インターネット自動車における インターネット移動体通信技術 慶応大学/WIDE Project インターネット自動車分科会 2003年11月20-21日 私達インターネット自動車プロジェクトは、自動車をインターネットに接続し、情報を交換するためのシステムに関する研究を、1996年より行ってきました。自動車は、モバイルインターネットのテストベットして適していました。なぜなら、自動車はバッテリを搭載し、人間の意志に従って人間と共に移動し、グローバルに分散するオブジェクトだからです。自動車のインターネット接続性は、自動車の持つ情報の利用を促進するのみならず、私達にとっての普遍的なデジタルコミュニケーション環境を実現すると、私達は考えています。 マイホーム マイオフィス プローブから天候、渋滞等 走行履歴 事故履歴 広告配信 音楽配信 マーケティング 走行距離履歴 交通調査 環境調査 CO2 車両診断 運転診断 タクシー会社 バス会社 ゲーム会社 コンテンツ制作業者 映画供給会社 物流・宅配業者 道路管理者、交通管理者 レストラン、CVS ホテル・宿泊施設 中古車販売会社 レンタカー会社 ディーラー 駐車場 ガソリンスタンド イベント会場 旅行代理店 チケット業者 官公庁・自治体 道路 メンテナンス リース会社 修理工場 ロードサービス会社 気象情報会社 インターネットITS 保険会社 セキュリティ会社 音楽配信業者 交通情報センター 観光協会 安全運転 省エネ 低燃費 空き状況 予約 アクセス 安全性 輸送効率 快適性 環境 共通サービス基盤 通信ネットワーク 車載端末 路側インフラ 私達が携わってきたプロジェクトとしては、プローブ情報サービスを研究開発するIPCarプロジェクトや、インターネットをITSのインフラとして利用するインターネットITSプロジェクトなどがあります。これらのプロジェクトを通して、研究成果を実証実験しその有効性を確かめたり、実際のサービスに組み込むことで次の研究課題を洗い出すとこができました。 関連URL http://www.sfc.wide.ad.jp/InternetCAR/ http://www.internetits.org/ インターネットを使った自動車情報化実験の推移 Internet CAR(WIDE) IPCar(JSK) Internet ITS 年度 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特徴 初めての実験 Mobile IPの導入 専用機の投入 プローブの可能性検証 社会実験 精度向上 基盤技術の確立、IPv6 ビジネスモデル模索 ビジネスモデル確立、モバイルネットワーク 台数 1 7 10 270 1640 1490 1490+30 地域 藤沢 藤沢、奈良、石川 港北 横浜 川崎、名古屋 名古屋 名古屋、横浜 車種 実験車 一般車 タクシー バス 営業者 トラック 塵芥車 車載機 PC Note PC sic2000 専用機 車載ルータ センサーノード 取得情報 位置 車速 ワイパー ライト ウインカー サイド 実車/空車 車外カメラ 温度 加速度 通信機器 DoPa PHS 無線LAN DoPa, CPA, PHS, AirH”, 無線LAN, DSRC SWIFTCOM AirH”
Network Mobilityがなかったら デモ展示概要 自動車は移動するため無線通信メディアを利用しますが、無線通信メディアはセル範囲が限られているので、必要に応じて基地局を切り替える必要があります。一般的に基地局を切り替えることは、インターネット接続ポイントの変更を意味します。インターネットの接続ポイントを変更するとインターネット上での計算機の識別子であるIPアドレスが変化するため、接続中のセッションが切断されたり、通信相手の特定ができなくなったりする問題が起こります。これらの問題を解決するため、Network Mobility(NEMO)という技術が考えられています。当研究グループではこの技術のでも展示を行っています。 Network Mobilityの概要 1. まず、自動車に搭載したMRは移動先のネットワークからCoAを取得する。MRはそのCoAを自らのMobile Router Addressと一緒にHAへ教える。(Binding Update) 2. HAはMRから教えてもらったCoAをMRのMobile Router Addressと対応付けたデータをBinding Cacheに格納する。 3. MRとCNとの通信はいったんHAが受け取り、HAはそのパケットをBinding Cacheに入っているデータをもとにMRに転送してやる。 4. そうすることで、MRのCoAが変化してもCNにはその変化を意識させることがない。CNは変わらずにMNのMobile Router Addressに通信を送ることができる。 MRは常に同じprefixを広告することができるので、MRからRouter Advertiseを受け取るノードは全て、上の利点を享受できる。 Binding Update MRがHAに現在の CoAを知らせること。 Binding Cache MRのCoAとMobile Router Addressを対応付けたデータ BU Internet HA Home Agent MNの位置を管理する計算機 CN Correspondent Node 通信相手の計算機 Network1 Mobile Router ネットワークを移動 する計算機 MR Care of Address MNが実際に接続 しているアドレス CoA 自動車はたくさんのノードの集合体 ネットワークカメラ ワイパーセンサ 加速度センサ 気温センサ ライトセンサ GPS 車載サーバ Network Mobilityがなかったら IPv6のIPアドレス Internet 2001:1::ABCD?? 2001:2::ABCD?? Network prefix Interface ID 通信相手 ネットワークが変化すると変化する Interface固有のID 2001:1:1:: A:B:C:D Network1 Network2 IPv6のアドレスは「Network prefix + Interface ID」からなっているため、ネットワークが変わると自動車に搭載しているルータのIPアドレスは変化してしまう。 1. そのため、通信相手は変化したIPアドレスと、もとのIPアドレスを同一の計算機のIPアドレスであることを認識できない。 2. また、通信相手は自動車に搭載したルータのIPアドレスが次々変わるため、着信することができない。 2001:1::/64 2001:2::/64 ルータ ルータ 2001:1::A:B:C:D 2001:2::A:B:C:D
NEMO概要 NEMOとは、Network Mobilityの略でありInternetITS高機能実験車におけるCINGモデルの基盤となる技術である。本技術はネットワークの移動透過性を実現するものであり、高機能実験車内のネットワークに対して移動時も同一のネットワークプレフィックスで到達可能にする。高機能実験車では、PSBU(Prefix Scope Binding Update)を用いたNEMOの実装を用い、車載ルーターに搭載することでLCNAのような車内のノードに対して移動透過性を提供する。 さらに、高機能実験車のような実環境でのテストによって得られたデータをもとにNEMOに必要な性能や機能を議論し、標準化へ向けフィードバックしている。現在PSBUを用いたNEMOの実装の他独自に設計・開発を行ったORC(Optimized Route Cache) Management機構を用いたネットワークの移動透過性提供に関しても研究を進めている。 IPセンンサ概要 ネットワーク(TCP/IP)接続され、IP Sensor BoardにOS(μITRON)にIPv6とSNMPクライアントを搭載した超小型IPセンサーボードです。 ■特徴 ・OSにμITRON(NORTi)を使用 ・組み込み機器に良く使われるH8マイコン(H8/3069F)を使用 ・ROMは、マイコン内蔵を使用 ・RAMは、外付けDRAMを搭載し8MBの容量を持つ ・IPv6通信機能 ・イーサネット経由での電源供給 Power on Ethernet(IEEE802.3af)に対応 ・部品点数が少ないので、製造不良や故障率が少ない ・基板サイズが名刺サイズと小さくすむため、取付け場所が柔軟 ・開発環境は、弊社製コンパイラー(XASS-V)またはGNUツールが使用可能 internet Network(TCP/IP) ルータ ・・・・・ ブレーキ 温度 ワイパー シートベルト サーバに情報収集 IPv6 SNMP IP Sensor Board サーバ SNMP