疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
馬伝染性子宮炎 馬科動物の生殖器感染症. 馬伝染性子宮炎(届出伝染病) 馬:軽種馬、重種馬、ろばなどの馬科の動物が感染。 1977 年に英国で初めて発生が確認され、日本では 1980 年に北海 道で、有症状馬から原因菌が分離された。 感染部位は生殖器で、雌馬の陰核洞、雄馬の尿道洞、亀頭窩、 包皮の皺内に垢とともに長期間生残し、無症状保菌馬となり、
Advertisements

Lesson 7. 生命表 §C. 臨床生命表. 臨床生命表 ある研究対象集団における、観察期間 内でのある事象(出来事;死亡、再燃、 不全、など)が起こる時間を記述した もの 個人個人が参入したり集団から脱落す る変動的な時間を扱う その事象が起こらない累積確率を計算 する.
第6回 適合度の検定 問題例1 サイコロを 60 回振って、各目の出た度数は次の通りであった。 目の出方は一様と考えてよいか。 サイコロの目 (i) 観測度数 : 実験値 (O i ) 帰無仮説:サイコロの目は一様に出る =>それぞれの目の出る確率 p.
死亡診断書 記入要領. 発 病から死までの期間 15 I a) 直接死因: __________ / ____ __ 16 b) これは右の結果である: b1) _____ / ___ _ 17 b2) _____ / ___ _ 18 c) これの原因となった基礎疾患: ____ / ___ _
Pre-PBL 原野 悟 社会医学系公衆衛生学分野
歯の健康と歯科健診の受診について 〈6月4日は「虫歯予防デー」です〉 2013年6月 出光興産健康保険組合.
Lesson 21. 健康政策と疫学 §B. 集団データを用いた 疫学研究 疫学概論 集団データを用いた疫学研究
アレルギー・アナフィラキシー 山形大学輸血部 田嶋克史.
疫学概論 臨床生命表 Lesson 7. 生命表 §C. 臨床生命表 S.Harano,MD,PhD,MPH.
抗CCP抗体による関節リウマチスクリーニング研究
マイコプラズマ感染による豚の 慢性呼吸器疾病
疫学概論 現代生命表 Lesson 7. 生命表 §B. 現代生命表 S.Harano,MD,PhD,MPH.
I gA腎症と診断された患者さんおよびご家族の皆様へ
疫学概論 コウホート生命表 Lesson 7. 生命表 §A. コゥホート生命表 S.Harano,MD,PhD,MPH.
がんの家族教室 第2回 がんとは何か? 症状,治療,経過を中心に
疫学概論 流行発生調査 Lesson 2. 流行状況調査 §B. 流行発生調査 S.Harano,MD,PhD,MPH.
最近の肺結核の治療と診断 浜松医大救急部           白井 正浩.
疫学概論 母集団と標本集団 Lesson 10. 標本抽出 §A. 母集団と標本集団 S.Harano,MD,PhD,MPH.
トピック1 患者安全とは 1 1.
歯の健康と歯科健診の受診について 〈6月4日は「虫歯予防デー」です〉 2012年6月 出光興産健康保険組合.
集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について
疫学概論 無作為化比較対照試験 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §A. 無作為化比較対照試験 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 診療ガイドライン Lesson 22. 健康政策への応用 §B. 診療ガイドライン S.Harano, MD,PhD,MPH.
2003年出生極低出生体重児の 3歳時予後 :施設間比較と予後指標
牛の尿路コリネバクテリウムによる 血尿を主徴とする感染症
DCC エボラウイルス病(EVD, エボラ出血熱) 対応フローチャート(テンプレート)
長崎大学熱帯医学研究所 長崎大学医学部歯学部附属病院(熱研内科) 有吉紅也
糖尿病 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 検査 診断 治療
Study Design and Statistical Analysis
疫学概論 測定の信頼性 Lesson 20. 評価の要件 §B. 測定の信頼性 S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
予防医学のストラテジー 甲田.
日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)
疫学概論 患者対照研究 Lesson 13. 患者対照研究 §A. 患者対照研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
疫学概論 横断研究 Lesson 11. 記述疫学 §A. 横断研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 感度と特異度 Lesson 19. 評価の指標 §A. 感度と特異度 S.Harano, MD,PhD,MPH.
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
疫学概論 適中度と尤度比 Lesson 19. 評価の指標 §C. 適中度と尤度比 S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 適中度と尤度比 Lesson 19. 評価の指標 §C. 適中度と尤度比 S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 間接調整法 Lesson 5. 率の調整 §C. 間接調整法 S.Harano,MD,PhD,MPH.
感染症集団発生事例に対する基本的対応 大山 卓昭 感染症情報センター 国立感染症研究所.
疫学概論 交絡 Lesson 17. バイアスと交絡 §A. 交絡 S.Harano, MD,PhD,MPH.
2016/10/29 がんという病気を知っていますか? 岡山医療センター 消化器外科(大腸) 國末浩範(くにすえ ひろのり)
疫学概論 バイアス Lesson 17. バイアスと交絡 §A. バイアス S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 感度と特異度 Lesson 19. 評価の指標 §A. 感度と特異度 S.Harano, MD,PhD,MPH.
アウトカムとタスク.
疫学概論 ヘルシンキ宣言 Lesson 23. 疫学研究の倫理 §A. ヘルシンキ宣言 S.Harano, MD,PhD,MPH.
疫学概論 測定の信頼性 Lesson 20. 評価の要件 §B. 測定の信頼性 S.Harano, MD,PhD,MPH.
2015年症例報告 地域がん診療連携拠点病院 水戸医療センター
疫学概論 直接法と間接法の相違 Lesson 5. 率の調整 §D. 直接法と間接法の相違 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Keirin 生物 第1部 体細胞分裂の過程 第1部 実験4 <体細胞分裂の過程>.
疫学概論 情報の要約 Lesson 3. 情報の要約 (率、比、割合) S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 死亡データの情報源 Lesson 4. 罹患と死亡の指標 §F. 死亡データの情報源 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 死亡の指標 Lesson 4. 罹患と死亡の指標 §D. 死亡の指標 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Niti-S大腸ステント多施設共同前向き安全性観察研究の進行状況について
疫学概論 カプラン・マイヤー法 Lesson 8. その他の生存分析 §A. カプラン・マイヤー法 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 方法論的問題点(患者対照研究) Lesson 13. 患者対照研究 §B. 方法論的問題点 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 罹患の指標 Lesson 4. 罹患と死亡の指標 §A. 罹患の指標 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Lesson 4. 罹患と死亡の指標 §G. YPLLとQOLの測定 疫学概論 YPLLとQOLの測定
問13. デング熱 の地理的分布に関する最近の知見では、従来の生物地理区の説明とは違っているので、再確認する。
疫学概論 寄与危険度 Lesson 15. 関連性の測定 §D. 寄与危険度 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 疫学研究の目的 Lesson 1. 疫学研究 §A. 疫学研究の目的 S.Harano,Md.PhD,MPH.
人類集団の歴史的変遷 出典:Mascie-Tailor CGN (1993) The Anthropology of Disease, Oxford Univ. Press.
疫学保健統計 ~テスト対策~ 群馬医療福祉大学 看護学部 2年 ○○○優衣.
疫学概論 §C. スクリーニングのバイアスと 要件
疫学概論 横断研究 Lesson 11. 記述疫学 §A. 横断研究 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 流行発生調査 Lesson 2. 流行状況調査 §B. 流行発生調査 S.Harano,MD,PhD,MPH.
疫学概論 臨床試験の種類 Lesson 14. 無作為化臨床試験 §B. 臨床試験の種類 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Presentation transcript:

疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH

疾病の自然史  疾病の自然史とは、  何ら医学的処置を加えない状態での疾病の自然な成り行き(経過)

予防における疾病の自然史 健康期 前臨床期 無症状 臨床期 有症状 臨床期 安定・ 回復期 感受性期 不顕性期 顕性期 回復期

治療における疾病の自然史 前臨床段階 Preclinical phase 臨床段階 Clinical phase 疾病の 生物学的 発生 病理的 証明 疾病の 徴候や 症状 医療の 求め 診断 治療

疾病発生の同定 感染症 癌 抗体反応やウイルスDNA、RNAの存在 菌の培養 最初の癌細胞分裂 細胞複製の喪失 放射能や化学物質による初期損傷 前臨床段階での病理変化のスクリーニング 徴候や症状の最初の証明 疾病の医学的診断

疾病のエンドポイント(終結)の同定 死亡 治癒 寛解、軽減 再発 多彩な症状発現 QOL

患者アウトカム Patient outcomes 臨床的 死亡 病理的変化 非致死的な臨床上の転帰 再入院 疾患や治療の合併症 生理学的検査 検体検査 症状

患者アウトカム(続き) 患者申告 費用 健康関連QOL 治療の満足度 健康サービスの利用度 直接的費用(治療費など) 間接的費用(損失労働日など)

予後の測定 予防や治療などの介入 intervention の結果、どのような転帰を取ったか。 どのように予後を表現するか。 予後の結果 割合、期間、疾病程度(重症度) 予後に影響するもの 要因(特質)、期間、疾病の程度、介入の種類

疾病の自然史の計量化-1 (予後の表現) 致死率 Case fatality rate 疾病により死亡した者の数 疾病に罹患した者の数

疾病の自然史の計量化-2 (予後の表現) 5年生存率 Five-year survival  診断の後、5年生存している患者の割合

スクリーニングを受けた集団の 5年生存率-1 1992 1996 2000 診断 と 生物学的 治療 発生 死亡 生存 患者は5年間生存していたことになるか?

スクリーニングを受けた集団の 5年生存率-2 1992 1994 2000 スクリーニング による発見 診断と治療 発生 死亡 生存 患者は5年間生存していたことになるか?

スクリーニングを受けた集団の 5年生存率-3 1996 1992 1994 2000 発生 死亡 診断と治療 スクリーニング による発見

5年生存率の問題点 スクリーニング・プログラムの成功を評価する上での潜在的バイアスとしてのリードタイム(早期発見と症状出現による発見の時間差)の存在 フォローアップ観察に5年間を要する

5年生存率を左右する要件 フォローアップ期間が様々である。 観察時期が固定されない。 いろいろな結果(アウトカム)がある。 観察時期のあらゆる時点で測定される。

疾病の自然史の計量化-3 (予後の表現) 50%生存時間(生存中央値) Median survival time  調査研究した人口集団の半数が生存している時間  (次以降の講義で説明する生命表や生存分析により求める)

疾病の自然史の計量化-4 (予後の表現) 相対生存率 Relative survival rate 期待生存率に対する観察生存率の比  期待生存率に対する観察生存率の比  期待生存率はその疾患に罹患しない場合にその人口集団が示す生存率  (次以降の講義で説明する生命表や生存分析により求める)

質で調整した生存年 Quality-adjusted life-time QALY 生活の質 QOL で生存率を調整して測定 人年法の概念と同様 1 QALY は最大限のQOLで生きた1年、あるいは最大限のQOLの10%で生きた10年に等しい