中性子過剰F同位体における αクラスター相関と N=20魔法数の破れ

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Atomic Structure 原子の構造. Introductory level (入門レベル)
Advertisements

核子構造 ( スピン)の研究紹介 理化学研究所 中川格 1. 2 加速器実験 加速器 原子核・核子 測定器 3.
Generalized Form Factors of the Nucleon in the Chiral Quark Soliton Model カイラルクォークソリトン模型に基づく 核子の一般化形状 大阪大学 原子核理論研究室 D 1 中小路 義彦.
反対称化分子動力学法を用いた原子核構造と反応の研究 延与佳子 (京大基礎物理学研究所) 主なプロジェクトメンバー: 延与(京大) 小野(東北大) 古田(東北大) 1. はじめに 2. 反対称化分子動力学法 3. 重イオン反応の研究・核物質の液相気相の共存 4. 軽い安定核・不安定原子核の構造研究 5.
反対称化分子動力学による Drip-line 核の研究に向けて M. Kimura (Hokkaido Univ.)
Nat Zn+ 40 Ar 反応における 高スピン状態の研究 阪大理、理研 A 登壇者:堀稔一 共同実験者:増江俊行、田尻邦彦、小紫順治、長澤拓、 西村太樹、佐藤昭彦、赤阪陽介、古川武 A 、 福地知則、小田原厚子、下田正.
原子核物理学 第3講 原子核の存在範囲と崩壊様式
Spectroscopic Study of Neutron Shell Closures via Nucleon Transfer in the Near-Dripline Nucleus 23O Phys. Rev. Lett. 98, (2007) Z.Elekes et al.
実習B. ガンマ線を測定してみよう 原子核・ハドロン研究室 永江 知文 新山 雅之 足立 智.
α α 励起エネルギー α α p3/2 p3/2 α α 12C 13B 12Be 8He α α α
MEG実験2009 陽電子スペクトロメータの性能評価
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
Study of the tensor correlation with a beyond-mean-field method
不安定核のエネルギー準位から探る殻構造の変化
清水 則孝 理研 大塚 孝治 東大理/CNS/理研 水崎 高浩 専修大 本間 道雄 会津大
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
クラスター変分法による 超新星爆発用 核物質状態方程式の作成
最近の不安定核の構造研究の発展 板垣 直之 (東大理) KEK研究会 2006年8月.
TTF骨格を配位子に用いた 分子性磁性体の開発 分子科学研究所 西條 純一.
Shell model study of p-shell X hypernuclei (12XBe)
中性子過剰核での N = 8 魔法数の破れと一粒子描像
平均場理論計算による sd-shell ハイパー核の形 1. sd殻核と変形 2. 自己無撞着平均場理論 と核変形
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
不安定核における殻進化と エキゾチックな核構造
質量数130領域の原子核のシッフモーメントおよびEDM
理研RIBFにおける深く束縛されたπ中間子原子生成
クラスター構造を持つ ハイパー核のB(E2)測定
中性子数51近傍の原子核における 高スピン状態の研究 増江 俊行, 堀 稔一, 田尻 邦彦, 長澤 拓, 小紫 順治,西村 太樹,
Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies
原子核物理学 第8講 核力.
反核子のオフシェルエネルギーでの振舞いおよび ガモフテーラー和則における中間子生成強度
Λハイパー核の少数系における荷電対称性の破れ
ストレンジネスが拓く エキゾチックな原子核の世界
The Effect of Dirac Sea in the chiral model
Muonic atom and anti-nucleonic atom
QMDを用いた10Be+12C反応の解析 平田雄一 (2001年北海道大学大学院原子核理論研究室博士課程修了
D中間子崩壊過程を用いた 軽いスカラー中間子の組成の研究
6He及び5Heの深部空孔状態とクラスター構造
Anomalous deformation in neutron-rich nuclei
原子核の質量 B (束縛エネルギー) 束縛エネルギー *束縛エネルギーが大きいほど安定(質量が軽い)
理研RIBFにおける 中性子過剰Ne同位体の核半径に関する研究
分子軌道理論(Molecular Orbital theory, MO理論)
Clusters ‘07 会議出席報告 基礎物理学研究所 研究機関研究員 高階 正彰
4体離散化チャネル結合法 による6He分解反応解析
星間物理学 講義2: 星間空間の物理状態 星間空間のガスの典型的パラメータ どうしてそうなっているのか
チャネル結合AMDによる sd殻Ξハイパー核の研究
学年   名列    名前 物理化学 第1章5 Ver. 2.0 福井工業大学 原 道寛 HARA2005.
目次 1. 原子における弱い相互作用 2. 原子核のアナポールモーメント 3. アナポールモーメントから何がわかるか?
原子核の殻構造の相対論的記述 n n n σ ω n σ ω n 柴田研究室 石倉 徹也 1.Introduction n n
反対称化分子動力学で調べる ハイパー核構造
卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
ストレンジネスで探る原子核 -ハイパー核の世界-
井坂政裕A, 木村真明A,B, 土手昭伸C, 大西明D 北大理A, 北大創成B, KEKC, 京大基研D
原子核の励起状態の微細構造とパイオンの効果
? 格子QCDシミュレーションによる南部-ゴールドストン粒子の 質量生成機構の研究 質量の起源 ドメインウォールフェルミオン作用
J-PARC meeting 藤岡 宏之 2006/01/31.
原子核物理学 第9講 二重ベータ崩壊.
学年   名列    名前 物理化学 第1章5 Ver. 2.0 福井工業大学 原 道寛 HARA2005.
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の開発(2)
「少数粒子系物理の現状と今後の展望」研究会
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
原子核物理学 第7講 殻模型.
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
大規模並列計算による原子核クラスターの構造解析と 反応シミュレーション
原子核物理学 第6講 原子核の殻構造.
Brueckner-AMDの軽い原子核への適用
(K-,K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトル
現実的核力を用いた4Heの励起と電弱遷移強度分布の解析
複合アニオンに起因した多軌道性と低次元性からうまれる 強相関電子物性の研究
軽い原子核の3粒子状態 N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール a大阪電気通信大学 b東京工業大学
Presentation transcript:

中性子過剰F同位体における αクラスター相関と N=20魔法数の破れ 木村真明 (筑波大) Contents Introduction: N=20魔法数の破れ Introduction: αクラスター構造と分子軌道 Theoretical Framework: Deformed-Basis AMD plus GCM Results and Discussions: F Isotopes Summary

N=20魔法数の破れ Island of Inversion

N=20 neutron shell closure Neutron excitation across magic # N=20 neutron shell closure N=20 shell gap Normal config. Intruder config. 複数の中性子がN=20 shell gapを超えて   pf-shellを占有する 基底状態の大きな変形 第一励起状態(2+) の   非常に低い励起エネルギー(885keV). 基底状態から第一励起状態への非常に強い  E2遷移 N. Fukunishi, et. al. PLB 296, 279 (1992) Y. Utsuno, et. al. PRC 64 011301 (2001) T. Motobayashi, et. al. PLB346, 9 (1995) …

αクラスター構造と分子軌道

αクラスター構造と分子軌道 s-orbital p-orbital N≠Z原子核に固有の新しい束縛機構 コアを構成する核子とその周りの中性子とに分割 コアのクラスター構造とその周りの中性子の運動

αクラスター構造と分子軌道

Motivation 分子軌道構造は一般的現象か 余剰中性子とコアの中性子との相互作用 中性子過剰になるとクラスター構造が発達しうるか 実験的に確認するには

Theoretical Framework deformed basis AMD + Generator Coordinate Method model wave function Angular momentum projection Superposition of the wave function (GCM) Parity projection Angular momentum projection Superposition of many Slater determinant Cluster and shell structure

Results: 19F Alpha Cluster band α相関 8 N=Z=8 16O

Results: 21F Molecular-Orbital Band ?

Results: 21F Molecular-Orbital Band σ-type MO 20 x2 8 σ2 + πσ π-type MO π2 20 x2 8

Results: 23F Molecular-Orbital Band πσ σ2 π2 protonの励起によりクラスターコアが発達した場合には、余剰中性子の運動 (π型、σ型)に応じて状態を大まかに区分できる

Results: 25,27,29F MO and Intruder Band Intruder config. σ2 πσ π2

Results: F isotopes Overview π2 σ2 πσ Intruder config. 20 8 Drip-lineに近づくにつれてσ配位構造のエネルギーが下がる  強いα相関のため、proton励起によるエネルギーロスは小さい  αクラスターコア形成による大きな変形に伴い、中性子のsd→pfへの   励起エネルギーもそれほど大きくない

Summary F同位体においてもアイソトープを通じてαクラスター構造(コア)が現れる αクラスター構造(コア)が現れる場合には余剰中性子の軌道はπ型、σ型の分子軌道に大まかに分類できる Drip-lineに近づくにつれて、σ型の中性子配位を持つ状態のエネルギーが非常に低くなる Shell模型描像では3hω励起(陽子中性子共にIntruder配位)にもかかわらず、数MeVの励起エネルギー α相関により、陽子の励起に要するエネルギーは小さい クラスターコアの形成に伴う大きな変形により、中性子のsd-pf励起に要するエネルギーが減少する