ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価

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ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価 東北大理 本田 喬大 岡田宣親 兼村晋哉 田窪洋介 鍋島偉宏  藤井恵介 松本重貴 山本均  ILCとは 研究の動機 ヒッグス・ポータル模型 解析 結果

国際リニアコライダー(ILC)計画 <加速器> 電子・陽電子衝突型線形加速器 全長 約30km ルミノシティ 500fb-1 (4年間)         (4年間) 重心系エネルギー 500GeV 主線形加速器 主線形加速器 <測定器> 測定器案 ILD, SiD,4th ILD概念図 クリーンな環境でヒッグスの物理・新物理の探索を行う

本研究の動機 新しい物理が10TeVに存在する場合 新粒子は重くなる。 →ILCでは直接観測することができない ダークマターが新物理を解明する手掛かりとなる! ダークマターによる物理現象の変化 ヒッグスの崩壊幅のずれ <本研究の目的>  ダークマターの検出も困難な模型でILCでのダークマターの検出感度を検証する ヒッグス・ポータル模型

ヒッグス・ポータル模型 ダークマターはヒッグスとしか結合しない! ヒッグスポータル模型でのダークマター 1:強い相互作用をしない 2:電弱相互作用をしない 3:ヒッグスとのみ相互作用する 4:3タイプが仮定される スカラー、フェルミオン、ベクトル スカラー フェルミオン ベクトル (*富山大 松本重貴氏による) ダークマターはヒッグスとしか結合しない!

解析の対象 断面積を変えながら測定精度の評価を行った <シグナル事象(スカラータイプ)> DM e Z H ee → ZH*→qqDMDM + - Z H q ee → ZH*→qqDMDM  断面積を変えながら測定精度の評価を行った 2ジェットを再構成した時の質量欠損の閾値は  →ダークマター質量の2倍の情報 <背景事象> ee→WW :9024fb WW→qqln ee→ZZ : 515fb ZZ→qqnn e + - Z W q l ν e + - Z q ν

本研究の手順 1 : イベントジェネレーターの作成:Physsim 2 : 測定器シミュレーション : ILD Quick-sim 3 : 物理解析 全ての事象を2ジェットとして再構成 事象の選択 Likelihood解析サンプルの選択 Likelihood解析

イベントジェネレーターの作成 Physsimにシグナルイベントを加えた <基本粒子の生成 : Physsim> ヘリシティ振幅の計算 : HELAS 外線(始状態と終状態)の量子状態を指定 4元運動量・質量・スピン 内線と頂点で、始状態と終状態をつなぐ 相互作用にヒッグス・ダークマター結合を追加 e + 終状態 Z 始状態 Z e - H DM 質量:70GeV スピン:0 DM 生成した粒子の情報を検出器シミュレーションで確認した

検出器シミュレーション シグナル事象を検出器シミュレーションの情報で再構成した 検出器でのシグナルの様子 <シグナルの質量欠損分布> 140GeV GeV q q ・Zが崩壊した2ジェットが見える ・ダークマターは見えない ・140GeV(ダークマター質量の2倍) を境に分布 イベントジェネレーター作成に成功

解析条件 ダークマター タイプ:スカラー 質量:70 GeV ヒッグス粒子 質量:120 GeV 重心エネルギー 500 GeV ルミノシティ 反応断面積 生成した イベント数 シグナル 500fb-1 3fb 30000 ZZ 515fb 480000 WW 9024fb 1950000

事象選択 : Zの角度 再構成したZの角度分布で事象選択した e θ <cosθ分布> シグナル 背景事象 ZZ WW cosθ cosθ ×103 ZZ WW cosθ cosθ -0.8 < cosθ < 0.8 の範囲を選択

事象選択:Z質量 再構成したZの質量を用いて事象選択した <再構成したZの質量分布> シグナル 背景事象 ZZ WW GeV GeV ×103 シグナル 背景事象 ZZ WW GeV GeV 90GeVにピーク 100GeV以降に大きく分布 70GeV < Zエネルギー < 110GeVの範囲を選択した

Likelihood用変数の選択:Zエネルギー ZZ シグナル 背景事象 WW GeV GeV 220GeVにピーク 100GeVと250GeVにピーク シグナルと背景事象の分布が異なる →Likelihood変数に採用

Likelihood用変数の選択: 横運動量欠損 横運動量欠損の分布を比較した 横運動量欠損 <横運動量欠損の分布> ZZ シグナル 背景事象 WW GeV GeV 30GeVにピーク 200GeVにピーク シグナルと背景事象の分布が異なる →Likelihood変数に採用

シグナルと背景事象がきれいに分離できている Likelihood解析 Likelihoodの分布をシグナルと背景事象で比較 Likelihoodに用いた変数 再構成されたZのエネルギー 横運動量欠損 <Likelihood分布> シグナル 背景事象 ZZ WW L L シグナルと背景事象がきれいに分離できている

シグナルの有意性 検出感度の評価として有意性を用いた <L 対 有意性> 有意性 <カット後の質量欠損分布> シグナル L ZZ ZH*→ZDMDM ZZ WW カットなし 1065 235436 4117740 事象選択 853 29920 44581 Likelihood 682 11365 6580 カット効率 64% 4.8% 0.16%     <L 対 有意性> 有意性 <カット後の質量欠損分布> シグナル L ZZ Likelihood が0.7以上のところを選択 WW 有意性 : 5.0 GeV

ILCでのヒッグス・ダークマター結合の 観測に対する感度 <シグナル反応断面積 対 有意性> 有意性 ILCで見える反応 有意性 > 3 を要求すると シグナル反応断面積 > 1.8fb fb シグナル反応断面積

まとめ プラン ダークマターを発見することは新物理解明の手掛かりとなる。 本研究ではヒッグス・ポータル模型 のスカラーダークマターについて解析を行った。 本解析ではヒッグス事象の測定精度をクイック・シミュレーションで評価した。 Likelihoodを用いた解析では、有意性が3以上となる最小のシグナル反応断面積は1.8fbとなった。 フェルミオン、ベクトルタイプのダークマターについて解析を進める。 プラン

タイプ別の質量欠損分布 GeV スカラー フェルミオン ベクトル