第7回ヤマセ研究会 (弘前大) 土地利用変化を考慮した 気候変動予測に向けた統計手法の開発

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(RECCA-Kochi@農環研より移籍しました) 第7回ヤマセ研究会 (弘前大) 土地利用変化を考慮した 気候変動予測に向けた統計手法の開発 成果1: 土地利用変化(LUC)由来によるコメ減収量を推定 (Yoshida et al. 2012 GRL) 成果2: 任意のLUCに対する気温変化量を算出する「影響評価関数」を開発 (Yoshida et al. 2013 submitted) 吉田 龍平  東北大院・理 (RECCA-Kochi@農環研より移籍しました) 2013年3月7日(木)

図: 2006-1987の5km-mesh内土地利用変化(LUC) [grid] 四国でも水田が都市に→気温上昇、コメ減収? 図: 2006-1987の5km-mesh内土地利用変化(LUC) [grid] ○大気or陸面モデルと作物生育モデルの結合は発展途上 Tsvetsinskaya, et al., (2001, JC), Lokupitiya, et al., (2009, BG), Hoff et al., (2011, AFM) ○LUC->作物影響を評価した研究は稀 Bagley, et al., (2012, ERL) LUC→大気モデル→作物モデル、でLUC→コメ収量影響評価

成果1: 土地利用変化on/offで2つのデータセット → コメ収量への影響を評価  → コメ収量への影響を評価 JMA-NHM (Saito, et al., 2007) 領域気候 モデル PRYSBI (Iizumi, et al., 2009) 作物生育・ 収量モデル LUC有 LUC無

1987に水田だった場所(のちに都市化) → バックグラウンドの5倍昇温傾向が強い  → バックグラウンドの5倍昇温傾向が強い もと水田→都市 日最高気温 主に森林 図: LUC 有 – 無の地上気温(6/15-8/15平均) 日最高   平均 最低 四国全体では数%がLUCによる温暖化 (東京では約50% Aoyagi, et al., 2012, JMSJ)

図: LUC有 – 無のNHM結果をコメ収量予測モデルに入れた結果 コメ収量は0.2 % = 10 kg/ha 減収  図: LUC有 – 無のNHM結果をコメ収量予測モデルに入れた結果 LUC有=昇温増  →積算温度が早くたまる=生長期短縮化  →吸収日射量を稼げず、生長不良  →収量減 成果1終わり 図: 水田

成果2. 大気モデルは重い→「影響評価関数」開発 水文学(Hanasaki, et al., 2007)や農業気象(Ramankutty, et al., 2012, CR)で使用 温暖化影響評価に使用した例(Good, et al., 2012, CD)も 1. つくりかた (地表面パラ-気温の統計関係を作る) さまざまな地表面パラ値 TaをNHMで計算 「パラが○変化すると気温が□℃変わる」、IF作成

図: 各アルベド設定に対する四国平均した気温の応答(1985-2005/06/15-08/15, 地表面パラ-気温の関係をNHMで導出 日最高気温 日平均気温 「気温変化/アルベド変化」算出 →影響評価関数(IF) 日最低気温 図: 各アルベド設定に対する四国平均した気温の応答(1985-2005/06/15-08/15, 5年おき平均) LUC有-無の土地パラ差

大気モデルは重い→「影響評価関数」の開発 水文学(Hanasaki, et al., 2007)や農業気象(Ramankutty, et al., 2012, CR)で使用 温暖化影響評価に使用した例(Good, et al., 2012, CD)も 1. つくりかた (地表面パラ-気温の統計関係を作る) さまざまな地表面パラ値 TaをNHMで計算 「パラが○変化すると気温が□℃変わる」、IF作成 2. つかいかた (過去LUC or Virtual LUCで) IF ver. ○○℃変化する!(IF) 1987-2006の四国の都市化 →地表面パラへ翻訳 NHM ver. △△℃変化する!(NHM)

影響評価関数の誤差は30% (日最高気温) また、解像度半分にすると10%に低減 5km 図: LUC起源による日最高気温の年々変化  また、解像度半分にすると10%に低減 IF-5km (オリジナル格子) NHM±20% IF-10km (周囲8点と平均) 図: LUC起源による日最高気温の年々変化 黒線がNHM、灰色はNHM±20% 5km 平均するグリッドをどんどん増やすとRMSEが減少していくか? 

図: IF作成時に平均する格子数(=解像度)の多寡に対するRMSE (IF vs NHM) 解像度半分くらいでちょうどいいパフォーマンス 5km/10km/20km 図: IF作成時に平均する格子数(=解像度)の多寡に対するRMSE (IF vs NHM) 1. 四国一様に一様のパラを与えてIFを作成→平均化で緩和 2. 領域モデルの出力はgrid baseではなく、ある程度の領域で平均 ↑数値モデルは表現したい現象の4倍の解像度で実行 (Pielke, et al., 1991)

10-km IFを使ってMonte-Carlo simulation ⇒ 四国に対し10,000通りの仮想LUCシナリオ作成 ①1grid 抽出 ②四国内の各グリッドでサイコロを振り、 LUCの有無、LUCの種類を決定 LUC 1:森林→水田 2: 森林→建物 3:水田→森林 4:水田→建物 5: 建物→森林 6:建物→水田 図: 計算領域内、5km格子の位置(黒) 標高10m(赤、参考として) ③LUC反映 ④パラ値計算、IF適用 2 = 森→建 の場合 Δα = α2 – α1 5km 100m グリッド内平均アルベド: α1 = 0.3 同: α2 = 0.5

10-km IFを使ってMonte-Carlo simulation ⇒ 四国に対し10,000通りの仮想LUCシナリオ作成 日平均気温の応答に注目すると・・・ 最大 1.3 ℃昇温: 森林→建物 A1Bシナリオでの2040年代昇温量に相当 最低 -0.4 ℃冷却: 森林→水田 A1B, A2, B2での2010年昇温量 (vs 1980-1999)をキャンセルできる量 ⇒LUCだけでは2010年以降の昇温をoffsetすることはできない A: 経済成長 B: 環境重視 1:グローバル化 2: ブロック化 図: 四国のLUC起源による気温変化 箱ひげは下から5, 25, 50, 75, 95%-tile F: 森林、P: 水田、B: 建物 成果2終わり

成果3: MIROC5境界の四国データ、完成しました ・モデル: 気象庁・気象研究所JMA-NHM ・初期値境界値 MIROC5 (20C/RCP4.5) ・領域: 下図参照 (MIROC5 → 171x161 w/20km(日本全体) → 81x81 w/ 5km(NIAESは20->5kmのDDSを実行)) ・鉛直: 38層、40-1120mのストレッチング格子 ・計算期間: 1991-2000, 2051-2060, 2091-2100 1/1-12/31 (ただし2060年は1/1-7/31) ・出力間隔: 2時間 図:10年平均した1.5m気温(℃)

FY24成果まとめ ※RECCA-Kochiとして 過去20年のLUCによる環境悪化がコメ減収へ与えた影響を評価(Yoshida, et al., 2012, GRL) LUC-Taを結ぶ「影響評価関数」を開発(Yoshida, et al., 2013, submitted) → 土地利用計画との組み合わせを! 3. MIROC5境界の四国5km将来データを作成 → データ解析・温室ハウス環境モデルへの応用   → 他GCMの同様のDS

表: 排出シナリオ/GCMに対するRECCA-ヤマセ組の対応状況 FY25へ向けて ①MIROC 5の東北へのDSデータ作成 表: 排出シナリオ/GCMに対するRECCA-ヤマセ組の対応状況 MRI-GCM MIROC5 SRES A1B 済 (島田さん、AGCM) × RCP 4.5 検討中(CGCM) 計算中(吉田) → 図: 2090年代8月の気温@1.5m ②EnKFの、ドップラーライダー + NHMへの適用 →まずはOSSEでシステム評価から・・・ EnKF: dx = xi – ave(x), instead of x – xt, focusing on difference between run and mean or true ← データ同化 → 図: 移動式ドップラーライダー 図: NHMを実行する計算機の例