第11回 よく使われる順序回路 複数のFFを接続した回路を解析する際の考え方を学ぶ カウンタ回路の仕組みを理解し,設計できるようにする 瀬戸.

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第11回 よく使われる順序回路 複数のFFを接続した回路を解析する際の考え方を学ぶ カウンタ回路の仕組みを理解し,設計できるようにする 瀬戸

入場者数カウントシステムの中心は、カウンタ回路 カウンタ回路! 2進数 010 パルス数 加算 回路 入場者数 記憶回路 光 センサ パルス 2進数 010 2進数 001 7セグ 表示回路 7セグ (表示装置) 他にも,“コイン投入枚数”などを記憶することができる

よく使われる順序回路は、複数のFF+組合せ回路 このような回路を解析する方法について学ぶ A B C D パルス (in) J Q J Q J Q J Q K Q K Q K Q K Q CLK

複数のFFを接続した回路の解析 X A B A, Bのタイミング図を描こう A B X D Q D Q CLK CLK 不定 不定 ヒント: まず、他のFFの状態に依存しない、FF1のタイミング図から描く 出力 A 出力 B FF1 FF2 入力 X D Q D Q 教科書P65-66 に簡単な説明あり CLK CLK X A 不定 B 不定

複数のFFを接続した回路の解析 X A B FF1のタイミング図(A)が描けた (単なる D-FF !) A B X D Q D Q CLK 次に、FF2のタイミング図(B)はどのようになるか? 出力 A 出力 B FF1 FF2 入力 X D Q D Q CLK CLK X A 不定 B 不定

複数のFFを接続した回路の解析 X A B 問題: クロックの立上り(↑)時のAの値が変化している! Aの値はH, Lどっちか? A B X 出力 A 出力 B FF1 FF2 入力 X D Q D Q 例えば ここに注目 CLK CLK CLK X A 不定 B 不定 ? ? ?

ポイント: FFの出力(Q)変化には,時間がかかる A 出力 B FF1 FF2 入力 X D Q D Q CLK ポイント ① FF1の出力Aは,FF内   のゲート遅延のため,   CLK立上りから,   わずかに遅れて変化 ② 二段目のFFは,   変化前のAの値を   取り込みBに出す CLK X A よく見ると FF遅延あり (CLK->Q遅延) B

複数のFFを接続した回路を解析した結果 X A B A B X D Q D Q CLK CLK 不定 不定 不定 出力 出力 入力 FF1

CLK->Q遅延を反映したタイムチャートのもう一つの描き方 出力 A 出力 B FF1 FF2 入力 X D Q D Q CLK CLK X A 不定 B 不定 不定 FFの出力(A, B)は、立上り直後、傾きをもって変化させるように描く

例題 (2つのJK-FFを組合せた回路) A B 以下の回路を解析し、タイミングチャートを描け A B J K Qn+1 Qn 1 CLK Qn 1 J FF1 Q J FF2 Q 保持 リセット K CLR Q K Q CLR セット 非同期 CLR トグル CLK 真理値表 (立下り↓時の動作) CLK CLR A B

例題 (2つのJK-FFを組合せた回路) A B B A B J K Qn+1 Qn 1 B A CLK CLR 不定 Qn 1 J FF1 Q J FF2 Q 保持 リセット K Q K Q B CLR CLR A セット 非同期 CLR トグル CLK 真理値表 (立下り↓時の動作) CLK A, Bどちらから 考えてもよい CLR A ( B によって決まる) 不定 B ( A によって決まる)

JK-FF (復習) J Q J K Qn+1 Qn 1 K Q CLK J Q K Q CLK T-FF (トグルFF) 保持 リセット Qn 1 保持 K Q リセット セット CLK トグル(反転) 動作 真理値表 (立下り↓時の動作) J Q K Q CLK T-FF (トグルFF)

非同期カウンタと、そのタイムチャート VDD VDD A VDD B C J Q J Q J Q CLK K K K CLK A B C 0 1 2 3 4 5 6 7 0 リセット

非同期カウンタの動作解析 入力側から, A, B, C の順番で,タイミング図を描くこと! VDD VDD A VDD B C J Q J CLK K K K CLK A B C 0 1 2 3 4 5 6 7 0 リセット

非同期6進カウンタ (0~ 5 まで数える) 0 1 2 3 4 5 0 1 2 CLK A B C CLR B C A J Q CLK K 非同期6進カウンタ (0~ 5 まで数える) J K Q CLK A B C CLR CLK A B C CLR カウント値 0 1 2 3 4 5 0 1 2 リセット 一瞬 6

非同期カウンタの欠点 欠点1 上位ビット (A→B→C)に行くにつれて、遅延が積み重なる 欠点2 リセット端子で0に戻すときに、細かいパルスが発生する CLK A B C CLR カウント 値 0   1    2    3    4 5 0 この辺で値を読むと誤り 一瞬6のパルス

同期カウンタの仕組み 非同期カウンタの問題: A, B, Cが共通のクロックに同期していない 解決方針: 全てのFFに,共通のクロックを入れる カウンタの動作 (i) 一番下のケタ(A)は、毎クロック反転 (ii) 各ケタは、下のケタが全部「 1 」のとき、     次のクロックで反転、それ以外では保持 J K Qn+1 Qn ... 省略 1 保持 トグル 動作 CLK ↓ 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1 1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1 A B C D 5V J Q J Q J Q J Q K Q K Q K Q K Q CLK

まとめ 複数のFF+組合せ回路の解析方法について学んだ FFには、出力遅延(CLK->Q遅延)があることが解析のポイント 非同期型、同期型