次世代型PETに向けた LXeTPCのR&D

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次世代型PETに向けた LXeTPCのR&D 金子大輔 東大素セ 森研究室 M2 田内利明A,真木晶弘A,三原智A,田中秀治A,佐伯学A, 春山富義A,笠見勝裕A,鈴木祥仁A,東貴俊B, A高エ研,B佐賀大 (KEK測定器開発室)

本講演の内容 ・ PET装置の概要 ・ 実験装置について ・ 最近の結果 ・ まとめ

PET装置の概要

PETとは… 陽電子放射断層撮像法 Positron Emission Tomography 崩壊し陽電子を放出する核を含む薬剤を投与 ↓ 陽電子放射断層撮像法  Positron Emission Tomography 崩壊し陽電子を放出する核を含む薬剤を投与 ↓ 体内で代謝される 組織の活動による線源の分布 撮影 (およそ30分) 現行型の画像分解能は最高で2mm程度 画質の向上が求められる PET画像の例

PET検査の方法 陽電子の対消滅で発生した 2つのγ線(511keV) ↓ シンチレーター結晶で反応 光検出器(フォトマル)で測定 シンチレーターブロック PMT 陽電子の対消滅で発生した 2つのγ線(511keV) ↓ シンチレーター結晶で反応 光検出器(フォトマル)で測定 コインシデンスしたデータを集める 画像処理で画像を再構成 従来のPETではφ、z情報のみ、 r方向情報を取得できるように! 結晶サイズは現行のもので 4mm × 4mm × 20mm

より高い空間分解能。特に放射方向、(Depth of Interact, DOI) 次世代型PETの課題 より高い空間分解能。特に放射方向、(Depth of Interact, DOI) 2) より高い感度による検査時間・被爆量の低減。 →液体キセノンTPCを利用するPETが注目されている 国際的な研究競争。  Nantes Colombia TRIUMF 早稲田 等

なぜ液体キセノンか 高速な応答の光と電荷を併用 PET向きの他のシンチレータとの比較 種類 BGO GSO LSO LXe 元素 Bi Ge O Gd Si O Lu Si O Xe 密度 [g/cm3] 7.13 6.71 7.4 2.95 光子数(1MeV) 8200 9000 25000 43000 波長[nm] 480 440 420 178 減衰時間[ns] 330 56 47 45 高速な応答の光と電荷を併用 PET向きの他のシンチレータとの比較 反応点の3D位置を正確に測定するためにタイムプロジェクションチェンバー(TPC)を採用する 511keV γに対し 約34000個の電子が電離、再結合により約半分に(約3fC)。 キセノンの純度は非常に重要 充分な純度(ppb以下)においてはほぼ完全に電荷の収集が可能 液体キセノンでのエネルギー分解能 Phys. Rev. B 76 014115 (2007)

提案されているPET KEKの測定器開発グループよって提案されているLXe-TPC-PETのイメージ図 データ処理の方針 t0 シンチレーション光 FADC 300MHz 8bit FPGA energy position timing タイムスタンプ t0 PMT SRAM FADC 30MHz FPGA energy position ASIC 増幅 デジタル化 電離電子群 従来型 (代表値) LXe-TPC (予想) z ,φ (mm) 4 1 r (mm) 20 感度(cps/kBq) 10 70 SRAM anode FPGAによりパイプライン処理をする

実験装置の構成

プロトタイプの構造 2009 2月バージョン PMT 陰極 パッド TPC部 -H.V. GND 1.5 ×1.5 cm2 読み出しパッド(FR-4基板) プロトタイプの構造  2009 2月バージョン  陰極 パッド 液体Xe中の電子のドリフト速度  2kV/cm で 2.2mm/μs PMT 241Amのα線源(約200Bq) 1cm 陰極 パッド TPC部 2kV/cm 各部材はエタノール中で超音波洗浄後乾燥 -H.V. 100MW GND

プロトタイプの配線 pad DAQ フィードスルー PTFE同軸ケーブルの外皮は剥いてある 使用しているPMT 25 ×25 mm2 AMPTEK A250 OKEN 704 3B pad DAQ 100MW JFET 2SK152 専用ASICを鋭意開発中(次の発表) 1pF フィードスルー PTFE同軸ケーブルの外皮は剥いてある 使用しているPMT HAMAMATSU R5900-06 25 ×25 mm2 quartz window metal channel 12stage gain ~ 107 (700V) Q.E. ~ 20% JFET R C test pulse

キセノンシステム キセノン操作パネル パルス管冷凍機 貯蔵タンク キセノン チェンバー 圧縮機 ゲッター

配管模式図 安定なキセノンの保持 ΔT~0.1 K ΔP ~ 0.001MPa 貯蔵タンク TPC 0.75m3 P2 PT2 循環用ダイアフラムポンプ (max:20L/min) 安定なキセノンの保持 ΔT~0.1 K ΔP ~ 0.001MPa P3 PT3 m PT1 熱交換器 パルス管 冷凍機 165K P1 P4 PT4 Tch ゲッター SAES製 Monotor PS-3 T3 TPC 貯蔵タンク 0.75m3 T2 Xe ボンベ T1 回収用ボンベ (3.75㍑) キセノンチェンバー (1.5㍑) ヒーター

最近の結果

キセノン純化中の光量の推移 現在、PMTで測定される光は予想値近くでほぼ飽和 窓の透過率 PMTのゲイン Q = E / W × Ω/4π × T × Q.E. × e × G ≒5.5MeV/18eV×1.0×10-2×0.8×0.2×1.6×10-19C×3.5×106=2.7×10-10 C → 540 counts 停電! トラブル? ガス相循環 4 l/min 液相循環 1 l/min 光はほぼ100%検出器に入っていると考えられる。

電離電荷の測定 二月下旬に最初のTPC信号を確認 宇宙線による(10MeV程度) 再結合率 V(波高) = E / W ×r ×ρ× e / C × G ≒ 10MeV / 15 eV × 0.5 ×ρ×1.6×10-19 C × 1 V/pC × 80 = 4V × ρ ρ ~ 0.037 不純物による吸収と考えられる。 ドリフト時間 ~ 5μsとして、電子の寿命τ ~ 1.5μs まだ目標値からは遠い PMT(上) PMT(下) 150 mV TPC信号 (ポストアンプ後)

TPC電圧と光量の関係 TPC領域に電場がかかっていると、シンチレーションの再結合成分が減る。 ← 規格化された光量 ← 規格化された光量 2kV/cm でおよそ3% 減 電圧 [V] →

まとめ ・ 高性能なPETを求める声は多い ・ 液体キセノンTPCを活用するPETは従来のものを凌駕する性能が期待され、   実用化を目指し現在は基礎実験を行っている ・ 電離した電子の信号を観測するのに充分な配線系のS/N比、   宇宙線を捕らえることはできる液体キセノンの純度に達することができた ・ α線源からの電子群はパッドまで到達できていないよう           →キセノンの純度がもっと必要である