Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System PHITS Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System 電子線治療のシミュレーション 2017年4月改訂 title 1
20MeVの電子線を左から水ファントムに照射して得られた吸収線量の空間分布 本実習の目標 電子線治療シミュレーションにおける吸収線量分布の評価や散乱ホイルなどの装置の追加による照射ができるようになる。 20MeVの電子線を左から水ファントムに照射して得られた吸収線量の空間分布 Purpose 2
実習内容 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 Table of contents 3
ElectronTherapy.inp 初期設定の体系 Input file 4 Water phantom Electron 20 MeV 約100 cm Water phantom 30 cm Electron 20 MeV 30 cm Input file 4
体系の確認 はじめに、このインプットファイルで構築している3次元体系を描画機能を用いて把握する。 Icntl=8としてPHITSを実行すると[t-track]のgshowオプションが、 Icntl=11として実行すると[t-3dshow]が有効となり、これらのタリー結果が出力されます。 ElectronTherapy.inp [ T - Gshow ] title = Track in xyz mesh ・ ・ ・ ・ ・ ・ file = track_xz.dat [ T - 3Dshow ] title = Geometry check using [T-3dshow] file = 3dshow.dat ・ ・ ・ ・ ・ ・ Geometry 5
体系の確認 水ファントム track_xz.eps 3dshow.eps Geometry 6
空間分布 スペクトルを調べる前に、 icntl=0として輸送計算を実行させ、各粒子のフルエンスの分布([t-track]を使用)と各物質における吸収線量の空間分布([t-deposit]を使用)を確認してみましょう。 ElectronTherapy.inp [ T - T r a c k ] title = Track in xyz mesh ・ ・ ・ ・ ・ ・ file = track_xz.out [ T - Deposit ] title = Dose in xyz mesh ・ ・ ・ ・ ・ ・ file = dose_xz.out 粒子フルエンス 吸収線量 Analysis 7
フルエンス分布1 Analysis 8 電子のフルエンス分布 track_xz.eps(1枚目) 水ファントム 20MeV電子線 電子線と空気の散乱によりビーム幅が広がっている。 Analysis 8
フルエンス分布2 Analysis 9 光子のフルエンス分布 track_xz.eps(2枚目) 水ファントム 電子線が水ファントムに衝突し、光子が発生している。 Analysis 9
フルエンス分布3 Analysis 10 中性子のフルエンス分布 track_xz.eps(3枚目) 水ファントム 中性子は生成されていない。 Analysis 10
吸収線量 吸収線量分布 空気 dose_xz.eps 水ファントム Analysis 11
実習内容 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 Table of contents 12
課題1 [t-deposit]を用いて、水ファントムにおける吸収線量の空間分布について詳細に分析してみましょう。 Analysis 13 深さ方向(z軸方向)の吸収線量分布。 ビーム軸に垂直な方向(x軸方向)の吸収線量分布。 ElectronTherapy.inp 消す [ T - Deposit ] off title = z-distribution of dose ・ ・ ・ ・ ・ ・ file = dose_z.out [ T - Deposit ] off title = x-distribution of dose ・ ・ ・ ・ ・ ・ file = dose_x.out インプットファイルの2つの[t-deposit]にあるoffを消して実行。 Analysis 13
課題1の答え合わせ1 水ファントムの深さに関する依存性はどうか。 Analysis 14 表面付近でピークをもつ。 深さ方向に関して急速に減少する。 dose_z.eps Analysis 14
課題1の答え合わせ2 垂直方向への広がりはどうか。 Analysis 15 dose_x.epsの1枚目と2枚目 吸収線量の広がりは電子線のビーム幅(約10cm)と同じ。 中間(z=115cm)では幅が広がっているが、その絶対値は小さい。 Analysis 15
実習内容 体系の確認 電子線による吸収線量分布の分析 散乱ホイルとアプリケーターの設置 Table of contents 16
装置の追加 散乱ホイルとアプリケーター(コリメーター)を体系に追加する。 各タリー結果を確認し、各装置の影響を調べる。 散乱ホイル:電子線の照射範囲が拡大されているか。 アプリケーター:電子線の流れがきちんとコントロールされているか。 Setting of equipment 17
課題2 タンタル(Ta)とアルミ(Al)の薄膜を散乱ホイルとしてz=0, 1cmの位置に配置して見ましょう。 2枚の薄膜を追加。 maxcas=10000, icntl=0として実行。 EGS5の適用限界(下限値) Ta 1 cm Al 直径1cm, 厚さ0.1mmの2枚の円盤。 (Ta: mat[3], 密度16.65g/cm3 Al: mat[4], 密度2.7g/cm3) 1 cm 1 cm 0.1 mm 0.1 mm z=0cm z=1cm 薄い円盤は、マクロボディrcc(円柱)を使用する 底面中心から上面中心へのベクトル (hx hy hz) [ S u r f a c e ] ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 rcc x0 y0 z0 hx hy hz r 底面の中心の 座標(x0 y0 z0) 半径r Setting of equipment 18
課題2の答え合わせ1 タンタル(Ta)とアルミ(Al)の薄膜を散乱ホイルとしてz=0, 1cmの位置に配置して見ましょう。 直径1cm, 厚さ0.1mmの2枚の円盤。 (Ta: mat[3], 密度16.65g/cm3 Al: mat[4], 密度2.7g/cm3) 1 cm 1 cm 0.1 mm 0.1 mm z=0cm z=1cm ElectronTherapy.inp [ S u r f a c e ] ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 rcc 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.01 0.5 3 rcc 0.0 0.0 1.0 0.0 0.0 0.01 0.5 [ C e l l ] ・ ・ ・ ・ ・ ・ 98 2 -1.20e-3 #1 #2 #3 -999 99 -1 999 2 3 -16.65 -2 3 4 -2.70 -3 Setting of equipment 19
課題2の答え合わせ2 タンタル(Ta)とアルミ(Al)の薄膜を散乱ホイルとしてz=0, 1cmの位置に配置して見ましょう。 Analysis 直径1cm, 厚さ0.1mmの2枚の円盤。 (Ta: mat[3], 密度16.65g/cm3 Al: mat[4], 密度2.7g/cm3) 1 cm 1 cm 0.1 mm 0.1 mm 電子のフルエンス分布 track_xz.eps(1枚目) 散乱された電子線は、水ファントム表面でおよそ30cm幅に広がっている。 Analysis 20
課題2の答え合わせ3 水ファントムにおける吸収線量の分布はどう変化したか。 Analysis 21 水ファントムにおける吸収線量の分布 垂直方向 深さ方向 水ファントムにおける吸収線量の分布 深さ方向 ビーム軸に垂直な方向 dose_z.eps dose_x.epsの1枚目 吸収線量は水ファントム表面でおよそ20cm幅の分布を示す。 Analysis 21
課題3 3枚の亜鉛(Zn)材質のコリメーターをz=50,60,70cmの位置に配置して、電子線の流れをコントロールしてみましょう。 3枚のコリメーターを追加。 icntl=8として体系を確認後、icntl=0として輸送計算を実行。 Zn 8 cm 8 cm 6cm×6cmの穴の空いた18cm×18cmの厚さ2cmの直方体。 (Zn: mat[5], 密度7.13g/cm3) 18 cm 6 cm 18 cm 6 cm 2 cm 四角い穴の空いた直方体は、マクロボディrppを2つ組み合わせる [ S u r f a c e ] ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 rpp xmin1 xmax1 ymin1 ymax1 zmin1 zmax1 5 rpp xmin2 xmax2 ymin2 ymax2 zmin2 zmax2 [ C e l l ] 4 5 -7.13 -4 5 xmax1 xmax2 ymin1 ymin2 xmin1 ymax2 ymax1 xmin2 面番号4の内側かつ面番号5の外側 zmin1 zmax1 zmin2 zmax2 Setting of equipment 22
課題3の答え合わせ1 3枚の亜鉛(Zn)材質のコリメーターをz=50,60,70cmの位置に配置して、電子線の流れをコントロールしてみましょう。 Zn 8 cm 8 cm 6cm×6cmの穴の空いた18cm×18cmの厚さ2cmの直方体。 (Zn: mat[5], 密度7.13g/cm3) 18 cm 6 cm 18 cm 6 cm 2 cm ElectronTherapy.inp [ S u r f a c e ] ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 rpp -9 9 -9 9 50 52 5 rpp -3 3 -3 3 50 52 6 rpp -9 9 -9 9 60 62 7 rpp -3 3 -3 3 60 62 8 rpp -9 9 -9 9 70 72 9 rpp -3 3 -3 3 70 72 [ C e l l ] ・ ・ ・ ・ ・ ・ 98 2 -1.20e-3 #1 #2 #3 #4 #5 #6 -999 4 5 -7.13 -4 5 5 5 -7.13 -6 7 6 5 -7.13 -8 9 Setting of equipment 23
課題3の答え合わせ2 3枚の亜鉛(Zn)材質のコリメーターをz=50,60,70cmの位置に配置して、電子線の流れをコントロールしてみましょう。 Zn 8 cm 8 cm 6cm×6cmの穴の空いた18cm×18cmの厚さ2cmの直方体。 (Zn: mat[5], 密度7.13g/cm3) 18 cm 6 cm 18 cm 6 cm 2 cm track_xz.eps Setting of equipment 24
課題3の答え合わせ3 3枚の亜鉛(Zn)材質のコリメーターをz=50,60,70cmの位置に配置して、電子線の流れをコントロールしてみましょう。 Zn 8 cm 8 cm 6cm×6cmの穴の空いた18cm×18cmの厚さ2cmの直方体。 (Zn: mat[5], 密度7.13g/cm3) 18 cm 6 cm 18 cm 6 cm 2 cm 電子の フルエンス分布 track_xz.eps(1枚目) 3段階のコリメーターによって電子線の広がりが制限されている。 Setting of equipment 25
課題3の答え合わせ4 水ファントムにおける吸収線量の分布はどう変化したか。 Analysis 26 水ファントムにおける吸収線量の分布 垂直方向 深さ方向 水ファントムにおける吸収線量の分布 深さ方向 ビーム軸に垂直な方向 dose_z.eps dose_x.epsの1枚目 吸収線量の分布がおよそ6cm幅に変化した。 Analysis 26
まとめ 20MeV電子を線源とする電子線治療をシミュレーションした。 水ファントムにおける吸収線量の分布をタリーし、その分析を行った。 散乱ホイルやアプリケーターを体系に追加し、これらの吸収線量分布に対する影響を調べた。 《休憩はさむ》 まとめ Summary 27