CHANDRA衛星の観測結果による、 球状星団M4(NGC6121)のスペクトル解析

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CHANDRA衛星の観測結果による、 球状星団M4(NGC6121)のスペクトル解析 6分角 宇宙物理実験研究室 樫村朝明

M4とNGC6397 M4 NGC6397 球状星団とは? 地球 銀経 銀緯 潮汐半径 コア半径 写真等級 距離(光年) 351゜ +16゜ 43.5´ 0.83´ 7.1等 7100 NGC6397 339゜ -12゜ 0.22´ 6.5等 7300 球状星団とは? 10万個から100万個の星で構成。 その星々が直径数百光年の中に球状に分布。 我々の銀河系には約200個の球状星団が存在し、主に銀河円盤の外に分布。 太陽の位置から測った円盤と平行方向の距離 [万光年] 銀河円盤からの距離 [万光年]

◎本研究の目的 M4の観測データを解析し、X線天体の個数・強度・色について調べる。 M4の解析結果とNGC6397の論文結果を比較。

CHANDRA衛星 検出器:ACIS-S(X線CCDカメラ) 1999年にNASAのX線観測衛星として打ち上げられ、 XMM-Newton ASTRO-E2 角分解能(秒角) 0.5 15 100 10 m  1999年にNASAのX線観測衛星として打ち上げられ、 今日のX線衛星の中では、最も角分解能が優れている。

M4のX線画像(0.3 ~ 9.0 keV) 17個のX線源を検出! 観測日時:2000年6月30日 観測時間:26.15 [ks] 6分角 コア半径 0.83 分角 17個のX線源を検出! 観測日時:2000年6月30日 観測時間:26.15 [ks]

◎解析結果 Grindray et al. 2001 明るい 各エネルギーバンドの範囲 Soft 0.5 ~ 1.5 keV M4の天体:● Grindray et al. 2001 NGC6397の天体 ▲:CV ×:LMXB ●:MSP □:BY Dra ☆:unidentified 明るい 高温 観測限界 各エネルギーバンドの範囲 Soft 0.5 ~ 1.5 keV Medium 0.5 ~ 4.5 keV Hard 1.5 ~ 6.0 keV 縦軸=log(Medium/観測時間) ⇒X線強度に対応 横軸=2.5log(Soft/Hard) ⇒温度に対応

代表的なX線天体 CV(激変星):白色矮星と主系列星の連星 LMXB(小質量X線連星):中性子星と主系列星の連星 MS-STAR(主系列星):主系列星の中でも特に明るいもの RSCVn(猟犬座RS星型連星):対流外層を持つ星のペアによる近接連星

代表的なX線天体 名称 MODEL 温度 (keV) Luminosity (erg/s) CV 熱制動放射 2~20 1030~1032.5 LMXB 黒体輻射 0.1~0.3 1032~1033.5 RSCVn プラズマ輻射 1~3 1029~1031 MS-Star プラズマ輻射 0.5~1.5 1027~1030 この数値をもとにシュミレーションを行い、 各エネルギーバンドのカウント数を推定。

考察 観測限界 Grindray et al. 2001 M4にはLMXBが存在しない可能性が高い。 NGC6397の天体 ▲:CV ×:LMXB ●:MSP □:BY Dra ☆:unidentified M4の天体:● M4にはLMXBが存在しない可能性が高い。 RSCVnの数は、M4の方が比較的多い。 CVがhardよりに観測されている。(吸収の影響) M4の方が明るいCVが少ない。 NGC6397より中心の星密度が低いのが原因と考えられる。 CV LMXB RSCVn MS-STAR M4 6 4 観測限界以下 NGC6397 8 1 2

代表的なX線天体 CV(激変星):白色矮星と主系列星の連星 LMXB(小質量X線連星):中性子星と主系列星の連星 MS-STAR(主系列星):主系列星の中でも特に明るいもの RSCVn(猟犬座RS星型連星):対流外層を持つ星のペアによる近接連星

代表的なX線天体 名称 MODEL 温度 (keV) Luminosity (erg/s) CV 熱制動放射 2~20 1030~1032.5 LMXB 黒体輻射 0.1~0.3 1032~1033.5 RSCVn プラズマ輻射 1~3 1029~1031 MS-Star プラズマ輻射 0.5~1.5 1027~1030 この数値をもとにシュミレーションを行い、 各エネルギーバンドのカウント数を推定。