東京大学大学院 坪野研究室 正田亜八香 坪野研輪講

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東京大学大学院 坪野研究室 正田亜八香 2011. 4. 20 坪野研輪講 コイル・コイルアクチュエータの開発 東京大学大学院 坪野研究室 正田亜八香 2011. 4. 20 坪野研輪講

Introduction 超電導磁気浮上や、DPFに使用するアクチュエータをどうするか? ローノイズ、かつ安定 DC的な力が出せる 安東さん考案(2007. 6. 13. 坪野研輪講にて発表) 超電導磁気浮上や、DPFに使用するアクチュエータをどうするか? ローノイズ、かつ安定 DC的な力が出せる テストマスに接地がなくても良い 外力がなるべく加わらない 線形性が良い これらを兼ね備えたアクチュエータがほしい! と思って考えられたのが、Coil-coil アクチュエータ。

従来のアクチュエータ Coil-Magnet アクチュエータ コイルに電流を流す事によって作られる電磁石と、永久磁石の引力・斥力を利用。 LIGO, Virgo, TAMAなど、地上レーザー干渉計で使用される。 【利点】力が強い。効率が良い。 【欠点】外部磁場の変化・雑音、減磁、温度変化の影響がある。 静電型アクチュエータ 2つの極板を向かい合わせ、極板間電圧を変化させて使う。 LPF, GEOで使用。精密計測でも使用される(ブラウン運動など)。 【利点】構成は単純。被計測物に磁石などを付けなくて良い。 【欠点】力が弱い。高電圧が必要。ダイナミックレンジが狭い。      Thin-Film damping雑音の問題。

Coil-Coil Actuatorとは 2つの電流の位相差に応じた力が得られる。 コイルを2つ向かい合わせる。 それぞれにAC電流を流す。 コイル1 コイル2 (コイル1の作る磁場)∝I1 (コイル2の受ける力)∝(磁場)×I2 ∝I1×I2 可動物 電流 I1 電流 I2 おおざっぱな計算だと、 コイルドライバ ~ 制御力 周波数が十分大の時 影響は少ない ただし正確にはもうちょっと違う力になる。 2つの電流の位相差に応じた力が得られる。

Coil-Coil Actuatorとは (2) これが使用出来れば・・・ バイアス電圧がいらない 高電圧がいらない 永久磁石もいらない 従来のアクチュエータで問題に なっていたところが解決するかも 実験内容 特性の確認 力の大きさ、原理検証など。 実際にcoil-coil actuatorを用いた制御 磁気浮上型ねじれ振子を使用し、Photo SensorとMichelson干渉計、それぞれをセンサーとして制御

特性評価

各特性の評価 コイル:SWIMに用いたのと同じものを使用 R = 36Ω、 L = 16 mH まず、coil-coil actuatorの力をはかりで測定。  片方のコイルは上の台に固定されていて、  もう片方は測りの上に乗っている。

DC電流での特性(1) (1) DC電流による力の大きさの評価 十分実用的な力が出せる

DC電流での特性(2) (2) DC電流による2つのコイルの距離依存性の評価

AC電流での特性評価 Vc Phase shifter LPF LPF ※電圧制御位相器 (Phase Shifter): NFのCD-951V4を使用。   0-5 Vの矩形波を注入する。Vcに応じて位相をずらした矩形波を   返してくれる。使用可能な矩形波の周波数は1kHz-2MHz。

AC電流での特性評価 2つのコイルに流す電流の位相を変化させて、力を測る Offsetが乗っている? おそらく誘導電流のせい

力の解析(誘導起電力を考慮) コイルの磁場の持つエネルギー: →よってコイルにかかる力は、 コイル1に 、コイル2に の電圧をかけた時、 コイル1に          、コイル2に            の電圧をかけた時、 これらを代入して計算し、実験結果と比較してみる。

AC電流での特性評価 どうやら(dM/dx)I1I2の項しか効いていない →他の項はどこへ?   電流による熱?

電圧制御位相器の特性 Lock in Amp.を使用。(filter: FLAT, time constant: 1ms)

ねじれ振子の制御

ねじれ振子の制御 従来のねじれ振子のsetupに、使用していなかった直交するbarの先に Coil-coil actuatorを1set とりつけて実験。 回転の読みだしは、PS, MI双方で出来るようになっている。 制御フィルタの形はマグネットコイル制御と同じ形(ゲインのみ変更) マグネット コイル ミラー (MI用)

Coil-coil actuator PS MI用mirror Coil-magnet actuator

制御ループ actuator PS Mass PZT MI PZT Filter Mass Filter PS Filter

制御ループ actuator PS Mass PZT MI PZT Filter Mass Filter PS Filter

ねじれ振子の制御 (PS制御)

ねじれ振子の制御 (MI制御) ※高周波はMIのPZT、低周波はマスに返す、2loop制御

Coil-coil actuatorを用いて世界で初めて干渉計制御ができた♪ ねじれ振子の制御 (MI制御) Coil-coil actuatorを用いて世界で初めて干渉計制御ができた♪

Coil-magnet と Coil-coilの比較

Coil-magnet と Coil-coilの比較 位相器の特性は理想的(ゲインも位相もフラット)だと思うと、

Coil-magnet と Coil-coilの比較 測定した位相器の特性を考慮

まとめ  coil-coil actuatorの特性を調べた。 原理的には正しい事が確認ができた。 但し、誘導起電力の影響で、力のゼロ点がφ=0ではなくなる 事がわかった。 (但し、これは位相をそもそもずらしておけば良いので あまり問題ない。) ねじれ振子を用いて制御を行った。 Photo Sensorによる読み出し、Michelson Interferometerによる 読み出し、双方で制御ができ、open loop伝達関数まで測定。 Coil-coil actuatorの伝達関数を割り出した。 ただし、制御時、DCの力が少し足りない様子が見られた。

今後 位相器に問題あり?可変ゲインアンプ、PLLなどを用いた他の方法を 考慮すべき。 力の特性の理論計算の謎を解明する必要。 coil-coil actuatorを2set設置する事で、より安定に制御できるはず。 現在、coilに流す電流は振子の軸の下から細いニクロム線で導入している。 ←振動を導入してしまうので、外部と非接触に電流を導入できる   システムが必要。

今後 (2) コイルへの電流導入システム案 案1: コンデンサによる導入 案2: コイルを4つ使う コンデンサのインピーダンスが V V コンデンサのインピーダンスが コイルの特性を変えてしまう。 Cは慎重に選ぶべき。 動かなさそうなところにコンデ ンサを設置すれば大丈夫か? コイルの相互インダクタンス の分だけ力が減衰してしまう はず。(でもdM/dx~0.5くらい なので、そこまでではない。) でも上手くいけば安定かも?