2017/3/9 坂巻 顕太郎(横浜市立大学) 田嶋 幸聖(中外製薬) ○長島 健悟(千葉大学) 吉田 瑞樹(ファイザー)

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2017/3/9 坂巻 顕太郎(横浜市立大学) 田嶋 幸聖(中外製薬) ○長島 健悟(千葉大学) 吉田 瑞樹(ファイザー) 競合リスクを考慮した解析 2017/3/9  坂巻 顕太郎(横浜市立大学)  田嶋 幸聖(中外製薬) ○長島 健悟(千葉大学)  吉田 瑞樹(ファイザー)

本セッションでのカバー範囲 競合リスクの解析手法には様々なものがある 主要な教科書に記載がある解析手法が対象 特にモデルによる解析の解釈可能性に焦点を当てる Cause-specific proportional hazards (PH) models (Andersen, et al., 1993) 原因別ハザードに対する比例ハザードモデル Fine-Gray models (Fine & Gray, 1999) 部分分布ハザードに対する比例ハザードモデル

競合リスクモデルの解釈可能性 原因別・部分分布ハザードの解釈可能性に着目し, 競合リスクモデルの解釈について議論したい 原因別・部分分布ハザードの解釈可能性に着目し, 競合リスクモデルの解釈について議論したい ハザード比の推定は有益? 本セッションでは各手法の特性を概説し,適用経験等 の情報共有し, どのような形で利用できるのかを整 理したい

競合リスク イベントタイプが複数存在する場合の推測に関連した問題 競合リスク (competing risk) あるイベントが発現すると, 別のイベントが観測できなく なる場合 あるイベントが発現すると, 別のイベントの発現確率を変 化させる場合も競合リスクとすることがある (西川, 2008) 準競合リスク (semi-competing risk; Fine, et al., 2001; Biswas, et al., 2008) 終了イベント (terminal event) が発現すると, 非終了イベン ト (non-terminal event) が観測できなくなるが, 非終了イベ ントが発現しても, 終了イベントの発現は観察可能な場合

例:競合リスク 原因別死亡を考える場合 特定のがんによる死亡とそれ以外による死亡など, 原因別 の評価を考えるときにも競合リスクの問題が生じる 特定のがんにより死亡すると, それ以外の原因で死亡は原 理的に観察できない 特定のがんによる死亡のリスクを評価しようとすると, それ 以外の原因で死亡による影響が関連する 競合リスクの問題では競合イベントの影響を考慮した評価 が必要となる点が根本にある 生存 がん死亡 その他死亡

記号の定義 𝑇 𝑖𝑘 :群𝑘の𝑖番目の個体のイベント発生時間 (𝑖=1,…, 𝑛 𝑘 ), 𝑈 𝑖𝑘 :打切り時間 𝑇 𝑖𝑘 :群𝑘の𝑖番目の個体のイベント発生時間 (𝑖=1,…, 𝑛 𝑘 ), 𝑈 𝑖𝑘 :打切り時間 𝛿 𝑖𝑘 :イベントの種類 ( 𝛿 𝑖𝑘 =0,1,…,𝐽; 0は打切り) 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 = Pr 𝑇 𝑖𝑘 ≤𝑡, 𝛿 𝑖𝑘 =𝑗 :部分分布関数; Cumulative Incidence function; CIF 原因𝑗のイベントが時間𝑡までに発現する確率 𝐹 𝑗𝑘 ∞ = Pr 𝛿 𝑖𝑘 =𝑗 :イベント𝑗による死亡確率 𝐹 𝑘 𝑡 = 𝑗 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 𝑓 𝑗𝑘 𝑡 =d 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 /d𝑡:部分密度関数 ( 𝐹 𝑗𝑘 , 𝑓 𝑗𝑘 の連続性を仮定) 𝑆 𝑘 𝑡 = Pr 𝑇 𝑖𝑘 >𝑡 =1− 𝐹 𝑘 𝑡 :群𝑘の生存関数

原因別ハザード 原因別ハザード (cause-specific hazards) 𝜆 𝑗𝑘 𝑡 = 𝑓 𝑗𝑘 𝑡 𝑆 𝑘 𝑡 = d 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 /d𝑡 1− 𝐹 𝑘 𝑡 時間𝑡まで生存していたときに, 次の瞬間に原因𝑗による イベントが起こる率 これは興味のあるイベント以外を打ち切りとみなしたハ ザードに等しい ⇒ ある意味で競合リスクの影響を無視 通常 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 との対応なし ( 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 ≠ 0 𝑡 𝜆 𝑗𝑘 𝑢 1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑢 d𝑢 ) 1980年代以前はこちらをベースにした推測手法が一般的 だった模様 (Prentice, et al., 1978) 競合リスクなし ℎ 𝑡 =𝑓 𝑡 /𝑆 𝑡 d𝐹 𝑡 =ℎ 𝑡 𝑆 𝑡 d𝑡

部分分布ハザード 部分分布ハザード (subdistribution hazards) 𝛾 𝑗𝑘 𝑡 = 𝑓 𝑗𝑘 𝑡 𝐺 𝑗𝑘 𝑡 = d 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 /d𝑡 1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 = −d log 1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 d𝑡 𝐺 𝑗𝑘 𝑡 =1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 CIFベースのハザード 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 = 0 𝑡 𝛾 𝑗𝑘 𝑢 1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑢 d𝑢 イベント𝑗の死亡確率にも対応 𝐹 𝑗𝑘 ∞ = Pr 𝛿 𝑖𝑘 =𝑗 イベント𝑗の死亡確率ベースの率 (のような) 指標 時間𝑡までイベント𝑗が起きておらず, 次の瞬間にイベン ト𝑗が起こる率

例:原因別ハザードと部分分布ハザード 原因別ハザード 𝜆 𝑗𝑘 𝑡 が全て定数の場合 例:原因別ハザードと部分分布ハザード 原因別ハザード 𝜆 𝑗𝑘 𝑡 が全て定数の場合 イベント1 𝜆 11 𝑡 =3 𝜆 12 𝑡 =2 𝐹 11 𝑡 = 1− 𝑒 6𝑡 /2 𝐹 12 𝑡 =2 1− 𝑒 3𝑡 /3 イベント2 𝜆 21 𝑡 =3 𝜆 22 𝑡 =1 𝐹 21 𝑡 = 1− 𝑒 6𝑡 /2 𝐹 22 𝑡 = 1− 𝑒 3𝑡 /3 𝜆 11 𝑡 > 𝜆 12 𝑡 なのに 𝑡> log 3 /3では 𝐹 12 𝑡 > 𝐹 11 𝑡

二つのハザード 二つのハザードは分母が若干違うだけの様に見えるが, 大き く異なる指標 二つのハザードは分母が若干違うだけの様に見えるが, 大き く異なる指標 𝜆 𝑗𝑘 𝑡 = d 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 /d𝑡 1− 𝐹 𝑘 𝑡 イベント発生率の指標 (競合リスクがない場合と同じ解釈) 𝛾 𝑗𝑘 𝑡 = d 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 /d𝑡 1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 = 𝜆 𝑗𝑘 𝑡 1− 𝐹 𝑘 𝑡 1− 𝐹 𝑗𝑘 𝑡 (競合イベントを考慮した) 考慮したイベント発生率 (の様 な) 指標 競合リスクがない場合は𝜆と𝐹が対応するが…

よく知られている問題点 競合リスク間の独立性が仮定できなければ, 原因別ハザード タイプのKaplan–Meier推定量は興味のあるイベントの発生率 を過大推定 CIFの推定やCIFの群間比較が提案された CIFの一致推定量 (Aalen, 1978) 部分分布ハザードの重み付き和に基づく検定 (Gray, 1988) 二群の場合, 帰無仮説のもとで 𝜎 −1 𝜏 0 𝜏 𝐿 𝑡 𝑅 1 𝑡 + 𝑅 2 (𝑡) 𝑅 1 𝑡 𝑅 2 (𝑡) 𝐺 11 −1 𝑡− d 𝐹 11 𝑡 − 𝐺 12 −1 𝑡− d 𝐹 12 𝑡 → 𝒟 𝑁 0,1 通常log-rank型の重み (𝐿 𝑡 =1) の場合をGray's testと呼 ぶ log-rank統計量 𝑉 −1/2 𝜏 0 𝜏 𝑌 1 𝑡 + 𝑌 2 𝑡 𝑌 1 𝑡 𝑌 2 𝑡 𝑆 1 −1 𝑡− d 𝐹 1 𝑡 − 𝑆 2 −1 𝑡− d 𝐹 2 𝑡

競合リスクモデルによる解析 モデル解析の目的 共変量による調整 ハザード比の推定 競合リスクの状況においてもモデルを用いた解析は よく行われる

Cause-specific PH (CSPH) models 古典的な方法 原因別比例ハザードモデル 興味のあるイベント以外を全て打ち切りとして扱い, Cox の比例ハザードモデルを当てはめる手法 問題点 CIFとの対応がない = イベント𝑗の発生率の指標にはなる が, 死亡確率の指標にはならず 原因別ハザードに対する共変量の影響と, 部分分布ハ ザードに対する共変量の影響は全く異なる可能性がある (Gray, 1988; Pepe, 1991)

Fine-Gray models (Fine & Gray, 1999) 先述の問題点に対する方法の一つ 部分分布に対する比例ハザードモデル (subdistribution PH models) CIFに対する推測を回帰モデルに拡張 モデル: 𝛾 𝑗 𝑡 に比例ハザード型の回帰構造を導入 𝛾 𝑗 𝑡 = −d log 1− 𝐹 𝑗 𝑡 d𝑡 = 𝛾 𝑗0 𝑡 exp 𝛃 𝑡 𝐙 :積分・変形すると log − log 1− 𝐹 𝑗 𝑡 = log Γ 𝑗0 𝑡 + 𝛃 𝑡 𝐙 IPCW法 (Robins & Rotnitzky, 1992) を適用した重み付きの マルチンゲール推定方程式を用いた回帰パラメータの推定 量 𝛃 (一致性と漸近正規性) と累積部分分布ハザード関数の Breslow型推定量を提案 (Fine & Gray, 1999)

みなさまの経験は?【N = 】 Cause-specific PH models 【n = 】 Fine-Gray models 【n = 】 CIF 【n = 】 Gray's test 【n = 】 その他 【n = 】 どのようなときに用いるか? モデル解析に関連した疑問等はありますか?

部分分布ハザードの解釈 Andersen & Keiding (Stat Med 2012) 競合リスクのない比例ハザードモデルではrisk, 𝐹(𝑡), とrate, 𝜆(𝑡), が一対一対応する ハザード関数は生存率, 𝑆 𝑡 =1−𝐹(𝑡), とリンクする 競合リスクがある場合は 𝐹 𝑗 (𝑡)と 𝜆 𝑗 (𝑡)は一対一対応せず 例 (イベント2種): 𝐹 𝑗 𝑡 を求めるためには 𝜆 1 𝑡 , 𝜆 2 𝑡 の両方が 必要 𝐹 𝑗 𝑡 = 0 𝑡 exp − 0 𝑢 𝜆 10 𝑥 exp 𝛂 𝑡 𝐙 + 𝜆 2 𝑥 d𝑥 𝜆 10 𝑢 exp 𝛂 𝑡 𝐙 d𝑢   𝜆 10 ,𝛂:CSPHモデルの基準ハザード, 回帰パラメータ

部分分布ハザードの解釈 直接リンクしない理由: log − log 1− 𝐹 𝑗 𝑡 を基礎としたモ デルであるため log − log 1− 𝐹 𝑗 𝑡∣𝐙 = log Γ 𝑗0 𝑡 + 𝛃 𝑡 𝐙 Fine-Gray modelsのハザード比は, Coxの比例ハザードモデル のハザード比とは似て非なるものである 𝛃のみで定量的な解釈は困難 (部分分布に基づくため一般的 な率の指標とは異なってくる) 定性的な解釈は可能:このデータにおいて調整した 𝐹 𝑗 が群 間で異なるかどうか 競合リスクの影響:𝛃が同じ値のモデルであっても, 𝐹 𝑗 に同 じ大きさの差があるとは限らない

Dignam, et al. (Clin Cancer Res 2012) CSPHモデルとFine-Gray (FG) モデルをシミュレー ションによって評価 二変量指数分布の乱数 (独立・非独立な競合リスク の場合) を生成

独立な場合 Scenario Group 1 ( 𝜆 𝑗1 ) Group 2 ( 𝜆 𝑗2 ) 𝜆 𝑗2 / 𝜆 𝑗1 HR (group 2 / group 1) CSPH FG Scenario 1 Event 1 1.00 0.993 (0.731-1.349) 0.994 (0.737-1.343) Event 2 1.000 (0.736-1.359) 1.003 (0.743-1.355) Scenario 2 0.50 2.00 2.013 (1.428-2.839) 1.794 (1.286-2.503) 0.999 (0.750-1.331) 0.750 (0.567-0.991) Scenario 3 2.002 (1.451-2.763) 1.291 (0.956-1.742) 2.003 (1.452-2.762) 1.292 (0.958-1.744) Scenario 4 2.002 (1.441-2.802) 1.555 (1.133-2.135) 0.75 1.33 1.333 (0.988-1.799) 0.939 (0.704-1.251)

独立でない場合 Scenario Group 1 ( 𝜆 𝑗1 ) Group 2 ( 𝜆 𝑗2 ) 𝜆 𝑗2 / 𝜆 𝑗1 HR (group 2 / group 1) CSPH FG Scenario 1 Event 1 1.00 1.006 (0.725-1.395) 1.006 (0.730-1.387) Event 2 0.999 (0.720-1.385) 0.998 (0.724-1.375) Scenario 2 0.50 2.00 3.200 (2.083-4.914) 3.097 (2.039-4.704) 0.789 (0.588-1.058) 0.570 (0.428-0.760) Scenario 3 1.997 (1.416-2.816) 1.337 (0.971-1.840) 2.014 (1.427-2.842) 1.350 (0.981-1.859) Scenario 4 2.585 (1.762-3.791) 2.132 (1.480-3.070) 0.75 1.33 1.130 (0.830-1.538) 0.793 (0.589-1.067)

結果 CSHPモデル 独立な場合は原因別ハザード比を正しく推定できる 独立でない場合は正しく推定できない場合もある 𝜆 𝑗 𝑡 は正しく特定できていれば通常のリスクの発症率と同 じ解釈が可能 FGモデル 特に情報はないが, 一致推定量なので真値に近い値になっ ていると思われる

文献上での推奨等 Lau, et al. (Am J Epidemiol 2009) 目的に応じた使い分けをすべき; CSPHはリスク因子や原因 の分析に向く, FGは群間のイベント発現確率の分析に向い ている Latouche, et al. (J Clin Epidemiol 2013) すべてのイベントごとにcause-specific PH modelsによる解 析結果とCIFを示すことを推奨 Dignam, et al. (Clin Cancer Res 2012) 解析目的を達成できる適切な方法を使うべき Austin & Fine (Stat Med 2017) Lau, et al. を引用し使い分けを推奨

使い方と解釈をどのようにしたらよいだろうか? どのようなときにどの手法を使えると思いますか? CSPHモデル Fine-Grayモデル 1 – Kaplan–Meier推定量 CIFの推定 Gray's test その他

メモ 下記URLで補足資料を掲載予定です http://nshi.jp/contents/stat/dsrt4th/

参考文献 Andersen PK, Borgan Ø, Gill RD, Keiding N. Statistical Models Based on Counting Processes. Springer, 1993, pp. 512–515. Andersen PK, Keiding N. Interpretability and importance of functionals in competing risks and multistate models. Stat Med 2012; 31(11–12): 1074–1088. Dignam JJ, Zhang Q, Kocherginsky M. The use and interpretation of competing risks regression models. Clin Cancer Res 2012; 18(8): 2301–2308. Fine JP, Gray RJ. A proportional hazards model for the subdistribution of a competing risk. JASA 1999; 94(446): 496–509. Gray RJ. A class of K-sample tests for comparing the cumulative incidence of a competing risk. Ann Stat 1988; 16: 1141–1154. Latouche A, et al. A competing risks analysis should report results on all cause-specific hazards and cumulative incidence functions. J Clin Epidemiol 2013; 66(6): 648–653. Lau B, Cole SR, Gange SJ. Competing risk regression models for epidemiologic data. Am J Epidemiol 2009; 170: 244–256. Pepe MS. Inference for events with dependent risks in multiple endpoint studies. JASA 1991; 86(415): 770– 778. Robins JM, Rotnitzky A. Recovery of information and adjustment for dependent censoring using surrogate markers. In AIDS Epidemiology-Methodological Issues. Jewell N, Dietz K, Farewell V (eds.). Boston: Birkhauser, 1992, pp. 24–33. Austin P, Fine JP. Accounting for competing risks in randomized controlled trials: a review and recommendations for improvement. Stat Med 2017. In press. 西川正子.生存時間解析における競合リスクモデル. 計量生物学 2008; 29(2): 141–170.

付録:記号の定義の補足 𝑅 𝑘 𝑡 =𝐼 𝜏 𝑘 ≥𝑡 𝑌 𝑘 𝑡 𝐺 1𝑘 / 𝑆 𝑘 𝑡− 𝜏 𝑘 :群𝑘の最大非打切り時間 𝑅 𝑘 𝑡 =𝐼 𝜏 𝑘 ≥𝑡 𝑌 𝑘 𝑡 𝐺 1𝑘 / 𝑆 𝑘 𝑡− 𝜏 𝑘 :群𝑘の最大非打切り時間 𝑌 𝑘 𝑡 :群𝑘の時点𝑡のリスク集合のサイズ 𝑆 𝑘 𝑡− :群𝑘の時点𝑡のKM推定量の左極限