低軌道周回衛星における インターネット構築に関する研究 政策・メディア研究科2年 山本 聡 sohy@sfc.keio.ac.jp
背景 インターネットへのNeeds 問題点 インターネットにおいて、広域性、同報性、低遅延の通信インフラに対する要求 地上携帯電話で世界全体を覆うことはできない 海の上 基地局を置けない場所 問題点 静止軌道衛星をインターネットに用いる 静止軌道のため極地方を覆うことは物理的に不可能 軌道高度が高いため所要EIRPが高く、端末の小型化に限界がある 低軌道衛星をインターネットに用いる 複数衛星を用いるため複雑かつコストが高い 多くのシステムが提案されたがすべてが一度躓くか転んだ 衛星の利点の同報性を生かしていない
静止衛星と低軌道衛星の差異 静止衛星 低軌道衛星 遅延 片方向250ms 片方向5.4ms (高度780kmの場合) EIRP 大きい (地上局は大型) 小さい (地上局の小型化が期待される) 地表全体を 覆う衛星の数 理論上、3つ (経済的に低コスト) 数多くの衛星、イリジウム:66 (経済的に高コスト) 捕捉衛星 変化なし 時刻とともに切り替わる (端末はハンドオーバを行う) カバーエリア 極地方はカバーできない 地球全体
既存の低軌道衛星通信システムのデータリンク 地上端末 地上局 ATMなどを用いて 地上局と地上端末をPoint to Pointに 結ぶ方式が主流(数kbps)
本研究の目的 複数の低軌道周回衛星を用いたネットワークにおいて、ブロードキャスト性、マルチキャスト性を生かしたネットワークについて検討 物理的な衛星ネットワークは既存のイリジウムなどのものを利用する前提で、データリンク層を提案することで、現在のPoint-To-Point型の通信に、Point-To-Multicastの通信を実現 サービス例 LEOネットワーク上でのSOI-ASIAの授業配信 リアルタイムで多地点での遠隔会議 災害時の緊急放送
前提とするネットワークモデル イリジウムの場合 軌道数:6 1軌道上あたりの衛星数:11 1地点で衛星が切り替わるのに要する時間:300s 衛星の移動方向 LEOが地上に向けて送信したデータ は、カバーエリア内の全ての地上端末が 受信可能
LEOネットワークに対する要求事項 次に接続するLEO 衛星の移動方向 LEO LEO 通信モデルを作成する ために必要なメッセージの 量を少なくしたい 地上端末は、接続するLEOが切り替わっても 同一のIPアドレスを保持させたい (通信のセッションを維持するため) 単一LEOのカバーエリアごとに ブロードキャストリンクを作成したい (不要なブロードキャストトラフィックの発生 を抑える)
提案モデル(L3方式) LEO2 LEO3 LEO4 192.168.0.2 192.168.0.3 192.168.0.4 192.168.1.1 192.168.2.1 192.168.3.1 .1.2 .1.3 .1.4 .1.5 .2.2 .2.3 .2.4 .2.5 .3.2 .3.3 .3.4 .3.5 ハンドオーバ発生時 衛星の移動方向 個々のLEOはルータとして振舞う 192.168.0.1 192.168.0.2 192.168.0.3 LEO1 LEO2 LEO3 192.168.1.1 192.168.2.1 192.168.3.1 .1.2 .1.3 .1.4 .1.5 .2.2 .2.3 .2.4 .2.5 .3.2 .3.3 .3.4 .3.5 LEOのカバーエリアごとに 固有のネットワークプレフィックス 個々の端末は所属するLEOに関係なく 不変のアドレスを持つ
提案モデル(L2方式) 位置情報に応じてブロードキャストリンクを作成 衛星ビームエリアのfootprintを組み合わせてブロードキャストリンクをカバー ・カバーしたい範囲に 応じて、自由に ブロードキャストリンク を作成できる仕組み ・L3方式に比べ、 リンクの柔軟な利用が 可能
評価 ネットワークシミュレータを用いた分析 評価項目 何が明らかになるか シミュレーションをして、データリンクの設計を行う シミュレータ上に本機構の導入 評価項目 今回提案するLEOネットワークモデルの維持に必要なメッセージ量 端末ハンドオーバ時の遅延、パケットロス率 LEOネットワークにMIPを導入した場合との比較 何が明らかになるか インターネットに低軌道を導入する場合、提案方式が、既存の低軌道通信方式よりもどれだけ有効か。 L2方式とL3方式のどちらが有効か。
今後の予定 今後の予定 想定される成果 応用できる範囲 11月-12月 1月 低軌道衛星ネットワーク上で同報型の通信サービスが可能になる 提案モデルの検討 シミュレーション 1月 執筆 想定される成果 低軌道衛星ネットワーク上で同報型の通信サービスが可能になる 応用できる範囲 複数のL2を組み合わせて大きなL2を作る仕組み