小型科学衛星LiteBIRD におけるスキャンの最適化

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小型科学衛星LiteBIRD におけるスキャンの最適化 柳沼えり、松村知岳A、羽澄昌史B、他LiteBIRDワーキンググループ 総研大、CaltechA、高エ研B 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

研究の動機(1) LiteBIRDは宇宙背景放射(CMB)の偏光を精密に測定 スキャン法への要請 例)Planck衛星のスキャン LiteBIRDは宇宙背景放射(CMB)の偏光を精密に測定 スキャン法への要請 全天をまんべんなく測定 天球上の「画素」を様々な角度から観測(クロスリンク) 短時間で巡回 1/fノイズを抑える データサイズを抑える 2009年5月打ち上げ成功。L2で観測中。2012年に最初の結果が発表される予定 LiteBIRDではPLANCKより高い精度の偏光測定を実現するため、Planckスキャンよりすぐれたスキャン法が必要 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

研究の動機(1) 歳差運動するこま LiteBIRDは宇宙背景放射(CMB)の偏光を精密に測定 のようなスキャンを考える (EPIC衛星の提案) LiteBIRDは宇宙背景放射(CMB)の偏光を精密に測定 スキャン法への要請 全天をまんべんなく測定 天球上の「画素」を様々な角度から観測(クロスリンク) 短時間で巡回 1/fノイズを抑える データサイズを抑える LiteBIRDではPLANCKより高い精度の偏光測定を実現するため、Planckスキャンよりすぐれたスキャン法が必要 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

研究の動機(2) 94deg. 太陽同期地球周回軌道の例 COBE衛星 inclination 研究の動機(2) 太陽同期地球周回軌道の例 COBE衛星 LiteBIRDでは太陽同期地球周回軌道(以下、LEO)での観測をオプションとして考えている。 L2とLEOのスキャンに関する得失はよく理解されていない。 例)LEOでは月に起因するサイドローブを避けるため、データの一部を除去する。それでもまんべんなくスキャンできるか? 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

研究の目的 LiteBIRDのL2、LEOそれぞれのスキャン最適化 LEOとL2オプションの比較 データサイズとの関係の検討 天球上の画素のスキャン回数に関する一様性 天球上の画素をクロスリンクする一様性 LEOでは月のサイドローブを避けるカットをいれて検討 LEOとL2オプションの比較 データサイズとの関係の検討 系統誤差へのインパクトを評価 以上の目的を達成するため、シミュレーションを遂行。 今回の発表では、1、2、について報告する。 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

L2オプション 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

L2でのスキャンの概要 θBS = 55 θAS = 45 3rpm 90min. 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

評価パラメータ 天球上の画素の測定回数:Nhits クロスリンク: c = <sin2>2 + <cos2>2 Pixel i Reference line (Lat. in Galactic coord.) j+1 j 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

1分 3 rotations

30分

1日

Cf. PLANCK cross linking (from EPIC report) L2 scan: 1 year Angular Cross link Nhits Ecliptic coordinate 3526 11751 0 1 Cf. PLANCK cross linking (from EPIC report)

LEOオプション 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

LEOスキャン概要  = 34 degs  = 76 degs 150 Mkm Sun  Earth Satellite 0.38 Mkm Earth  Moon  = 76 degs  = 34 degs x y z Spin axis Anti-sun Boresight altitude 600 km - Spin axis rotation about anti-sun axis (i.e. satellite period around the earth) fs = 90 min - Boresight axis rotation about spin axis fb ~ 1 min 6000K 300K 175K : relative angle betw/n moon and boresight (60 degs) 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

Low Earth Orbit Scan LiteBIRD (ver. 1)  = 34 degs  = 76 degs Satellite  = 76 degs  = 34 degs Spin axis Anti-sun Boresight 6000K 300K 175K : relative angle betw/n moon and boresight (data cut  < 60 degs) LiteBIRD (ver. 1)  = 34 degs  = 76 degs fa = 90 min fs = 60 sec * Based on very naive power balance at orbit COBE  = 30 degs  = 86 degs fa = 104 min fs = 73 sec Sidelobe Sun: 3 nK / 6000 K = 5  10-13  70 degrees away from main beam Earth: 3 nK / 300 K = 1  10-11  70 degrees Moon: 3 nK / 175 K = 2  10-11  60 degrees away from main beam (we see moon, but apply data cut) Galaxy: 3 nK / 20 mK = 2  10-7

LEO scan ver1: 1 day LEO scan ver1: 30 days 0 156 0 1 0 1000 0 1 Angular Cross link Nhits 0 156 0 1 LEO scan ver1: 30 days 0 1000 0 1

LEO scan ver1: 1 year COBE scan: 1 year 1538 13880 0 1 1284 10772 0 1 Angular Cross link Nhits Ecliptic coordinate 1538 13880 0 1 COBE scan: 1 year Nhits Angular Cross link Ecliptic coordinate 1284 10772 0 1

クロスリンク比較 LEOでもL2と遜色ない! Black: LiteBIRD L2 Red: COBE Blue: LiteBIRD LEO ver1 LEOでもL2と遜色ない! 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)

まとめ 全天観測の一様性(Nhits)とクロスリンクを評価パラメータとして、LiteBIRDのL2、LEOスキャンの評価をおこなった。 LiteBIRD-L2スキャンは従来(Planckなど)のスキャン法を凌駕することがわかった。 LiteBIRD-LEOスキャンはクロスリンクに関しては、L2スキャンと遜色ない ---意外な結果 早期打ち上げに有利なLEOオプションを更に真剣に検討する必要がある。 2010/3/20 日本物理学会 第65回年次大会(岡山大学)