A Note on Asymmetric Power Index for Voting Games 東京大学 松井知己 東京大学 上原良賢
Symmetric Index(対称投票力指数) Shapley-Shubik (1953,1954) Banzhaf (1965) Power Indices 目的:新しい非対称投票力指数の提案 Symmetric Index(対称投票力指数) Shapley-Shubik (1953,1954) Banzhaf (1965) Deegan-Packel (1978) 投票力を議席数と割当数のみから測る. Asymmetric Index(非対称投票力指数) Shapley-Owen (1971) Frank-Shapley (1981) Rabinowitz-Macdonald (1986) Ono-Muto (1997) イデオロギー空間の存在を仮定. 各政党は、イデオロギー空間内に配置. (位置の近い2政党は、投票行動が似る.) 議案は位置or方向ベクトルとして発生.
投票行動表 参議院での投票行動(1989-1992) Y Y Y N Y Y : 85 Y N N N N N : 18 政党: 自民 社会 公明 共産 民社 連合 : 議案数 議席: 109 74 21 14 10 12 . Y Y Y N Y Y : 85 Y N N N N N : 18 Y N N N Y N : 9 Y N Y N Y Y : 6 N Y Y Y Y Y : 6 Y N Y N Y N : 5 Y N Y Y Y Y : 3 Y Y Y N Y N : 1 全員一致という議案は取り除いてある.
各政党を点(n次元ベクトル)として配置する. 投票行動の近い政党は近い位置にある. イデオロギー空間 イデオロギー空間: n次元ユークリッド空間. 各政党を点(n次元ベクトル)として配置する. 方法は後に述べる. 投票行動の近い政党は近い位置にある. 議案ベクトル(Rabinowitz-Macdonald): 議案は1つの方向として与えられる. O A党 D党 B党 C党 議案 j に賛成 議案 j に反対
議案ベクトルに沿った順に提携が形成される. {C}, {C,B}, {C,B,D},{C,B,D,A} 敗北→ 敗北→ 勝利 → 勝利 ピヴォット 議案ベクトルに沿った順に提携が形成される. {C}, {C,B}, {C,B,D},{C,B,D,A} 敗北→ 敗北→ 勝利 → 勝利 D:ピヴォット ピヴォット:敗北から勝利に変化させた政党 O A党 D党 B党 C党 議案 j に賛成 議案 j に反対
(Rabinowitz-Macdonald) (1)投票行動表を用いて 政党をイデオロギー空間中に配置する (2) 議案ベクトルを 非対称投票力指数の計算 非対称投票力指数の計算法 (Rabinowitz-Macdonald) (1)投票行動表を用いて 政党をイデオロギー空間中に配置する (2) 議案ベクトルを 適当な方法で確率的に発生させる (3) 政党i の指数=政党i がピヴォットとなる確率 を計算する
Rabinowitz-Macdonald:因子分析を用いる Ono-Muto :数量化III類を用いる 政党の配置と議案ベクトルの発生 (1) 投票行動表を用いて 政党をイデオロギー空間中に配置する Rabinowitz-Macdonald:因子分析を用いる Ono-Muto :数量化III類を用いる (2) 議案ベクトル(または点)の発生 Shapley:各方向が等確率で発生する Rabinowitz-Macdonald:投票行動表の議案もイデオロギー空間中に方向として配置, 過去の議案の非負結合ベクトルを等確率で発生 Ono-Muto:投票行動表の議案もイデオロギー空間中に点として配置, 過去の議案数に比例して発生
(1) 既往の方法:投票行動表から各政党のイデオロギー空間での配置を構築 研究の動機 既往の方法: 投票行動表 → イデオロギー空間 →指数 本発表の方法: 投票行動表 → → → 指数 (1) 既往の方法:投票行動表から各政党のイデオロギー空間での配置を構築 (2) A党とB党が同じ投票行動を示す議案が多い→A,B党は似たイデオロギーを持つ→指数 (3) 各議案の発生比率→各提携の発生確率 →(非対称)投票力指数
Y Y Y N Y Y : 85 (勝利) Y N N N N N : 18 (敗北) 新しい指数(1) 投票行動表 政党: 自民 社会 公明 共産 民社 連合 : 議案数 議席: 109 74 21 14 10 12 . Y Y Y N Y Y : 85 (勝利) Y N N N N N : 18 (敗北) Y N ・ ・ ・ ・ ・ ・ Y N : 9 (敗北) ・ ・ ・ ・ ・ ・ 重み付き多数決ゲームを生成 (121=割当数) [ 121; 109, 74, 21, 0, 10, 12 ] [ 121; 0, 74, 21, 14, 10, 12 ] [ 121; 0, 74, ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0, 12 ]
Shapley-Shubik 指数を計算 (総議案数=133) (.75 .083 .083 0 0 .083)×(85/133) 新しい指数(2) 重み付き多数決ゲームを生成 政党: 自民 社会 公明 共産 民社 連合 : 議案数 議席: 109 74 21 14 10 12 . [ 121; 109, 74, 21, 0, 10, 12 ] 85 [ 121; 0, 74, 21, 14, 10, 12 ] 18 [ 121; 0, 74, ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0, 12 ] 9 ・ ・ ・ ・ ・ ・ Shapley-Shubik 指数を計算 (総議案数=133) (.75 .083 .083 0 0 .083)×(85/133) (0 .025 .25 .25 0 .25 )×(18/133) (0 .025 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0 .25 )×( 9/133) + ・ ・ ・ ・ ・ ・ . (.550 .117 .145 .064 0 .125)
他の指数との比較 指数 : 自民 社会 公明 共産 民社 連合 109 74 21 14 10 12 . S-S :.564 .117 .117 .067 .067 .067 Bz :.844 .156 .156 .094 .094 .094 D-P :.333 .117 .117 .144 .144 .144 S-O1: .5 .5 S-O2:.155 .032 .211 .144 .458 . O-M1: .932 .068 O-M2: .632 .292 .068 O-M3: .639 .135 .180 .045 O-M4: .707 .007 .105 .135 .045 O-M5: .511 .166 .202 .049 .072 . M-U : .550 .117 .145 .064 .125
他の指数を特殊ケースとして含む Shapley-Shubik 指数 投票行動表 政党: A B C D E F :議案数 他の指数との関係 他の指数を特殊ケースとして含む Shapley-Shubik 指数 投票行動表 政党: A B C D E F :議案数 議案: Y Y Y Y Y Y : 1 Deegan-Packel 指数 政党 : A B C D E F :議案数 議案1: Y Y N Y Y Y : 1 議案2: Y Y Y N Y Y : 1 全ての 議案3: Y Y Y Y N N : 1 極小勝利提携 ・ ・ ・ ・ ・ ・
公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理系(0) 公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理2 [i,j ∈E, [∀F, v(F+i ー j)=v(Fー i+j)]] → η(G,pE)i = η(G,pE) j 公理3 ∀ E, η(G1, pE)+η(G2, pE) =η(G1 ∧G2, pE)+η(G1 ∨ G2, pE) 公理4 指数の総和=1 公理5 (0≦∀λ≦1), η(G, λp+(1‐λ)p’) =λη(G1, p)+ (1‐λ) η(G, p’) 公理6 ∀ E, η(G, pE) =η(G [E ], pE)
G=[q;w1, w2,..., wn]: wi :i の票数, q :割当数 プロフィール p :各勝利提携の発生確率 公理系(1) データ: G=[q;w1, w2,..., wn]: wi :i の票数, q :割当数 v : 特性関数 プロフィール p :各勝利提携の発生確率 (発生確率の総和は1) 指数: (η(G,p)1, η(G,p)2,...,η(G,p)n) 公理1 [∀F, v(F) = v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理2 [i,j ∈E, [∀F, v(F+i ー j)=v(Fー i+j)]] → η(G,pE)i = η(G,pE) j 単純プロフィール pE :勝利提携Eの発生確率=1 公理3 ・ ・ ・ ・
単純プロフィール pE :勝利提携Eの発生確率=1 公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理系(2) 単純プロフィール pE :勝利提携Eの発生確率=1 公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理2 [i,j ∈E, [∀F, v(F+i ー j)=v(Fー i+j)]] → η(G,pE)i = η(G,pE) j 公理3 ∀ E, η(G1, pE)+η(G2, pE) =η(G1 ∧G2, pE)+η(G1 ∨ G2, pE) 公理4 指数の総和=1 公理5 (0≦∀λ≦1), η(G, λp+(1‐λ)p’) =λη(G1, p)+ (1‐λ) η(G, p’) 公理6 ・ ・ ・ ・
公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理系(3) 公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理2 [i,j ∈E, [∀F, v(F+i ー j)=v(Fー i+j)]] → η(G,pE)i = η(G,pE) j 公理3 ∀ E, η(G1, pE)+η(G2, pE) =η(G1 ∧G2, pE)+η(G1 ∨ G2, pE) 公理4 指数の総和=1 公理5 (0≦∀λ≦1), η(G, λp+(1‐λ)p’) =λη(G1, p)+ (1‐λ) η(G, p’) 公理6 ∀ E, η(G, pE) =η(G [E ], pE) v’:G [E ]の特性関数, v’(F)=1 ⇔ v(F∩E)=1
定理:提案した指数は, 公理1~6で特徴付けられる. 公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理系(4) 公理1 [∀F, v(F)=v(F+i)] → η(G,p)i = 0 公理2 [i,j ∈E, [∀F, v(F+i ー j)=v(Fー i+j)]] → η(G,pE)i = η(G,pE) j 公理3 ∀ E, η(G1, pE)+η(G2, pE) =η(G1 ∧G2, pE)+η(G1 ∨ G2, pE) 公理4 指数の総和=1 公理5 (0≦∀λ≦1), η(G, λp+(1‐λ)p’) =λη(G1, p)+ (1‐λ) η(G, p’) 公理6 ∀ E, η(G, pE) =η(G [E ], pE) 定理:提案した指数は, 公理1~6で特徴付けられる.
S-S指数, D-P指数 を特殊ケースとして含む 参議院のデータを用いた他の指数との比較 O-M指数と近い数値が得られた まとめ 新たな指数の提案 イデオロギー空間の導入が不要 S-S指数, D-P指数 を特殊ケースとして含む 参議院のデータを用いた他の指数との比較 O-M指数と近い数値が得られた (議案ベクトルの発生が偏っている場合に有効) 指数を特徴付ける公理系の証明 S-S指数の公理系 +(公理5)プロフィールに関する線形性 +(公理6)単純プロフィールを持つ際の仮定 公理5 (0≦∀λ≦1), η(G, λp+(1‐λ)p’) =λη(G, p)+ (1‐λ) η(G, p’) 公理6 ∀ E, η(G, pE) =η(G [E ], pE)
おわり
他の指数との比較 指数 : 自民 社会 公明 共産 民社 連合 109 74 21 14 10 12 . S-S :.564 .117 .117 .067 .067 .067 Bz :.844 .156 .156 .094 .094 .094 D-P :.333 .117 .117 .144 .144 .144 S-O1: .5 .5 S-O2:.155 .032 .211 .144 .458 . O-M1: .932 .068 O-M2: .632 .292 .068 O-M3: .639 .135 .180 .045 O-M4: .707 .007 .105 .135 .045 O-M5: .511 .166 .202 .049 .072 . M-U : .550 .117 .145 .064 .125