OMCのシミュレーション OMC特別セミナー Apr. 2016 東工大 宗宮 健太郎 K.Somiya
概要 OMCの懸架系の設計を今年度中に確定したい OMC懸架系の雑音は、センタリングやティルトの DC的なずれとAC的なずれの積で決まる (かもしれない) 制御雑音は干渉計の高次モードの量に依存するので ミラーマップを組み込んだシミュレーションが必要
コンテンツ 背景 光学系の設計 シミュレーションソフトの説明 懸架系の説明 要求値の計算結果 制御法と制御雑音 今後の見通し
OMCとは IFO Output Mode-cleaner 赤:位相方向の計測 青:最適方向の計測 最適 位相 BRSE 128 Mpc KAGRA感度 Before After Photo-detector IFO Output Mode-cleaner 赤:位相方向の計測 青:最適方向の計測 最適 位相 BRSE 128 Mpc 116 Mpc DRSE 147 Mpc 136 Mpc 両腕の反射率差が振幅成分を生む 位相成分は制御で調整する
OMCの開発状況 真空槽(OMM, OMC)は設置済み 鏡の曲率等も決定済み レイアウトも決定済み 制御法は未定 懸架系の設計も未完成 OFI OMMT2 STMs OMMT1 SRM 真空槽(OMM, OMC)は設置済み 鏡の曲率等も決定済み レイアウトも決定済み 制御法は未定 懸架系の設計も未完成
光学系の設計 DC readout によるショットノイズ悪化 を5%以内に抑えることを目標に設計 テストマスには 45±4ppmのロスを導入 曲率誤差1%を導入 RMS 0.5nmという条件で 乱数で作成したミラーマップ (24通りの結果を平均) 実測値のBSマップ (表裏4つのマップ) DC readout によるショットノイズ悪化 を5%以内に抑えることを目標に設計 ⇒ F=780, L=75cm, h=55.4度を選択
光学系の設計 シミュレーションソフトFINESSE による計算結果(10次まで) 24通り中、6番目に悪い組合せで計算 重力波信号を最大透過するようOMMTの 距離をチューニング 重力波信号を最大透過するようOMCの 初期アライメントをチューニング ジャンク光をOMCのガウスモードで展開 DC readout位相が最適になる腕のoffset を選択 RFによるショットノイズの悪化は2%程度 OMC内の光学ロスは2%程度 高次モードによるショットノイズは1%以下
シミュレーションソフト 光学系の セットアップ 信号SBを生成 周波数を掃引 l i1 83.74 0 nL #I0=780W const fmod 16.880962M #f1 gauss* input i1 nL -7.50 57.75 mod eo1 $fmod 0.0 2 pm 0 nL npr m prm 0.90 0.10 -0.0018 npr nf0 s Lp1 14.7615 nf0 nf1 bs PR2 1 0 0 0 nf1 nf2 dump dump # not tilted s Lp2 11.0661 nf2 nf3 bs PR3 1 0 0 0 nf3 nf4 dump dump # not tilted s Lp3 15.7638 nf4 n1 ... fsig sigLm1 ETMx 10 0 fsig sigLm2 ETMy 10 180 pdS1 GW 10 max nPD xaxis sigLm1 f log 1 10000 10 put GW f1 $x1 yaxis log abs pause 光学系の セットアップ 信号SBを生成 周波数を掃引
FINESSEでできること 誤差信号の計算 スペクトルの計算 (伝達関数、雑音etc.) ミラーマップを読み込んで干渉計の 出力を計算 輻射圧の影響を計算 (光バネ、ポンデロモーティブetc.) 鏡の角度を変えて干渉計の出力を計算 制御系を組み込んで干渉計をロック Matlabと連動させて計算をルーチン化
OMCの懸架系 aLIGO OMC GEO OMC KAGRA type-C aLIGOは二段振り子、GEOとAdVは防振台に直置き。 ⇒ VISが手一杯なので既存のType-Cを増産するか、 国内企業or海外のコラボレーターに外注したい
Crackling Noise 低周波の縦防振を実現しようと すると、ドリフトが伴う。 ドリフトは金属内でdislocation が生じているものであり、 非定常雑音を生じる危険性が高い ⇒ crackling noise Crackling noiseを増やさないように 低周波防振をするには、IPやGASなど のように反バネを組み込むのが得策。 ただしシステムが複雑になる可能性がある。
OMC振り子 案1: GAS+スタック 案2: UWAのオイラーバネ +スタック 案3: GAS+IP UWAで開発した オイラースプリング [Mirapro VB7005 Assy] UWAで開発した オイラースプリング
Centerで入射がCCWに1urad tilt 要求値の計算 Tilt Miscentering ST0 ST1 ST2 FINESSEは反射時に左右の位相差 をつけることで鏡の回転を導入する Bowtie共振器を全体的に回転する ような操作はできないので、OMC 前のステアリングミラーを用いる (各STMの間隔は1mに設定) ST0 ST1 ST2 結果 CWに1urad CCWに1urad Centerで入射がCCWに1urad tilt 操作なし 1um miscenterに直入射 ※複数の鏡を回転できるが、周波数掃引するときは回転量を揃えなければいけない
要求値の計算 OMCの揺れ[m/rtHz] x B[W/m] < KAGRA感度[m/rtHz] x A[W/m] を満たせばよい ここではミラーマップなしの モデルで計算 (曲率誤差のみ) fsig sigLm1 ETMx 10 0 fsig sigLm2 ETMy 10 180 pd2 GW 0 0 10 max nPD xaxis sigLm1 f log 1 100 100 put GW f2 $x1 yaxis log abs DARM[m]から AS PD[W]の伝達関数A[W/m] fsig sig1 st1 xbeta 10 0 fsig sig2 st2 xbeta 10 0 pd2 GW 0 0 10 max nPD xaxis sig1 f log 1 10 2 put GW f2 $x1 yaxis log abs Miscentering[m]から AS PD[W]の伝達関数B[W/m] OMCの揺れ[m/rtHz] x B[W/m] < KAGRA感度[m/rtHz] x A[W/m] を満たせばよい
要求値の計算 DCのミスセンタリングが1umだとして、20Hzで5ケタ以上防振する 板バネが必要という結果となった ⇒ これに合わせて懸架系の開発を進めていたのだが…
間違いが発覚 ステアリング鏡の後にQPDを置き、周波数掃引(fsig)したときに どれだけQPDの出力が変化するのか調べた(by粕谷)ところ、 ビームサイズ次第で変化が極端に変わってしまうことが分かった。 誤差信号の傾きを計算するとリーズナブルな結果となった。
再計算の結果 誤差信号を二次関数でfittingすると上記のようになった。 これより、AS PD[W] = 2.2e4 x 2dDC x Dd[m] 同様にDARMについては、 AS PD[W] = 6.8e9 x DL[m] 周波数依存性がないとすると、これから要求値が計算できる。
再計算の結果 かなり楽な要求値となった。 スタックだけでいいようにも見える。
要求値の計算の課題 クロスチェックが必要 ミラーマップを入れて同じ計算をする スタックの防振比が実測値ではないので、 TAMAの結果をふまえたものを参照する Tiltの方は地面振動データがないので、入手する DCの誤差を正しく見積もる (⇒制御法の確立)
OMCの姿勢制御 OMCブレッドボード上にQPDを固定 ⇒ 入射ビームとの相対位置を計測 ⇒ OMC前のステアリング鏡にfeedback FINESSEによるシミュレーション ⇒ 各QPDに乗る雑音を計算 ⇒ 各QPDに乗る姿勢制御信号と比較する 高次モードを含めたshot noise 主干渉計からのnoise coupling DARMをditherして透過率が最大となる 動作点を定期的に確認する (beacon制御)
プロトタイプ実験 A: Tiltに動かしたときのTilt QPDの出力 B: Tiltに動かしたときのCentering QPDの出力 C: MiscenteringしたときのTilt QPDの出力 D: Miscenteringしたときのcentering QPDの出力 この姿勢制御系をOMCに搭載する
プロトタイプ実験 OMCを掃引したときの透過光 上がMIなし、下がMIあり MIありだとTEM00が見つけにくい
reso freq (horizontal) TAMAスタックの測定結果 item model fit to measured reso freq (horizontal) 5Hz, 4.5Hz, 4Hz 50Hz, 10Hz, 3Hz reso freq (vertical) 20Hz each 35Hz, 30Hz, 25Hz Q (horizontal) 3 each Q (vertical) N/A 1, 2, 2
強度雑音の影響(間違い) 同様の計算でレーザー強度雑音の影響を計算した これは実は間違っている。 RINはPRCでfilteringされるので、 fsigを用いてACの計算をしないといけない。
PRCによるRINのFiltering効果 強度雑音の影響(修正) PRCによるRINのFiltering効果 (fsigで計算) 100Hzで強度雑音は2ケタほど下がる ⇒ 2e-6 (W/W/rtHz) 100mWのshot noise levelと比べて3桁ほどの余裕
まとめ 高次モードの計算は準備ができている 懸架系の要求値の計算がもうすぐできそう 制御系の設計はこれから 懸架系の設計を今年度に行う プロトタイプ実験で制御系を開発する