抗力への振動付加による 高剛性とすべり感提示

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抗力への振動付加による 高剛性とすべり感提示 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 抗力への振動付加による 高剛性とすべり感提示 電気通信大学大学院  ○池田 有冬 ・ 長谷川 晶一 慶應義塾大学大学院 稲見 昌彦

力覚インタラクション 力を感じながら物体操作 従来の問題点 実世界に比べて柔らかい 接触物体の固有振動 摩擦による振動 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 力覚インタラクション 力を感じながら物体操作 物体の抗力、物体の動力学特性(摩擦など)を力で提示 従来の問題点 力覚提示の更新周期が一般的な周期(1kHz) 実世界に比べて柔らかい 再現されていない実世界での現象 接触物体の固有振動 摩擦による振動

目的 力覚インタフェースで実世界に近い感覚を提示する 提案手法 提示力に振動を付加する 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 目的 力覚インタフェースで実世界に近い感覚を提示する 提案手法 提示力に振動を付加する 固有振動を再現 摩擦力によってStick-Slipを再現し、振動付加により摩擦振動を再現 固有振動、摩擦の表現を行うことで実世界に近い感覚 を再現

固有振動の再現 物体に触れた瞬間に起きる振動をモデル化 Q : 提示力の変化、 α : 振幅係数、 V : 接触時のポインタの速度、 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 固有振動の再現 物体に触れた瞬間に起きる振動をモデル化  Q : 提示力の変化、 α : 振幅係数、  V : 接触時のポインタの速度、   β : 減衰係数、 ω : 材質ごとの角速度、  t : 接触開始時刻からの経過時間 “Reality-Based Models for Vibration Feedback in Virtual Environments”, Allison.M.Okamura, 2001 振動

摩擦表現 Stick-Slipの再現 摩擦振動 プロキシ法を改良 ⇒ プロキシに質量を持たせ指をモデル化 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 摩擦表現 Stick-Slipの再現 プロキシ法を改良 ⇒ プロキシに質量を持たせ指をモデル化 摩擦振動 プロキシが動いたとき、振動を付加する : プロキシの速度 proxy proxy 力覚インタフェースのグリップ位置

摩擦表現 proxy法 提案手法 提示力[N] ステップ数 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 摩擦表現 proxy法 提案手法 提示力[N] ステップ数

評価システムの構築 提示デバイス 力覚インタフェース SPIDAR 糸とモータによるパラレル機構 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 評価システムの構築 提示デバイス 力覚インタフェース SPIDAR  佐藤誠(東京工業大学) 糸とモータによるパラレル機構 グリップに取り付けられた糸を引くことで、ユーザに力を提示 目的に応じて、モータの数、取り付け位置を変更可能 6自由度力覚インタフェースSPIDAR-G

日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 SPIDARの振動特性 振幅

硬さ知覚評価 振動を提示したときの硬さの知覚変化を主観的等価点 によって評価 調整法を用い、被験者にバネ係数を調節してもらう 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 硬さ知覚評価  振動を提示したときの硬さの知覚変化を主観的等価点 によって評価 調整法を用い、被験者にバネ係数を調節してもらう 2種類の振動(アルミ、木)を評価 調節したバネ係数 [N/mm] 評価刺激 [N/mm]

実験結果 振動別平均 アルミ 木 調節したバネ係数 [N/mm] 評価刺激 [N/mm] 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 実験結果 振動別平均 アルミ 木 調節したバネ係数 [N/mm] 評価刺激 [N/mm]

摩擦表現の評価 通常のプロキシ法と比較 1分間自由に床を触ってもらう プロキシ法と提案手法を順番に提示 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 摩擦表現の評価 通常のプロキシ法と比較 1分間自由に床を触ってもらう プロキシ法と提案手法を順番に提示 (提示順は被験者間でランダム) 両方提示し終わった後に「摩擦を感じた方」を答えさせ た 被験者6人に対し実験 静止摩擦 : 1.0、 動摩擦 : 0.5 摩擦振動の振幅α = 5、 周波数ω = 700

実験結果・考察 6人中6人が提案手法と回答 実験後のコメント 考察 プロキシ法でも摩擦は感じたが、よりわかりやすい 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 実験結果・考察 6人中6人が提案手法と回答 実験後のコメント プロキシ法でも摩擦は感じたが、よりわかりやすい プロキシ法では静止摩擦力がわかりやすい 提案手法はゴム板を触っている感覚 プロキシ法はアクリル板を触っている感覚 考察 振動を付加し摩擦振動を提示することで摩擦をより感じた Stick-Slipの表現によって粘性を感じた

まとめ 物体に触れたときに実世界で生じる現象を再現 物体の固有振動を提示することで硬いと認識 摩擦力、摩擦振動の表現 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 まとめ 物体に触れたときに実世界で生じる現象を再現 物体に触れたときに生じる物体の固有振動 すべりが生じたときの摩擦振動 物体の固有振動を提示することで硬いと認識 摩擦力、摩擦振動の表現

技術展示を行っています ぜひ、体験しにいらしてください 日本バーチャルリアリティ学会 第13回 抗力への振動付加による高剛性とすべり感提示 展望 タスク実験による評価 振動による硬さ提示が及ぼす操作性への影響 摩擦表現によって物体と指間でのすべりを認識することができるか 実世界との比較実験 摩擦振動の実測を行い、パラメータを決める 摩擦表現に関し、実世界に近い提示ができているのか 技術展示を行っています ぜひ、体験しにいらしてください