RDFの生産工程管理システムへの適用 情報処理学会 第74回全国大会 2012年3月6日 松江工業高等専門学校  情報工学科 越田 高志.

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RDFの生産工程管理システムへの適用 情報処理学会 第74回全国大会 2012年3月6日 松江工業高等専門学校  情報工学科 越田 高志

1.はじめに(研究の背景と目的) 導入できない原因は何か? 地元の中小製造業や加工業における生産工程管理システム導入の遅れが目立つ. 産学官の連携で,中小製造業の情報システム化を支援する. 導入できない原因は何か? 生産工程管理システムが高価で手が出ない.それは,汎用システムの利用が難しいから. どうしてか?

各業種毎,企業毎に生産工程や生産 機器,DBなどが異なる. 企業毎の受発注システムやDBとの連携も考慮する必要がある,など. カスタマイズが不可欠! ・MZPlatform(産総研)をベースとして,高専が企業要望や現場状況を把握して,プロトタイプシステムを開発・提供する.

企業の現状(問題点) 今回のターゲット:地元の金属加工会社 数百種類/月の受注加工がある. そのため,   企業の現状(問題点) 今回のターゲット:地元の金属加工会社 数百種類/月の受注加工がある. ・リアルタイムでの工程進捗管理ができていない. ・情報の電子化が不十分で,紙面データでの 情報が多い. そのため, ・作業待ちにともなう機器の稼働率低下. ・納期遅れや原価割れの判断が遅れる. それらの問題解決のために,

生産工程管理システムの開発 開発目標 ③ロット毎の加工工程決定支援の自動化 ①ロット毎のリアルタイム工程進捗管理機能の実現   生産工程管理システムの開発  開発目標 ①ロット毎のリアルタイム工程進捗管理機能の実現 (バーコードを利用したプロトタイプシステムを開発済) ②各種データの検索・集計機能の実現 ③ロット毎の加工工程決定支援の自動化  (現状:工程順は監督者が決定し,紙面で指示) ④ロット毎の工程機器の自動割付最適化

リアルタイムでの工程進捗機能 (ガントチャート表示) 時間軸 現在時刻 作業機械 作業を終えた工程 ロット番号 作業中の工程

各種検索・集計機能 (ロット番号毎の各工程作業時間集計) 受注データ 作業時間集計結果 稼動費計算結果とグラフ表示

企業でのフィールドテストの様子

2.RDFデータの自動生成 受注時に加工工程決定を自動化したい. ①過去の作業データ,受注データを分析して, プログラム化 ①過去の作業データ,受注データを分析して, ②ロット毎の加工工程順を抽出する. ③ロット番号ー工程順番 対応表 及び    品名ー設計図番ーロット番号 対応表                  を作成する.    受注時に入力する項目 ④品名と設計図番から過去の工程順が分かる.

工程順抽出プログラムについて 作業データ ロット番号 優先順位表を参照

工程順抽出プログラム(ロット番号指定) 予稿:図2

現行の作業指示書 これらのデータを基に,監督者が下記の工程順番を提示する.

M0943の工程順RDFデータ 予稿:図3

品名ー図番ーロット番号 抽出プログラム (品名指定) 品名ー図番ーロット番号 抽出プログラム  (品名指定) 図1 同じ設計図番である.

品名-設計図番ーロット番号との対応テーブル 受注時に指定する 品名 設計図番 ロット番号 ダンパーリング 799-30752 M0943 RDFデータとして自動生成する ロット番号  M0943 1 TAL-510 NO.2 (112) 汎用旋盤 2 マシニングセンタ (124) マシニング 3 DWC-90HA N0.3 (131) ワイヤーカット 4 5 検査 (150) 検査

スキーマ設計について RDFデータで加工工程決定支援を自動化する. RDFは主語(S)と述語(P)と目的語(O)でリソースを記述する.述語をプロパティ,目的語をそのプロパティ値と呼ぶ場合もある. まず,生産工程管理で利用される「クラス」と   「プロパティ」を定義しなければならない. スキーマ設計 → RDFスキーマで   「クラス」(リソース)と「プロパティ」を定義する. 自動生成したRDFデータ   → RDF Validator で検証した

クラスの定義 リソースのグループを表すものである. そのグループ(クラス)に属するリソース → インスタンス という.      → インスタンス という. クラスを表現するための基本クラスが定義されている. rdfs:Resource→RDFで表現するすべてのものが属するクラス.全てのクラスはrdf:Resourceのインスタンスである. rdfs:Class   → RDFのクラス全体を表すクラス. rdfs:Datatype →データ型を表すクラス. rdf:Property  →RDFのプロパティを表すクラス.

クラスの定義(企業で使われている「用語」を全て定義する) 例えば,MachineTools.rdf (工程機械グループの定義) 例 親クラス「MachineTools」,子クラス「鋸盤」,「旋盤」など  「フライス盤」は「工程機械」の一種である。

プロパティの定義 主語(S)と目的語(O)の関係を表すものである. プロパティを定義するとリソースの関係を表すことができる. リソースを domain と range で指定する. domain:プロパティの主語となるクラス(リソース) を示すもの. range:プロパティの目的語となるクラス(リソース)を示すもの.

Property.rdf (主語と目的語との関係:述語の定義) プロパティの定義 Property.rdf (主語と目的語との関係:述語の定義) 例 isProcessedBy (加工される)など. 作番は図番によって加工される(品名-図番-作番)

「品名ー図番ーロット番号」のRDFデータを作るには, 例えば,  「ロット番号A」は,「品名B」に属し,「図番C」によって加工される,とモデル化する. プロパティ  属し → belongsTo 加工される → isProcessedBy クラス  ロット → Lot, 品名 → ProductName 図番 → Specification

作業データ→工程順抽出とRDFデータ自動作成プログラムを開発 最初はJavaアプリケーションとして開発. 続いて,SOAP型Webサービスとしてまず開発した(次のスライドで示す). 次に,REST型Webサービスとして開発した. 対応テーブル作成のWebサービスも開発する予定である.

M0943の工程順抽出とそのRDFデータ自動作成 Webサービス実行例 M0943の工程順抽出とそのRDFデータ自動作成 RDFデータ部

M0943の工程順RDFデータ

REST型Webサービス: 「品名ー図番ー作番」対応表の作成

3.おわりに まとめ 加工工程決定支援のためのRDFスキーマ設計を行い,RDFデータの自動生成プログラムを開発した. 今後の予定 同業他社でもシステムが利用・対応可能なオントロジの検討と開発