モバイル通信システム(10) 「誤り訂正技術と等化技術」 水野.

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モバイル通信システム(10) 「誤り訂正技術と等化技術」 水野

今回の講義 (8)(9)回では情報(信号)を搬送波に託すのに必要な技術について学んだ。 今回は通信技術の最後として以下を学習する。 モバイル通信システム 今回の講義 (8)(9)回では情報(信号)を搬送波に託すのに必要な技術について学んだ。 フーリエ変換 変調(と復調)(MODとDEM) AM/FM/PSK(BPSK,QPSK) QPSKにおけるBERvsEb/No フーリエ変換を用いて変調の数式表現を理解 今回は通信技術の最後として以下を学習する。 誤り訂正技術 等化技術

誤り訂正技術 ランダム誤り訂正 バースト誤り訂正 モバイル通信システム 誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)方式 伝送誤りを受信側で検出し、更に訂正することを可能とする符号。 電話、テレビ等の実時間伝送に利用 ランダム誤り訂正 バースト誤り訂正 ブロック符号 BCH符号(ハミング符号) ゴーレイ符号 ファイヤ符号 リード・ソロモン符号 畳込み符号 しきい値復号 ビタビ復号 逐次復号 岩垂符号 鎖状符号(連接符号)         ビタビ復号+リード・ソロモン符号 ARQ (Automatic Repeat Request)方式 受信側では誤りを検出し、送信側に再送を要求する方式 データ通信等の非実時間伝送サービスで利用。(装置が簡単)

誤り訂正能力 tビット誤り訂正能力を有する dmin 但し 復号領域 例えば(000)と(111)は dmin=3の1誤り訂正符号 復号領域 モバイル通信システム 誤り訂正能力 符号の誤り訂正能力は、ハミング距離により規定される。 ハミング距離dHの定義 最小ハミング距離 但し 符号語uとv何シンボル異なっているか 復号領域 tビット誤り訂正能力を有する 例えば(000)と(111)は dmin=3の1誤り訂正符号 dmin 復号領域

代表的なブロック符号(1) ωHT=0 ハミング符号の例 (n:7,k:4,t:1) 0000 000 1000 101 0100 111 モバイル通信システム 代表的なブロック符号(1) ハミング符号の例 (n:7,k:4,t:1)    0000 000    1000 101    0100 111    1100 010    0010 110    1010 011    0110 001    1110 100    0001 011    1001 110    0101 100    1101 001    0011 101    1011 000    0111 010    1111 111 情報ブロック 情報符号 m k 符号ブロック 情報符号 検査符号 n 例) ハミング符号  次の式を満たすベクトル ω=(ω1、ω2、・・・、ωn)を符号語とする符号を符号長 n=2m-1、情報ビット数k=2m-1-m、検査ビット数mのハミング符号という。   但し、HはO以外のm次元のすべての2元ベクトルを列として並べた次のような検査行列である。 n:符号ビット長、 k:情報ビット長、 t:誤り訂正可能な ビット数 ωHT=0 h11 h12 h1k ・・・ 1 h21 h22 h2k hm1 hm2 hmk H= どの符号の組合せも 3シンボル以上離れている

代表的なブロック符号(2) モバイル通信システム BCH (Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号 特徴 1)符号長および訂正能力の選択の自由度が大きい 2)同程度の符号長および符号化率の他の符号と比較して訂正能力が比較的高い 3)代表的な復号法が適用でき復号器の構成が簡単 n:符号ビット長、 k:情報ビット長、 t:誤り訂正可能な ビット数 n k t n k t n k t n k t 1 2 3 5 7 4 6 10 11 26 21 16 57 51 45 39 36 30 24 18 15 31 63 11 13 15 1 2 3 4 5 6 7 9 10 14 21 23 16 120 113 106 99 92 85 78 71 64 57 50 43 36 29 22 127 63 27 31 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 18 247 239 231 223 215 207 199 191 187 179 171 163 155 147 139 131 255 127 19 21 22 23 25 26 27 29 30 31 42 43 45 47 55 59 63 123 115 107 99 91 87 79 71 37 13 9 255 255 情報ビット(163) 検査ビット(92) t=1はハミング符号

代表的なブロック符号 ハミング符号、BCH符号いずれの場合も 畳み込み符号では同様に冗長ビットを付加 モバイル通信システム 代表的なブロック符号 ハミング符号、BCH符号いずれの場合も 情報ビットに冗長なビット(検査ビット)を加え ビット誤りに対して復元性を持たせている。 その関係は比較的容易 畳み込み符号では同様に冗長ビットを付加 ディジタル回路を用いて複雑に「織り込む」 ディジタル回路(AND/OR/NAND/NOR/XOR) 初めにXOR回路を理解

モバイル通信システム

畳込み符号(1) 2入力回路 複数入力回路 in-1 in-2 in-3 … in-N in-1 in-2 in-3 in-N モバイル通信システム 畳込み符号(1) 2入力回路 複数入力回路 Input A in-1 output output in-2 in-3 Input B … in-N A B output AND OR XOR 1 in-1 output in-2 in-3 in-N

畳込み符号(2) In R1 R2 R3 X1 X2 1 k 3 4 7 Dmin 5 6 10 X1 X2 符号器の生成関数 モバイル通信システム 畳込み符号(2) 伝送効率 r=B/Nt  (B:符号器入力数 Nt:出力数) 拘束長   k (シフトレジスタの段数) r=1/2, k=3(読み方:レート2分の1、拘束長3)の畳込み符号器の例 k 3 4 7 Dmin 5 6 10 X1 X2 符号器の生成関数  X1=1+D+D2 (D:Delay)  X2=1  +D2 この□はシフトレジスター In R1 R2 R3 X1 X2 1 畳込み符号の最小符号間距離Dminは符号器の生成関数により定まりビタビ復号法の符号化利得はDminが大きいほど良くなる。    “0110” が入力した場合のレジスタ状態、X1,X2出力は右のようになる。 t

モバイル通信システム X1 X2 0 0 0 00 00110

モバイル通信システム X1 X2 1 1 1 0 0 0 100 1100 00 1 00110

モバイル通信システム X1 X2 1 1 0 0 0 101100 01100 1 00110

モバイル通信システム X1 X2 1 0 1 1 0 10101100 0101100 101100 1 00110

モバイル通信システム X1 X2 1 0 0 1 1 0 1110101100 110101100 10101100 1 00110 もとどおりの順番に書き改めると 0011010111

畳込み符号(3) 畳込み符号のトレリス表現(R=1/2, k=3) 0110 00 00 11 01 01 11 00 0100 00 モバイル通信システム 畳込み符号(3) 畳込み符号のトレリス表現(R=1/2, k=3) 0110 00 00 11 01 01 11 00 0100 00 00 11 10 11 00 00

畳込み符号(4) 本来受信される べき信号 実際に受信 した信号 0110 00 00 11 01 01 11 00 3 bit モバイル通信システム 畳込み符号(4) 畳込み符号のトレリス表現(R=1/2, k=3) 本来受信される べき信号 実際に受信 した信号 In R1 R2 R3 X1 X2 1 0110 00 00 11 01 01 11 00 3 bit 01 11 01 11 11 01 t 6 bit 0100 00 00 11 10 11 00 00

各種誤り訂正方式の符号誤り率特性 QPSK理論値 ビタビ復号 (R=1/2, K=7 軟判定) ビタビ復号 (R=1/2, K=4 軟判定) モバイル通信システム 各種誤り訂正方式の符号誤り率特性 ビタビ復号 (R=1/2, K=7 軟判定) しきい値復号 (R=7/8, K=384) ゴーレイ符号 (24、12) BCH符号 (127, 113) ブロック符号 畳込み符号 BCH符号 (15,7) ビタビ復号 (R=1/2, K=4 軟判定) ビタビ復号 (R=1/2, K=7 硬判定) QPSK理論値

ターボ符号(符号器) I P1 P2 I D P RSC符号器 Information bit Interleaver モバイル通信システム ターボ符号(符号器) ターボ符号化器 Information bit Interleaver Recursive Systematic convolution Code (encoder1) R=1/2 Recursive Systematic convolution Code (encoder2) R=1/2 I P1 P2 D I P R=1/2,d0(D)=7, d1(D)=5 再帰組織畳み込み符号の並列連接 インターリーバを符号器の一部として利用 RSC符号器

ターボ符号(復号器) ~ I I’ P1 P2 Soft-in Soft-out DECODER Interleaver モバイル通信システム ターボ符号(復号器) Soft-in Soft-out DECODER Interleaver Deinterleaver I ~ P1 I’ P2 MAPアルゴリズムまたはSOVA(Soft Output Viterbi Algorithm)と繰り返し復号の利用

ターボ符号(BER特性) モバイル通信システム 繰り返し回数を変更した際のBER特性 Pe Eb/N0 Eb/N0=0.7dBで10-5の誤り率を達成

ARQ(自動再送制御) (1)SAW(Stop and Wait)方式 (2)GBN(Go Back N)方式 モバイル通信システム ARQ(自動再送制御)  1伝送フレーム毎に誤り検出を行い、誤りがなければACK (Positive Acknowledgment),誤りがあればNAK (Negative Acknowledgment)を返送し、再送を要求する。 (1)SAW(Stop and Wait)方式 1 2 ACK NAK 3 4 待ち時間 往復遅延N=3 1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 NAK (2)GBN(Go Back N)方式 (3)SR(Selected Repeat)方式 1 2 NAK 3 6 8 4 往復遅延N=3 5 7 9 SR方式は伝送効率が良いが装置・制御が複雑

ハイブリッドARQ ハイブリッドARQ:ARQとFECを組み合わせた方式 (1)タイプI モバイル通信システム ハイブリッドARQ ハイブリッドARQ:ARQとFECを組み合わせた方式 (1)タイプI  誤り訂正と検出ができる符号を用いて伝送フレームを構成 (例えば2誤り訂正3誤り検出符号:誤り検出したらNAK送信で再送要求) (2)タイプII  1回目は基本的なARQと同じ、NAK受信後の2回目は情報ビットではなくFECの冗長ビットを送信して1回目の誤りを訂正 タイプIIは制御が複雑だが、誤り率の低い伝送路では基本ARQと同様で効率が良い。

等化技術 - 適応等化器とは - 目的:遅延波によって発生する周波数選択性フェ-ジングによる劣化を改善する BER BER モバイル通信システム 等化技術  - 適応等化器とは - 目的:遅延波によって発生する周波数選択性フェ-ジングによる劣化を改善する 傾き:1桁/10dB C/N [dB] BER エラーフロアを生じる C/N [dB] BER 等化器の種類:線形等化器(LE)           非線形等化器  判定帰還型(DFE)、MLSE型

動作原理(LE) t 受信信号 既知系列 e モバイル通信システム 判定後データあるいは既知データ と判定前データの誤差が最小に なるよう伝送路ひずみの逆特性 を生成。 t t=-T t=-2T t=T t=2T t=0 [ディレイプロファイル] T 受信信号 伝送路推定 アルゴリズム e 既知系列 t t=-T t=T t=0

動作原理(DFE) t 受信信号 既知系列 e モバイル通信システム [ディレイプロファイル] T 伝送路推定 アルゴリズム t t=-T

動作原理(MLSE) e ACS: Add Compare Select circuit モバイル通信システム レプリカ ACS パスメモリ 伝送路推定器 系列推定器 レプリカ 生成器 パスメモリ パスメトリック メモリ ACS 伝送路推定 アルゴリズム (-) ACS: Add Compare Select circuit e T [伝搬路]

適応アルゴリズム ・ LMS (Least Mean Square) 初期収束は緩やか 演算量が少ない(タップ数に比例) ・ モバイル通信システム 適応アルゴリズム ・ LMS (Least Mean Square)   初期収束は緩やか   演算量が少ない(タップ数に比例) ・ RLS (Recursive Least Mean Squares)   初期収束が高速   演算量が大きい(タップ数の2乗に比例) ・ VLMS (Variable-gain Least Mean Squares)   RLSと同等の高速な初期収束   LMSと同等の演算量

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1

演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 In R1 R2 R3 X1 X2 1 モバイル通信システム 演習 下図に示す r=1/2,拘束長3の畳み込み符号器に“101100”が入力した際の出力を求めよ。 X1 X2 In R1 R2 R3 X1 X2 1