ATLAS実験内部飛跡検出器の 運動量再構成精度

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Presentation transcript:

ATLAS実験内部飛跡検出器の 運動量再構成精度 春季日本物理学会@岡山大学 21th.March.2010 筑波大学 塙 慶太 金信弘、黒川悠文、原和彦(筑波大) 池上陽一、海野義信、寺田進(高エ研) 花垣和則(大阪大)、中野逸夫(岡山大)、高嶋隆一(京都教育大)、陣 内修(東工大)、寄田浩平、木村直樹(早稲田大) 他アトラスSCTグループ

内部飛跡検出器(Inner Detector) η=-ln(tan(θ/2)) ビーム軸を含む断面図 Y[mm] Z[mm] 1000mm 2720mm PIXEL Layer数 位置分解能 TRT 36層 170 mm SCT 4層 16 mm Pixel 3層 14 mm |η|<2.5の範囲で精密飛跡再構成が可能!

Motivation 研究の目的 物理 検出器 J/ψ→μμ X どの範囲のPt Scaleに注目するか? Pt=p・sinθ Why? How? 物理 粒子質量の精密測定に必要不可欠 新粒子の質量測定(Higgs) モデルの決定ができる 検出器 非一様磁場の補正 検出器のミスアライメント 検出器固有の位置分解能や物質量の確認 m粒子検出器の較正 既知の粒子質量Xを再構成することで崩壊粒子のPtScale を見積もる J/ψ 質量再構成 J/ψ→μμ X a b 制動放射が少なく、内部飛跡検出器で最も安定に測定できるμ粒子を用いる どの範囲のPt Scaleに注目するか? ・HiggsやNew Physicsに効くHigh Pt Muon Pt Range 1.5pb-1 Z0ボソンがμ粒子対に崩壊する事象を 用いてhigh Pt range の Pt Scaleを見積もる。

Analysis Method 1. Z→mm eventの再構成 2.Pt-ηの領域に区切ってPtScaleを評価 Event selection(Basic) At least one muon with Pt>10 GeV nMuon(staco)=2 nIDtracks=2 with Pt>15GeV Opposite charge Additional Event Selection(Track quality) Loose SiHit>=6 Medium SiHit>=10 Tight PixelHits>=3,SCTHits>=8,c2/ndf<1.4 If needed (in real data), I will add ! 2.Pt-ηの領域に区切ってPtScaleを評価 Basic Selectionを通ったeventで ① 両方のμ粒子が0<|η|<0.4の領域に入った場合に、Ptビンに分けPtScaleを決定 ② 次に、片方のμ粒子は0<|η|<0.4とし、他方のμ粒子のηに従いそのηでのPtScaleを決定 For example:   muon1 η =0.3 (tag)  muon2 η =1.6 (probe) η =1.6領域の質量分布として再構成する。 Z Y tag(0<|η|<0.4) probe ηを6つの領域に分けて質量を再構成し、それぞれのPtScale を見積もる。 ->convolution fit ,template fit

Convolution fit method Truth情報を良く再現! Fit function MC質量分布をfitできる Mz vs |η| 正しくZ質量を再構成できる s(Mz) vs |h| statistical error

Effect of Internal Radiation Mz vs |h| 赤:gaussian Mean of (MzRec-MzTrue) distribution 青: from convolution fit to MzRec Mz vs |η| (no radiation) Isolation cut μ μ Summary of Convolution Fit Zmass will be shifted by internal radiation It can be recovered using isolation cut, but need to understand the systematics Next trial, use Template Fit to include internal radiation effects

Template Fit -include internal radiation effect internal radも考慮した質量分布を検出器の分解能分なまらせ、中心値のズ レをscale factorとすることでPt Scaleを見積もる fzMC distribution Xm: 再構成した質量 σ: Pt分解能によるMz 分解能劣化分 A: normalization S1 ,S2: Pt Scale Factor それぞれのPtビン毎でのfzMC (Templa Te)を用意することで、Ptのビン毎に、そ れぞれ正確にフィッティングすることがで きる。

Pt scale vs pt at 4.5 fb-1 - まず|η|<0.4(Pttag)のPt Scaleを決める。 recPtビン分けによる補正後 両方のμ粒子が|η|<0.4のイベントを使う。 両方のμ粒子が40<Pt<50 GeVのイベントを使い、この領域のPt Scaleを決める。 次に一方のμ粒子が40<Pt<50GeV( このPtScaleは既知)、片方のμ粒子が50<Pt<60GeVのイベントに対してPtScaleを決める 30<Pt<40GeVの領域に関しても同様に一方は決まった値を使い、Scaleを決定する。 テンプレートと同じMCによるサンプルに対しては統計誤差のみを考慮した(違いはMCの統計の精度で補正できる)。ジェネレータの違いによりPt分布が異なれば誤差2の評価が異なる⇒MCによる系統誤差 誤差 フィッティングの統計誤差 Ptビンが真とrecで異なるための統計誤差(MCのイベント数)

MC Systematic Error Pythiaの4.5/fbのサンプルをテンプレート。 ⇒他のGeneratorサンプルに対するスケール評価の違いをみることでMC systematic errorを見積もる。(MC@NLO 200/pbのサンプル) Reco: Pythiaで作ったイベントを検出器シミュレーションを通した後の分布 前ページでは Pythia MCで作ったテンプレート Reco: MC@NLOで作ったイベントを検出器シミュレーションを通した後の分布 ここでは m粒子の運動量分布の違いが、Ptビン分けによる補正量の違いとして出てくる可能性がある!

Overall Systematic Uncertainty GeneratorによるPtScaleの中心値の違いをMCの系統誤差とする 誤差の比較(×10-3) 横方向運動量のビン分けによる補正の系統誤差 MCの系統誤差 30<Pt<40 GeV 0.8 2.2 40<Pt<50 GeV 0.25 0.45 50<Pt<60 GeV 1.2 5.1 ・MC@NLOの統計不足 の ため系統誤差が支配的。 ・統計量を増やすことでMC 系統誤差は減らせる。

全(Pt-η)領域での横方向運動量スケール決定精度 MC系統誤差は 含まない。 High η程、統計が少ないため、決定精度が悪くなる。 統計の少ない領域 MC系統誤差(×10-3) 20<pt<30 GeV 30<pt<40 GeV 40<pt<50 GeV 50<pt<60 GeV 0.0<|η|<0.4 1.5 2.2 0.45 5.1 0.4<|η|<0.8 - 2.3 2.0 5.3 0.8<|η|<1.2 1.9 0.67 7.9 1.2<|η|<1.6 1.8 0.43 1.6<|η|<2.0 3.1 5.8 2.0<|η|<2.5 0.97

積分ルミノシティー当たりの決定精度 積分ルミノシティー当たりのScale決定精度 積分ルミノシティーごとのイベント量を使いスケール決定精度を見積もった。補正量やMCの系統誤差は、4.5/fbでの値を使用した。 0.03 20<Pt<30GeV 30<Pt<40GeV 積分ルミノシティー[pb-1] 積分ルミノシティー[pb-1] 40<Pt<50GeV 50<Pt<60GeV 積分ルミノシティー[pb-1] 積分ルミノシティー[pb-1] 積分ルミノシティー当たりのScale決定精度

Summary and plan   Pt~50GeV における内部飛跡検出器のPt Scale決定精度を、Z0ボソン がμ粒子対に崩壊するモンテカルロサンプルを使い評価した。  2種類の方法(Convolution fit ,Template fit)を試みた。 Internal radiation を含まないConvolution fitでは、その効果をisolation等 により抑制できるが、カロリーメータを含んだ系統誤差の検討が必要 Internal radiationを含むTemplate fitによりPtScaleを見積もった。 4.5/fbのデータ量で、 0.0<|η|<0.4の領域では、40<Pt<50 GeVの範囲で ~0.05%の決定精度がある(内~0.045%はMCの系統誤差) 内部飛跡検出器全η領域、20<Pt<60 GeV(一部を除く)のPt範囲でスケー ルを決めることができる。   MCの違いによる系統誤差はMC (MC@NLO)の統計誤差内。MCの統計 量を増やして、MCの違いによる系統誤差を再度見積もる。

Pt scale vs pt at 4.5fb-1 補正前: recPtまたは TruePtでビン分け 補正後:recPtでビン分け 補正前のPt rangeをreconstruct muon で分けたPtScaleは、45±5の範囲のしみだし(resolutionの効果)で35±5と55±5のptScaleを変えてしまう。 TrueのPtの値でregionを分けた際のPtScaleの値との差を補正する Errorbar=sqrt(Efit^2+Erec^2+Etrue^2) Erec:PtRecで分けた時の時の統計error

Pt Range – Ptでビン分けする データ領域を考慮してPt Scaleを決定する。

LHC(Large Hadron Collider)加速器 周長27km 7x7TeV陽子・陽子衝突器 ATLAS Control Room in 900GeV Collision 2009年11月23日 900GeV run 2009年11月29日 2.36TeV run      シャットダウン 2010年3月実験再開      重心系エネルギ- :7TeV   ↓      修理後: 13~14TeV

ATLAS検出器 - A Toroidal LHC ApparatuS - Higgs粒子の発見 top , heavy bosonの測定 新しい物理の探索(SUSY , ExD , …) 中心から 内部飛跡検出器  vertex , momentum  |η|<2.5 Calorimeter  -EM |η|<1.475, 1.375<|η|<3.2  - Had |η|<1.7, 1.5<|η|<3.2 - Fcal 3.1<|η|<4.9 Muon spectrometer   |η|<1.0, 1.0<|η|<2.4 Y X Z Y X Z 本研究は内部飛跡検出器の較正 プログラムについて

ATLAS検出器 - A Toroidal LHC ApparatuS - Higgs粒子の発見 top , heavy bosonの測定 新しい物理の探索(SUSY , ED , …) Inner Detector  vertex , momentum  |η|<2.5 Calorimeter  -EM  |η|<1.475, 1.375<|η|<3.2  - Had   |η|<1.7,1.5<|η|<3.2  - FCal   3.1<|η|<4.9 Muon spectrometer   |η|<1.0,1.0<|η|<2.4 中心から *η=-ln(tan(θ/2)) 本研究はInner Detectorの較正 プログラムについて

内部飛跡検出器(Inner Detector) 運動量測定や生成座標の再構成を行う r-Φ方向断面図 ビーム軸方向断面図 Layer数 Resolution TRT 36層 170μm SCT 4層 16μm Pixel 3層 14μm

Breit-Wigner fitting

Convolution fit (all eta region)

Convolution fit to internal On

Internal radiation on in all η region

Misalignment study (Curl) Curl large Slop vs Integrated Luminosity 200Pb-1 Integrate Luminosity[pb-1]

Pt Scale and resoution PtScale vs eta Resolution vs eta Perfect alignment Pt scale :<0.1% Resolution vs eta PtScale vs eta

Zmass Scale per Track quality(4.5 fb-1) Loose Cut Medium Cut Tight Cut

LHC(Large Hadron Collider)加速器 周長27km 7x7TeV陽子・陽子衝突器 Cost : 2,952 MCHF + 328 MCHF = 3,281 MCHF (~3,000 億円) (machine) (exp. area) ATLAS Control Room in 900GeV Collision 2009年11月23日 900GeV run 2009年11月29日 2.36TeV run -> シャットダウン 2010年2/9 solenoid on,2/11 toroid on ->beam 2/22 -> 900GeV 3/8 -> 7TeV 3/22 重心系エネルギ- :7TeV   ↓      修理後: 13~14TeV