の統計模型コード 共同研究者 MASADEC : 生き残り確率の評価 甲南大学 太田雅久 開発の目的 ・Multi-chance fissionの傾向の理解 ・ランジュバンコードへの導入 特徴 イベント毎に崩壊過程を追うことが可能 中身がシンプルで分かりやすい、スタンダードな統計模型 計算精度では勝てない 変化の傾向を理解するツールとして使う サブルーチン化によるコードへの導入 状態遷移則 Reciplocity Theorem と Transient State Method という物理的な仮定に基づいたModel計算で崩壊幅を求めている。 GEFコードのような膨大な実験データの蓄積によるパラメトリゼーションではない。 参考文献 野村亨 重イオン融合反応と複合核の崩壊 –(超)重核を中心に– M. LEFORT : Heavy-Ion Compound-Nucleus Reactions. K-H. Schmidt and W. Morawek Rep. Prog. Phys. 54 (1991) 949-1003

崩壊幅の計算 詳細平衡に基づく分裂幅 Γ Γ 𝑥 𝐽 = 1 2𝜋𝜌( 𝐸 𝐶𝑁 ∗ ,𝐽) 0 𝐸 𝑓 𝑙’ 𝑠’ 𝑇 𝑙 (𝜀)𝜌( 𝐸 𝑓 −𝜀,𝐼′) 𝑑𝜀 𝐸 𝑓 = 𝐸 𝐶𝑁 ∗ − 𝐵 𝑥 − 𝑉 𝑥 𝐽= 𝑙 ′ + 𝑠 ′ 放出確率 : 𝑃= Γ ℏ 𝑀𝑒𝑉 𝑀𝑒𝑉∙𝑠 = 1 𝑠 Channel spin : 𝑠 ′ = 𝐼 ′ +𝑖′ 𝜌 𝑈 ∗ ,𝐽 = 𝜋 12 𝑎 1 4 𝐸 ∗ 5 4 exp⁡(2 𝑎 𝑈 ∗ )× 2𝐽+1 2 2𝜋 𝜎 3 exp⁡[− (𝐽+ 1 2 ) 2 2 𝜎 2 ] level density parameter: 𝑎= 𝐴 10 spin dispersion parameter: 𝜎 𝜎 2 =𝐼𝑇/ ℏ 2 Γ 𝑓 𝐽 ≈ Γ 𝑓 𝑒𝑥𝑝 ℏ 2 𝐽(𝐽+1) 2 𝑇 𝑓 1 𝐼 𝑠𝑝ℎ − 1 𝐼 𝑠𝑎𝑑 Γ 𝑓 = 1 2𝜋𝜌( 𝐸 𝐶𝑁 ∗ ,𝐽) 0 𝐸 𝑓 𝜌( 𝐸 𝑓 −𝐾,𝐼′)𝑑𝐾 : 𝑇 𝑓 = ( 𝑈 ∗ − 𝐵 𝑓 )/ 𝑎 𝑙𝑑𝑚 𝐼 𝑟𝑖𝑔 = 2 5 M 𝑅 2 ; 𝑅=1.14 𝐴 1 3 𝐼 𝑠𝑝ℎ =0.5 𝐼 𝑟𝑖𝑔 , 𝐼 𝑠𝑎𝑑 =2 𝐼 𝑠𝑝ℎ

Multi-chance fission発生割合の計算 Γ 𝑡 = Γ 𝑛 + Γ 𝑓 Γ 𝑛 / Γ 𝑡 Γ 𝑓 / Γ 𝑡 1.00 0.00 0.62 乱数 0.43 乱数 0.81 中性子放出 核分裂 原子核の励起エネルギー: 𝐸 𝑒𝑥 ’= 𝐸 𝑒𝑥 − 𝐵 𝑛 − 𝐸 𝑘𝑖𝑛 n → n → n → n → f  (5th chance fission)

計算結果の比較 GEF Code KiSTAT 𝐸 ∗ =55 𝑀𝑒𝑉 𝐸 ∗ =45 𝑀𝑒𝑉 𝐸 ∗ =35 𝑀𝑒𝑉 I_rms=0 𝐸 ∗ =45 𝑀𝑒𝑉 𝐸 ∗ =35 𝑀𝑒𝑉 KiSTAT 𝐸 ∗ =25 𝑀𝑒𝑉 𝐸 ∗ =15 𝑀𝑒𝑉

GEF Fission Probability KiSTAT K.-H. Schmidt, B. Jurado, C. Amouroux and C. Schmitt Nuclear Data Sheets 131 (2016).

KiSTAT

Multi-Nucleon Transfer (MNT) Induced Fissions 1. 核子移行 ランジュバン計算 2. 生き残り 統計模型計算 Multi-Wire Proportional Counter Silicon ΔE-E 16O… 238U 18O Fragment 2 CN Fragment 1 Liquid Scintillator n 240U*, … (1) Fragment mass distributions (2) Fission barrier height (3) Fission fragment angular distributions (4) Prompt neutrons multiplicity / energy spectrum n

Summary Multi-chance fissionの研究はFission probabilityやTotal kinetic energyの観測によって示唆されてきたが、核分裂片質量分布に対する評価は行われてこなかった。 これは実験データの不足によるものだが、原子力機構の多核子移行反応を用いた実験によって幅広い系と励起エネルギーでの実験データが取得できるようになり解決された。 ランジュバン計算とGEFコードを用いた理論計算によってMCFを導入した核分裂片質量分布を評価し、MCFが核分裂片質量分布に与える影響を示した。 本研究のメッセージとしては実験データとの一致はあまり考えておらず、定性的にMCFがFFMDsに与える影響を示した点 高励起系の観測量では確かにMCFの効果を考慮すべきとういうこと MCFは今までやられてきたがFFMDsは全然 本研究ではランジュバンの初期状態のFFMDsとMCF割合GEFで計算を行い この変化とMCFの影響を示した 同時に励起エネルギーおよび核種依存性を示した Future workを追加する ランジュバン計算コードへMCFの導入 他の観測量 TKE などとも比較する 高励起複合核で維持される核分裂片質量分布のふた山構造は最初の原子核の殻構造が残っているのではなく、MCFの効果によって励起エネルギーの下がったものを観測していることが分かった。  この結果から高励起複合核の核分裂においてMCFの効果は大きなものであり、他の観測量においても考慮されるべきものである。