CTA報告19: CTA時代におけるSNR研究

Slides:



Advertisements
Similar presentations
硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
Advertisements

2013 年度課題研究 P6 Suzaku によるガンマ線連星 LS I の観測データの解析 2014 年 02 月 24 日 種村剛.
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
京都大学理学研究科物理第2 宇宙線研究室 中森 健之
高原文郎(大阪大学) 2010年11月16日 宇宙線研研究会
SNRから逃げた 宇宙線電子からの放射 内容
X線による超新星残骸の観測の現状 平賀純子(ISAS) SN1006 CasA Tycho RXJ1713 子Vela Vela SNR.
星間雲からのガンマ線放射 福井康雄 名古屋大学 南半球宇宙観測研究センター 東京大学宇宙線研究所 2010年 11月16-18日.
論文紹介06: 最近のγ線観測とGLASTとの関連
山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
ガンマ線連星LS 5039におけるTeVガンマ線放射とCTA
三原建広(理研)、林田清(阪大)、郡司修一、門叶冬樹(山形大理)
100KeV以上のeventのHXRと電波の power-law indexの比較 NSRO
GRB 観測 相対論的 Jet の内側を探る 金沢大学 米徳 大輔、村上敏夫 今日のトピックは Inverse Compton
ガンマ線バースト (GRBs) ガンマ線で明るい ( keV) スパイク状の強度変動 継続時間の長いもの短いもの click
エマルションチェンバーによる 高エネルギー宇宙線電子の観測
○山口 弘悦、小山 勝二、中嶋 大(京大)、 馬場 彩、平賀 純子(理研)、 他 すざくSWGチーム
すざく衛星によるTeV γ線天体HESS J の観測 --dark accelerator?--
パルサー星雲を伴うパルサーの 回転進化について 田中 周太 大阪大学 宇宙進化グループ D2 共同研究者 高原 文郎
信号電荷の広がりとデータ処理パラメータの最適化
信川 正順、小山 勝二、劉 周強、 鶴 剛、松本 浩典 (京大理)
超新星残骸から 逃走した宇宙線(e- , p) 大平 豊 高エネルギー加速器研究機構(KEK) 内容 SNRから逃走した宇宙線
内山 泰伸 (Yale University)
Taurus-Auriga association
Astro-E2 Ascent Profile
Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造
巨大電波銀河 3C 35 の「すざく」による観測 磯部直樹 (京都大学, kyoto-u. ac
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
「すざく」によるHESS J の観測 --dark accelerator?--
ULXはIMBHか? 系内BHBと同じ状態をとるのでは? HR diagram of XTE J Rin=const.
「すざく」衛星と日本のX線天文学 July 10, 2005
高エネルギー天体グループ 菊田・菅原・泊・畑・吉岡
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
FermiによるGRB観測を受けて CTAに期待すること
X線天文衛星「すざく」による HESS未同定天体の観測
RXJ1713方向分子雲の 高感度サブミリ波観測 洞地 博隆 名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理系
天体プラズマの落とし穴 先入観は落とし穴を好む?
Fermi Bubble における粒子加速の時間発展と放射の空間依存性
Fermi Bubble における粒子加速の時間発展と放射の空間依存性
エマルションチェンバーによる高エネルギー 宇宙線電子及び大気ガンマ線の観測
暗黒加速器とパルサー風星雲 --HESSJ とPSR
宇宙線東西効果を利用した 電子―陽電子選別
S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
「すざく」搭載XISのバックグラウンド ――シミュレーションによる起源の解明
ーラインX線天文学の歴史と展望をまじえてー
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
宇宙粒子線直接観測の新展開 柴田 徹 青学大理工 日本物理学会高知(22/Sep./2013).
ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
Mixed Morphology (MM) SNR が予感するSNR研究の新展開
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
村瀬孔大(オハイオ)・Bing Zhang (Nevada)
LMXB の統一描像 NS-LMXB の簡単な描像
シンクロトロン放射・ 逆コンプトン散乱・ パイオン崩壊 ~HESS J は陽子加速源か?
高地におけるγ線エアシャワー地上観測のシミュレーション
ASTRO-E2搭載CCDカメラ(XIS)校正システムの改良及び性能評価
シェル型の超新星残骸G からの非熱的X線放射の発見
電離圏イオン流出現象 山田学,渡部重十(北大・理) プラズマ圏・内部磁気圏研究会(2002/03/13)
BH science for Astro-E2/HXD and NeXT mission
Smile simulation 黒澤計算 ver 1.2 (Crab ・ Cyg X-1)
巨大電波銀河 3C 35 の 「すざく」による観測 磯部 直樹(京都大学,
GRBから期待される ガンマ線光度曲線 浅野勝晃(東工大).
すざく衛星によるSgr B2 分子雲からのX線放射の 時間変動の観測
ローブからのX線 ~ジェットのエネルギーを測る~
Presentation transcript:

CTA報告19: CTA時代におけるSNR研究 日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月19日 CTA報告19:  CTA時代におけるSNR研究 吉田龍生A ,井岡邦仁A,大平豊A,片桐秀明, 馬場彩B,藤田裕C,山崎了B, 他CTA-Japan Consortium 茨城大理A 、KEK素核研A,青学大理工B,阪大理C

ガンマ線によるSNR研究の現状 「シェル型SNRは、宇宙線加速源か?」 という問題に定量的な答えを求めて、進展中   という問題に定量的な答えを求めて、進展中   現状1)SNRの数は、他の種類の銀河系内ガンマ線源        の数と比べると支配的とは言えない。      2)ガンマ線の放射機構が、陽子起源なのか、        電子起源なのか、決定的なことが言えて        いない。      3)物理パラメータの不定性がまだ大きい。        ・電子数と陽子数の比        ・加速粒子の最高エネルギー        ・加速効率        ・拡散係数(乱流磁場の大きさ)        ・SNRの進化段階

VHE (TeV) γ SNRのソース数 ・SNRの数は、 全体の20% PWN 21 4 25 Shell 10 SNR/分子雲 3 6 TeVCat Ver.3.400 Default Catalog Newly Announced Total PWN 21 4 25 Shell 10 SNR/分子雲 3 6 星形成領域 2 5 Binary DARK 1 unID 24 28 64 15 79 ・SNRの数は、 全体の20% (DARK: Forbidden Velocity Wing)

GeV γ SNR : LAT 2FGL Source Classes (2011) ・middle-aged (~104 yr) SNRs 分子雲と相互作用: W28, W30, W44, W49B, W51C, IC 443, CTB 37A 分子雲と相互作用なし: Cygnus Loop ・Young (~103 yr) SNRs   RX J1713.7-3946, RX J0852.0-4622, Cas A, Tycho 赤字はTeVソース

GeV γ SNR : middle-age ~104 yr W28 W51C W44 IC 443 Cas A ・GeV領域で明るい  Lγ~1035-36 erg/s ・1~10 GeV  で折れ曲がり ・分子雲との相互作用 ・電波の広がりと  ほぼ同じ程度の広がり (Uchiyama 2011)

W30 region G8.7-0.1 + HESS J 1804-216(unID)                                                       宇宙線の拡散によるスペクトルの折れ曲がり (Abdo 2011)

陽子 or 電子 ? RX J 1713.7-3946 >0.3TeV + 4GeV~0.4TeV spectral index Hard: Γ=1.50±0.11 (Abdo 2011)

CTA時代のSNR研究 「シェル型SNRは、宇宙線加速源か?」 にどこまで定量的に迫ることができるか。    にどこまで定量的に迫ることができるか。     現状1)   感度10倍で、銀河中心(現在、3kpc)程度まで         系統的探査に探査を行う。  2)  広いエネルギー領域 (20GeV~100TeV)で、かつ、      エネルギー分解能を上げ、スペクトルを精密に測定する。   3) よい空間分解能で、他波長観測との比較が容易になる。         宇宙線の拡散過程を精密に測定する。 現在のIACT CTA 感度(Crab flux ) 0.01 0.001 エネルギー分解能 ( @1 TeV ) 20% 10% エネルギー閾値 (GeV) 50GeV 20GeV 空間分解能 (@1TeV) 6分 2分

1mCrabの感度があれば… ・SNRから期待される陽子起源の TeV gamma-ray flux (1Crab(>1TeV)=5.1x10-11 TeV cm-2s-1                   Aharonian et al. A&A 457, 899-915, 2006)

望遠鏡の配置 B, C, E 低エネルギー 領域に感度を 最適化 高エネルギー 領域に感度を 最適化 全エネルギー 領域に感度を 最適化 〜CTA目標感度

望遠鏡の配置と感度(5σ in 50h) 天頂角 50° B E C

CTAでどこまで迫れるか? RX J1713スペクトル ( >0.33 TeV )を仮定 best fit : β=0.5 (fixed), Γ=1.79, EC =3.7 TeV       距離 @ 1kpc @ 8kpc flux: 1/64 ~ 1%Crab flux size: 1/8 ~ 0.1°  距離 @ 1kpc        @ 2kpc, EC = 0.2 ~ 3.7 TeV Study A: 系統的探査 Study B: スペクトル 精密測定

Study A:系統的探査 >0.3 TeV の significance ・どの配置、天頂角でも、十分なsignificanceで                            >0.3 TeV の significance E: 天頂角 20°,観測時間 50 h 天頂角 20° 50° B 18 σ 13 σ C 20 σ 10σ E 14σ Crab RX J1713 ×1/64 ・どの配置、天頂角でも、十分なsignificanceで  検出可能   十分な感度で系統的探査が可能 ・大きさが~0.1°となるので、空間構造を分解する  のが困難   電波やX線のデータは必須 

Study B: スペクトル精密測定 E: 天頂角 50°,観測時間50 h B C E EC = 0.5 TeVの場合のfitting結果                            E: 天頂角 50°,観測時間50 h EC = 0.5 TeVの場合のfitting結果 B C E significance E2dNdE [TeV/cm/2/s] EC(TeV) Fitting parameters EC = 0.5 ± 0.2 TeV Γ = 1.8 ± 0.2

Study B: スペクトル精密測定 ・広いエネルギー範囲で感度を最適化した配置Eが、スペクトルを精密測定するのに一番よい。                            E: 天頂角 50°,観測時間50 h(続き) Error of EC ・広いエネルギー範囲で感度を最適化した配置Eが、スペクトルを精密測定するのに一番よい。 B C E Error (%) Error of the nornaization @1TeV Error of Γ EC(TeV) EC(TeV)

Study B: RX J1713: 陽子 or 電子 @4kpc                            Study B: RX J1713: 陽子 or 電子 @4kpc E: 天頂角 20°,観測時間 100 h RX J1713スペクトル H.E.S.S.のみ + Fermi best fit : β=0.5 (fixed)  Γ=1.79 1.65  EC =3.7 TeV 2.2 TeV

どこまで区別可能か? RX J1713: 陽子 or 電子 @4kpc                            どこまで区別可能か? RX J1713: 陽子 or 電子 @4kpc E: 天頂角 20°, 観測時間 100h 00                           

議論とまとめ RX J1713のluminosiyとspectrum (Ec 〜 数TeV,べき指数 〜2)を持つ ガンマ線源の場合、  1)CTAの望遠鏡のどのような配置でも、    〜8kpc以内まで、系統的探査が可能  2)ガンマ線スペクトルを精度よく測定する    ためには、広いエネルギー領域に感度    をもつ配置にする必要がある。