肺炎診断の最新知見と ガイドラインに基づく治療戦略 ~カルバペネム系抗菌薬を中心に~

Slides:



Advertisements
Similar presentations
米国の外来呼吸器感染症での抗菌薬投与状況 抗菌薬投与率 普通感冒 5 1% 急性上気道炎 52% 気管支炎 6 6% 年間抗菌薬総消費量 21% 【 Gonzales R et al : JAMA 278 : ,1997 】
Advertisements

第8回Gunma Lipid Forum 『多くのエビデンスが証明する Small Dense LDLコレステロール測定の重要性』
1.臨床大学院コース 3 4 5 6 7 8 9 10 後期専門研修 大学院 2.臨床専門コース 3 4 5 6 7 8 9 10
GINA世界喘息デーin和歌山2014 市民公開講座のお知らせ 「こどもの喘息」 佐藤 洋一先生 中川 武正先生 「おとなの喘息」
医政指発1219第1号 平成26年12月19日 「医療機関における院内感染対策について」 概要と0617号からの変更点
第12回京都のがん薬物療法を熱く語る会 日 時 :平成27年10月1日(木) 19:00~ 会 場 :メルパルク京都 6階 会議室C
第6回 新潟県感染制御専門薬剤師育成のための講習会
第2回 病院内で行う抗がん剤・放射線治療時の口腔ケア
※講演会終了後、立食を伴う意見交換会をご用意しております。
がんと就労 資料1 山内班計画 がん診療連携拠点病院等 【課題】 【課題】 就労や職場の現状、法律に関する知識なし
前立腺癌 Expert Meeting in Mie
共催 : がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン ・ 帝京がんセンター ・ 塩野義製薬株式会社
開 催 の ご 案 内 山形大学医学部附属病院看護部 記 平成27年度「がん看護」研修 【事前申し込み・お問合せ先】
「三重県におけるがん生殖医療と高度生殖医療センターの役割」 「分子標的薬の副作用マネジメントについて」
愛知県統一がん地域連携パス プロジェクト ~がんの地域連携確立にむけて~
徳島大学大学院特別講義 ~臨床栄養管理学Ⅰ~ テーマ:『がんと栄養』
~第9回福島県糖尿病療養指導士会セミナー~ 2015年コメディカルのための糖尿病看護セミナー
広島感染制御薬剤師セミナー 基礎コース 『 グラム陰性菌感染症の臨床 』 日時 : 2015年 6月 27日(土) 14:00~17:30
~化学療法レジメン情報を患者指導に活かすために~
益田市医師会学術講演会 製品紹介 ●特別講演 座長: 益田赤十字病院 第三内科 副部長 高瀬 裕史 先生 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
治療法は主に手術、薬物療法、放射線治療があります。
第5回京都がんリハビリテーション研究会 ◇日時: 平成24年 6月30日(土) 15:00-17:30
群馬糖尿病up to date 2015 村上 正巳 先生 四方 賢一 先生 群馬大学大学院医学系研究科 臨床検査医学 教授
先天性心疾患セミナーイン岡山 7/19 一日で先天性心疾患を網羅する (日) 昼 食 12:20-13: 年
大阪府高齢者保健福祉計画推進審議会専門部会 委員候補(案)
7大学連携先端的がん教育基盤創造プラン主催
第6回徳島GMラウンド 演題:血液ガス異常・電解質異常 徳島県地域医療支援センター『総合診療の指導力育成事業』
千葉大学医学部附属病院【病院セミナー室3】 千葉市中央区亥鼻1-8-1
日本脳卒中協会共同事業 Care AFプロジェクト
場 所:堂島アバンザ14階(協和発酵キリン株式会社 会議室)
大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)について
2nd Primary Care Academy
高尿酸血症と心腎連関セミナーin岡山 『 糖尿病とinnate immunity -尿酸の病態への関与- 』 『慢性腎臓病における
廣島総合病院 臨床研修プログラム 月 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 一年次 二年次 内科① 内科② 救 急 選択必修
第9回ハイリスクリウマチ膠原病ネットワークセンター 学術講演会のご案内
第9回OKAYAMAリウマチネットワーク研究会 * * * * * * * 【休憩】 20:00-20:15 * * * * * * *
第2回 徳島GMラウンド 徳島県地域医療支援センター 「総合診療の指導力育成事業」
第11回京都のがん薬物療法を熱く語る会 日 時 :平成27年 4月16日(木) 19:00~
21世紀のがん対策 大学院 大学病院 腫瘍センター 人材の輩出 「がん対策基本法」 予防・早期発見、がん医療の均てん化、臨床研究の推進
「地域総活躍社会のための慢性疼痛医療者育成」コース
「国内の小児における肺炎球菌莢膜血清型の疫学的検討」 に参加しています。
第48回日本神経学会 PZZ-301 神経学資源の国内分布 池田正行1) 2) mail adresss goo
糖尿病治療における次のstageを考える
緩和ケアチームの立ち上げ ー緩和ケア医の立場からー
腎・膠原病内科でのキャリア オール新潟(大学基幹)内科専門研修の場合
呼吸器新聞 伊賀・名張地区薬剤師学術研究会 三重肺癌講演会 2017 肺癌学術講演会 日本総合健診医学会第45回大会
マンモグラフィ検診を受けよう 「かるぽーと」 高知市九反田2-1 入場無料 2009年 3月 21日(土) 市民公開講座
グリフィスの実験 フレデリック・グリフィス(英:1879 – 1941).
第466回苫小牧市医師会学術講演会 南野 徹 先生 「老化からみた糖尿病の治療戦略を考える」
臨床栄養学オープンカレッジ ~徳島大学大学院開放講義~ テーマ:『がんと栄養』
※会終了後、情報交換会を予定しております。 共催:大分プライマリ・ケア道場/株式会社ツムラ
途中、企業展示見学の時間を設けています。
共催:千葉県リウマチ科医会 第一三共株式会社
途中、企業展示見学の時間を設けています。
*講演会終了後、情報交換会を予定しております。
眉山学術シンポジウム 「 新しい生理活性ペプチドの発見とその生理的意義 」 「 心血管内分泌代謝と臨床研究 」
消化器内科研修カリキュラム 2年間 初期臨床研修 3年間 消化器専門関連施設での研修 6年目以降 更に専門病院での技術習得
オンライン卒後臨床研修評価システム EPOC (Evaluation system of Postgraduate Clinical Training) について 国立大学医学部附属病院長会議常置委員会 教育研修問題小委員会EPOC運営委員会.
合成抗菌薬 (サルファ剤、ピリドンカルボン酸系)
国立大学附属病院長会議 常置委員会 歯科医師臨床研修問題ワーキングチーム座長 東京医科歯科大学歯学部附属病院 歯科臨床研修センター
日本産業衛生学会専門医になるまでの過程(新)
北海道大学病院 がん遺伝子診断部 ☎ (FAX; 7099)
受付の混乱を防ぐためe医学会カードを必ずお持ちくださいますようお願い申し上げます。
第1回 四国薬学教育改革 研究発表会 ライブ配信による ◆ 日時:平成31年1月13日(日) 10時~12時
三重大学医学部附属病院 総合診療部 竹村 洋典
がん患者さんをどのように サポートするか? 日程 時間 場所 11/25(日) 第1部 10:00~ 第2部 13:00~
特別支援教育総合推進事業 特別支援教育 推進員 高等学校 1(新)特別支援教育総合推進事業【4,752千円】 県教育委員会 特別支援学校
『 関節リウマチのトータルマネージメント 』
第19回 関東ホルモンと癌研究会 ホルモンと癌治療最前線
キックオフセッション これまでの成長 -キャリア・人生の歩みは十人十色-
Presentation transcript:

肺炎診断の最新知見と ガイドラインに基づく治療戦略 ~カルバペネム系抗菌薬を中心に~ 実践に役立つ感染症講座 1:呼吸器感染症 2015年5月28日(木) 19:00~20:00 肺炎診断の最新知見と ガイドラインに基づく治療戦略 ~カルバペネム系抗菌薬を中心に~ 迎 寛 産業医科大学医学部 呼吸器内科学 教授      先生  肺炎は、死亡者数が年間約12万人を超え、2011年には遂に本邦での死亡原因の第3位となった。今後も社会の高齢化に伴い肺炎の死亡率はさらに増加するものと予想される。現在、日本呼吸器学会から「市中肺炎」と「院内肺炎」、「医療・介護関連肺炎」の3つの診療ガイドラインが策定されている。  どのカテゴリーの肺炎においても、原因菌の把握が重要であり、各肺炎ガイドラインにおいてもこれまで行なわれてきたグラム染色、細菌培養、尿中抗原検索などが推奨されている。しかし、これらの既存の方法を用いても30-40%の症例では原因菌が不明であり、培養を中心とした既存法では満足いくものではない。我々は、本学微生物学教室と共同で16S rRNA遺伝子を用いた網羅的細菌叢解析法という新しい手法を用いて市中肺炎、医療・介護関連肺炎における原因菌調査を行ってきた。その結果、これまで既知の原因菌に加えて、嫌気性菌や口腔内細菌(特にレンサ球菌)がこれらの気道感染の原因として重要な役割を果たしている可能性が示めされている。また、耐性菌を考慮すべき医療・介護関連肺炎や院内肺炎では、喀痰からMRSAが検出された肺炎において、細菌叢解析の結果から約3分の2がコロニゼーションである可能性が示唆され、実際に抗MRSA活性を有しない抗菌薬で治療可能であった。治療に関しては肺炎の入院治療において特に重症例や院内肺炎例は、カルバペネム系抗菌薬を中心とした治療が多くなされているが、カルバペネム系薬のうち一剤に使用が偏ることは耐性菌出現率の上昇の問題もあり、注意が必要である。また、カルバペネム系抗菌薬では高用量投与が有効である症例も多い。  本講演では、細菌叢解析法のデータを含めて肺炎診断の最新知見を紹介し、カルバペネム系薬を中心にガイドラインに基づく治療戦略について概説する。 【略歴】 【学会活動 等】 1985年 長崎大学医学部卒業 長崎大学医学部第二内科医員(研修医) 1993年 宮崎医科大学第三内科助手 1997年 カナダブリティッシュコロンビア大学 Pulmonary Research Laboratory 留学 1999年 宮崎医科大学第三内科復職 2001年 長崎大学医学部第二内科併任講師 2003年 長崎大学医学部・歯学部附属病院 呼吸器内科講師 2007年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 准教授 2009年 長崎大学病院呼吸器内科診療科長事務取扱 産業医科大学医学部呼吸器内科学 教授 日本内科学会(認定医) 日本呼吸器学会(代議員・専門医・指導医) 日本呼吸器内視鏡学会(評議員・専門医・指導医) 日本感染症学会(評議員・専門医・指導医) 日本結核病学会(理事・評議員・指導医) 日本肺癌学会(九州支部評議員) 日本化学療法学会(評議員・西日本支部幹事) 日本臨床生理学会評議員(評議員) 日本臨床微生物学会会員、日本環境感染症学会会員、 日本アレルギー学会会員、日本サルコイドーシス学会会員 European Respiratory Society(ERS)、American Thoracic Society(ATS)、The American College of Chest Physicians(ACCP) 開催場所: 徳島大学病院 がん診療連携センター会議室