マイクロ波生成プラズマの分光測定 環境計測 高橋 順三.

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マイクロ波生成プラズマの分光測定 環境計測 高橋 順三

多価イオンを生成できるイオン源製作のため 研究目的 多価イオンを生成できるイオン源製作のため ↓ マイクロ波でプラズマを生成 プラズマ中の励起原子やイオン種を   可視光分光法を用いて測定 本研究室ではイオンと原子・分子の衝突実験を行っている。 その実験では多価イオンが必要になる。 しかし、現在用いているイオン源は1価のイオンを発生させるイオン源であり、2価以上のイオンの発生は難しい。 そこで、多価イオンの大量生成が可能なECRイオン源の開発をすることにした。 本研究では、ECRイオン源の予備実験として、周波数2.45GHzの電磁波によってプラズマを発生させ、 プラズマ中の励起原子やイオン種を可視光分光法を用いて測定することにした。

使用した機器 分光器:NIKON G-250,回折格子 1200 本/mm 光電子増倍管:HAMAMATSU H6780‐00 プラスチック光ファイバー:TAKEX FTSV73BC,レンズ FA511A ステッピングモーター:オリエンタルモーター PH566-A ドライバー回路:SD5114P3,SG8030J 使用した機器は 分光するための分光器はNIKONのG250、回折格子が1200本/mm 光子を感知する光電子増倍管は、浜松ホトニクスのH6780-00を 光ファイバーは竹中電子工業のFTSV73BCとレンズFA511Aを 分光器の測定波長を走査するためのステッピングモーターはオリエンタルモーターのPH566-Aを ステッピングモーターを駆動させるドライバー回路はSD5114P3、SG8030Jを 使用した。 このドライバー回路は、ステッピングモーターの回転角を設定できるようになっており、外部からの信号により、設定された回転角だけ回転させるようになっている。

装置全体 今回用いた測定装置の全体図を示す。 この矩形導波管からマイクロ波が伝送される。 矩形導波管には、このように長さ19cm、内径40mmの円形導波管が接続されている。 今回は、この図のように円形導波管に外径16mm、長さ90cmの耐熱性がある石英ガラス管を通し、図のように固定した。 円形導波管の内径が40mmと小さく、また、見てもわかるように導波管は光を通さないようになっている。 そのため、分光器を発光部に近づけて分光することは無理である。 そこで、狭い導波管内に入れ、光を集光し、分光器までガイドできるものとして、プラスチック光ファイバを用いた。 プラスチック光ファイバーの先端を90°に曲げ、支持棒に取り付けて、ガラス管と並行にいれた。 ガラス管内は、写真のロータリーポンプで排気した。またピラニ―真空計でガラス管内の圧力を見た。 管内圧力が一定になったところからガスボンベについているバルブを調整しガスを導入した。 そしてマイクロ波をガスに与えると写真のように光る。 その発光を写真のように光ファイバーで集光する。 集光した光はファイバーを通り、分光器へと導かれる。 ファイバーから分光器への投光部は写真のようなレンズをつけ光の発散を抑え分光器に入れた。 入射口から入り分光された光は出射口より出る。 出てきた光は光電子増倍管によって光電子に変換されMCSでカウントする。 次にコントロール回路について説明する。

コントロール回路製作の目的 分光器の波長走査の自動化 MCSのチャンネル走査と分光器の波長走査の同期 波長走査のタイミング制御 波長・チャンネル走査中の計数停止 コントロール回路の製作目的は、 分光器の波長走査を自動的に行うようにすること。 MCSのチャンネル走査と分光器の波長走査を同期させること 波長走査のタイミングを制御できるようにすること。 波長走査中、チャンネル走査中に計数を停止し、1波長の測定を確実に1チャンネルに計数することである。 手動での測定では

コントロール回路上のタイミングチャート コントロール回路におけるタイミングチャートを示す。 マイコンからの信号は回路に入りそこから分岐される。 ドライバ―回路へ行く信号は、その信号により設定された回転角度だけモーターが回転し、波長が走査される。 もう一つは、MCSのチャンネル走査信号となり、MCSのチャンネルを一つ進める。 ドライバー回路はマイコンからの信号を受けてモーターを回転させるが、信号を受けてからモーターを回転させるまでの間に 10msの反応時間が必要となる。 ドライバー回路は、モーターを回転させている間はLレベルの信号を出すので、その信号のタイミングを用いてMCS gate信号を作ればよいが、マイコンからの信号と同期してMCSのチャンネル走査は行われているので、マイコンからの信号が入力された時点で、MCSの計数を止めないと、マイコンから信号がはいり、実際にモーターが回転するまでに計数が行われてしまう可能性がある。 そこで、マイコンからの信号と、ドライバー回路からの信号を用いてMCS gateの信号を作った。 波長走査中にMCSが計数モードにならないようにマイコンからのパルス幅を15msとした。 これにより波長走査中、MCSのチャンネル走査中にMCSの計数を止めることができた。

測定可能範囲(上限) 測定系の感度 回折格子:回折光効率 光電子増倍管:分光感度特性 プラスチック光ファイバ-:透過率 3つの要素の積 測定系の感度は 回折格子の回折光効率、光電子増倍管の分光感度特性、プラスチックファイバーの透過率の積で表わされる。 各要素の積で求められた感度曲線を示す。図からも分かるように400nm付近で最大値16%をとり600nmで約1%となる。 よって測定波長上限を600nmとした。 このグラフは参考文献のグラフから値を目で読み取ってグラフ化したものである。

測定条件 Heガス圧 0.68 Torr 吸収電力 40 W 分光器の入射出射スリット 幅 0.5 mm 長さ 2 mm 分光器の入射出射スリット  幅 0.5 mm 長さ 2 mm 測定波長間隔 0.25 nm 測定波長範囲 350nm~600 nm 結果を示す。測定条件はHeガス圧0.68Torr、吸収電力40W、分光器の入射出射スリットの幅0.5mm、長さ2mm、測定波長間隔0.25nm、測定波長範囲 350nm-600nmである。

測定結果 測定結果を示す。 このスペクトルのピークから中性Heの励起を見ることができる。また残留ガスと思われるNやArのピークも見ることができる。 1価Heと中性Heの一番近い発光波長の差は3nmあり、今回の測定結果においても十分、分離できるものである。 しかし、1価Heからの発光は確認できない。

まとめ コントロール回路を製作した。 分光測定を自動化した。 中性Heの発光を測定することができた。