Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System

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Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System PHITS Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System 陽子ビームで雪だるまを溶かそう PHITS講習会 入門実習 2017年3月改訂 title 1

実習目的 ジオメトリの作成 線源の変更 規格化の概念 将来,実用化が期待される(?)ビームライフルが現在の技術でどの程度実現可能か,陽子ビームで雪だるまを溶かす数値実験を行って検討してみよう ジオメトリの作成 線源の変更 規格化の概念 について 実習します 「実習」 前の基本的な話から 写真提供:佐藤大樹氏 Purpose 2

snowman.inpの確認 基本計算条件 deposit.out track.eps 入射粒子: 体系: タリー: 100MeV陽子(半径1.0cmのペンシルビーム) 原点に半径5cmの水 [t-track]によるフラックス空間分布 [t-deposit]による水球内の吸収線量(Gy/source) [volume]セクションで体積を定義する必要有り … x: Serial Num. of Region y: Dose [Gy/source] p: xlin ylog afac(0.8) form(0.9) h: x n n y(all ),l3 n # num reg volume all r.err 1 1 5.2360E+02 2.9843E-11 0.0022 deposit.out track.eps 29.843 (pGy/source) Check Input File 3

snowman.inpの構成 ② 線源 ① 3次元体系 ③ 検出器 放射線の発生 snowman.inp 実験体系 観察する [Title]  計算のタイトル [Parameters]  ヒストリ数・核データの定義など [Source]  線源の定義 [Material]  物質の定義 [Surface]  面の定義 [Cell]  容れ物の定義 [Volume]  容れ物の体積の定義 [T-Track]  飛跡の描画 [T-Deposit]  吸収線量の計算 ② 線源  放射線の発生 snowman.inp ① 3次元体系  実験体系 ③ 検出器  観察する Sections in Input file 4

本演習の流れ 雪だるま体系を作る 照射条件を調整する 雪だるまを溶かすために必要となる ビーム電流・出力を決定する Procedure 5

雪だるま体系の作成 方針 6 \phits\utility\rotate3dshow この実習で作成するジオメトリ 大小2つの雪玉にアルミプレートを乗せたシンプルなものとする 雪玉は,密度1g/cm3の水とする(温度の指定はしない*) アルミプレートは,小玉の上にピッタリと乗せる *温度は,低エネルギー中性子の挙動にのみ影響する 6

ステップ1:雪玉(大玉)を作る ヒント Step 1 7 大きい雪玉(半径20cm)を芯の周りに作る(中心 z = 0 cm) ジオメトリの描画はicntl = 8 原点を中心とした球面は”so 半径”で定義 元からあった半径5cmの球の領域と重ならない(二重定義を防ぐ)ように大玉の領域から半径5cmの球の領域を除く 大玉と真空が二重定義にならないよう真空から大玉の領域を除く 二重定義が出たら*_geo.outファイルをチェック Step 1 7

ステップ2:雪玉(小玉)を作る ヒント Step 2 8 小さい雪玉(半径15cm)を大きい雪玉の上に乗せる(中心 z = -25cm) z軸上を中心とした球面は”sz 中心z座標 半径”で定義 2つの雪玉が重なってニ重定義になってしまうので,小玉から大玉の領域を除く(もしくは逆でもよい) Step 2 8

ステップ3:アルミプレートを乗せる ヒント Step 3 9 [material]セクションでアルミ(Al)を定義する 半径10cm,厚さ4cmの円柱アルミプレートを作る(-40cm < z < -36cm) ヒント z軸に平行な円柱面は”cz 半径”で定義 z軸に垂直は平面は”pz z座標”で定義 アルミの密度は2.7g/cm3(重量密度で定義する場合は負値) 雪玉領域からアルミプレート領域を除くことにより雪玉に埋め込む Step 3 9

ステップ4:陽子ビームのエネルギーを調整する 陽子ビームのエネルギーを調整し,芯での吸収線量が最も大きくなるようにする (1MeV単位で調整する) ヒント 粒子輸送を実行するにはicntl = 0とする 入射エネルギーは[source]セクションのe0パラメータで決定 芯での吸収線量はdeposit.outで確認 陽子による吸収線量はブラッグピーク付近で最も高くなる Step 4 10

ステップ5:陽子ビーム電流を調整する 一般的な陽子線治療の電流値(10nA)で1秒間照射したときの芯での吸収線量(Gy)を計算しよう ヒント PHITSの計算結果は線源が1つ発生する当たりに規格化されている 複数の線源が発生する状況を模擬するには,[source]セクションのtotfact パラメータを変更する 1A(アンペア)は,1秒当たり1C(クーロン)の電流が流れる状態を表す 素電荷(陽子1つ当たりの電荷)は1.6x10-19Cとする maxcas, maxbchは計算精度(統計誤差)に関係する値で規格化とは無関係! 例) 陽子が100個発生した場合の吸収線量を計算する場合はtotfact = 100.0 Step 5 11

ステップ5の回答 Answer to Step 5 12 Totfactを変えるとスケールが変わることに注意 1アンペアで1秒照射するときの発生陽子数は 1.0 / 1.6E-19 = 6.25E18(個) 10nAで1秒照射するときの発生陽子数は 6.25E18 x 10 x 1E-9 = 6.25E10(個) Totfact = 6.25E10としたときの吸収線量は1.2845(Gy) (陽子293MeV入射の場合) Answer to Step 5 12

ステップ6:雪だるまの芯を溶かすために必要となる電流を計算する 雪だるまは-10℃の氷と仮定する 1秒間の陽子ビーム照射で一気に氷を0℃に加熱して溶かすために 必要なビーム電流(アンペア)及び出力(ワット)を手計算で求めよう ヒント 氷の比熱は0.5 (cal/g/K) = 2.1 (J/g/K)とする 氷の融解熱(相転移に必要な熱量)は333.5(J/g)とする 1Gy = 1(J/kg) = 0.001(J/g) *ビーム出力(MW)は粒子エネルギー(MeV)×電流(A) ちなみに… 国内最大出力を誇るJ-PARCの最大ビーム出力は約1MW 13 *厳密には加速電圧(MV) x 電流(A)

(詳細な回答は,answer\answer-snowman-jp.pptに書いています) ステップ6の回答 10nAで293MeV陽子ビームを1秒間照射したときの吸収線量は? 氷の温度を10K上昇させ,溶かすために必要な熱量は? 1秒間でその熱量を与えるために必要な電流は? このときのビーム出力は? 雪だるまを溶かすためには,1MW弱のビーム出力が必要となる (詳細な回答は,answer\answer-snowman-jp.pptに書いています) 現在の加速器技術では,雪だるまを溶かすのが精一杯 ガンダム級のビームライフル(一瞬でモビルスーツを爆破 する)を作るためには,まだまだ技術革新が必要! (ただし,長時間照射すれば金属も溶かせる) Answer to Step 6 14

まとめ 雪だるま体系を作り,それを陽子ビームで溶か すための最適な条件をPHITSで計算した 実際の条件を模擬するためには,totfactパラ メータを用いてタリー結果を再規格化する必要 がある Summary 15