紫外線LEDの特性測定 理工学部 物理学科 宇宙粒子研究室 11061025  澤田 晃徳.

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紫外線LEDの特性測定 理工学部 物理学科 宇宙粒子研究室 11061025  澤田 晃徳

研究目的 光電子増倍管の較正に、LEDの光というのは欠かせないものであ る。本研究では、光電子増倍管にLEDからのパルス発光による光 を照射し、LEDの特性を検査する。 特に、高速で反応する紫外線LEDを選定する。 本研究室の最終目標である宇宙線断層撮像装置の開発やCTA計画 に、本研究を役立てること。

PMT 宇宙線や天文観測では、応答時間の速い検出器が必要。 3ns以下の高速の光源が必要。 e- 光 光電効果 第1ダイノード 第2ダイノード アノード PMT 3ns 宇宙線や天文観測では、応答時間の速い検出器が必要。 3ns以下の高速の光源が必要。 日亜化学のNSHU550AというLEDを使用していたが、生産中止となってしまった。 後継のLEDが遅かった。 応答時間の速いLEDを探す必要がある。

装置原理(LED) LEDは、半導体を用いたpn接合と言われる構造で作られている。半導体を結合した状態で電圧をかけると、p型とn型の半導体の中の正孔と電子が、正孔は電流の向きと同じ向きに、電子は逆向きに動き出す。これらは、違ったエネルギー帯(価電子帯と伝導帯)を流れ、pn接合部付近で禁制帯を超えて再結合される。再結合時に、バンドギャップに相当するエネルギー、いわゆる余分なエネルギーがLEDの光として放出される。放出される光の波長は、材料のバンドギャップによって決められ、これにより赤外線領域から可視光線領域、また紫外線領域まで様々な発光が得られる。

方法 オシロスコープの1chにPMT、4chにLEDとパルス・ジェネレータをつなぐ。この時、PMTに高圧電源1500V印加しておく。 オシロスコープがPMTから読み取る波形が10mVになるようにパルス波を調節する。 PCを操作して2000event測定する。 ④が終わったら、データを解析する。 ①~⑤を多数のLEDに対して行う。

暗箱 オシロスコープ に繋がっている オシロスコープ 高圧電源 PC パルス・ジェネレータ LED

使用LED(一部) 名称:NSHU550A 波長:約375nm 単価:500円 順方向電圧:4V 名称:UV5TZ-395-30 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 名称:UV5TZ-395-30 波長:395nm 単価:186円 順方向電圧:3.8V 立ち上がりの速さ:3.2(ns) 立ち下がりの速さ:2.8(ns) 全体の速さ:6(ns) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 名称:SL903BCE 波長:430nm 単価:224円 順方向電圧:4.5V 立ち上がりの速さ:17.6(ns) 立ち下がりの速さ:20.8(ns) 全体の速さ:38.4(ns)

立ち上がりの速さ:50%-5% 立ち下がりの速さ:80%-50% 全体の速さ:80%-5% 0 5 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 立ち上がりの速さ:50%-5% 立ち下がりの速さ:80%-50% 全体の速さ:80%-5%

結果 2000eventの平均の波形 NSHU550A UV5TZ-395-30 SL903BCE

立ち下がりの速さ(ns) 立ち上がりの速さ(ns)

まとめ 生産中止となったNSHU550Aより、安価で反応速度の早いUV5TZ-395-30 というLEDを見つけることが出来た。 しかし、速さが何に関連しているのかの法則性を見出すことは出来なか った。 今後の課題 反応速度の速さは何と関連しているのかを明らかにする。 速さだけではなく、安定性も兼ね備えたLEDを見つけ出す。

CTA計画 左:CTA計画の望遠鏡配置図 右:フェルミ衛星 CTAとは大中小3種類の大きさのチェレンコフ望遠鏡を複数設置し、 高エネルギーガンマ線の検出感度をもう一桁向上し、より広い光子エ ネルギー領域を達成しようという計画である。 フェルミ衛星による高感度のGeVガンマ線観測によって 新たな発見・ 展開が予想される中で、TeVガンマ線望遠鏡の感度をさらに上げて、 質のよいデータを供給し続けることが重要である。 フェルミ衛星が稼 働している期間内にCTA計画が実現できたならば、 フェルミ衛星のデ ータと合わせて20 MeVから100 TeVまで約7桁の広いエネルギー領域 でのガンマ線スペクトルを得ることができる。

バンドギャップ 電子がバンドギャップを越えて価電子帯と伝導帯の間を遷移するに は、バンドギャップ幅以上の大きさのエネルギー(光や熱)を吸収また は放出する必要がある。半導体素子においてはこのようなバンドギャ ップ周辺での電子の遷移を制御することによって、様々な機能を実現 している。 バンドギャップが大きい物質は光子によって電子が励起されにくくそ のまま光子が通過するため、可視光波長域のエネルギー以上に大き なバンドギャップを持つ物質は透明になる。

装置原理 (光電子増倍管) 入射窓から入射した光子のエネルギーは光電陰極から光電子をたたき出し、その光電子は集束電極により効率よく導かれるとともに、加速電圧によりエネルギーを与えられて電子増倍部の第一ダイノードに衝突する。その結果、一個の光電子は数個の二次電子をたたき出し、それらは第二ダイノードに入って、さらに増倍される。これを繰り返して、最終的には数十万倍から数千万倍にもなって陽極に到達し、信号電流として外部に取り出される。