銀河中心鉄輝線(6.4/6.7 keV Line)の起源

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銀河中心鉄輝線(6.4/6.7 keV Line)の起源   京大(理) 小山勝二 銀河系の中心は過去本当に明るかったか?   京大(理) 小山勝二 6.4 keV Map 6.4 keV/6.7 keV line、連続成 分(冪1.8-1.9)の強度分布は Sgr A*を中心に左右非対称。  3成分〔起源)を分離しよう (1) 6.7 keV line の角度分布 (2) 視野を16分割して、それ  ぞれの値の相関 (3) 6.7 keV line、より高電離、 高エネルギーのK輝線比から プラズマ温度(kT=6.5 keV)を 決めプラズマ成分を分離  6.4 keV (Fluorescence) 6.7 keV (GC-plasma)

銀河中心X線は次の3成分 特徴 連続成分 相対強度 ----------------------------- (5-10 keV)= (5.91+-0.64)10-8x (6.7 keV)+0.55 x(6.4 keV) 6.7 keV flux の分布 点源の分布 Muno et al.2004 銀河中心X線は次の3成分 -------------------------------------------------- 特徴 連続成分 相対強度 ----------------------------- 6.7 keV  kT=6.5 keV 2             Γ~ 2.4 6.4 keV  Γ~ 2 1 その他  Γ~ 0.9 1 (point sources : Muno et al.) (1) 6.7 keV の角度分布は指数関数、 一方点源の寄与は冪(-1)関数(点線)   6.7 keVは点源からではない。    当然6.4 keVも点源からではない。 (2) 6.4/6.7 keV flux と5-10 keV flux にはいい相関はない。 しかし (6.7 keV flux) + 0.55 * (6.4 keV flux) を とると 5-10 keV fluxに見事に比例する。 (3) 高温プラズマ成分(6.5 keV~冪: 2.4) ~Power-law (冪:1.4) kT=6.5 keV Γ= 1.4

6.4 keV map: origin?

6.4 keV Clumps Radio Arc Sgr B2 NH (1022cm-2) 96 (88-121) NH (1022cm-2) (NFe) 22 (19-25) Power-law (Γ) 1.69 (1.65-1.73) Line center (eV) 6401 (6398-6408) Equivalent Width (keV) 1.07 (0.85-2.27) Sgr B2 NH (1022cm-2) 96 (88-121) Power-law (Γ) 3.2 (2.6-4.1) 6.4 keV (eV) 6399 (6394-6404) Equivalent Width (keV) 1.13 Sgr C NH (1022cm-2) 34 (27 - 49) Power-law (Γ) 1.5(1.4-1.6) 6.4 keV (eV) 6398 (6382-6403) Equivalent Width (keV) 1.2 (0.6-1.3) M0.74-0.09 NH (1022cm-2) 40 (29-54) Power-law (Γ) 1.4(0.7-1.8) 6.4 keV (eV) 6406 (6400-6412) Equivalent Width (keV) 1.55 M359.5-0.2 Sgr B1 NH (1022cm-2) 85 (60 - 108) Power-law (Γ) 1.1 (0.9-1.2) 6.4 keV (eV) 6402 (6390-6411) Equivalent Width (keV) 1.7 (1.5-1.9) NH 1022cm-2 18 (13-32) Power-law Γ 1.3 (0.7-2.3) line center (eV) 6402 (6394-6412) Equivalent width (keV) 2.1 (1.5-3.0)

Origin of the 6.4 keV clumps Inner shell Ionization by Electrons or X-rays ? Inner Shell Ionization Electrons vs X-rays --------------------------------------------- Equivalent witdh (keV) of the 6.4 keV line 0.3 - 0.6 1 - 1.5 Energy (keV) of the Max Cross Section 10-100 7.1 Absorption NH (cm-2) ~1021   ~1024 Most of the 6.4 keV clumps show strong Ka line with the equivalent width of 1.1 – 2.1 keV, and deep K-edge absorption with 2 – 10 x 1023 cm-2 (>> 1 x 1023 :the interstellar absorption to the GC) X-rays is more likely than Electrons.

Direct evidence: time variability from the Sgr B2 6.4 keV line History of Sgr B2 from 1994 to 2005 ~10pc M 0.66 G 0.570

6.7 keV 6.4 keV 6.7keV 6.4 keV M0.66 6.7 keV Full Region 6.4 keV G0.57 1.4 - 1.2- 1.0- 0.8- 3.5 - 3.0- 2.5- 2.0- 1.5- 0.5-

Physical size of the clump complex is nearly 10 pc Physical size of the clump complex is nearly 10 pc. Therefore, such a large flux change within 10 years is impossible by any charged particle. Only possible scenario of this time variability is due to an irradiation of variable X-rays (X-ray Reflection Nebula). More than a few hundred years ago, Sgr A* had been very active in X-rays; 106 times brighter than now at ~300 years ago, decayed to less than a half after ~10 years. The X-rays hit the Sgr B clouds after ~300-years travel. The clouds re-emitted the 6.4 keV photons. Like a time delayed-echo, the X-ray echo is now just arriving at the Earth, when Sgr A* is falling into a quiescent state.

preliminary (point source) Distance from Sgr A* (degree) 黒、赤:6.7 keV 0.1 1 Distance from Sgr A* (degree) 10-6 10-7 (point source) 黒、赤:6.7 keV 青:点源 preliminary すざく (Koyama et al. 2007) 5        10 Energy (keV) Chandra (Muno et al.2004) 1          5        8 Energy (keV) diffuse Fe この鉄輝線は高温プラズマに由来すると考えられますが、 その起源が点源の重ねあわせであるのか、 真に拡がっているのか分かっていません。 激変星CVは6.7keV鉄輝線を放射することが知られています。 しかしながら、非常に優れた空間分解能を持つChandra衛星で観測したところ 全体のフラックスの10%しか説明できないことが分かりました。 右のスペクトルは点源以外と点源のスペクトルを表しています。 形も低エネルギー側を説明できていません。 しかしながら、 これまでより深く観測して10^-17erg/s/cm^2まで 検出すれば100%説明できるという主張もあります。 一方で、実際に拡がっていた場合に問題になるのがエネルギー注入です。 1億度のプラズマは銀河中心の重力に束縛されずに10万年のタイムスケールで 散逸してしまいます。 また全熱エネルギーは10^53erg以上であり超新星爆発100発分に相当します。 超新星残骸はX線でおよそ1万年の間輝きますので、10個以上発見できれば 説明が出来ることになります。 しかしすざくが打ちあがる前は見つかっているものは高々4個に過ぎませんでした。 Si S point source

3.1 鉄輝線強度分布 6.7 keV輝線強度 6.7 keV輝線強度 ・銀径<0.3゚ 東側の方が強い ・GC成分+リッジ成分 ↓ 西側 黒:東側 赤:西側 (10-6 ph/s/cm2/arcmin2) 表面輝度 6.7 keV輝線強度 ・銀径<0.3゚ 東側の方が強い  ・GC成分+リッジ成分     ↓ 広がり 東側:0.24゚±0.02゚ (FWHM) 西側:0.19゚±0.02゚  cf. ぎんが:0.9゚ 輝線強度比  ・プラズマ温度に対応  ・0.2~0.6 → kT=5~7 keV  ・平均値 GC:0.39±0.06       リッジ:0.21±0.09 輝線強度比 すざくの観測データから銀河面に沿った輝線強度、 強度比の分布を求めました。 東側、西側をそれぞれ黒、赤で示しました。 輝線強度は0.3度までの範囲では東側の方が高くなっており、 非対称な分布をしています。 銀河中心に集中したものと、リッジに付随した成分があると考えられます。 中心成分の広がりは東側で0.24度、西側で0.19度となりました。 下の図で示す、6.9、6.7keV輝線強度比はプラズマの温度を表しています。 全体として0.2~0.6に分布しており 5~7keVでほぼ一定温度のプラズマが拡がっていると考えられます。 平均値に関しては中心と比較して、 統計的に有意とはいえませんが、リッジでは若干小さめにでています。