2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Belle 実験における 新型シリコン検出器を用い た低運動量粒子の検出 物理学科 渡辺研究室藤山 幸生.
Advertisements

ILC 実験でのヒッグス粒子 精密測定精度評価 第 67 回日本物理学会春季大会 2012 年 3 月 25 日 関西学院大学 日本歯科大学新潟 小野裕明 高エ研 宮本彰也 他 ILC 物理解析グループ 2012 年 3 月 25 日第 67 回 日本物理学会 1.
タウ粒子崩壊τ-→ωπ-ντにおける セカンドクラスカレントの探索
タウ粒子崩壊τ-→ωπ-ντにおける セカンドクラスカレントの探索
日本物理学会 2010年 年次大会 @岡山大 LHC-ATLAS実験で用いられる イベントジェネレータの W+jets 事象を用いた比較
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
COMPASS実験の紹介 〜回転の起源は?〜 山形大学 堂下典弘 1996年 COMPASS実験グループを立ち上げ 1997年 実験承認
LHC Run-2 進展状況 [1] Run-2に向けたアトラス検出器の改良 [0] Run-2 LHC
オルソポジトロニウムの 寿命測定によるQEDの実験的検証
Bファクトリー実験に関する記者懇談会 素粒子物理学の現状 2006年6月29日 名古屋大学 大学院理学研究科 飯嶋 徹.
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2007.1.23 広島大学理学部.
ATLAS実験における超対称性事象のバックグラウンドの実験的評価
複荷電ヒッグス粒子のWW崩壊に対するLHC実験からの制限について
CERN (欧州原子核研究機構) LEP/LHC 世界の素粒子物理学研究者の半数以上の約7000人が施設を利用
LHC計画ATLAS実験における 超対称性の発見の研究
γコンバージョン事象を用いた ATLAS内部飛跡検出器の物質量評価
Randall Sundrum model に於ける KK Graviton の dimuon 崩壊の探索
ILCにおけるリトルヒッグス・モデルの検証に関する
g-2 実験 量子電磁力学の精密テスト と 標準理論のかなた
CERNとLHC加速器 LHC計画 (Large Hadron Collider Project): CERN
LHC加速器の設計パラメーターと 2012年の運転実績
Vector Boson Fusion過程を用いた ヒッグスのスピンとCPの測定
Unitarity in Dirichlet Higgs Model
Randall Sundrum model に於ける KK Graviton の dimuon 崩壊の探索
FPCCDバーテックス検出器における ペアバックグラウンドの評価 4年生発表 2010/03/10 素粒子実験グループ 釜井 大輔.
Azimuthal distribution (方位角分布)
アトラス実験で期待される物理 (具体例編) ① ② ③ ④ ① ② ③ 発見か? 実験の初日に確認 確認! 2011年5月9日 ④ 未発見
2018年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
ATLAS実験における J/Y->mm過程を用いたdi-muon trigger efficiency の測定方法の開発及び評価
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年6月21日 茨城大学
LHCでの発見へ向け 世界最大コンピューティンググリッドが始動
LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見!
ATLAS実験における ブラックホール探索の研究
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
シミュレーションサンプルを用いた光子コンバージョン再構成
Z(mm)イベントを用いた ATLAS LVL1 Muon Trigger Systemのコミッショニング
2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索
岡田安弘 (KEK) シンポジウム「物質の創生と発展」 2004年11月4日
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
2016年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2008.1.15 広島大学理学部.
ATLAS実験における ブラックホール探索の研究
電子・陽電子リニアコライダーで探る素粒子の世界
2015年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年8月10日 日本物理学会科学セミナー
大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏
リニアコライダーでの ビームサイズ測定方法の研究
疫学概論 測定の妥当性 Lesson 20. 評価の要件 §A. 測定の妥当性 S.Harano, MD,PhD,MPH.
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
2017年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
核内ω中間子質量分布測定のための 検出器開発の現状
LHCの加速装置はショボイ こんな加速器がわずか 8個設置されているだけ。 小さな努力の 積み重ね
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年6月14日 KEK総研大夏期実習
2012年夏までの成果: ヒッグス探索で新粒子発見!
2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2015年春までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
ATLAS実験におけるSUSY の発見能力
2010年夏までの成果 測定器の性能の確認 既知粒子の再発見 W,Z ジェット 超対称性粒子の探索の始まり トップクォークの再発見
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
奈良女子大学大学院 人間文化研究科 物理科学専攻 高エネルギー物理学研究室 岩崎 麻友 2008年2月14日
陽子の中のSeaクォーク 柴田研究室 02M01221 渡辺 崇 [内容] 1.Seaクォークとは 2.β崩壊とクォーク
崩壊におけるスペクトラル関数の測定 平野 有希子 Introduction ミューオンの異常磁気モーメント KEKB,Belle 事象選別
Presentation transcript:

2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ LHCHiggs2013-A0v2, http://atlas.kek.jp/sub/poster/index.html 2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ 2012年7月4日 ヒッグス粒子と考えられる新粒子を発見 ヒッグス粒子は素粒子の質量の起源として存在が予想され、約50年間さまざまな実験で探索が行われてきた。ヒッグス粒子の質量は予測が難しく、LHCでは100GeV-1,000GeVの範囲を広く探索し、データの蓄積と共に年々感度を上げてきた。そして2012年7月、126GeV付近についに新粒子を発見した! H→ ZZ 2012年7月 2012年7月 H→ γγ 日本の新聞 CERN歴代の所長さんたち H→ WW 2012年7月 4つのミュー粒子を検出した事象 (再構成された質量は125.1 GeV) 祝賀会(ATLAS Higgs WG) pT (muons)= 36.1, 47.5, 26.4, 71 .7GeV m12= 86.3 GeV, m34= 31.6 GeV 15 reconstructed vertices 新粒子の精密測定 ~ヒッグス粒子と呼ぶために~ LHC実験はヒッグス粒子発見だけでなくその精密測定も可能にする能力を持つ。発見から一年、新粒子の特性を調べてきた結果、新粒子が標準理論ヒッグス粒子と矛盾しないことが分かってきた。 質量測定 結合定数測定 2013年3月 2013年3月 H→ γγ H→ ZZ さまざまな仮定でヒッグス粒子とフェルミオンやボソンとの結合の強さを測定。標準理論(κ,λ=1)からのずれがあるか? 生成過程 : フェルミオンから生成(横軸)と ボソンから生成(縦軸)を示す。予測は(1,1)の点 ヒッグス粒子の質量は、 125.5±0.2±0.6 [GeV] 標準理論なら 標準理論ヒッグス粒子 と無矛盾 すでに0.5%の精度! 統計誤差 系統誤差 標準理論なら スピン・パリティ測定 2013年4月 標準理論が予想するヒッグス粒子はスピンが0、パリティ+の粒子(JP=0+)。  γγに崩壊するからこの新粒子はスピン1ではないことがわかる。 崩壊した粒子の角度分布を用いてもとの新粒子のスピン・パリティを測定した。 高い 角度分布の例γγ崩壊 ヒッグス粒子(JP=0+), 違う粒子 (JP=2+)を比較 WW, ZZ, γγ崩壊をコンバイン JP= 0-, 1-, 1+, 2+を棄却 そのスピン・パリティー (例 JP=0-)である確率 ヒッグス粒子(JP=0+) と無矛盾 データ(誤差付の点)は ヒッグス粒子と無矛盾 棄却 低い