益田保健所 中本 稔 E-mail: nakamoto-minoru@pref.shimane.lg.jp 島根県の医療行政 益田保健所 中本 稔 E-mail: nakamoto-minoru@pref.shimane.lg.jp
医療政策、医療経営の目標 日本の医療政策を概観することができる。 医療資源について説明することができる。 診療報酬の仕組みを説明することができる。 島根の医療政策を概観することができる。 島根の医療政策の各種事業を理解できる。 医療と介護の連携について、保険者、事業者の 役割を理解できる。 圏域の医療政策の取り組みを理解し、2025年 の医療提供を説明することができる。
〇総人口が減少していく中、75歳以上の高齢者の人口は増加(2016年1,691万人➡2030年2,288万人) 〇労働力人口15~64歳は、大幅に減少(2016年7,656人➡2030年6,875人)
急速に増大する社会保障給付費
社会保障の財源は国民の負担(税)
日本の医療(提供)政策 人 医師法、保健師助産師看護師法ほか 物 医療法(病院、診療所、助産所) 制度 国民健康保険法、健康保険法 高齢者医療確保法、介護保険法 感染症法(旧結核予防法も) 都道府県医療計画(医療構想) 文部科学省(医学、歯学、薬学、看護学etc) 医療費抑制の政策も医療政策? (例.2年ごとの報酬改定や包括報酬DPC)
医療政策 医療提供制度の流れ S23~ 医療法制定 1948 1985 1992 1997 2000 2006 S60~ 第1次医療法改定 医療政策 医療提供制度の流れ 1948 S23~ 医療法制定 S36 国民皆保険 S39 救急病院告示 S48列島改造一県一医大 老人福祉法医療無料化 1985 S60~ 第1次医療法改定 医療圏の設定 都道府県必要病床=基準病床 医療計画の策定義務化 老人保健施設の創設(老人保健法) S58 老人保健法 高齢者(70-)医療保険 1992 H4~ 第2次改定 圏域ごとの必要病床 特定機能病院、療養型病床の制度化 1997 H9~ 第3次改定 地域医療支援病院 (200床以上、病診連携、救急救命、臨床研究等) 2000 H12~第4次改定 病床区分(一般、療養、精神、結核、感染) 医師・歯科医師の初期臨床研修義務化 H12 改正医師法 初期臨床研修(H16実施) H15 診療群分類包括評価 2006 H18~第5次改定 (医療制度関連法案) 地域、診療科の医師不足への対応(4疾5事) 医療安全、医療従事者の資質(研修) H20 高齢者医療確保法 高齢者(75-)医療保険
島根県の医療提供 医療審議会 保健医療計画(医療構想)の進捗 病院・医療法人の許認可 病床機能報告 (国、毎年、2年前からレセプトも提出) 医師歯科医師薬剤師調査(国、2年ごと) 勤務医師実態調査(島根県、毎年10/1)
医療計画(第7次 H30-35年) 目標:平均寿命(死亡率↓)、65歳健康寿命延伸(要介護率↓) 医療圏の設定(=保健所の設置と関連) 基準病床 地域医療構想(構想区域ごとの2025年医療) 5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等、糖尿病、精神) 5事業(救急、災害、地域、周産期、小児)+在宅医療 その他(緩和ケア、医薬分業、医薬品安全、臓器移植) 島根県では、健康増進計画、健やか親子計画も含む 法や省令が基本となって進める医療提供 がん計画、周産母子、感染症(結核)、自死、子どもの心etc 循環器病対策推進計画もこれから
島根県の二次医療圏と市町村 ・7つの二次医療圏(7保健所) 〇保健所 圏域の医療は保健所が調整 松江圏域 隠岐圏域 出雲圏域 出雲市 松江市 大田市 雲南圏域 大田圏域 ①島根県の状況 その1 私の住む島根県は、人口75万6千人で、(全国第46位)高齢化率は26%と全国第1位の県です。 (東西に細長く、約230kmあります。県庁まで車で4時間かかる市町村もあります。) ②島根県の状況 その2 島根県では7つの二次医療圏を設定し、精神科医療体制の整備を行っています。 島根県でも市町村合併がすすみ、(59市町村が10月には21市町村となります。)4月には県の機構改革も実施されました。 浜田圏域 浜田市 ・7つの二次医療圏(7保健所) ・市町村合併 59市町村→ 21市町村→19市町村 益田圏域 津和野町 吉賀町 〇保健所 圏域の医療は保健所が調整
在宅医療・介護連携推進事業の特殊性 (東京大学 吉江ら 2017) 在宅医療・介護連携推進事業の特殊性 (東京大学 吉江ら 2017) 都道府県 地域医療介護総合確保促進法に基づく都道府県計画 介護保険事業 支援計画 医療計画 地域医療構想 医療・介護に関する計画の整合をはかる 国の研修会で東京大学の吉江先生は 2次医療圏での圏域医療計画と、 市町村の介護保険事業計画のすり合わせが大事だと話されています。 まさに、ここは保健所の出番でもあります。 二次医療圏 地域医療構想圏域 圏域別計画 地域医療構想 5疾病・5事業 +在宅医療 高度急性期~ 在宅医療等 地域医療介護総合確保促進法に基づく市町村計画 介護保険事業計画 市町村 在宅医療・介護連携等
誰が? 医療機関自身が、医療提供の方針 公的医療機関 「2025改革プラン」 診療所であっても、長の方針 県・保健所はその環境を調整 5疾病5事業+在宅(ex入退院連携)
医療提供 ひと(医療従事者)
医師充足データ
医療提供 病床(機能)
地域医療介護総合確保推進法 平成26年6月18日成立 新たな基金の創設と医療介護の連携強化 消費税増税分(H26は904億円、H27は介護事業と) 効率的かつ効果的な地域医療提供体制の確保 病棟ごとの病床機能報告 都道府県は医療構想を策定 構想に沿う施設整備やソフト事業を基金で助成 地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化 予防給付を地域支援事業に,特養は要介護3以上 低所得者の保険料軽減拡充 一定以上の収入ある利用者は2割負担に
地域医療構想 実現するための施策 機能分化・連携は、圏域ごとの 「地域医療構想調整会議」で 議論・調整。 ○ 「医療介護総合確保推進法」により、平成27年4月より、都道府県が「地域医療構想」を策定。 (法では平成30年3月までだが平成28年半ば頃までが望ましい) ○ 「地域医療構想」は、2025年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、 医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの。 (機能が見えにくい) 診療科別・臓器別 「地域医療構想」の内容 1.2025年の医療需要と病床の必要量 ・ 高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能ごとに推計 ・ 都道府県内の構想区域(2次医療圏が基本)単位で推計 2.目指すべき医療提供体制を 実現するための施策 例) 医療機能の分化・連携を進めるための施設設備、 医療従事者の確保・養成等 (A病棟) 高度急性期機能 病床機能 を自主的に 選択 分化と 連携 (B病棟) 急性期機能 医療機関 (C病棟) 回復期機能 (D病棟) 慢性期機能 医療機能の現状と今後の方向を報告 機能分化・連携は、圏域ごとの 「地域医療構想調整会議」で 議論・調整。 都道府県 「地域医療構想」を策定し、目指す医療に向け、病床機能報告やNDB等を活用し、 機能分化と連携、在宅医療・介護を推進する。
2025年推計値の捉え方 日本標準! 療養病床から在宅医療 13.0万床程度 必要病床数 医療施設調査 119.1万床▲10.0% 2025年推計値の捉え方 日本標準! 未報告・空床など 必要病床数 119.1万床▲10.0% 高度急性期 19.1万床 回復期 11.0万床 慢性期 35.2万床 急性期 58.1万床 一般病床 100.6万床 療養病床 34.1万床 医療施設調査 134.7万床 病床機能報告123.4万床* 13.0万床程度 40.1万床程度 37.5万床程度 24.2~28.5 万床程度 29.7~33.7 万人程度 療養病床から在宅医療
医療構想は全国統一のモデルによる予測 人口予測と 患者所在地別の医療提供(病院所在地) 医療構想は全国統一のモデルによる予測 人口予測と 患者所在地別の医療提供(病院所在地)
医療構想のめざすもの 効率的かつ効果的な地域医療提供体制の確保 医療資源の「偏在」を小さく 療養病床(区分1)は「山形」 質の高い、必要とされる医療を必要なところに 7対1の病棟は「単価が高い」医療 2次医療圏(=構想圏域)では 自己圏域完結率をめざす SCR、看取り 介護保険事業も「地元」に。 住み慣れたまちに最期まで=包括ケアシステム
地域包括ケア病棟の3つの機能 地域包括ケア病棟 急性期病院 【 機能① 】 急性期病院からの 患者の受け入れ 【 機能③ 】 在宅療養への移行 地域包括ケア病棟 【 機能② 】 特に多疾患もつ高齢者 在宅患者・施設入所者等の 病状急変時の受け入れ 在宅 介護保険施設等
特別養護老人ホーム
「脳卒中」の医療連携体制図(益田圏域) 高度・特殊な医療を担う医療機関 島根大学医学部附属病院〔特定機能病院〕 島根県立中央病院* 高度・特殊な医療を担う医療機関 島根大学医学部附属病院〔特定機能病院〕 島根県立中央病院* 日常生活への復帰および日常生活維持のためのリハビリ(維持期)を担う医療機関 救急医療を担う 医療機関 身体機能を回復させるリハビリ(回復期担う医療機関 発症予防を担う 医療機関 かかりつけ医 益田赤十字病院 六日市病院 浜田医療C 済生会山口総合病院 山口県総合医療C 国立病院岩国医療C 益田地域医療C医師会病院 津和野共存病院 六日市病院 津和野共存病院 六日市病院 あすかクリニック 老人保健施設 * 赤十字病院は脳外科常勤医を置かない
☆平成29年、介護保険法改正で市町村が在宅医療の整備を担うことになった。 圏域医療計画「在宅医療」連携図(改) 円滑な在宅療養移行にむけ退院支援する医療機関 益田赤十字病院 益田地域医療C 医師会病院 松ヶ丘病院 津和野共存病院 六日市病院 日常療養支援を行う医療機関 病院 3、診療所40 歯科診22、薬局30、訪看5 患者が望む場所での 看取りを行う医療機関 在宅療養支援診療所11 訪問看護ステーション 5 在宅医療を積極的に役割担う医療機関 在宅療養支援病院 1 在宅療養支援診療所11 在宅療養支援歯科診8 国が提示した在宅医療の関連図の落とし込みでは、 それぞれの病院がどういう機能にあるのか、 圏域単位で整理するわけですが、 入退院連携をキーワードに 各種指標の評価をし、連携をさらに太くする「見える化」を進めるのが 保健所の役割かと考えます。 急変時に対応する医療機関 益田赤十字病院、 益田地域医療C医師会病院 松ヶ丘病院、 津和野共存病院、 六日市病院 在宅医療に必要な連携を行う機関 包括支援C( ☆ 1市2町)、居宅介護事業所、相談支援事業所、益田保健所 ☆平成29年、介護保険法改正で市町村が在宅医療の整備を担うことになった。
医療提供 在宅診療 (病床機能との対比から) 医療提供 在宅診療 (病床機能との対比から)
地域医療構想における必要病床数 病床機能報告との差 ▲234床 ▲27.6% 高度急性期;47
地域医療構想 「在宅医療を要する患者推計」 介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等で対応する患者推計 受け皿として 何を整備すべきか? 人/日 老健分を差し引いて126不足 老健+一般及び療養病床から移行分 訪問診療分 今後も対応可能なのか?
全県に比べて60歳以上が多い。 8年後は、「規模縮小」へ ☆平成29年島根県在宅医療調査
受け持つ在宅療養患者数(何人診ることができるか?需供バランスは?) ▲1,223 診療所は減少 病院は増加
島根県在宅医療の供給不足への対応(案) 供給増 移送・集住 需要減 供給 需要 供給 需要 2013 2025 ④訪問診療を行う (高齢)医師を 維持・増加 ②移送サービスに よる通院支援 (外来対応) ①住民への啓発と協力(健康増進・互助)により中重度者の医療・介護へ注力 ⑤在宅療養(後方) 支援病院と在宅 医の連携拡大 ③高齢者住宅等への要介護高齢者の(季節的な)集住 ⑥病院からの 訪問診療の増加 ⑦訪問看護・介護と 在宅医の連携 (訪問頻度の減) ICT環境整備で遠隔診療活用 ⇒各圏域でワーキング会議等を設置して検討 ⇒国基金のしまね型医療提供体制構築事業 (圏域課題解決推進事業)の活用 ⇒圏域を越えた連携や県全体での対応 供給 需要 供給 需要 2013 2025 在宅医療及び医療・介護連携に関するW(6/27)陶山参考人資料を改定
島根県調査 入退院情報 (平成30年9月) (入院時)病院への情報提供 (退院時)病院からの情報提供 島根県調査 入退院情報 (平成30年9月) (入院時)病院への情報提供 (退院時)病院からの情報提供 【居宅介護支援事業所】 【訪問看護ステーション】
医療構想を進める保健所のデータ活用の提案 (富山・新川厚生センター、大江所長から) ①在宅医療にかかる地域別データ集 ②病床機能報告(在宅医療支援の視点) ③経済・財政と暮らしの見える化ポータルサイト(SCR)、 または、 医療計画作成支援データブックの在宅医療の評価指標 ④介護保険のデータは地域包括ケア「見える化」システム 保険者機能強化推進交付金にかかる調査 そのほか 医療機能情報による在宅医療の実績 医療施設静態調査の個票 研究班によるまとめだが、ここまでやれる保健所は限られる
医療提供 そのほか 医師だけではない医療提供 ただ、医師の方針(処方)が大事 患者・住民の需要(ニーズ)の“調整”? 医療提供 そのほか 医師だけではない医療提供 ただ、医師の方針(処方)が大事 患者・住民の需要(ニーズ)の“調整”? 患者会、病院を守る市民の会 「賢い患者になりましょう」 COML ACPの普及 (人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するGL)
まとめ 島根県の医療政策は保健医療計画 医療構想による病床機能の整理 医師配置計画による病院機能の将来 医療構想による病床機能の整理 医師配置計画による病院機能の将来 2025~需要供給バランスを想定して保健事業 健康づくりや国保の県移管でKDBや重症化予防 保健所の立場では、圏域完結をめざす 基幹病院の医師確保、連携の「基幹」 病病・病診・診診連携、多職種連携 在宅医療は市町村、在宅介護は介護保険者 公衆衛生医師として 勤務医や開業医の診療環境の整備の視点 医師のQOL、地域愛着 医業・介護保険事業経営はまちづくり メディコポリス
3年間の研修(例) 3年目: B保健所 2年目: A保健所 1年目:A保健所 社会医学系専門医 【島根県で社会医学系専門医を目指そう!!】 http://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/kenko/kosyueisei/syakaiigakukei.html 社会医学系専門医 3年間の研修(例) 3年目: B保健所 ・知識と技能を発展させる ・不足する経験や弱点となる技能を強化する 2年目: A保健所 ・基本的な知識と技能を基に実践の場で応用する 外部機関での短・長期研修の機会も! ・島根大学医学部附属病院 ・国立保健医療科学院 ・県内外の事業所 など ・基本的知識と技能を身につける 1年目:A保健所 基本的な統計処理 ・保健環境科学研修所