1.85m電波望遠鏡 230GHz帯超伝導(SIS) 受信機の現況

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1.85m電波望遠鏡 230GHz帯超伝導(SIS) 受信機の現況 大阪府立大学 理学部  物理科学科 4回生 八嶋  信平

目次 ① IF開発 ② ミクサ開発 ③ マルチフォトンステップ現象    の出現状況 1.85m電波望遠鏡

IF系の開発 まず、IF系の開発についてです。3ライン同時観測を行うためには、分光計に入力する信号を3バンドに分けなければなりません。  ホーンからの信号には3ラインが含まれており、これが第1ミクサで周波数変換され、バンドパスフィルターに導かれます。  そして、別の信号が混ざらないようにバンドパスフィルターで帯域を制限した後、第2ミクサで再び周波数変換します。  分光計の帯域0-1GHzにうまく信号を入れるため、3ラインそれぞれの信号が0.2、0.5、0.8GHzになるように、3つの異なるLO信号を入力し差周波をバンドパスフィルターに導き帯域を制限した後で、最終的に分光計に信号を導きます  このようにIF系を設計し、各コンポーネントを調整・作製したものを用いて、実際測定したフィルターカーブは、

②IF系の開発  ~高周波の折り返し~  そこでバンドストップフィルターを作製し、設置しました。これをこの位置に設置し、高周波の折り返しを除去しました。

②IF系の開発 ~高周波の折り返し~ 設置後 バンドストップフィルター 設置前  設置前と比べて、設置後は1GHz付近の山が消えていることがわかります。 バンドストップフィルター 設置前

DSB測定 雑音温度測定結果 出力比 : 3[dB]以下 雑音温度 ● ▲ 出力比 ● ▲ 雑音温度 : 50[K]以下 DSB測定 雑音温度測定結果 雑音温度 : 50[K]以下 出力比 : 3[dB]以下 次に開発したミクサの性能を示します。これがDSB測定での結果です。帯域内では雑音温度50[k]以下、出力比は3[dB]以下となっています。 雑音温度 ● ▲ 出力比 ● ▲

2SB測定 雑音温度測定結果 100[K]以下 90[K]以下 こちらが2SB測定での雑音測定結果です。帯域内での雑音はUSB信号が100[k]以下、LSB信号でが90[k]以下となっています。 100[K]以下 90[K]以下

サイドバンド分離比 測定結果 漏れこみが 1/100程度   サイドバンド分離比 測定結果 漏れこみが 1/100程度 ことらがサイドバンド分離比の測定結果です。帯域内ではUSB、LSB信号への漏れこみは20[dB]となっています。

1.85m電波望遠鏡搭載結果 12CO C18O 13CO こちらが、1.85m電波望遠鏡に搭載後の分光系でみた性能です。観測に耐えうる性能を確保することができました。

マルチフォトンステップ現象 ・測定でマルチフォトンステップが見られた。 ミクサ開発中に図のようなマルチフォトンステップが見られました。そこで、出現状況を示していきたいと思います 0.1mv/div ・測定でマルチフォトンステップが見られた。  →ステップの長さからLo入力(200[GHz]) の半分のLo周波数が混合されていると思われる。                       200[GHz]→0.2[mv]          100[GHz]→0.1[mv]          

性能への影響 性能の影響を調べるため、雑音測定を行った。 マルチフォトンステップが出現するLo周波数では雑音温度は高くなっている。

Lo入力強度の影響 Lo入力のアッテネーターを絞っていくと、 図のようにマルチフォトンステップが 消滅していきました。

素子の違いによる影響 中心周波数が高くなれば、 それに伴って出現する Lo周波数も高くなっている。 (+1) Lo周波数222~[GHz]

素子とLo入力強度に依存性があるように思われる 動作条件とまとめ マルチフォトンステップが出現している状況で以下の項目を試みた。 ・磁場をかける        ・・・・・・・・・影響はなし ・Lo周波数を振ってみる・・・・・出現しない周波数も見られた ・Lo入力のGunPowを振ってみる・・・マルチステップが消えた                  ・Lo入力のアッテネーターを絞る・・・・マルチステップが消えた ・素子を換える   ・・・・・・・マルチフォトンステップが消えた こちらが、まとめた結果です。Lo入力強度や素子に依存性があるように考えられます。 素子とLo入力強度に依存性があるように思われる