Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性 横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮

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Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性 横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮 第66回応用物理学会学術講演会 Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性 横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮 E-mail naka@ynu.ac.jp 2005.9.7 7a-S-5

[Ca2CoO3]0.62CoO2 CoO2層 Ca2CoO3層 CoO2層 ・Ca3Co4O9 ・misfit 型結晶 b1/b2= 0.62 ・ρ= 15 mΩcm @ 300K ・α= 130 μV/K @ 300K ・κ= 10 mW/cm K @ 300K ・ZT= 0.03 @ 300K Ca2CoO3層 CoO2層 Y.Miyazaki et al, J.Phys.Soc.Jpn. 71 (2002) 491. 2005.9.7 7a-S-5

Sr doped [Ca2CoO3]0.62CoO2 ・Sr 置換により熱電性能改善 Sr2+ ・Sr 置換量増加 : ρ減少, α減少 ・[Ca1.6Sr0.4CoO3]0.62CoO2  ρ= 15 mΩcm, α= 130μV/K @ 300K Sr2+ 1.26Å 1.12Å 1.40Å 0.54Å 緩和 緩和 Y.Miyazaki et al, Proceedings of ICT2002 pp.226 Sr dope 2005.9.7 7a-S-5

Bi doped [Ca2CoO3]0.62CoO2 ・Bi 置換により熱電性能改善 Bi3+ ・Bi 置換量増加 : ρ増加, α増加 ・[Ca1.8Bi0.2Co0.95Bi0.05O3]0.62CoO2 ρ= 24 mΩcm, α= 170μV/K @ 300K Bi3+ 1.17Å Bi5+ 1.12Å 0.76Å 1.40Å 0.54Å 変調 緩和 変調 Y.Miyazaki et al, Trans.Mat.Res.Soc.Jpn 30 (2005) 499. Bi dope 2005.9.7 7a-S-5

Pb doped [Ca2CoO3]0.62CoO2 ? ・Pb 置換により熱電性能改善 ? Pb2+ ・ [(Ca1-xPbx)2CoO3]0.62CoO2を作製  0.02 ≦ x ≦ 0.06  Sintering 920℃ in air Annealing 700℃ in O2 Pb2+ 1.29Å 1.12Å 1.40Å 0.54Å ? Pb dope 2005.9.7 7a-S-5

抵抗率と熱起電力 128 μV/K 23 mΩcm 2005.9.7 7a-S-5

熱電特性評価 置換量増加 @ 300K Sr dope† Bi dope‡ Pb dope ρ 減少 α 減少 ρ= 15 mΩcm α= 130μV/K Bi dope‡ ρ 増加 α 増加 ρ= 24 mΩcm α= 170μV/K Pb dope ( x ≧0.04 ) α 一定 ρ= 23 mΩcm α= 128μV/K [(Ca0.97Pb0.03)2CoO3]0.62CoO2 † Y.Miyazaki et al, Proceedings of ICT2002 pp.226 ‡ Y.Miyazaki et al, Trans.Mat.Res.Soc.Jpn 30 (2005) 499. 2005.9.7 7a-S-5

粉末X線回折測定 測定装置 X線源 電圧・電流 測定範囲 Step 測定時間 スリット 構造解析 日本電子 JDX-3530 Cu-Kα線 λ=1.54178Å 40 kV ・30 mA 10°≦ 2θ ≦ 90° 0.02° 1 sec/step DS 1°, SS 1°, RS 0.2mm PREMOS 四次元指数: [CoO2]層: RS 層: 2005.9.7 7a-S-5

粉末中性子回折測定 中性子源 回折装置 測定範囲 Step JRR-3M (原研3号炉) HERMES λ=1.814241Å 3.00°≦ 2θ ≦ 152.9° 0.1° 2005.9.7 7a-S-5

格子定数 2005.9.7 7a-S-5 Y.Miyazaki et al, Proceedings of ICT2002, pp.226 bRS Sr dope > Sr dope 増加 @x増加 減少 @x増加 Sr dope Sr dope 2005.9.7 7a-S-5 一定 @x増加

変調構造 変調波 : 位相差を表す 第4の座標: t’ MODPLTで作図 2005.9.7 7a-S-5 Co-O distance in [Ca2CoO3] layer Co-O distance in [CoO2] layer 2005.9.7 7a-S-5

変調構造 x = 0.02 2005.9.7 7a-S-5 Co-O distance in [Ca2CoO3] layer Co-O distance in [CoO2] layer 2005.9.7 7a-S-5

変調構造 x = 0.03 2005.9.7 7a-S-5 Co-O distance in [Ca2CoO3] layer Co-O distance in [CoO2] layer 2005.9.7 7a-S-5

変調構造 x = 0.04 2005.9.7 7a-S-5 Co-O distance in [Ca2CoO3] layer Co-O distance in [CoO2] layer 2005.9.7 7a-S-5

変調構造 x = 0.05 2005.9.7 7a-S-5 Co-O distance in [Ca2CoO3] layer Co-O distance in [CoO2] layer 2005.9.7 7a-S-5

変調構造 x = 0.06 2005.9.7 7a-S-5 Co-O distance in [Ca2CoO3] layer Co-O distance in [CoO2] layer 2005.9.7 7a-S-5

Pb dope 試料の変調構造 緩和 変調 緩和 x = 0.02 x = 0.03 x = 0.04 2005.9.7 7a-S-5

磁化率 ( T ≦ 30K ) ・スピングラス的挙動 (T < Tg ) ・Tg は、置換量増加に対し不変 ・Bi dope : Tg が高温側へ移動 ・Bi dope : Co形式価数が変化 ・Pb dope : Co形式価数が一定        α:不変 x = 0.02 x = 0.03 x = 0.04 x = 0.05 x = 0.06 Tg=18K 2005.9.7 7a-S-5

磁化率のfitting CCo1: Co1 の Curie定数 CCo2: Co2 の Curie定数 TC = 18K Co1 Co2 2005.9.7 7a-S-5

磁化率のfitting CCo1= 0.08 emu K/mol Co3.3+ Co4+0.3Co3+0.7 2005.9.7 7a-S-5

Summary Pb dope では、熱起電力は不変、x = 0.03 で抵抗率は最小 Bi dope ではTgが高温側へ移動、Pb dope ではTg=18K、Tg以下でスピングラス的挙動を示す Pb dope では、CoO2層 / RS層中のCo形式価数はそれぞれ Co3.3+ / Co3.4+ なので、熱起電力は不変 CoO2層の変調が緩和される x = 0.03 で抵抗率は最小 x ≧ 0.04 で、RS層の変調増加、抵抗率は増加 抵抗率が減少するSr dopeの格子定数cより、抵抗率が増加するPb dope の格子定数cの方が大きい ( ← RS層の変調増加) 2005.9.7 7a-S-5