144chマルチアノードHAPDの 開発研究 イントロダクション 光検出器への要求 HAPDの動作原理 144chマルチアノードHAPDの仕様 性能測定方法 多チャンネル同時読み出しシステム まとめ 今後 名古屋大学理学研究科 馬塚優里
イントロダクション エアロジェルRICH(Ring Image CHerenkov)カウンター Belle実験用新型K/π識別装置 コンパクトな設計 シリカエアロジェル 光検出器 チェレンコフ光の放出角の情報でk/πを識別 8 GeV e- e+ 3.5 GeV エアロジェル 輻射体(1~2cm) 従来の閾値型チェレンコフ検出器 光子 K/π Up リングイメージ型検出器 位置分解能のある光検出器
これまでの開発経緯 RICHの性能 角度分解能 ~14mrad 検出光子数 ~6個 性能向上のためのスタディ マルチラディエーターの性能評価 検出光子数 ~6個 エアロジェルの透過率向上 検出光子数~1.5倍に 4×4フラットパネルPMT (H8500) 有効面積~89% 2004 性能向上のためのスタディ マルチラディエーターの性能評価 6×6マルチアノードPMT (R5900-M16) 有効面積~49% 2003 エアロジェルを複数枚用いて 角度分解能を悪化させずに光子数を増加 Systematic study完了 2002 基本原理の確認 2001 2000 イメージインテンシファイアでとらえたチェレンコフリング
光検出器への要求 1光子検出可能 5mm程度の位置分解能を持つ 有効面積比が大きい 1.5Tの磁場中で使用可能 HAPD
Hybrid Avalanche Photo Detector BELLE エアロジェルRICH用 HAPD LHCbで使用予定のHPD 真空管+avalanche photodiode、近接型 真空管+photodiode、静電場でfocus Pixel APD HV + Avalanche Gain (~104) 高Gainの獲得が可能 磁場中で使用可能 HV Gain のみ (~103) 磁場中で使用不可能 エアロジェルRICH用光検出器として開発中
144ch マルチアノード型 HAPD 光電面材質 : マルチアルカリ 有効面積 : 64×64 [mm] 浜松ホトニクス社と共同開発中 光電面材質 : マルチアルカリ 有効面積 : 64×64 [mm] APD数 : 2×2 (Chip A,B,C,D) チャンネル数 : 144ch (6×6ch / 1APD) チャンネルサイズ : 4.9×4.9 [mm] チャンネル間ピッチ : 0.6 [mm] 有効面積比 : 65 % B C A D 1chip=36pixel 144 channel HAPDの外観
性能評価のセットアップ 測定項目 HAPDのマルチアノード光検出器としての基本性能を評価する アパーチャー HAPD PLP 電流計 レンズ 2D方向にscanning可能なステージ スポット光~200mm HAPD PLP 電流計 レンズ 可動ステージ 測定項目 HV Gain、 avalanche Gainの測定 パルス測定 (CAMAC使用) Uniformity 測定 (全読み出しチャンネルを短絡して測定) 位置分解能、クロストークの測定 (読み出しチャンネルを固定して測定) HAPDのマルチアノード光検出器としての基本性能を評価する
HV、avalanche Gainの測定結果 HV Gain ●Chip A ■Chip B ▲Chip D ●Chip A ch22 ■Chip B ch22 ▲Chip D ch22 Leak current 耐圧・・・リークカレントが1chipで50nAを上限とする ch22はchipのほぼ中心のチャンネル HV~2kVあたりからほぼリニアにゲインが大きくなる 2kVが光電子がAPD内に進入できる閾値・・予想通り APD Bias 耐圧 : 328V (Chip A) 349V (Chip B) 415V (Chip D) HV Gain : 1300 ~ 1900 ( 9 kV印加時) Avalanche Gain : 40 (Chip D に400V印加時) Total ~ 5×104 APDの個体差が大きい
パルス測定 1光子照射時のADC分布 1光子照射時の出力波形 10mV S/N = = 9.3 1光子検出可能! Mean = 68.0 Chip B HV : 8.5kV Bias : 305V 1光子照射時のADC分布 1光子照射時の出力波形 10mV Mean = 68.0 σ(1photon) = 7.3 8.5kV 打ち込みgain ~1700倍 305V Avalanche gain ~5倍 Pre-amp : CLEAR PULSE 580K Shaping-amp : ORTEC 672 を使用 S/N = = 9.3 1光子検出可能! s(1photon) Mean
Uniformity(1) Chip B の全面をscan (pitch : 1mm) QEが局所的に低い <QE> = 8% X,Y軸はPhotonの入射位置 QEが局所的に低い <QE> = 8%
Uniformity(2) Gain (Min) = 70% Gain (Max) Total Gain のUniformity [mm] Total Gain HAPD出力電流 光電面のUniformity HV Gain + avalanche Gain HV Gain (8.5kV) : 1700 Avalanche Gain (305V) : 5 ~ Total Gain : 8500 光電面の違いがうまくキャンセルできていない Gain (Min) = 70% Gain (Max) [mm] ピクセルごとのAvalanche Gainの差が大きい
(X,Y軸はphotonの入射チャンネル) クロストーク 読み出しチャンネルに誘起される電流量 (X,Y軸はphotonの入射チャンネル) 5% 4.2% 2.8% 2.7% 隣接チャンネルで 3~5% その他チャンネルは2%以下 考えられる原因: [ch] [ch]
位置分解能(1) 位置分解能 : 約5mm (側管付近を除く) Chip B 管の側面側 管の内側 x軸方向の読み出しチャンネルを 固定し、0.1mm pitch で光源を動かす 横1列分(6チャンネル)を測定 ch2 ch3 ch4 ch5 ch6 I[A] 4.9mm y Chip B x ch1 位置分解能 : 約5mm (側管付近を除く) 最も側管に近いチャンネルだけは正常に反応していない 光を照射している位置
位置分解能(2) HV印加時に 入射窓と金具部分は同電位 入射窓 光電面 金具 セラミック 光子 HV印加時に 入射窓と金具部分は同電位 同電位 入射窓 光電面 金具 側管付近の電場が歪む! セラミック 側管付近に入射した光子から 生成される電子はその軌道を 曲げられてしまう 電子 磁場中(1.5T)で動作させることによって回避できる。 検証の必要あり
VAを用いた多channel読み出しsystem VAチップ 各チャンネル入力ラインにそれぞれcharge amp、shaper、sample&hold回路 多channelの信号が1channelにシリアル化されて出力 K2K用に開発されたものを利用 VAボード 1boardにVA 2chip(裏と表) 1chipにつき32ch. これをHAPD用に2board用意(全128ch.) 最終段にanalogue multiplexerがあり、多channelの信号が1channelにシリアル化されて出力
VAを用いたパルス測定 ~3 1光子照射時のADC分布 VAを用いてHAPDの1光子検出可能! 実際にビームを当てて チェレンコフ光を観測 VME 1ch.にスポット照射 ADCカウントの負側にsignal出力 HV:-8kV,Bias:315V DAQボード clock LED PC HAPD GATE 接続ボード 1光子照射時のADC分布 ~3 VAを用いてHAPDの1光子検出可能! 実際にビームを当てて チェレンコフ光を観測 結果は現在解析中
144chマルチアノード型HAPDの性能評価を行った まとめ エアロジェルRICHのための光検出器 144chマルチアノード型HAPDの性能評価を行った 基本測定の結果 Gain : 1300×40=5×105, 1光子検出可能 (S/N = 9.3) Uniformityの評価 Gain : min/max = 約70%, QE : 8% クロストークの評価 隣接チャンネルで 3~5% 位置分解能の評価 約5mmの位置分解能を達成(最外チャンネルを除く) エアロジェルRICHの要請を満たすHAPDの開発は可能 APDの個体差、マルチチャンネル特性改善の必要あり
開発研究の今後 クロストークの原因解明 VAを用いた多チャンネル同時読み出しシステムの完成 ビームテストの解析 磁場測定 APDのみで反射率測定 VAを用いた多チャンネル同時読み出しシステムの完成 全チャンネルのパルス測定 ビームテストの解析 ビームに直接当たったときの反応 磁場測定 1.5Tの磁場中での振舞いを調査 エアロジェルRICH検出器用読み出し回路 多チャンネルを高速で読み出すためのASICの開発研究
BACK UP!
HAPD 真空管光検出器技術と半導体技術の融合・・・新型光検出器 Siダイオードを利用・・・シグナルの高分解能(3.64eV/1電子・正孔対) 利得・・・光電子打ち込み × アヴァランシェ効果 高利得、低雑音な回路での読み出しが必要 光電子打ち込み 時の後方散乱に より理想値よりも 減少する Belle検出器のEndcap部では磁場B // HAPD内の真空管内の電場 での安定動作
HAPD測定回路 正逆バイアス電圧印加時 Rf: 50Ω R: 100MΩ C: 10nF
位置分解能(1) 隣り合うチャンネルに対するクロストーク : 10%以下 斜め隣、2ch以上離れた部分にはほぼ影響なし チャンネル中央から12mm角を 0.5mm pitchでscan [mm] X scan Y scan Next ch Next ch 4.9mm [mm] [mm] 隣り合うチャンネルに対するクロストーク : 10%以下 斜め隣、2ch以上離れた部分にはほぼ影響なし
5% 斜め隣 4.2% 2.8% 隣接チャンネル 2.7% [ch] [ch] [%]