まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)

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まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)   まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム  “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK) 2006年3月29日、日本物理学会(愛媛大)

フレーバー物理の進展 過去10年で大きな進展 Bファクトリー実験とニュートリノ実験 二つの混合行列   Quark flavor mixing (CKM) Neutrino flavor mixing (MNS)

Current CKM Quark flavor mixing PDG 1998 CKM paradigm の様々な過程からの検証

f1 f2 f3 CKM のパラメーターに対する制限の精度 e K Dmd Vub Vub b->dg Dms/Dmd 100% 10% 1% e K Dmd Vub Vub f1 f2 f3 b->dg Dms/Dmd K+->p+nn いろいろな過程で数%レベルに達することが重要。 新しい物理の効果の探索には特に必要。

Neutrino mixing Dm23, q23 Dm12, q12 ニュートリノ振動が確立 し 3 angle +1 phase Dm122 (10-5eV2) Dm12, q12 ニュートリノ振動が確立 し 3 angle +1 phase のうち2つの角度が 決定された。

低エネルギー領域での 新しい相互作用の探索 T violation in K+ ->pm+ n t lepton flavor violation muon g-2 MEG experiment is in preparation at PSI to search for m->eg at 10 -14 level.

Flavor mixing の原因は? Quark flavor mixing, neutrino flavor mixing は W boson との相互作用のフレーバーの遷移がわかった。もともとの原因はまだ未知。 Origin of quark masses and mixings => Higgs 物理(Higgs branching ratio) Origin of neutrino masses Dirac mass かMajorana mass? もしseesaw 機構としたらそのスケールは? double b decay  collier signals for lepton number violation 

LHC 時代のフレーバー物理 LHC 実験はTeVスケールの物理を拓く TeV スケール物理=電弱対称性の破れ、Higgs 機構 電弱対称性の破れには 新しい力が必要   =>新しい物理の存在を期待    超対称性 (squark, slepton)    余次元理論 (Kaluza-Klein modes)    Little Higgs Model (heavy t’) ……   フレーバー物理でどのような側面をさぐることができるか。

超対称性とフレーバー物理 Diagonal term: LHC/ILC Off-diagonal term: Flavor exp Squark とslepton の質量行列が新たな フレーバー混合やCPの破れの源となる。 フレーバー混合を調べることによってSUSY の破れやGUT スケールの相互作用の影響がわかる。 SUSY breaking terms Quark/lepton mass Squark/slepton mass Diagonal term: LHC/ILC Off-diagonal term: Flavor exp

=> GUT, Seesaw mechanism, Leptogenesis “SUSY mass unification” at LHC/ILC Flavor Physics/ Symmetry Violation Quark FCNC (B->fKs,b->sg,Dms,..) LFV (m->eg,t->mg,…) EDM (nEDM, eEDM,mEDM) Nucleon decay => GUT, Seesaw mechanism, Leptogenesis

B物理に対するNew Physics の現れ方 2003 SLAC WS Proceedings SUSY Large Extra Dimension model 様々なシグナルのパターンをみることが模型を区別するために重要

LFVとニュートリノ質量生成 単純なDirac または Seesaw ニュートリノでなければ、m やt のLFV 過程に様々な効果が期待できる。 Non-SUSY Dirac/Seesaw No sizable effects on LFV SUSY GUT/Seesaw B( m->e g ) ~ 102 (B(m->3e) ~B(mA-eA)) B( t->m g ) ~ 102 B(t->3m) Triplet Higgs for neutrino B(m->3e) ~ B(m->eg) ~B(mA-eA) or B(m->3e) ~ 102 (B(m->eg) ~B(mA-eA)) Left-Right model B(m->3e) ~ 102 (B(m->eg) ~B(mA-eA)) B(t->3m) ~ 102 B(t->mg) Dirac n in warped extra-dim

まとめ クォーク、レプトンのフレーバー物理は大きく進展してきた。二つの混合行列を精密に決める過程。その原因はまだ未知の領域。 新しい物理の効果を探るためには、いろいろな過程でCKM 行列をより精密に決めることが必要。 LHC実験はTeVスケールの物理のシナリオの方向を決める。フレーバー物理で解明される側面はどのシナリオになるかによって違ってくる。 力の統一、宇宙のバリオン数生成、ニュートリノの質量生成機構などの問題をフレーバー物理の側面から探るには、クォークフレーバー、レプトンフレーバーの破れ、ニュートリノ物理,対称性の破れの探索の関連を調べるのが重要。