講義ガイダンス 「宇宙の物質循環を理解するために使われる物理・化学・数学」 東京大学教養学部前期課程 2016年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研) 場所: 東京大学・駒場キャンパス 11号館 1102号室 毎週木曜1限(8時30分-10時15分)
我々の体・住む世界を構成する元素の大部分は星の中でつくられた 私たちはどこから来たのか? 我々の体・住む世界を構成する元素の大部分は星の中でつくられた 物質の「輪廻」 星間ガス雲 (“星の胎盤”) ガスと塵(星間空間の物質の1%は固体微粒子) 星のガス放出は、 どの進化段階で、 どのように起きる? 超新星は塵を作る? それとも壊す? 星の終焉: ガス放出/超新星爆発、塵の生成/破壊 星の誕生 星内部での重元素生成
授業の目標 特に赤外線天文学(可視光~電波天文学も含む)の研究の現場である「宇宙の物質循環」に関係したテーマを幾つか掘り下げて学習する。 大学の1、2年生で学ぶ基礎的な物理学・化学・数学が、最前線の宇宙科学(特にスペースからの赤外線天文学)の研究の現場でどのように使われているか、具体的な例を通じて習得し、基礎科目の学習の重要性を再認識することを目指す。 生まれたての星や銀河とその母胎である星間物質、原始惑星系円盤や系外惑星など、赤外線天文学の観測対象について学習するだけでなく、 宇宙飛翔体(天文衛星・探査機)やその運用・データ処理など、研究を遂行するために我々研究者が日々の研究や業務の現場で直面している課題についても紹介する。
ノートをとることで、できるだけ自主的に理解してもらいたいので、板書を用いて講義形式で進める。 授業の方法 ノートをとることで、できるだけ自主的に理解してもらいたいので、板書を用いて講義形式で進める。 講義の参考資料等は、下記のホームページにアップする。 http://www.ir.isas.jaxa.jp/~maruma/kougi/ 参考書 シリーズ現代の天文学 (全17巻、日本評論社) (特に第4、5、6、9、15、16巻)
授業計画 第1回:ガイダンス。講師自己紹介。スペースからの赤外線天文学の歴史 第2回:天球座標とその変換 第3回:可視光・赤外線・電波天文学の基礎(地上/スペース) 第4回:放射輸送の基礎 第5回:電磁波放射の素過程その1(黒体放射とその天文学への応用) 第6回:電磁波放射の素過程その2(制動放射とその天文学への応用) 第7回:星間物質その1(概観、星間ガスの諸相、原子・分子スペクトル線)
授業計画 (続) 第8回:小惑星探査と探査機/天文衛星(「はやぶさ」と「あかり」) 第9回:星間物質その2(星間塵) 第10回:分子雲と星形成 第11回:星・惑星系の誕生の現場 第12回:銀河とその活動現象 第13回:銀河の形成と進化
成績評価方法 毎回の授業の最後に、簡単な演習問題を1問づつ出題する。 出題内容は過去年度のものと一部異なります。 第7回の終了時に、それまで出題した問題の中からレポートを提出してもらう。 このレポートの内容 と、期末試験の結果で成績評価を行う。 解答が、過去に流出した解答例と同じである場合、その問題についてゼロ評価となります。 期末試験の内容は後半(第8回以降)に出題した問題と、全般を通しての内容に関するものになる予定です。 なお、内容・進め方は適宜変更する可能性があるので注意のこと。