ウェットプロセスによる光学薄膜の応用 Eco ~反射防止膜~ 研究背景 反射防止膜の原理 交互積層法とは・・・ n0 nl ng λ/4n1

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ウェットプロセスによる光学薄膜の応用 Eco ~反射防止膜~ 研究背景 反射防止膜の原理 交互積層法とは・・・ n0 nl ng λ/4n1 ~反射防止膜の用途~ カメラレンズ 屈折率 n0<nl<ng (n0=1) 太陽電池 ハウスデザインプロジェクトHPより                      反射光が弱め合う 反射光 ガラス基板 ng n0 低屈折率層 nl λ アプリケーション 入射光 窓ガラス SPACE-DEVICE株式会社HPより                      眼鏡 λ/4n1 ◆カメラレンズや眼鏡などは透過率を向上させることにより視認性の向上に繋がります。 ◆太陽電池では表面に加工することで、透過率が向上し変換効率の上昇に繋がります。 波長λに対する反射を最小にする条件 透過光 ※従来の方法(ドライプロセス)では、高コストであったり高温高真空を必要としていました! 当研究室では環境負荷を考慮し、さらに常温常圧過程で低コストで作製しています。 作製方法は、ウェットプロセスである交互積層法を用いています。 交互積層法とは・・・ ..  Layer-by-Layer Method(LBL法)とは、プラスのイオンが存在する水溶液とマイナスのイオンが存在する水溶液に基材を交互に浸漬することを繰り返すことで、静電相互作用によりイオンが吸着して薄膜を形成していく方法です。特徴として、様々な材質や様々な形状の物質の表面に、低い環境負荷で低コストの作製プロセスと材料を用いて、ナノメートルオーダーの制御された膜を作製できることが挙げられます。 1 bi-layer×N カチオン溶液 純水リンス アニオン溶液 純水リンス 交互積層法の利点  ◆静電的吸着による高い制御性・安定性  ◆常温・常圧・水系過程により低環境負荷  ◆ナノオーダの超薄膜の作製が可能 Eco 研究者名 白鳥世明 お問合せ先 慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 白鳥研究室 〒222-8522 神奈川県横浜市港北区日吉3丁目14-1 TEL/FAX : 045-566-1602   E-mail : shiratori@appi.keio.ac.jp

Optical Thin Film Anti Reflective Films High Reflective Films 膜厚を制御することによって様々な機能を持たせられる光学薄膜  LBL法を用いて、レンズやディスプレイなどの精密機器だけでなく、様々な用途に用いられる光学薄膜を作製する研究をしています。  光学薄膜の原理は、基板の表面に光の波長の4分の1に当たる厚さ(100ナノメートル程度)の膜を作製することにより、基板と膜の界面による反射光と空気と膜の界面による反射光が干渉を起こして、打ち消しあったり強めあったりする現象を利用しています。  LBL法の持つナノオーダーの膜厚制御性と材料の選択性が、様々な膜厚や屈折率を持った膜を積層可能とさせています。そのため、目的とする干渉を得るための設計に対して、非常に良い応答を示します。 入射光 反射防止膜 λ λ/4 基板 180°の位相のズレ 干渉による相殺 透過光 反射光 Fig. 反射防止膜の原理 Anti Reflective Films 反射防止膜 Fig. 左 ガラス 右 反射防止膜  数ある光学薄膜の中で、最も身近に使われているのがこの反射防止膜。特定波長を選択的に反射防止する機能は、その波長の透過を強くすることでもあります。  左の図は反射防止膜の一例です。目が最も強く感じる波長550nmの光を反射防止することで透過率が上昇し、ガラスの向こうに見える文字が見えやすくなっているのがわかります。このような機能は実際にメガネに使われている他、車のリアガラスやカメラのレンズ、テレビのディスプレイなど、より多くの光を透過したいような場面で様々に応用されています。当研究室では、水系にも関らずガラス上で鉛筆強度5Hの硬さを持つ反射防止膜の作製にも成功しています。汎用性の高い膜を、水系・常温・常圧で作れるのも、LBL法の工業的に優れる点であるといえます。 High Reflective Films 増反射膜  反射防止膜に加えて、さらに応用が広いのがこの増反射膜です。設計によっては、特定波長の反射を強めるだけでなく、その他の波長の透過を同時に高めることもできます。  例としては、可視光波長の透過を強めながら近赤外の熱線を反射する事で、室内の気温上昇を抑えることのできる省エネ窓を実現できます。また、レーザーの反射を強めて損失を少なくすることのできる反射鏡、蛍光灯の効率を上げることのできる増反射フィルムなど、その用途は多岐に渡ります。これらの膜は、より精密な膜厚制御を必要とするため真空状態での製膜が主要な製法でした。しかし低コストで安全性の高いLBL法で、再現性の高い膜厚制御を確立しこのような光学薄膜についても実用が期待できるレベルまで達しているため、現在もさらなる性能向上に向けて研究を行っています。 反射増加 Fig. 左 ガラス/中央 増反射膜1/右 増反射膜2 ■株式会社 SNT 〒212-0032 神奈川県川崎市幸区新川崎7番1号 慶應義塾大学K2タウンキャンパスO棟103号室 TEL : 044-580-1566 FAX : 044-580-1436 URL : http://www.snt.jp ■慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 白鳥研究室 〒222-8522 神奈川県横浜市港北区日吉3丁目14-1 TEL/FAX : 045-566-1602 E-mail : shiratori@appi.keio.ac.jp URL : http://www.appi.keio.ac.jp/shiratori/seimei/index-jp.html