2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索

Slides:



Advertisements
Similar presentations
高エネルギー物理学研究室紹介 ひろ☆たん 2012年6月16日 @5号館302号室.
Advertisements

Introduction 標準模型は実験結果をよく再現している。 しかし、標準模型の枠組では説明できない現象もある。
科研費特定領域第二回研究会 「質量起源と超対称性物理の研究」
日本物理学会 2010年 年次大会 @岡山大 LHC-ATLAS実験で用いられる イベントジェネレータの W+jets 事象を用いた比較
Direct Search of Dark Matter
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
LHCの現状と最近の成果 建設中のLHC加速器 ( 21 Jun 2006 ) 2011年4月21日 筑波大セミナー 近藤敬比古(KEK)
LHC Run-2 進展状況 [1] Run-2に向けたアトラス検出器の改良 [0] Run-2 LHC
Bファクトリー実験に関する記者懇談会 素粒子物理学の現状 2006年6月29日 名古屋大学 大学院理学研究科 飯嶋 徹.
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2007.1.23 広島大学理学部.
複荷電ヒッグス粒子のWW崩壊に対するLHC実験からの制限について
CERN (欧州原子核研究機構) LEP/LHC 世界の素粒子物理学研究者の半数以上の約7000人が施設を利用
LHC計画ATLAS実験における 超対称性の発見の研究
ATLAS実験における Anomaly-mediation超対称性模型の探索と研究
ILCにおけるリトルヒッグス・モデルの検証に関する
LHCの開く新たな宇宙物理 松本 重貴 (高エネルギー加速器研究機構).
CERNとLHC加速器 LHC計画 (Large Hadron Collider Project): CERN
LHC加速器の設計パラメーターと 2012年の運転実績
標準模型のその先へ ゲテモノ探し セッションⅤ:ナビゲーショントーク     名古屋大学 中 竜大.
Unitarity in Dirichlet Higgs Model
LHC での超対称性の物理 (京大 野尻) 超対称粒子発見 スカラーのクオーク (n) フェルミオンのグルオン (gluino)
Azimuthal distribution (方位角分布)
アトラス実験で期待される物理 (具体例編) ① ② ③ ④ ① ② ③ 発見か? 実験の初日に確認 確認! 2011年5月9日 ④ 未発見
2018年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年6月21日 茨城大学
LHCでの発見へ向け 世界最大コンピューティンググリッドが始動
LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見!
岡田安弘(KEK,素核研) 2005年8月3日 加速器セミナー
LHC-ATLAS実験SCTシリコン 飛跡検出器のコミッショニング - II
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
瀬戸直樹(京大理) DECIGO WS 名古屋大学
素粒子原子核理論のフロンティア 岡田安弘 総研大大学院説明会 2006年6月.
岡田安弘 (KEK) シンポジウム「物質の創生と発展」 2004年11月4日
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
最近の宇宙マイクロ波背景輻射の観測 銀河の回転曲線 回転曲線の測定値 NASAが打ち上げたWMAP衛星が観測
2016年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
小林・益川理論とBファクトリーの物理 (II)
2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2008.1.15 広島大学理学部.
ATLAS実験における ブラックホール探索の研究
電子・陽電子リニアコライダーで探る素粒子の世界
2015年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
早稲田大学 理工学術院 鳥居研究室 宇宙線の観測 宇宙線はどこから? 電子望遠鏡CALET LHCf加速器実験 卒業生の進路 研究活動
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年8月10日 日本物理学会科学セミナー
大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏
リニアコライダーでの ビームサイズ測定方法の研究
地球近傍における宇宙線陽子・反陽子空間分布シミュレーション
増倍管実装密度の観測量への影響について.
2017年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
LHCの加速装置はショボイ こんな加速器がわずか 8個設置されているだけ。 小さな努力の 積み重ね
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年6月14日 KEK総研大夏期実習
LHC-ATLAS実験開始に向けた ミュー粒子トリガーシステムの統合試運転
LHC計画ATLAS実験における 超対称性の発見の研究
理論的意義 at Kamioka Arafune, Jiro
2012年夏までの成果: ヒッグス探索で新粒子発見!
2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索
! Web(World Wide Web)の発祥地 ! LHC計画 (Large Hadron Collider Project):
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2015年春までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
ATLAS実験におけるSUSY の発見能力
2010年夏までの成果 測定器の性能の確認 既知粒子の再発見 W,Z ジェット 超対称性粒子の探索の始まり トップクォークの再発見
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
超弦理論の非摂動的効果に関する研究 §2-超弦理論について §1-素粒子論研究とは? 超弦理論: 4つの力の統一理論の有力候補
LHC (Large Hadron Collider)
Presentation transcript:

2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索 LHC2015-bsmSUSYV2JA0, http://atlas.kek.jp/sub/poster/index.html 2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索 ATLASによる超対称性粒子探索の現状 超対称性粒子が存在すると標準理論の不完全な点を解決できる: ヒッグス粒子質量の不安定性の解決 3つの力(強・弱・電磁)の統一が可能になる 宇宙の暗黒物質(23%)の有力候補になる これらの解決のためには、超対称性粒子は 1 TeV付近に存在する はずである。LHC実験で発見されると期待されている。 2011,2012年に行われた重心系エネルギー7, 8 TeVでの陽子・陽子衝突実験では、約50種類におよぶSUSY粒子の特徴をもつ生成および崩壊モードを使ってSUSY粒子を探索したが、いまだ存在の兆候はない。 LHCにおける典型的な信号の例 高エネルギーの複数ジェット及び 消失エネルギーを伴う 大きな消失エネルギー(413GeV)をもつ4b事象の例 SUSY粒子探索のまとめ(2015.7現在) 探索例:mSUGRAモデルにおいてtanb=30の点を解析した結果 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV] pMSSMモデルによるSUSY探索のまとめ 最近のアトラス論文 arXiv:1508.06608 (2015.8.26) より 超対称性モデルにはフリーパラメターが100個以上もある。pMSSM (pはphenomenologicalの略)モデルでは、Rパリティの保存、(小林・益川行列以外の)CPの保存、FCNCが無いなどの5条件を課すことでパラメーター数は19個に減る。最も軽いSUSY粒子をLSP(Lightest SUSY Particle)と呼び、宇宙に存在する暗黒物質の候補である。どのようなパラメーターセットが残っているかを以下の方法で調査した: SUSY粒子の質量の上限を4 TeVとして、 5億点の19個のパラメーターセットをランダムに抽出する。 次にg-2値やrパラメーター, b→sg分岐比、LHC実験によるヒッグス粒子の質量やBs→m+m-分岐比などを満たすかどうか調べる。 生き残った約30万点(左図)について、アトラス実験による22種のSUSY探索結果によって棄却されるかどうかを判定する。 左図:生き残ったパラメータ点をLSP(  )の質量と暗黒物質の宇宙での存在量(   )の2次元プロットに表示している。 右図:アトラス実験のSUSY探索結果によってpMSSMモデルで可能だった点がどれほど否定されたかを示している。 オレンジ線 = プランク衛星による宇宙背景マイクロ波の観測で 得られた暗黒物質の存在量(              )                  アトラス実験で否定されたモデル点の割合 SUSY粒子の質量 暗黒物質の存在量 SUSY粒子の種類 アトラス実験のSUSY探索によって狭まった各種SUSY粒子の質量の範囲     黒色:ほぼすべてのモデル点が棄却された     赤色:約半数のモデル点が棄却された     白色:存在の可能性が残っている LSPの質量 アトラス実験の結果を入れた後でもSUSY粒子の存在が可能な点 (Bino, Higgsino, Winoはそれぞれγ, Higgs, W/Zの超対称パートナー名)