信号伝搬時間の電源電圧依存性の制御 による超伝導単一磁束量子回路の 動作余裕度の改善

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信号伝搬時間の電源電圧依存性の制御 による超伝導単一磁束量子回路の 動作余裕度の改善 Bグループ 山梨研究室 0844020 大坪 樹生

目次 研究背景 高周波動作時における動作領域を 制限する要因 信号伝搬時間の電源電圧依存性を調整する回路の提案 提案回路の遅延時間の測定 提案回路の加算器への適用

研究背景 乗算器は25 GHz動作 [1] ビット直列加算器は80 GHz動作 [2] 単一磁束量子(SFQ)回路 ジョセフソン接合をスイッチング素子とする 1つの磁束量子が信号を表し、動作する    (磁束量子:F0 = 2.07×10-15 Wb) 低消費電力で高速な動作が可能 高速動作回路の動作実証 乗算器は25 GHz動作 [1] ビット直列加算器は80 GHz動作 [2] [1] Hara, H. et. al., IEEE Trans. Appl. Supercond., vol.19, pp.657-660, (2009) [2] Kainuma et. al., IEEE Trans. Appl. Supercond., vol.21, pp.827-830, (2011)

研究目的 動作領域 ビット直列加算器 高周波数帯で広い領域を確保する a b out input put Kainuma et. al., IEEE Trans. Appl. Supercond., vol.21, pp.827-830, (2011) 高周波数帯で広い領域を確保する

目次 研究背景 高周波動作時における動作領域を 制限する要因 信号伝搬時間の電源電圧依存性を調整する回路の提案 提案回路の遅延時間の測定 提案回路の加算器への適用

単一磁束量子論理ゲートの動作 Delay Flip Flop (DFF) clock data out clock data 1 out 1

高周波動作時における 動作領域制限の要因 logic gate clock経路 clock経路 Delay time [ps] data経路 100% (2.5 mV) clock Bias voltage [%] クロックとデータの伝搬時間の電源電圧依存性の差が大きいとエラーが発生 data out

動作領域の改善方法 clock data out clock経路 Delay time [ps] Delay time [ps] Bias voltage [%] Bias voltage [%]

目次 研究背景 高周波動作時における動作領域を 制限する要因 信号伝搬時間の電源電圧依存性を調整する回路の提案 提案回路の遅延時間の測定 提案回路の加算器への適用

信号伝搬時間の電源電圧依存性 JTL (Josephson Transmission Line) Bias voltage ジョセフソン接合 JJ JJ 初期バイアス電流 初期バイアス電流 大 初期バイアス電流 小 遅延時間 小 遅延時間 大

信号伝搬時間の電源電圧依存性の調整用回路の特性 Bias voltage Ic JTL ジョセフソン接合 JTL. Ic = 216 mA JTL

信号伝搬時間の電源電圧依存性の調整用回路の特性 Bias voltage R Ic JTL ジョセフソン接合 JTL. Ic = 216 mA JTL

信号伝搬時間の電源電圧依存性の調整用回路の特性 Bias voltage R Ic JTL ジョセフソン接合 JTL. Ic = 216 mA 2. Ic = 279 mA、R = 36 W JTL

信号伝搬時間の電源電圧依存性の調整用回路の特性 Bias voltage R Ic JTL ジョセフソン接合 JTL. Ic = 216 mA 2. Ic = 279 mA、R = 36 W JTL 4. Ic = 313.5 mA、R = 23.45 W

信号伝搬時間の電源電圧依存性の調整用回路の特性 Bias voltage R Ic JTL ジョセフソン接合 JTL. Ic = 216 mA 1. Ic = 252 mA、R = 67 W 2. Ic = 279 mA、R = 36 W 3. Ic = 300 mA、R = 27.2 W JTL 4. Ic = 313.5 mA、R = 23.45 W

目次 研究背景 高周波動作時における動作領域を 制限する要因 信号伝搬時間の電源電圧依存性を調整する回路の提案 提案回路の遅延時間の測定 提案回路の加算器への適用

提案回路の遅延時間の測定 V = fF0 提案回路の挿入 連続した出力信号列 1つの入力信号 f [Hz] 平均電圧 V [V] ・・・ 平均電圧 V [V] SFQ信号 F0 V = fF0 平均電圧を測定することで周期を実測できる (磁束量子:F0 = 2.07×10-15 Wb)

測定系 データ ジェネレータ 電源 ナノボルトメータ テスト回路 in 液体ヘリウム

リングオシレータの測定結果 シミュレーション 測定値 120% (3.0 mV)から140% (3.5 mV)で正常動作

目次 研究背景 高周波動作時における動作領域を 制限する要因 信号伝搬時間の電源電圧依存性を調整する回路の提案 提案回路の遅延時間の測定 提案回路の加算器への適用

ビット直列加算器 (BSA) 動作領域 din_aに入力されたビット列と din_bに入力されたビット列の 和を出力する回路 タイミングエラー により制限

BSAへの提案回路の適用 提案回路の挿入 clock経路 clock経路 data経路 data経路 23 ps 23 ps 16 ps

シミュレーションによる 動作領域の比較 通常のBSA 動作領域 ANDF回路 による誤動作 提案回路を適用

まとめ 信号伝搬時間の電源電圧依存性の調整用回路を設計した クロックとデータの信号伝搬時間の電源電圧 変化時のずれを合わせることができる 提案した回路を測定し、バイアス電圧120%から140%の間での動作を確認 提案した回路を用いた加算器のシミュレーションを行い低周波数での動作領域を改善

信号分岐用回路で遅延時間の差を 調整したときの動作領域 通常のBSA 提案回路を適用