2008年2月Spring-8実験報告+α 2008/2/8-9 服部香里.

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2008年2月Spring-8実験報告+α 2008/2/8-9 服部香里

μ-PICのスペクトル μ-PICの13.8 keV?(GEMのgainを上げてもピークの位置が変わらないため) ビームを照射すると、anode電流(μ-PICのgainに相当)が変化したので、明瞭なピークは取得できなかった。したがって、どのピークが何keVに相当するのかをはっきり示せなかった。 Anode電流の変化が生じたのは、μ-PIC、GEM間の距離が近かったためだと考えられる。 μ-PICの13.8 keV?(GEMのgainを上げてもピークの位置が変わらないため) GEMの電圧を上げた Gain向上 あとの条件は同じ 13.8 keVのスペクトル GEM+μ-PICで増幅された8 keV+13.8 keV?

ビーム中心付近の波形 8.265 keV : Analog 32ch sumをオシロで観察 VGEM = -390 V Vanode = 640 V EI = 2 kV/cm 大きいパルス→μ-PIC+GEMで増幅 小さいパルス→μ-PICのみで増幅 ビーム中心では、他の場所よりも小さいパルスの割合が高い GEMのcharge upにより、GEMの電子透過率減少? μ-PICのみの増幅でも、gainはthresholdに対して十分大きい μ-PICのみで増幅、μ-PIC+GEMで増幅の二成分いると厄介 今後はμ-PICのみで?

一様性(まだ議論中) 格子状のgainむら → strip間でgainにばらつきがある →4ch/chipだが、gainの高いASD chipと低いchipがあるようだ →同じRadial Distanceでカウント数   を比較すると、σは平均8% →calibrationの必要有 高角側は電場の歪みで ばらつきが大きい GEMとμ-PIC間を近づけたので、 GEMのたわみが電場に及ぼす 影響が大きい→次回は距離を離す azimuthで平均 σ[%] 13.8 keV グラッシーカーボン VGEM = 0 V Vanode = 640 V EI = 2.5 kV/cm Radial distance [mm] 小角側はデータ量が 少ないので、ばらつきが大きい

Accidental coincidence ベヘン酸銀 8 keV でもゴーストはなくならなかった 100 kcps 程度でゴーストが見えなくなった →X線のエネルギーを変えても   accidental coincidenceは改善しなかった →別の原因(次頁参照)

Accidental Coincidenceの原因 Analog output pulse height [mV] Encoderで検出されたパルスの割合 Spring-8実験での Pulse height 109Cd使用(22 keV) encoderでの 数え落としが多い anodeとcathodeで coincidenceがとれていない イベントの割合が高い X線による信号→anodeとcathodeで、極性が逆の信号が同時に検出           →encoderでanodeとcathodeのcoincidence ところがencoder上でanodeとcathodeのcoincidenceがとれていないイベントの割合が高い (つまりanodeとcathodeから生成されるデジタル信号のタイミングが数十nsecほどずれている) 同じ時刻Tに、例えば(X1, Y1), (X2, Y2)にX線が入射 Coincidenceがとれていれば、|X1-X2|>8 または |Y1-Y2|>8ならばwidth cutで落ちる しかしcoincidenceがとれていないので、例えばX1とY2の信号が同時に検出され、 Y1, X2の信号が1clock遅れて検出される可能性も →(X1, Y2)が記録→間違った位置情報→ゴーストを作る

Accidental Coincidenceの原因(2) cathode 256chのどこかでhitしたとき出力 anode 256chのどこかでhitしたときに出力 cathodeとanodeで coincidenceがとれたときに出力 cathode analog out このイベントでは、たまたまcoincidence がとれているが、coincidenceがとれて いないイベントも多い→数え落とし 今までanodeとcathodeの信号が、同時に検出されると仮定して、encoderのロジックを組んでいたが 数十nsecのオーダーになると、この仮定が全く成立しないことが分かった 100 MHzのclockでは、必然的にanodeとcathodeのcoincidenceがとれるのではなく、むしろ偶然 coincidenceがとれるイベントを今まで見ていたことになる →coincidenceをとる際のclockを落とす(業者に外注、ほぼ完成) →coincidenceを取らないでanode, cathode各々のhitした位置と時刻情報を記録する(納期 5月半ば)

焼きつき ビーム中心の焼きつき gain低下 ベヘン酸銀の跡が残っている gainの向上はstrip間のgainばらつき程度 13.8 keV VGEM = 0 V Vanode = 640 V EI = 2.5 kV/cm Bruker社製のParalle-Plate Resistive-Anode Gaseous Detectorでも、大強度のX線を照射すると、 Gainが下がる(<10%の低下)が、counting rateには影響しないことが報告されている D.M.Khazins et. al., NIMA 51 (2004) 943 次回、GEMなしで焼きつきがどうなるかをみる必要がある 現在、pulse heightが低いほどencoderの数え落とし小(pulse heightがthresholdより十分高いにもかかわらず) encoderのロジックを変更すれば、多少gainが下がっても、確実にencoderで検出されるため、 焼きつきがなくなるはず

溶液散乱 GEMのgain を0にして測定 accidental coincidenceの影響がない低レートで測定 AuNP 20 nm 0.04% weight VGEM = 0 V Vanode = 640 V EI = 2 kV/cm counting rate 77 kcps シリカ 110 nm 5mg/ml VGEM = 0 V Vanode = 640 V EI = 2 kV/cm counting rate 48 kcps GEMのgain を0にして測定 accidental coincidenceの影響がない低レートで測定 溶液-溶媒  単純に引き算してダイナミックレンジ 5桁以上を達成

今後の計画 10cmμ-PIC 次回実験までにやること 次回実験でやりたいこと 焼きつき、一様性を確認→GEM有無どちらがよいか判定 μ-PIC, GEM間の距離を2mmから4mmに戻す GEMなし検出器を準備 外部トリガーモードはほぼ完成(現在デバッグ中) 新しいencoder logicでaccidental coincidenceがないことを X線ジェネレータで確認 次回実験でやりたいこと 新しいencoder logicでaccidental coincidenceの影響が大幅に低減されることを確認              線型性を確認(同じX線強度で3倍かそれ以上のcounting rateが期待できる) 焼きつき、一様性を確認→GEM有無どちらがよいか判定 gain変動がないことを確認 外部トリガーモードを試す 30cm μ-PIC 入射窓を薄くして、Spring-8実験で時間があれば試験