日本のゴルフ場の環境破壊 2013.6.15 中神 徹
もくじ はじめに 森林破壊 ゴルフ場の森林面積 ゴルフ場の絶滅危惧種 農薬の散布量
はじめに ゴルフ場開発が森林破壊である 農薬を大量につかっている ゴルフ場開発が森林破壊。 ゴルフ場の建設の過程では山を削り谷を埋め立てることが多い。 森林が伐採され,土砂が流出する。 前から存在していた自然が破壊される。 森林がなくなることによって土壌流出が進み,保水カが落ちる。 保水力の低下で周辺の地下水量を低減してしまう。 新たに造成される環境が健全な生態系ではない。 ゴルフ場の芝生を維持するために農薬が散布されている。 それがゴルファーだけでなく周辺の住民の健康まで害し,さらに農薬は地下水に浸透して地下水を汚染し,自然界の生態系を壊す。
森林破壊 元の自然が破壊されるのはまちがいないが・・・ 土壌流出を心配する必要はない 土壌浸食を弱める効果を期待できる ゴルフ場開発が森林破壊ということについて。 ゴルフ場開発では森林を伐採し山を削ってコースを作るのだから元の自然は破壊される。 ただ完成後の土壌流出はほとんどない。 なぜならばコースは芝生で覆われるから,土壌流出は止まる。 森林でも日光が当たらない部分は草が生えず,土がむき出しになるがゴルフコースの場合は隙間なく芝生が覆っている。 直接雨が地表を打って,土壌が削られ流出することは少ない。 傾斜を穏やかに造成する場合は土壌浸食を弱める効果も期待できる。
ゴルフ場の森林面積 ゴルフ場建設後の方が森林面積が増えている調査結果も出ている。 里山はすべて森林に覆われていたわけではないため。 また宅地造成などが進む傾向もあった。 それがゴルフ場に囲い込まれることによって森林化が進行した。 里山の場合は森林とそれ以外の面積比はだいたい半々とされるが,ゴルフ場は森林が 6割近くと若干多い。
ゴルフ場の絶滅危惧種 新たに造成される環境が健全な生態系ではないということについて。 全国のゴルフ場で,アンケート調査を実施したところ数多くの絶滅危惧種が確認された。 樹木、鳥類、昆虫、魚類の絶滅危惧種が確認されている。 里山に近い生物多様性が保たれていることがわかった。
農薬の散布量 1970年代・・・3トン、4トン 1988年・・・約2トン 現在・・・500キロが標準 1970年代は芝生の維持管理法が手さぐりの時代だった。 日本で芝生に関する研究は,あまり行われていなかったから。 ゴルフ場関係者は,農薬の使用法に対して無知であった。 実際に病害虫の発生など事実があって散布したのではなく予防散布していた。 1980年代後半になると,ゴルフ場批判が強まったため急速に減農薬の研究が進み出した。 芝生の研究も行われ、どのようにすれば病害虫から芝生を守れるかがわかってきた。 現在は,さらに減農薬が進んでいる。18ホールのゴルフ場では, 500キログラム前後が標準で農薬の種類も厳しく限定されている。 農薬も進化し安全・少量化が進んだ。 使い方も定期的に散布するのではなく,病気や害虫が発生しやすいところや発生した初期の段階で集中的に散布することで全体の使用量は抑えられた。
参考文献 ゴルフマネジメントJUL.2009 48-49 縣和一(2008):大気の浄化と滅暖化防止に寄与するゴルフ場:芝草研究37(1) 1 8-262 問中義久(1992):ゴルフ場と岡本人,岩波新書 田中 淳夫(2011):日本におけるゴルフ場の現状と自然環境:ランドスケープ研究 75巻1号 10-13 谷利一(1997):ゴルフコースの病害虫雑草対策総合防総戦略,ソフトサイエンス社
おわり
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