CTAで目指すガンマ線バースト のサイエンス:(超)遠方宇宙

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Presentation transcript:

CTAで目指すガンマ線バースト のサイエンス:(超)遠方宇宙 井上進 (京大理)

CTA PHYS work package: subtasks

23人中9人(task leader3人中1人)が日本人 GRB subtask in WP PHYS Current mailing list members: Asano, Katsuaki Falcone, Abe Granot, Jonathan (Yoni) Hinton, Jim Horns, Dieter Inoue, Susumu Inoue, Yoshiyuki Ioka, Kunihito Kakuwa, Jun Lamanna, Giovanni Markoff, Sera Murase, Kohta O’Brien, Paul Raue, Martin Ryde, Felix Tam, P. H. Thomas Teshima, Masahiro Toma, Kenji Torres, Diego Wagner, Stefan Wijers, Ralph Yamazaki, Ryo Zech, Andreas 23人中9人(task leader3人中1人)が日本人

ガンマ線バースト (GRB) 宇宙最大・最強・最速の爆発 宇宙最遠方の天体 long GRB (T>~2s): 大質量星崩壊時に超相対論的速度ジェット発生 ジェット内部から即時放射+外部衝撃波から多波長残光放射 adapted from Meszaros 01 中心駆動天体? ジェット形成機構? 粒子加速・放射機構? 異なる種族 (short GRB, T~<2s) の起源? 宇宙論的進化? 宇宙で最も謎めいた天体の一つ

GRB vs Crab Gehrels+ 09

GRB vs Crab Fermi観測結果 明るいGRBで 即時GeV放射 - MeVの延長上 少なくとも 10-30 GeVまで prompt - MeVの延長上   少なくとも 10-30 GeVまで - GeV超過成分 ある場合も - long (数100s)、 short (数s) 双方で Gehrels+ 09

GRB vs Crab Fermi観測結果 数ksまで GeV残光放射 ∝ t-1.2-t-1.5 大半のGRBで GeV即時+残光  あると考えて  無矛盾 afterglow (2.5 hr) しかし>GeVの 光子統計不充分 物理について 多くの点が謎 Gehrels+ 09

CTAによるGRB観測 1. 10 GeVに迫るエネルギー閾値 (<<現行IACT) -> 宇宙背景放射光 (EBL) によるgg吸収を受けにくい 2. 高速指向性能:180deg/20sec for LST (MAGIC2と同等) -> long GRBの即時放射中に観測開始 3. 莫大な有効面積:>104m2@30GeV (Fermiの1万倍) -> 圧倒的な光子統計、詳細なスペクトル・時間変動の情報 Fermi LAT GRB 080916C Abdo+ 09 >100 MeV > 10 GeV photon Fermi数発 -> CTA 数万発! >1GeV

CTAによるGRB観測で目指すサイエンス - 放射体運動速度の確実な測定(内部gg吸収カットオフ) 即時放射機構、残光の物理の解明  (多波長スペクトル・時間変動) Fermiとの同時観測 宇宙線の起源 最高エネルギー宇宙線・高エネルギーn生成の兆候  (陽子・原子核シンクトロトロン、カスケード成分…) TA/Auger/JEM-EUSO, IceCube/KM3NeTとのシナジー 観測的宇宙論 遠方宇宙背景放射の精査(gg吸収カットオフ) 銀河間弱磁場の精査(pair echo/halo=二次ガンマ線) -> 後述 基礎物理学 Lorentz不変性破れ、新粒子への制限…

gamma-ray absorption: probe of diffuse radiation fields g + g → e+ + e- e E threshold condition: E e (1-cos q )>2 me2c4 s peak ,, =4 me2c4 Costamante et al 03 e.g. TeV + 1eV (IR) 100 GeV + 10 eV (UV) probe of local IRB from gg absorption in TeV blazars Extragalactic Background Light blazar IACT VHE EBL e+ e- from M. Teshima

EBL constraints from Fermi Abdo+ arXiv:1005.0996 highest energy photons from each source vs EBL models (t=3) higher EBL models ruled out for z<4.3

cosmic star formation rate vs models Yoshi Inoue+ in prep. highly uncertain at high-z, especially in the reionization era

CTA observations of GRB 080916C at z=4.35 extended emission @1ks, 10 min exposure Franceschini censored due to authoritarian policies

CTA observations of GRB 080916C at z=4.35 extended emission @1ks, 10 min exposure Gilmore EBL クエーサーの寄与も censored due to authoritarian policies スペクトル時間変動から内部吸収カットオフと区別

 optical depth: comparison Yoshi Inoue+, in prep.

 optical depth: comparison Yoshi Inoue+, in prep. large differences at 10-100 GeV -> distinguish by GRB obs. cosmic dawn: valuable info on early star form. & cosmic reion. synergy with LOFAR, SKA, ALMA, JWST, Subaru/TMT, IXO…

GRB detection rate estimates GRB alert rate (instrument, z-dep.) EBL attenuation (E, z-dep.) × zenith angle range (E-dep.) slewing+detection efficiency × × duty cycle × Swift or SVOM alert E>20 GeV: 300/yr x0.95(z<5) x0.1(<25deg) x0.1 ~ 3/yr E>50 GeV: 300/yr x0.3-0.7(z<1.5-3) x0.3(<45deg) x0.1 ~ 3-6/yr z>5: 300/yr x(0.05-0.1) x <0.3 x0.1 ~< 0.5-1/yr prompt (tobs>100s) : ~1/2 of above detailed evaluations: Kakuwa et al., in prep.

まとめ CTAによるGRBのサイエンス GRBは宇宙で最も謎めいた天体の一つ CTAによる>10 GeVガンマ線観測で新境地開拓   Fermiに比べ有効面積>104倍       (が視野は1/100)         予想検出数は年間当たりGRB数発 がGRB毎の詳細なスペクトル・時間変動データ 多様なサイエンス:   GRBの起源、宇宙線の起源、観測的宇宙論、基礎物理学… 観測的宇宙論に重要な貢献:   gg吸収から遠方UV背景放射の精査 (宇宙星+BH形成史、宇宙再電離・初代星) 日本がサイエンスを主導: LST(大口径望遠鏡)チーム、MCグループと連携